相続対策をしているのは全体の「約3割」
「相続対策をしている」と回答したのは158人(29.6%)と、全体の約3割に留まりました。
この結果から、実際に相続対策している人は少数派ということがわかります。では、年齢、年収、職業によってその違いはあるのでしょうか?順を追って解説していきます。
年齢別の傾向:60代以降で顕著に増加
「相続対策をしている」と回答した人の年齢別の割合は、20代(15.9%)、30代(27.6%)、40代(31.4%)、50代(31.0%)、60代以上(55.2%)と、60代以上のみが突出して高い結果となりました。
やはり、「自身や親が高齢化した(詳しくは後述)」など、必要に迫られない限り相続対策に取り組む人は少ないようです。
年収別の傾向:全体としては約2〜3割だが、600〜799万円の層だけ5割近い結果に
「相続対策をしている」と回答した人の年収別の割合は、199万円以下(26.2%)、200〜399万円(30.8%)、400〜599万円(28.3%)、800〜999万円(26.3%)、1000万円以上(25.0%)と、年収での違いはほぼありませんでした。
ただ、600〜799万円(45.9%)のみ4割を超えるという結果に。
これは、サンプル数が少ないこと以外にも、「平均年収よりは所得が高いものの、浪費はせず堅実に稼いできた人」が多いからかもしれません。
職業別の傾向:年金受給者は約7割が対策をしている
「相続対策をしている」と回答した人の職業別の割合は、年金受給者(71.4%)、専業主婦・主夫(41.6%)の順で多い結果となりました。
一方、現役世代の多い職業では、会社員(26.6%)、個人事業主(33.7%)、専門職(26.7%)、派遣社員(14.3%)と、相続対策をしている人は2〜3割に留まっています。
このことから、相続対策はある程度高齢かつ時間的に余裕のある人がしていると考えられます。
相続対策をはじめたきっかけ第1位は「自身もしくは親の高齢化」
相続対策をはじめたきっかけは、「自身もしくは親の高齢化(120票)」が最多となりました。
そのあとには、「節税対策(45票)」、「周囲や伝聞で相続トラブルの話を聞き、その対策として(37票)」、「周囲のアドバイス(36票)」、「子どもの誕生、成長(30票)」が続きます。
その他の理由には、下記のような回答が寄せられました。
- 自身夫婦の高齢化と、同居の子供にどのように家を残すことが出来るのか、残った兄弟たちの持ち分はどうなるのか、普段仲が良い家族でも、いざという時のトラブルを避けたいから。(60代以上、女性、専業主婦)
- 祖父母の死で親の兄弟でいざこざが発生したからです。(30代、女性、アルバイト)
- 祖父が亡くなった際に父が実家の名義を私にしていた。(40代、男性、個人事業主)
- 我が家は母が会社経営をしておりますのでその事業でお世話になっている弁護士様と祖母と母の相続に関して相談させていただきます。祖母の入院にあたって不動産の整理、退職金や保険の整理を行いました。(20代、男性、会社員)
- 父が亡くなったときに母が相続放棄をして、全て一人っ子である私に相続されました。母が亡くなるときは母の預金くらいしか相続するものがないので、恐らく相続税はかかりません。(30代、女性、専業主婦)
上記の理由から、事前に入念な準備をしている人もいれば、いざそのときになってはじめて自分の事として捉えた人もいるようです。
また、「相続に関する親族間でのトラブルを避けたい」と考える人は比較的多いようです。
具体的な相続対策の内容第1位は「生前贈与で相続財産を減らす」
具体的な相続対策の内容は、「生前贈与で相続財産を減らす(121票)」が2位に約3倍の差をつけダントツの1位という結果に。
本人の死後、もっともトラブルの起こりやすいとされる「遺産相続」の問題に対して、事前に対策を打つ人が多いようです。
それ以降は、「生命保険金等の非課税枠を利用する(43票)」、「不要な不動産を処分する(39票)」、「墓地・仏具を生前に購入する(34票)」、「孫や子供に生命保険をかける(26票)」、「教育資金贈与信託を利用する(13票)」などの項目が全体の大半を占めました。
その他の理由には、下記のような回答が寄せられました。
- 実際に相続対策をしようと思っているのが現段階で、具体的な内容は検討中。(60代以上、女性、専業主婦)
- エンディングノートに全て書いているし、口座番号や通帳の位置も聞いています。(30代、女性、アルバイト)
エンディングノートには、遺言書のような法的強制力はありません。
しかし、範囲が厳格に定められている上に死後のことしか書けない遺言書とは異なり、エンディングノートは遺産相続についての希望や延命措置、介護、お墓など「生きている間のこと」についても言及できるという特徴があります。そのため、広い意味での相続対策として取り入れてもよいでしょう。
相続対策をしていない理由第1位は「必要だと思うがやり方がわからない」
対策をしていない理由は、「必要と思っているが、仕方がわからない(148票)」が2位以下に大差をつけて1位に。
いつかやらなければいけないと頭ではわかっているものの、やはり必要に迫られない限りなかなか腰を上げられない人が多いようです。
また、「特に理由はない(41票)」など、そもそも相続対策自体に無関心な層も一定数いると考えられます。
その他の理由には、下記のような回答が寄せられました。
- 実母の場合ですが、亡くなった場合、今の財産だと少し相続税がかかりそうなのですが、これから、もし有料老人ホームに入ることになると、入る年数により、かなりの費用が必要なので、今のところ保留にしています。(50代、女性、専業主婦)
- 一度自己破産したあとで、大した資産を持っていない。(30代、女性、アルバイト)
- 話しずらくて先延ばしになっています。(40代、女性、専業主婦)
- コロナの影響で、土地名義の変更が先延ばしになってるようです。(40代、女性、アルバイト)
- 今、親の相続の途中で思うことはあるので、子どものためには今後対策したい。(50代、女性、専業主婦)
- 親が協力的ではないため。(60代以上、男性、個人事業主)
- 両親が現在その事で悩んでいますが、いくつかある必要のない土地の処分をしたいが、まず手続きややり方がいまいち分からない。色々と費用と時間がかかる。高齢者の為自由に動けない。揉め事が起こることから先延ばしにしている。(40代、女性、専業主婦)
- 家族が一人もいないから相続対策はしていません。(30代、男性、会社員)
- 対策を始めなければと思いながら、日常生活に追われ始められていないです。(50代、男性、個人事業主)
- これからまだお金を貯めたいので保険までにはお金を回すことが出来ないからです。(30代、女性、アルバイト)
その他の主な理由には、
- 親や親族との折り合いがよくない
- そもそも相続する資産や相手がいない
- 相続対策までするお金や時間の余裕がない
などが挙げられました。
日々の生活においてあまり緊急性の高くない相続対策は、後回しにされがちな傾向にあるようです。
相続対策をしていない場合のリスクとは?
では、実際に相続対策をしていない場合のリスクにはどのようなものがあるのでしょうか?
ここでは、不動産情報メディア(運営:株式会社AlbaLink)である当サイトが、不動産業界視点で相続対策をしていないリスクを解説していきます。
まず、不動産の視点から見ると、相続対策をしていないことのリスクは
- 財産が大きければ大きいほど相続税負担が増える
- 不動産という性質上、分割できないことによる親族間のトラブルが起こりやすい
上記2点です。
1つ目は文字通りです。なんの相続対策もせずに相続を受けると、恐ろしい金額の現金が必要になる可能性があります。また、相続の申告期限も迫る中で現金を作ろうとすると、どうしても低い金額で換金しないといけないことも多く、損しかありません。
2つ目は相続財産に不動産が多い場合です。相続を受ける人が複数人いる場合、それぞれ法定相続分を受け取る権利がありますが、不動産の場合均等に価値を配分することができません。そのため、事前にそれがわかっていれば分割できるものに形を変えておくなどのも対策できます。
では、相続対策は一体何から手を付けるのが正解なのでしょうか?
結論から言うと、まずは相続財産と相続人を把握することから始めてください。
具体的には、現金がいくら、株があるのか、不動産があるのか。そして、相続人は兄弟だけなのか、異母兄弟などいないか、などです。
ただし、そこから先は専門家の助けを借りる必要があるでしょう。
税理士は税金の側面、弁護士や司法書士は権利の側面、不動産屋は不動産をどう換金したり、あるいは購入したりするべきかの側面での相談など、複数の専門家のサポートが必要です。
例えば、「価値がない訳あり物件(例:事故物件、ほぼ無価値、所有者が複数いる、など)だけど、とにかく不動産をどうにかしたい」といった方は、ぜひ私たち「訳あり物件買取PRO」へご相談ください。
まとめ
今回のアンケート結果では、実際に相続対策をしているのは全体の3割に留まりました。
しかし、相続対策をしていない人の理由をみると「相続対策をしなきゃいけないのはわかっているけど、手続きや人間関係などが面倒で先延ばしにしてしまっている」というのが全体的な傾向と言えるでしょう。
相続対策は、数週間で終わる手続きではなく、ある程度余裕を持って始めておく必要があります。
中でも、特に動く額が大きくトラブルになりやすい不動産の相続については、できるだけ早めにしておく方がよいでしょう。
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