事故物件の定義を簡単解説
そもそも「事故物件」とはどんな物件を指すのか、事故物件の定義をご説明します。
前提として、事故物件という言葉に法的な定義はありません。
ただ、国土交通省が定めたガイドラインによると、事故物件は「自然死や不慮の事故死以外の死」もしくは「特殊清掃が必要になる死」が発生した物件と定義されています。
参照元:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」
なお、このガイドラインに法的拘束力はありません。あくまで不動産取引をする際の「判断基準」と考えてください。
また、物件内で発生した人の死など、買主に心理的な抵抗を与えるであろう欠陥を総称して「心理的瑕疵」と呼びます。知識として覚えておきましょう。
以下では、事故物件に当たるケースとそうでないケースを、具体的に、かつ簡単にご説明します。
事故物件に該当するケース
前述の通り、事故物件に該当するのは「自然死や不慮の事故死以外の死」もしくは「特殊清掃が必要になる死」が発生した物件です。
言い換えれば、以下のような物件は事故物件に当てはまります。
事故物件
- 自殺や他殺が発生した物件
- 自然死や事故死で、遺体の発見が遅れ、特殊清掃が必要になった物件
- 原因が明らかでない死が発生した物件
自殺や他殺が発生した物件は、言わずもがな事故物件に該当します。
また、自然死や不慮の事故死であっても、遺体の発見が遅れて物件が汚損し、特殊清掃が必要になったら、事故物件に当てはまります。
事故物件に該当しないケース
以下のような物件は、ガイドラインにおける事故物件に該当しません。
事故物件に該当しない物件
- 自然死(老衰・病死)の発生後、早期に遺体が発見され、死による建物の損傷や汚損がない物件
- 不慮の事故死(お風呂場や階段での転倒事故・誤嚥等)の発生後、早期に遺体が発見され、その死による建物の損傷や汚損がない物件
当然のことではありますが、人は誰しもいつか必ず亡くなります。この当然の事実を踏まえると、老衰などの自然死や、やむを得ない事故死は自然の成り行きであり、一般的にそこまで強烈な不快感を抱くようなことではないとみなされます。
実際に、弊社が独自に行った「事故物件ならどこまでが許容範囲か?」に関するアンケート調査でも、77%の人が孤独死や事故死なら許容範囲と答えています。
そのため、そのような死が起きた物件は、ガイドライン上の「事故物件」には当てはまりません。
なお、事故物件であるかの判断基準をもっと詳しく知りたい方は、以下の記事を参考にしてください。

事故物件の売却には「告知義務」が伴う
事故物件を売却する際は、売主に告知義務が課せられます。そのため、事故物件である旨を隠して売却してはいけません。
告知義務とは「買主の購入の意思決定に影響を及ぼすであろう真実」を、売却前に買主に伝えなければならないという、売主の義務です。
告知義務を果たさなかった売主は、買主から、売買契約の解除や損害賠償を請求されるおそれがあります。
そのため、事故物件である旨を隠したまま売却してはいけませんし、それ故に、事故物件は売却しにくいのが実情です。
以下では、不動産売買における告知義務について、基本的な知識を簡単に解説します。
不動産売買において告知義務がなくなることはない
事故物件を売却する際の告知義務は、永遠に消失しません。
物件内で起きた死に対する不快感や嫌悪感は人それぞれ異なり、どれだけの時間が経過していようとも、嫌だと感じる買手は一定数いるからです。
例えば、死に対して強い不快感を感じる買主に、事故物件である旨を隠して売却してしまったとします。
その場合、物件で起きた事故死(事件死)が何年前であろうと、買主は売主に損害賠償請求や売買契約の解約を求めるでしょう。
実際に、以下のような事例があります。
売主が、7年前に強盗殺人事件があった旨を買主に告知せず、事故物件を売却。
売買契約成立後に事件を知った買主が、売主に損害賠償を請求し、売主は2,000万弱の支払いに応じた。
このように「もう何年も経っているから」という理由で、事故物件である旨を隠して売却すれば、後々トラブルになるおそれがあります。
「死から〇年が過ぎれば告知義務はなくなる」等と書いている記事も稀にありますが、誤った情報なので注意してください。
不動産業者は事故物件に該当しない心理的瑕疵も告知する
不動産を売却する際、多くの売主は、地域の不動産業者に売却活動を依頼し、買主を探してもらうのではないでしょうか。
不動産業界のリアルなお話をさせていただくと、不動産業者は、どんな心理的瑕疵であっても買主に告知する傾向があります。
というのも、告知せずに売却して、後々買主からクレームが入ったら、不動産業者は営業停止などの処罰の対象になるリスクがあるからです。
そのため、たとえガイドライン上の事故物件に該当しない瑕疵であっても、買主に隠して売却することはできないと覚えておいてください。
事故物件の売却相場はケースバイケース
物件内で人が亡くなった旨を隠したまま売却することはできないと、理解していただけたでしょうか。
しかし、告知義務に違反することなく、事故物件を確実に売却する方法はあるのでご安心ください。
この章では、売却方法を解説する前に、事故物件の市場での売却相場について簡単に解説します。
事故物件の売却相場は、買主の価値観によって大きく異なります。一般的に、自殺であれば市場相場のおよそ3割減、殺人事件であれば、およそ4~5割減などと言われますが、一概には言えません。
なぜなら「殺人事件や自殺で価格が安くなるならラッキー!」と捉える買手もいれば「人が亡くなった部屋なんて絶対嫌!」と捉える買手もいるからです。
偶然にも、早い段階で前者のような買手が現れれば、売り出した当初の金額で売却できます。
しかし、物件内で起きた死を、そこまで軽く捉えている日本人は滅多にいません。
物件内で起きた死を気にしない、少数派の買手に巡り合えない限り、どれだけ売値を下げても、事故物件は永遠に売却できません。
次章では、そんな事故物件を確実に手放す方法をお伝えします。
事故物件の売却方法は「買取」が最善
事故物件を市場に売り出しても、売却の目処が立ちませんし、高確率で売れ残ってしまいます。
事故物件を確実に売却したいのであれば、「不動産買取業者に直接売却する」しか方法はありません。
前提として、不動産の売却方法は「仲介」と「買取」の2種類があります。
- 仲介
- あなたが売却したい不動産の購入者を、不動産仲介業者に探してもらう売却方法。
売主が個人の「あなた」であるのと同様に、買主も自身の新居を探す一般の個人。 - 買取
- あなた(売主)が、不動産買取業者に直接不動産を売却する方法。
買手はもちろん、不動産のプロである不動産買取業者。
以下では、それぞれの売却方法が、事故物件の売却に適している/適していない理由をお教えします。
仲介業者に売却を依頼する
不動産仲介業者に売却活動を依頼しても、事故物件が売れる可能性は限りなく低いと言えます。
前述の通り、仲介業者は、自身の新居を探している個人に向けて売却活動を行います。しかし、人が亡くなった物件に住みたいと思う買手は滅多にいません。
そのため、どれだけ売値を下げても、事故物件は高確率で永遠に売れ残ってしまいます。
買取業者に直接売却する
不動産買取業者であれば、事故物件も高確率で買い取ってもらえます。
買取業者が事故物件を買い取れる秘訣は、「不動産の買取目的」に隠されています。
一般の個人は、自身の新居として不動産を購入するのに対し、買取業者は、再販事業用として不動産を買い取ります。再販事業とは、不動産の買取金額と再販金額の差額で利益を出すことです。
そのため、買取業者は、事故物件を再生するためのノウハウや、事故物件でも買い取ってくれる再販先(顧客リスト)を豊富に持ち合わせています。
確実に再販し、利益化する自信があるので、買取業者は事故物件でも買取が可能なのです。
なお、事故物件を買取業者に直接売却するのであれば、売主にはこれからご紹介する4つの大きなメリットがあります。
1つずつ説明していきます。
最短数日で確実に買い取れる
買取業者であれば、事故物件も最短数日で確実に買い取れます。
仲介業者に売却を依頼したら、事故物件を買いたいと思ってくれる少数派の買手が現れるのを待たなければなりません。
しかし、買取業者は売主と1対1で直接取引するため、売主が買取金額に納得さえできれば、すぐに買い取れます。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、事故物件などの訳あり不動産を、最短3日で買い取ることが可能です。
事故物件を売りたい方、なかなか売却できずにお困りの方は、ぜひ一度弊社にご相談ください。
買取金額がすぐにわかる
買取業者に相談すれば、確実な買取金額をすぐに提示してもらえます。
仲介業者を通して売却活動を行ったら「この金額なら事故物件でも購入したい」と、個人の買手に納得してもらえる金額まで、売値を下げ続けなければなりません。
しかし、買取業者は再販事業用に事故物件を買い取るプロなので、情緒で買取金額を決めません。
これまでの買取実績に基づいた、正確な買取金額を早急に算出し、売主に提示できます。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)も、最短12時間で売主さまに査定価格をご提示できます。
自身の所有している事故物件がいくらになるか知りたい方は、まずは査定のみご依頼ください。
そして、ぜひ他の買取業者にも査定を依頼し、査定価格を比較してみてください。
我々は、どこよりもお客様が納得できるお取引をするとお約束いたします。
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売主が特殊清掃を行う必要がない
買取業者は、特殊清掃が必要な事故物件も、そのままの状態で買い取ってくれます。
死体の発見が遅れた等の理由で汚染された部屋を、専門業者が殺菌・消臭する。
また、悪臭や体液の染み込んだ壁や床、家具を、必要に応じて取り替える。
特殊清掃は、物件の間取りや汚れの程度によって異なりますが、およそ数万~数十万の費用負担がかかります。
仲介業者を通して個人に売却するのであれば、売主が特殊清掃の費用を全額負担し、買手に内見してもらえる状態にしなければなりません。
しかし、買取業者に直接売却するのであれば、売却前に売主が特殊清掃の費用を負担する必要はありません。
買取業者は、買取後に物件を再生する前提なので、はじめから特殊清掃費用を差し引いた金額で買い取ってくれるのです。
もちろん、弊社も、特殊清掃費用込みの金額で事故物件を買い取っています。売却前に売主様が費用を負担する必要はないのでご安心ください。
契約不適合責任が免責される
買取業者に直接売却すれば、契約不適合責任の一切が免責(免除)されます。
売却した不動産に、契約書にない不具合や欠陥が見つかったとき、売主が負わなければならない責任
買主が不動産買取業者(宅建業者)であれば、宅建業法40条により、売主の契約不適合責任を免責できると定められているからです。
一方、買主が個人であれば、消費者契約法8条により、売主の契約不適合責任は免責できないと定められています。
例えば、売却後の物件にシロアリや雨漏りが見つかり、売主が買主から契約不適合責任を問われたとしましょう。
その場合、売主は、買主の損害賠償請求や売買契約の取り消しに応じなくてはなりません。
老朽化していたり、遺体の発見が遅れたりした物件の多くは、建物の基礎部分に思いがけない欠陥が隠れています。
買取業者に直接売却すれば、売主が売却後に責任を問われる心配はありません。
事故物件の売主が知っておくべき注意点
最後に、事故物件の売主が、絶対に知っておくべき注意点を3つご紹介します。
注意点を把握し、損なくスムーズに事故物件を売却してください。
解体しない
事故物件を売れやすくしたいからといって、解体してはいけません。
人が亡くなった建物を解体して更地にしても、決して売れやすくはならないからです。
そもそも建物を解体しても、告知義務は消失しません。
実際に以下のような事例があります。
過去、土地上に存在した建物で、殺人事件があった旨を告知せずに土地を売却。
売主は告知義務が課せられ、売却代金の一部を損害賠償金として返金した。
事故物件を解体すれば、少しは不快感が軽減し、土地のみを購入してくれる買手もいるかもしれませんが、かなり稀です。
そのような買手に運良く巡り合って売却できなければ、売主は100万円以上の高額な解体費用を、全てドブに捨てることになってしまいます。
リフォームしない
事故物件を売りやすくしたいからと言って、リフォームしてはいけません。
事故物件をリフォームして、少し外見の印象を良くしたくらいでは、買主が感じる死に対する不快感は払拭できないからです。
リフォームしても売却できなければ、高額なリフォーム費用が全額赤字になってしまいます。
また、買取業者に直接売却するのであれば、なおさら売主の独断でのリフォームは行わないでください。
前述の通り、買取業者は、再販目的に合わせて買取後にリフォーム等を行います。
不動産の知識を持ち合わせない売主が、売却前に独断で行ったリフォームは、高確率で無駄になってしまうのです。
放置しない
事故物件を放置してはいけません。
「不動産売買において告知義務がなくなることはない」でご説明した通り、時間が経過しても、売主に課せられる事故物件の告知義務は消失しないからです。
事故物件を放置しているあいだも、売主には固定資産税や建物の管理の義務が課せられ、リスクしかありません。
そのため、事故物件はなるべく早く売却するべきです。
事故物件に限らず、所有している不動産を放置するリスクは、以下の記事で詳しく解説しています。

まとめ
事故物件と告知義務の定義や、事故物件を確実に売却する方法について解説しました。
仲介業者に売却活動を依頼し、事故物件を一般の個人に売却するのは、現実的にかなり困難であると言えます。
そのため、事故物件は、買取業者に直接売却し、早急に手放してしまいましょう。
弊社は、事故物件などの訳あり不動産に特化した専門の買取業者です。
遺体の発見が遅れてしまい特殊清掃が必要な建物なども、そのままの状態で買い取れます。
売れない事故物件のお悩みは、1人で抱え込まずに、お気軽にご相談ください。