売却前に知っておきたい事故物件の定義
そもそも事故物件とはどのような不動産を指すのか、あまりよく知らない方も多いでしょう。そこでまずは、事故物件の定義について解説します。
亡くなった状況によっては事故物件に該当しないこともあるため、どのような不動産が事故物件と呼ばれるのかを売却前に把握しておきましょう。
事故物件に該当する死因
国土交通省が定めている「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によると、建物内で以下のような死因で亡くなった場合には事故物件として取り扱われます。
- 他殺
- 自殺
- 事故死
- 孤独死
- 焼死
- 不明死
- 長期間放置された自然死
この場合は、売却時に購入希望者に対して事故物件である旨を告知しなければなりません。
参照元:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」
事故物件に該当しない死因
一方、以下の死因で亡くなった場合は事故物件には該当しません。
- 老衰や病気による自然死
- 不慮の事故死
自宅の階段からの転落や入浴中の転倒、食事中の誤えん(飲食物を気管に詰まらせてしまうこと)などを指します。
実際に、弊社が独自に行った「事故物件ならどこまでが許容範囲か?」に関するアンケート調査でも、77%の人が孤独死や事故死なら許容範囲と答えており、一般の人の意識としても、「自然死や事故死であれば敬遠するほどの事故物件ではない」という結果が出ています。
このようなケースでは、物件内で亡くなった方がいることを購入希望者に告知する必要はありません。
事故・事件の発生後、マンション全体が事故物件と扱われる可能性もある
事故や事件が発生したのが一戸建てではなく、マンションだった場合は注意が必要です。
たとえばエレベーター内や廊下、敷地内の駐車場など、自分の住戸とは関係のない場所で事件や事故が起こって人が亡くなったしまったとき、マンション全体が事故物件と取り扱われてしまうことがあります。
このケースでも、亡くなった方の死因によっては売却時に事故物件であることを告知しなければなりません。そればかりか、不動産価値が大きく損なわれて売却価格が下がってしまう可能性すらあり得るのです。
事故物件の売却価格は相場よりも10~50%安い
お伝えした通り、死因によって事故物件にあてはまる場合、売主は購入希望者に対して、事故物件であることをあらかじめ伝えておかなければなりません。
すると一般の買い手がつきにくくなり、値段を下げざるを得なくなってしまうことから、事故物件の売却価格は相場よりも安くなってしまいます。
実際に、弊社が独自に行った「事故物件かどうかを気にする人」のアンケート調査では、87.4%の人が「気にする」と答えています。
事故物件を「とても気にする」「やや気にする」と答えた人が合わせて87.4%。
それでは、事故物件は具体的にどのくらいの価格で売却が可能なのでしょうか。
死があった状況次第で値下げ幅は大きく異なるので、ここではケース別に売却相場を解説していきます。
ただし、どのケースにせよ、あくまで目安ですので、正確な売却価格を把握したい場合は、事故物件を専門とした不動産会社に査定を依頼しましょう。
事故物件は、お伝えしたとおり買い手が付きにくく、取り扱いを嫌がる不動産会社もおり、専門性が高い不動産会社でなければ正確な売却価格を算出できないからです。(詳細は後述します)
弊社は、他の不動産会社では扱いが難しい事故物件の買取も得意としています。豊富な経験や知識から適正な買取価格をご提示できますので、正確な査定価格を知りたい方はぜひご相談ください。
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孤独死のケース
孤独死とは、おもに一人暮らしの方が誰にも気づかれないまま亡くなってしまうことを指します。このケースでは急死後、しばらくしてから見つかることが多く、遺体の腐敗が進んで部屋に臭いなどが染みついてしまいがちです。
売却前に特殊清掃をおこなえば、臭いや汚れなどを除去することは可能ですが、それでも心理的に嫌悪感を抱く方は少なくありません。そのため売却相場は、通常物件よりも10~20%ほど安くなるのが一般的です。
遺体の除去や除菌・消臭などをおこなって遺体発見現場を原状回復する清掃のこと。
自殺のケース
物件内で亡くなった方の死因が自殺だった場合も、事故物件として不動産価値は大幅に下落します。たとえ発見が早く、亡くなったのが搬送先の病院であったとしても、自殺があった事実を購入者に告げなければなりません。
この場合は、通常物件の20~30%ほど価格が下がります。ただし、一口に自殺といっても、首つりやリストカットなど方法はさまざまです。首つり自殺の場合はリストカットなどと比べると部屋の汚染範囲が狭まることから、減額割合が若干少なくなる可能性もあります。
殺人のケース
数ある死因のなかでも、購入者の忌避傾向が特に強いのが、殺人です。
とくにニュースでも取り上げられるほどの殺人事件が起こった場合は、事件の記憶が風化しにくく、周辺の方々からの悪印象が払拭されにくい傾向にあります。
このケースでは、通常の物件の半額以下で取引されることも珍しくありません。売却したくても、不動産業者ですら取り扱いを拒む可能性も否めないでしょう。
ただし、事故物件を専門に取り扱う買取業者であれば、殺人事件が起こった物件でも売却が可能です。
弊社は、他社では買い取れないような事故物件も積極的に買い取っています。
少しでもご納得いただける金額で買い取れるよう、弊社スタッフが全力で対応させていただきますので、まずはお問い合わせください。
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条件がよい事故物件はより高く、より早く売ることも可能
物件内で起こった事故は不動産のマイナス要因のひとつですが、それ以外の条件がよければ、事故物件であっても購入を希望する方はいます。
たとえば物件の状態がよく、駅からの距離や物件周辺の環境などの立地条件のよいエリアに建っている場合は、事故物件の相場よりも高く、そして早期に売却できる可能性があるでしょう。
しかし不動産に詳しくなければ、そのあたりの見極めが難しいのもまた事実です。そこで事故物件の売却を検討する際は、まず事故物件に詳しい不動産業者に査定を依頼し、適正価格を知ることが大切です。
事故物件の販売・買取実績が豊富な不動産業者であれば、物件の売り出し価格を含めて適切なアドバイスをしてくれるでしょう。不動産業者と相談したうえで、売却を進めることをおすすめします。
事故物件の売却時に売主は告知義務を負う
先ほど少し触れましたが、事故物件の売却時、売主は告知義務を負うので、売却が難しくなってしまいます。
あらためて説明すると、告知義務は、事故物件であることを購入希望者に伝えなければならないという、売主が負う義務です。
告知義務にはいくつか種類があり、違反してしまうと買主から損害賠償を請求されるおそれがあります。
とはいっても、売却を諦める必要は全くありません。
事故物件でも、正しい方法を選べば売却は可能ですし、それどころかより高く売れる方法もあります。詳しくは後述の事故物件を少しでも高く売る方法をご覧ください。
それでは具体的に、告知義務の詳細を把握しておきましょう。
告知義務を負う瑕疵は心理的な瑕疵だけではない
事故物件を売却する際は、事件や事故があったことを事前に購入希望者に告知する義務が課せられています。
「心理的瑕疵物件」とも呼ばれ、取引にあたって買い手に不快な気分を生じてしまうものを指します。
不動産の瑕疵にはそのほか「物理的瑕疵」「法律的瑕疵」があり、いずれも売却前に告知義務を負わなければならない点に変わりはありません。
ここでは事故物件と呼ばれる心理的瑕疵のケースにくわえ、物理的瑕疵・法律的瑕疵の告知義務の内容についてもご紹介します。
心理的瑕疵物件の場合
事件や自殺などで人が亡くなった事故物件のほか、物件周辺に暴力団など反社会的勢力の事務所がある、異臭を放つ工場がある、墓地や葬儀場が近いなどの「環境的瑕疵物件」も心理的瑕疵物件に該当します。
事故物件をはじめ、このような物件を売却する際には売買契約書に心理的瑕疵に関する事項を明記しなければなりません。
物理的瑕疵物件の場合
物理的瑕疵物件とは、柱の腐食や雨漏りなど物件自体に欠陥が生じている不動産のことです。
事前にどのような不具合があるのかを告知し、買い手がそれに納得すれば契約不適合責任は問われませんが、契約書に記載されていない隠れた瑕疵が見つかった場合は損害賠償請求される可能性もあるため、注意が必要です。
売主が買主に引き渡した目的物が契約内容に適合しない場合に、売主が買主に対して負わなければならない責任のこと。
この場合は、「売買契約書に売主の契約不適合責任免責の条件をつける」「契約不適合責任を問われないよう、売却前にホームインスペクションをおこなって瑕疵を見つける」などの対策を講じるとよいでしょう。
住宅診断士が住宅を調査し、不具合の有無や改修すべき箇所などについての診断をおこなうこと。
なお、詳細は後述しますが、不動産買取業者に直接売却することで、売主の契約不適合責任はすべて免責されます。
法律的瑕疵物件の場合
法律瑕疵物件とは、都市計画法や建築基準法など建物を建てる際に守らなければならない法律に違反している不動産のことです。たとえば「敷地が道路に2m以上設置しておらず、建て替えができない」「構造上の安全基準が満たされていない」などの物件が該当します。
購入者が法律的瑕疵物件を購入しても建て替えができない可能性があるため、売却時に重要事項として説明する必要があります。
なお、再建築不可物件の相場は市場価格の50%ほどです。しかし道路づけを改善するなどの対策を講じて建築可能物件にすれば、市場価格での売却が可能です。
再建築不可物件の売却方法について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

告知義務違反の場合は損害賠償請求される恐れがある
前述のように、事故物件の売却時には売主に告知義務が課されます。
告知義務は、時間が経てばなくなるというものではありません。なかには、50年以上前に発生した殺人事件を告知しなかったことで責任を追及されたケースもあります(東京地裁平成12年8月31日判例)。
また、事件が起こった建物を解体して更地にしても告知義務は課されます。実際、8年前に殺人事件が起こった建物を更地にし、事件の事実を告げずに売買したケースにおいて、いまだ心理的欠陥が残っているとして売主に損害賠償を命じた事例もあります(大阪高等裁判所平成18年12月19日判例)。
のちのトラブルを防ぐためにも、購入希望者には事前に包み隠さず告げることが大切です。
参照元:一般財団法人不動産適正取引推進機構「心理的瑕疵に関する裁判例について」
事故物件を少しでも高く売る方法
事故物件は一般の不動産よりも売却相場が下がりますが、少しでも高く売りたいと考える方は以下の3つの方法を検討するとよいでしょう。
- 更地にしてから売却する
- 不動産業者に仲介を依頼して売却する
- 事故物件に精通した複数の買取業者に査定を依頼する
それぞれの方法について解説します。
決して解体しない
事故物件だからと言って、決して家屋を解体してはいけません。
数百万円もの解体費用がかかるうえに、解体したところで告知義務は無くならないからです。
売却時には事故物件であることを伝えなくてはいけないので、解体費用分をまかなえない金額で売却することになることや、一生売れ残ってしまうおそれもあります。
そうなれば、解体費用分は全て赤字になります。
さらに、建物を解体して更地にして売れ残ったまま年を越しすと、住宅用地の特例から除外され、翌年以降は固定資産税が6倍になってしまい、所有者は多額の税金を納め続けなければなりません。
以上のことから、死因の内容や建物の状態を問わず、事故物件を売却する際は決して解体せず、そのまま売り出しましょう。
条件が良い場合は仲介業者に依頼して売却する
条件がよい事故物件はより高く、より早く売ることも可能でお伝えした条件にあてはまる事故物件であれば、仲介業者に売却活動を依頼して、通常物件と大差ない価格での売却を目指すことが可能です。
不動産の売却活動を依頼すると、仲介業者は物件情報を広く公開し、一般の買い手から購入希望者を募って、売買契約を目指します。
このように、多くの人に対して売却を持ち掛けるため、1人でも購入希望者がいれば、売主が強気の売却価格を設定していても、売却が見込めるのです。
この場合は、売却前に特殊清掃をおこなって事故の痕跡を消しておくことが大切です。ケースによって費用は異なりますが、間取りが4LDK以上の物件では20~60万円が相場です。
ただし、いくら立地等がよくても、買い手が購入したいと感じなければ、結局一生売れ残ってしまうおそれも当然あります。
したがって、仲介業者に売却を依頼したものの、数ヶ月経っても買い手がつかない場合は、後述する買取業者への売却に切り替えることをおすすめします。
事故物件の買取実績が豊富な買取業者に直接売却する
事故物件の売却価格は相場よりも10~50%安いでもお伝えした通り、死があったケースによっては、強い嫌悪感を買い手に与えてしまうため、いくら価格を下げても一生売れ残ってしまう事故物件もあります。
このように、一般の買い手に対して売却が難しい事故物件は、専門の買取業者に直接売却しましょう。
買取業者は、売主から直接不動産を買い取る不動産会社で、物件をリフォーム等によって再生したのち、運用や再販を目的としています。
このように、居住を目的としないので、事故物件のように一般の買い手には売れにくい物件も、事業による利益さえ見込めれば、買取業者はスムーズに買い取れます。
ただし、全ての買取業者が事故物件を買い取れるわけではありません。
事故物件を扱うには高い専門性が必要なため、あらかじめ業者のホームページ等から実績が豊富にあるかを確認しましょう。
事故物件の豊富な買取実績を持つ買取業者であれば、これまで蓄積してきた事故物件の再生ノウハウや、再販を見込める顧客リストを多く持つからです。
なお、買い取った物件をどう活用するかによって査定価格は大きく異なります。
よって、事故物件の扱いに長けた複数の買取業者に査定を依頼し、その価格を比較してから業者を選んでください。
そのほか、事故物件を専門の買取業者に売却するメリットは下記の通りです。
1週間から1ヶ月程度で売却できる
専門の買取業者であれば、1週間から1ヶ月程度で事故物件を買い取ります。
買取業者が直接買主になるので、仲介業者のように買い手を探す期間が必要無いからです。
それゆえ、買取業者が提示した買取価格に売主が納得さえすれば、すぐさま買い取りが可能です。
弊社は最短3日で事故物件を買い取れますので、売却をお急ぎの方はぜひ一度ご相談ください。
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特殊清掃費用など売主負担の売却経費がかからない
専門の買取業者に売却するのであれば、売主負担の売却経費は一切不要です。
買取業者は、物件を商品化するまでに必要なコストを、物件の価格から差し引いた金額で買い取るからです。
ゆえに、たとえ瑕疵の跡が残っている物件も、事故後に片付け等をできていない物件も、専門の買取業者はそのままの状態で買い取れます。
コスト分、売却額は安くなってしまいますが、売主は一切手出し無く事故物件を確実に売却できます。
契約不適合責任の一切が免責される
買取業者に直接売却すれば、売主の契約不適合責任はすべて免責されます。
買取業者は、不動産を取り扱うプロとして建物の瑕疵等を全て把握して再生するので、売主に責任を負わせることなく買い取るからです。
よって、どのような瑕疵があるか把握しきれない物件も、売主は売却後の心配を一切することなく、売却できます。
まとめ
事件や事故などによって人が亡くなった事故物件は売却しにくく、通常物件よりも10~50%ほど売却価格が下がってしまうことがほとんどです。
物件の状態や立地条件のよい場所に建つ事故物件の場合は仲介を通じて少しでも高く売れる可能性はありますが、いくら価格を下げても買い手が付かず、一生売れ残ってしまうおそれもあります。
とにかく事故物件を手放したい場合は、事故物件の扱いに特化した買取業者に直接売却しましょう。
専門の買取業者であれば、どんな瑕疵がある物件も、そのままの状態で1週間から1ヶ月程度で買い取れます。
弊社は、殺人や自殺などが起きた事故物件も、全国的に買い取っています。
「仲介を断られてしまった」「他の買取業者からの査定価格に納得できなかった」という物件をお持ちの方は、ぜひご相談ください。
どんな物件でも、弊社スタッフが責任を持って適切な買取価格を提示させていただきます。