家賃滞納トラブルを弁護士が解決【大家さん必読】

不動産特集記事

2020年度、賃貸物件の家賃滞納率は5.2%とのデータがあり、この数字はおよそ20軒に1軒の割合です。

参照元:公益財団法人日本賃貸住宅管理協会

実際に、借主の家賃滞納で頭を悩ませている貸主の方は、多くいらっしゃいます。

家賃の滞納があった場合、借主に退去してほしいと思うのは当然なのですが、正しい法的手続きを踏んで対応しなければ、貸主が不利になることもあるので注意が必要です。

もちろんトラブルに遭遇しないことが望ましいですが、いざというときに備えて、まずは貸主が知識を備えておくに越したことはないでしょう。

そこで今回は「賃貸借に関するトラブル」を得意としている、四谷見附法律事務所の弁護士 國竹千恵美 先生に直接お話を伺いました。

この記事で大家さんのお悩みを解決できたら嬉しい限りです。

國竹弁護士 宣材写真2

記事監修者:國竹千恵美(くにたけ ちえみ)弁護士
(記事執筆者:株式会社Albalink)

首都大学東京法科大学院卒業後、都内法律事務所や大手保険会社で勤務。社内弁護士として、契約書のリーガルチェック、各事業部からの法務相談、金融ADR対応などさまざまな経験を経て、四谷見附法律事務所へ入所。

これまでに積んできた多彩な経験と、人としての共感性・法律家として客観性のバランスをもとにした、依頼者に寄り添った問題解決を強みとしている。

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そもそも家賃を滞納している入居者を強制退去させられるのでしょうか?

借主(入居者)が家賃を滞納し続けているのであれば、強制的に立ち退かせることは可能です。

ただし、借主へ強制退去を求めるには、法律に則った正しい手順を踏む必要があります。

万が一、誤った方法で借主を退去させようとすると、民事訴訟を起こされて裁判へ発展した際に、貸主が不利になる恐れがあるからです。

借主に対して、法的に物件の明け渡しを求める方法をご説明します。

家賃滞納の場合は契約解除後に立退き請求が可能

貸主は、家賃を滞納している借主に対して債務不履行(契約の義務を果たしていない)であるとして、賃貸借契約を解除して立ち退きを求めることができます。

大抵の場合は、賃貸借契約書の中で、数カ月間の家賃滞納があった場合に貸主は契約解除の申し入れを通知すれば契約を解除できる旨の記載がされています。

以下、契約解除についての記載例です。

第◯条 (契約の解除)
甲(貸主)は、乙(借主)が次に掲げる義務に違反した場合において、甲が相当の期間を定めて当該義務の履行を催告したにも関わらず、その期間内に当該義務が履行されないときは、本契約を解除することができる。
一 賃料支払義務
二 共益費支払義務

物件の明け渡しまでの大まかな流れは以下のとおりです(後ほど詳しく解説します)。

  1. 未払い家賃の支払督促
  2. 賃貸借契約の解除
  3. 明け渡しを求める民事訴訟を提起
  4. 裁判所の判決や和解による解決
  5. 強制執行

なお裁判手続において、家賃を滞納している借主に対して、契約解除が認められるかは「貸主と借主の信頼関係が破壊されているかどうか」で判断されます。次の見出しで詳しく解説します。

契約解除が認められる目安は「家賃滞納が3ヶ月以上」

前述の通り、賃貸借契約の解除には「貸主と借主の信頼関係の破壊」が必要です。

実務上、3ヶ月以上にわたって家賃滞納が続いているのであれば、「信頼関係の破壊」として契約解除が認められる傾向があります。

ですが、契約解除が認められる家賃滞納期間に、法律で一定の基準があるわけではありません。上記の3ヶ月というのは「信頼関係の破壊」と評価される一応の目安に過ぎません。

実際に「信頼関係の破壊」と評価されるかどうかは、個別具体的な事案によるので、専門家である弁護士に相談しましょう。

【番外編】家賃滞納がないケース

要件は厳しいですが、借主に家賃の滞納がなかった場合でも「正当事由」が認められれば、退去を求めることはできます。

借地借家法第28条(建物賃貸借契約の更新拒絶等の要件)

建物の貸主が建物の明渡しの条件として又は建物の明渡しと引換えに建物の借主に対して財産上の給付をする旨の申出をした場合におけるその申出を考慮して、正当の事由があると認められる場合でなければ、することができない。

引用元:借地借家法第28条

正当事由が認められるケースとして、建物の老朽化が著しく借主がそのまま居住することが危険であったり、土地の再開発事業等によりやむを得ず立退きを要求したりすることが考えられます。

ただ、以上のケースでも立ち退きを求める「正当事由」としては不十分であり、貸主が立退料を支払わなければ退去は認められないケースが多数です。

立退料
大家さん側の都合で入居者に退去してもらうため、その損害を補償する金銭

家賃滞納から強制退去までの大まかな流れを教えてください。

家賃滞納を理由に賃貸借契約を解除したら、貸主に任意の立ち退き交渉を持ちかけ、借主が交渉に応じなければ訴訟を提起し裁判によって解決を図ります。

賃料滞納以外に特に争点がない場合は、裁判を提起してから、約2か月~3か月で判決が出ます。その後、借主が任意で立ち退かない場合は、明渡の強制執行手続きを申立てる必要があります。判決が出てから、強制執行により強制的な立退きが完了するまでには、約3か月は見ておいた方がいいでしょう。

なお、支払い督促や立ち退き交渉のやり取りも、万が一裁判になった際に事実を立証するために重要な証拠になります。そのため、くれぐれも大家さん自らで督促や交渉をするのではなく、法律の専門家である弁護士に相談して指示を仰ぎましょう。

では、家賃滞納から借主を強制退去させるまでの具体的な流れを解説します。

電話や書面にて支払いを催促する

家賃の滞納が発生したら、まずは借主に電話や書面にて未払い賃料の支払いを催促します。不動産管理会社を通している場合は、管理会社から電話での連絡を試みるのが一般的です。

電話や書面で催促をしても一向に入金の確認が取れない場合は、連帯保証人へ請求します。

ちなみに、最近では連帯保証人ではなく保証会社を利用しているケースも多いでしょう。もし、保証会社を利用しているのであれば、契約時に定めた保証期間内は未払い分の家賃も保証してもらえるでしょう。

相当の期限を定めて督促を行う

支払いの催促を3ヶ月以上に渡って借主が無視し続けるのであれば、賃貸借契約の解除に向けて最終督促の書面を送付します。

書面には、未払い家賃の支払期限である「相当の期間」を設定し、これを過ぎたら賃貸借契約を解除する旨を記載します。督促を行った事実を証拠として残すため、内容証明郵便を利用して送付するのが一般的です。

相当の期間
賃借人が返済を行うために必要な期間のことであり、一般的に1週間〜10日程度に設定される。

以下は未払い家賃の支払いに関する督促文の記載例です。

家賃支払い請求書

令和◯◯年◯◯月◯◯日

◯◯県◯◯市◯◯町◯◯丁目◯◯番◯◯号
◯◯ ◯◯ (借主の名前) 殿

◯◯県◯◯市◯◯町◯◯丁目◯◯番◯◯号
◯◯ ◯◯ (貸主の名前)

貴殿は下記建物について下記のとおりの条件で私と賃貸借契約を締結していますが、貴殿は平成 ◯◯年 ◯◯月分から平成◯◯年◯◯月分までの家賃合計◯◯万円の支払いを滞納しております。
つきましては、本書面到達後7日間以内に滞納賃料全額をお支払いいただくよう、ご請求申し上げます。
なお、同期間内にお支払いなき場合には、貴殿との建物賃貸借契約を解除させていただくことになりますので、念のため申し添えます。


一、賃貸物件                 ◯◯県◯◯市◯◯町◯◯丁目◯◯番◯◯号
二、家賃                        ◯◯円
三、家賃支払期日          令和◯◯年◯◯月◯◯日
四、契約期間                 平成◯◯年◯◯月◯◯日〜令和◯◯年◯◯月◯◯日

賃貸借契約の解除後、任意の立ち退き交渉を行う

未払い家賃の督促書面に記載した相当の期間を過ぎても、支払いがなされなければ、再度通知書を送付しなくても賃貸借契約は解除されます。

賃貸借契約が解除されたら、まずは借主へ任意での立ち退き交渉を持ちかけます。

この時点で、裁判所を通して強制退去を申し立てることも可能ですが、いきなり訴訟を起こすのは得策ではありません。

任意で借主の立ち退きが実現すれば、賃貸人としても裁判のため費用や時間、手続きの手間をかけずに済むからです。

裁判ともなれば、少なく見積もっても借主を強制的に退去させるまでに6ヶ月はかかります。その間は新しい入居者を探す事もできませんので、未払い分の家賃を分割弁済(分割払い)など譲歩し早期に立ち退いてもらうのが賢明でしょう。

明渡し請求訴訟

「任意の立ち退き交渉がまとまらない」「そもそも応じる気配がない」のであれば、「賃貸借契約の解除に基づく建物明け渡し請求訴訟」を提起し、裁判による強制的な解決を図ることになります。

裁判では、賃貸借契約の解除に必要な「信頼関係の破壊」があったかどうかが争点です。

借主の過去の滞納歴や、貸主の支払い催促のやり取り、その他総合的な事情を加味して原告である貸主の請求を認めるかどうかを裁判所が判断します。

また、裁判では建物の明け渡しに加え、未払い家賃や原状回復費用の支払いを請求することもあります。

もろもろの裁判手続は、弁護士に一任してしまうのが賢明といえます。貸主がご自身で事実の立証を行うのは非常に困難だからです。

明け渡し請求訴訟を提起する際、一般的に貸主側で用意しなければならない書類は以下の通りです。

  • 不動産登記簿謄本
  • 固定資産評価額証明書
  • 予納郵便切手
  • 収入印紙
  • 証拠書類(建物賃貸借契約書/内容証明郵便/配達証明書)

強制執行が行われる

判決が出た後、借主が任意で物件を明け渡さない場合は、裁判所の判決に基づいて、強制執行による明け渡しが行われます。

強制執行
債権者(この場合は貸主)の請求を実現させるために、国が強制的に権利・賃金回収・建物の明け渡しなどを実現させる手続き。実行力の非常に強い制度であるため、裁判所が交付した判決などの「債務名義」が必要となる。

強制執行には、裁判所が交付した「債務名義(債権を公的に証明する文書)」が必要です。

裁判所が出した「確定判決」や「和解調書」が債務名義に該当します。

なお、執行の際は、強制執行を担当している裁判所職員が、借主を退去させる流れになります。

強制執行までの流れ

  1. 郵便ポストや電気・ガスメーターから借主の居住状況を確認する
  2. 職員が呼びかけを行い、応答がない場合は強制的に鍵を開けて物件内に入る
  3. 借主及び同居人を退去させ、室内の家財等を運び出し保管する
  4. 一定期間に借主が家財等の受け取りをしなければ貸主が処分する
  5. 断行(強制執行)期日を記載した公示書を室内に貼り付ける

以下は、物件明け渡しの強制執行にかかる費用の相場です。

強制執行にかかる費用

  • 解錠技術者の依頼費用:2万円~10万円
  • 家財等の運搬費用:50~100万円
  • 裁判所にしはらう予納金:20万円もしくは40万円
  • 強制執行の立会費用:2万円前後
  • 家財の処分費用:2~4万円

家賃滞納によって生じた損害として、執行費用を借主に請求することも可能ですが、家賃を支払えなかった借主が追加で執行費用まで支払うのは困難です。

そのため大抵の場合は、貸主側で強制執行にかかった費用を負担することになります。

強制退去させた滞納者にはどこまで金銭を請求できるのでしょうか?

家賃滞納によって借主の強制退去が実現したとしても「未払い分の家賃や原状回復費等をどこまで請求してよいのか」と不安な貸主さんは多いと思います。

まず、借主が滞納していた未払い家賃も原状回復にかかる費用も、民法上の消滅時効を迎えるまでであれば貸主は全額請求できます。

民法上の消滅時効

  • 権利を行使できることを知った日から5年間
  • 権利を行使できる日から10年間

以上の場合には、時効により債権が自動的に消滅します。

参照元:民法第166条

ただ実際には、家賃滞納が続いた借主に未払い家賃や原状回復費の支払い能力があるとは考えづらいでしょう。借主に収入も財産もない場合は、差し押さえるものがありませんので、貸主は債権を回収できません。

仮に貸主に支払う意思がある場合には、分割払いを提案することも考えましょう。

やってはならない督促行為はありますか?

國竹弁護士 依頼風景

以下の督促行為は民法上の不法行為に当たる可能性があるので、してはいけません。

  • 早朝・深夜の時間帯における訪問や電話等での督促
  • 連帯保証人以外の家族や、勤務先への督促
  • 住居に張り紙などをし、未払いの事実を周知する行為
  • 「払うまで帰らない!」と長時間居座り続ける行為
  • 賃室を利用させないよう勝手に鍵を交換するなどの行為

上記のような行為は、自力救済として禁止されているのでやめましょう。不動産管理会社を通さず、大家さん自らで物件を管理している場合は、法律の専門家である弁護士に相談して慎重に家賃回収や退去要求をしなければなりません。

家賃滞納者が夜逃げして行方不明になってしまった場合はどう対処したら良いでしょうか?

大家さんが最も避けたいのは「入居者の夜逃げ」ではないでしょうか。

借主に夜逃げされてしまうと、勝手に室内に入ったり家財を撤去したりすることもできませんから、次の入居者をいつまで経っても探せなくなってしまいます。

そのような場合にも、制度上の救済措置がありますので、適切に対処さえすれば夜逃げトラブルも解決できます。わかりやすく解説していきます。

勝手に部屋に立ち入ったり家財を撤去したりしてはならない

借主が夜逃げをしたからといって、貸主が自身で鍵を開けて室内に侵入したり、家具を撤去したりしてはいけません。

というのも、借主に明渡しを求める正当な権利が、貸主にあったとしても、本来は裁判所を通して強制執行という形で請求する必要があります。にもかかわらず、裁判所を通さずに自力で解決しようとする行為は「自力救済」といって法律上禁止されています。

室内に勝手に侵入すれば「住居侵入罪」、家財を勝手に撤去すれば「器物損壊罪」が成立してしまうおそれがあるので注意しなければなりません。

まずは連帯保証人や緊急連絡先に連絡し居場所特定を図る

借主が夜逃げしてしまったら、まずは思い当たる居場所をくまなくあたって居場所の特定に努めます。

次の見出しで紹介する「公示送達」を利用するためには、「どれだけ探しても借主が見つからなかった」という事実が必要だからです。

具体的には、連帯保証人や緊急連絡先に連絡を取ったり、借主の勤務先に在籍を確認したりといった対応を取ります。

やむを得なければ公示送達を利用し強制退去を求める

連帯保証人や勤務先をあたっても、借主の居場所が特定できなければ、裁判所に訴訟を提起して明渡を求めることになります。この記事の「家賃滞納から強制退去までの流れ」で解説した手順と概ね同じです。

ただ、借主が夜逃げして行方不明になっている場合は、貸主からの督促書面や、裁判所からの執行文等を借主に送付することができません。

訴訟を提起する際には、公示送達により借主に送達をしたものとみなされます。

公示送達を利用して借主に訴訟を起こし、裁判所で判決を得ることで物件の明け渡しが実現し、貸主が物件に立ち入ったり、次の入居者を探したりすることが可能です。

家賃滞納トラブルが起きたら最初から弁護士に相談したほうが良いのでしょうか?

賃貸借契約の解除が認められる目安である、3ヶ月を過ぎても家賃の滞納が続いているのであれば、弁護士に相談することをおすすめします。

賃貸借契約の解除から明け渡し請求を起こすまでに行った督促行為は、万が一裁判に発展した際の立証材料として非常に重要です。

専門家である弁護士から指示を仰ぎ、慎重かつ適切に対処しなければ、貸主が不利になる可能性もあります。

また、賃貸借トラブルの解決に長けている弁護士であれば、借主の属性や滞納状況に応じて、裁判以外の糸口を提示してくれるかも知れません。

もちろん、弁護士費用は発生します。ですが、ご自身で裁判手続を対応しようとすれば、時間も手間もかかってしまいます。その間、新しい入居者を探すことも難しいため、結果的に損してしまうことも少なくありません。

家賃トラブルの早期解決を望むのであれば、弁護士に相談しましょう。最近では初回の相談を無料で受け付けている事務所もありますので、お気軽にご相談ください。

賃貸トラブルを安心して任せられる弁護士の選び方を教えてください。

当然、弁護士であれば誰に相談してもいいわけではありません。

以下のポイントに注目して相談先の弁護士を選んでください。

  • 不動産関係の中でもとりわけ賃貸借トラブルに長けているか
  • レスポンスが迅速か
  • 専門用語を多用せずわかりやすく説明してくれるか

弁護士によって得意とするトラブル内容が異なるため、相談内容にあった弁護士を選定しましょう。

その他にも、対応が遅くいつまで経ってもトラブルが解決しなければ意味がありませんから、レスポンスの速さも確認するようにしましょう。

また、弁護士が難しい言葉を多用して、今後の流れを依頼主が十分に把握しないまま、紛争解決に臨まれると後々になって思わぬ結果を招く場合もあります。ですので、専門用語を噛み砕いてわかりやすく説明してくれる弁護士を選ぶのがおすすめです。

初回相談を無料で承っている弁護士事務所も多数あるため、気軽に相談してください。

契約書に記載しておくと家賃滞納のときに貸主が有利になるような条項はありますか?

なお、原状回復費用に関連して、貸主に有利になる条文もあります。

下記の条項例は、通常損耗(日常生活で発生しうる損傷や汚れ)であったとしても、条項内で挙げた箇所に対しては、借主が原状回復の費用を支払うよう取り決めたものです。

第◯条 (原状回復費用について)
乙(借主)は、本契約が終了したときは、本件建物を原状に復して甲に明け渡さなければならない。なお、以下で列挙する費用は、通常損耗の範囲内であったとしても借主が負担するものとする。
ア エアコン内部洗浄 ◯◯円,クロス貼替 〇〇円,タイルカーペット貼替 〇〇円
イ ペット飼育による汚れの洗浄 〇〇円、臭いのクリーニング〇〇円

ただし、実務上、原状回復費用の負担は、国土交通省の「原状回復をめぐるトラブルとガイドライン」に沿って決められており、通常損耗により生じた原状回復費用は、原則的には貸主が負担するものです。そのため、上記文例のような条項を設置したとしても、当該特約が無効となる可能性は高いです。各項目ごとに金額まで詳細に記載し、借主に口頭で説明するなどして、契約解除後にトラブルにならないようにしておく必要があります。

また、ここ最近、大家さんの間で話題になっているのが、賃貸借契約に記載されていた「追い出し条項」が、最高裁判所の判決で違法と判断されたニュースです。

参照元:「追い出し条項」は違法、家賃保証の契約巡り最高裁が判断

この最高裁判決により、「家賃が滞納されても借主を追い出せないの?」と絶望している貸主さんも多いかと思いますが、必要以上に心配する必要はないでしょう。

まず、この最高裁の事案は、追い出し条項を設けたのは、大家さん(オーナー)でなく、家賃保証会社です。

そのため、以下の理由をもって、追い出し条項は無効と判断しています。

  • 契約を解除することができるのは、契約当事者である賃貸人であり、契約の当事者ではない家賃保証会社が契約解除できるとの規定は無効である。
  • 家賃滞納が3カ月あったとしても、いきなり催告もせずに解除することはできない。

つまり、最高裁の判断のポイントは、単に家賃滞納のみの理由で「契約解除」「追い出し」が違法と言っているのではありません。

  • 契約当事者でもない人が一方的に契約解除をすることはできない。
  • 契約解除までの手続きに不備がある。

ということです。

ですので、「◯ヶ月に渡る家賃滞納があった場合は『契約を解除』します。」という条項自体は有効であり、契約が解除された後は、民事訴訟を起こすことで借主を強制退去させる事が可能です。
(もちろん、裁判所による強制執行が行われれば、借主が残した家財や残置物も裁判所の手で撤去してもらえます。)

まとめ

家賃滞納率のデータを見ても、借主の家賃滞納や夜逃げなどのトラブルは、貸主にとって決して珍しい話でありません。

もちろんトラブルに遭遇しないことが望ましいですが、いざというときに備えて、まずは貸主が知識を備えておくに越したことはないでしょう。

また、今回ご紹介したように、借主への伝え方を間違えてしまうとかえって貸主側が不利になることもあります。

ご自身で判断する前に、一度賃貸借トラブル解決に長けた弁護士に相談することをおすすめします。

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