今の職場が「ゆるブラック企業」だと思う人は67.4%
現在お仕事をしている512人に「今の職場がゆるブラック企業だと思うか」と聞いたところ、「とても思う(23.2%)」「まあ思う(44.2%)」と答えた人が約7割を占めました。
「安定的に給料は出るものの、社員・企業の成長性が感じられない」という会社も多いことの表れかもしれません。
また仕事を問題なくこなせて居心地もいいために、少し危機感や焦りは感じつつも、ゆるブラック企業に留まっている人が多いとも推測できます。
ゆるブラック企業で働きたくないと思う人は68.0%
次に「ゆるブラック企業で働きたいと思うか」を聞きました。
その結果、「全く思わない(21.9%)」「あまり思わない(46.1%)」と答えた人が68.0%で多数派となりました。
居心地の良さやラクさよりも、収入アップや成長を求めている人が多いことが伺えます。
ゆるブラック企業で働きたくない理由1位は「成長できない」
続いて「ゆるブラック企業で働きたくない」と回答した348人に理由を聞いたところ、1位になったのは「成長できない(134人)」、僅差の2位は「収入が増えない(123人)」でした。
3位「やりがいがない(38人)」、4位「将来が不安(30人)」と続きます。
「ラクなのはいいけれど、成長できないのはイヤ」「居心地がいいのは嬉しいけど、昇給しないとやりがいがない」といった回答が目立ちました。
ラクさや居心地の良さは歓迎しつつも、成長や昇給を優先する人が多いとわかります。
成長や収入アップが実感できないと、「やりがいがない」「今の会社にいると将来が不安だな」と感じることも多くなるでしょう。
1位 成長できない
- 転職せざるを得なくなったとき、経歴のわりにスキルが伴わず、苦労することになりそうだから(29歳 女性)
- スキルや知識がアップデートされず、時間だけが過ぎていきそう(36歳 女性)
- 成長できない環境に身を置きたくないから(41歳 男性)
1位は「成長できない」でした。
仕事を通じて成長したいと考えている人が多いとわかります。
「スキルが身につかないと、転職するときに不利」という回答も目立ちました。
定年まで同じ会社で働き続けると考えて入社しても、会社の倒産や家族の事情などで転職を余儀なくされることもあります。
一生ひとつの企業で働き続けるとは限らないという前提で、スキルアップを望んでいる人も多いとわかりました。
2位 収入が増えない
- ラクなのは嬉しいけれど、年が経つと周囲より年収が低くて居心地が悪くなりそうだから(27歳 男性)
- ラクなのはいいが、収入が上がらないとプライベートも充実しないと思うので、あまり働きたいと思いません(30歳 女性)
- 仕事が少々キツくても、給料を上げたい(40歳 男性)
2位は「収入が増えない」でした。
「安定した収入があっても、昇給しないとツラい」と考えている人が多数。
結婚したり子どもが生まれたりした場合には、収入が増えていかないと家計が厳しくなることも多いでしょう。
なんとか暮らしてはいけるけれど節約続きという状態だと、趣味なども楽しめません。
3位 やりがいがない
- 仕事に行ってもあまりやることがなく、時間が経つのも遅くて苦痛。給料は悪くなく恵まれていると思うが、前職と比べてしまいつまらなさを感じる(27歳 女性)
- ラクなのは良いと思いますが、やりがいもないため毎日が苦痛になりそうだから(38歳 男性)
- 単純につまらないから、あまり働きたくない。自分が無駄だと思っていることに、自分の時間を毎日8時間も費やしたくないです(43歳 女性)
3位は「やりがいがない」です。
自分の成長を実感できず、会社や社会に貢献できているとも感じられない状態だと、やりがいは感じにくいでしょう。
給料をもらうためだけに出勤してやりがいのない仕事をこなすことに苦痛を感じてしまう人も多数。
苦痛とは言わないまでも、むなしさやつまらなさを感じる人も多そうです。
4位 将来が不安
- 仕事はラクだが、将来性に不安を感じるため(24歳 女性)
- 先行き不透明で不安を感じるからです(41歳 男性)
- 以前ゆるブラック企業で働いていて、経営が行き当たりばったりで不安も多かった(57歳 男性)
4位は「将来が不安」でした。
ゆるブラック企業の将来性に不安という声が多数。
実際にゆるブラック企業で働いている人からは、「昔はよかったが、環境の変化により人が減って業務量が減り、昇給がストップした」という声も。
ゆるブラック企業では、経営陣が環境や時代の変化に対応できず、社員にシワ寄せがくることも多いのかもしれません。
5位 頑張っても評価されない
- スキルアップしても評価されない(29歳 男性)
- 慣れてしまうとラクで良いけれど、仕事を頑張ったからといって評価されたり感謝されたりすることがありません(39歳 女性)
「頑張っても評価されない」が5位でした。
ゆるブラック企業ではラクな仕事が多いため、淡々とこなすのが当たり前になってしまうのかもしれません。
仕事を頑張っても評価や感謝をされなかったり、給料が変わらなかったりすると、意欲を失う人も多そうです。
6位 雰囲気が悪い
- とにかくまわりが無気力社員だらけになってしまう。何かに挑戦しようとしても「余計なことはしないでほしい」という無言の圧力を感じる(29歳 女性)
- 昔の嫌な文化がまだ残っているから(35歳 女性)
6位は「雰囲気が悪い」でした。
とくに「やる気のない人が多い」という声が多数。
ゆるブラック企業では「評価されない」「収入があがらない」といった理由でやる気が保ちにくいため、職場の士気が下がりがちだと考えられます。
「やる気のない社員たちに染まらないよう、自分の気持ちを保つのが大変」というコメントもありました。
7位 ストレスが大きい
- 単純にストレスの原因になるから働きたくない(34歳 男性)
- 心がすさんでいくため(35歳 女性)
7位は「ストレスが大きい」でした。
ゆるブラック企業は仕事がラクで居心地がいいため、ストレスは少なそうに思われます。
しかし、働く意欲や向上心にあふれている人にとっては、ぬるま湯のようなゆるブラック企業はストレスの多い職場となるようです。
ゆるブラック企業で働きたい理由1位は「ストレスが少ない」
次は、反対に「ゆるブラック企業で働きたい」と答えた164名に理由を聞いてみました。
1位になったのは「ストレスが少ない(48人)」です。
2位「ワークライフバランスがとりやすい(40人)」、3位「収入が安定しているなら満足(37人)」、4位「ラクだから(34人)」と続きます。
「成長は求めない」「プライベート重視」という人にとっては、仕事がラクで残業も少ないゆるブラック企業が魅力的に感じられるようですね。
子育てや介護が忙しいため、仕事ではできるだけ消耗したくないし早く帰りたいと考えている人もいるかもしれません。
また「仕事がゆるくて残業が少ないなら副業しやすい」「スキル不足や収入の低さは副業でカバーできる」といった意見も。
副業を前提に考えている人が複数いたのは印象的でした。
1位 ストレスが少ない
- 居心地がよく、精神面でラクに働ける(28歳 男性)
- 育児と両立したいので、あまりストレスのない環境がよい(32歳 女性)
- 多少年収が低くても、居心地が良いならストレスもないので働きたいと思う(41歳 男性)
1位は「ストレスが少ない」でした。
「ラクならストレスを感じにくい」「居心地がよくストレスを感じにくいのがいい」という意見が多数。
ストレスの多い職場でツラい経験をした人なら、多少収入が低くてもストレスの少ない環境のほうがいいと感じるかもしれませんね。
また、仕事のイライラを家庭に持ち込みやすい人も、ストレスを感じない職場で働きたいと考えやすいでしょう。
2位 ワークライフバランスがとりやすい
- 成長できないが、ワークライフバランスの方が大事だと考えているため(24歳 女性)
- 家に帰って寝るだけの生活はもうイヤです。給料が少なくても、仕事はそこそこで家に帰って、趣味に没頭できるほうがいいです(36歳 男性)
- プライベートを大事にしたいので、仕事に追われる職場はイヤ(44歳 男性)
2位は「ワークライフバランスがとりやすい」でした。
収入や成長よりもプライベートが大事と考える人も多いとわかります。
「プライベートの時間が増えるなら、収入が下がるのは仕方ない」という意見も。
プライベートの充実と高収入を両立できる仕事は少ないと感じている人が多いことの表れでもあるのでしょう。
3位 収入が安定しているなら満足
- 激務で高収入よりは、必要最低限の仕事で生活に困らないくらいのお給料をもらって生きていきたいから(25歳 女性)
- 少なくても安定した収入があれば安心感につながるから(36歳 男性)
- 40代半ばになると気力も体力も落ちてしまうので、収入が上がらなくても、一定の給料が貰えて働かせてもらえる職場にいたほうが幸せだと思うから(44歳 女性)
3位は「収入が安定しているなら満足」です。
「収入が上がらなくても、生活に困らない程度の給料が毎月もらえるならいい」と考える人も多数。
例えば、共働きでふたり合わせれば十分な世帯収入を確保できる場合なら、給料の低さもあまり気にならないのかもしれません。
4位 ラクだから
- キツくない方が嬉しいから(25歳 男性)
- 貯金があるので、給料は安くてもラクに働きたい(36歳 女性)
- 仕事のやりがいなどはどうでもいいので、ラクに仕事したい(47歳 男性)
4位は「ラクだから」でした。
収入ややりがいよりもラクさを重視している人も多数。
収入が高くても、「ノルマが厳しい」「立ち仕事」といったキツい仕事だと心身に疲労が溜まり、続けたくなくなってしまうからでしょう。
ただしどのような職種・職場をラクだと感じるかは、人によって異なります。
5位 昇進・スキルアップに興味がない
- とくに「キャリアアップしたい」という思いがないから(26歳 女性)
- 家事・子育てを最優先しているので、社会で活躍できるようなスキルは必要ないから(38歳 女性)
- 「仕事での自己実現」とか「人間的成長」といったものに懐疑的なので(43歳 男性)
「昇進・スキルアップに興味がない」が5位でした。
働くのはあくまでお金を稼ぐためと割り切っているのですね。
定年まで会社が存続すると見込まれ、転職やフリーランス転身を考えていないなら、無理してスキルを身につける必要はないという人もいるでしょう。
6位 スキルアップは自分でもできる
- 「スキルが得られない」というが、何でも教えてもらうという受け身ではなく、空いた時間に自分でスキルを磨くことが重要だと思うから(31歳 男性)
- 仕事自体が少なく空き時間で副業もOKなので、個人の仕事や勉強に時間を割けているので(43歳 男性)
6位は「スキルアップは自分でもできる」でした。
スキルアップ自体に興味がないのではなく、必ずしも『仕事を通じて』スキルアップしなくてもいいという考え方です。
確かに「自分で資格の勉強をする」「副業を通じてスキルを身につける」といった方法でも、スキルアップははかれますね。
仕事以外の時間で勉強するなら、残業が少ない「ゆるブラック企業」は都合がいいのかもしれません。
7位 長く働ける
- ブラックで精神や体調を崩してしまい働けなくなるよりは、ゆるブラックでもずっと働き続ける方が最終的な人生の幸福度は高いと思うから(29歳 女性)
- 続けやすい(53歳 男性)
7位は「長く働ける」でした。
ラクで居心地のいい環境なら、仕事を長く続けられます。
実際にゆるブラック企業の特徴として、離職率が低い点も挙げられていますね。
「成長や収入アップにはつながらないけれど、同じ会社で長く働けることを重視したい」という人もいるとわかりました。
会社・職場に求めることは「安定した収入」
最後に、現在仕事をしている512人に「会社・職場に求めること」を聞きました。
その結果、1位「安定した収入(145人)」のほか、5位「働きに見合った収入(53人)」、8位「定期的な昇給(35人)」10位「人並みの収入(28人)」など収入に関する希望を挙げた人が多数。
ちなみに「高収入」と答えた人は10人(21位)で比較的少なくなりました。
また「ワークライフバランス」「雰囲気・人間関係がいい」など、働きやすさを求める人も多くなっています。
1位 安定した収入
- 毎月安定した収入が得られること(36歳 女性)
- 安定した生活が保障されること(52歳 男性)
1位は「安定した収入」でした。
「歩合制の仕事」や「基本給が低くインセンティブの割合が大きい仕事」などは、月々の収入が安定しにくくなります。
成績の良い月はいいのですが、成績が落ちると一気に家計が苦しくなる可能性もあるため、不安定と感じる人も多いでしょう。
そのため「給料が安定していること」を挙げた人が多くなりました。
2位 ワークライフバランスのとりやすさ
- 残業が少なく、有給休暇がとりやすい。プライベートの時間がとりやすいこと(28歳 女性)
- 子どもをもつ社員への理解と支援(32歳 男性)
- 収入よりも、自分のプライベート時間を確保できることに重点を置いています(45歳 男性)
2位は「ワークライフバランスのとりやすさ」でした。
具体的には「残業や休日出勤の少なさ」「有給休暇や連続休暇の取りやすさ」「子育てや介護への理解」などを重視している人が目立ちます。
ワークライフバランスがとれると、作業効率があがったりモチベーションが高まったりするといわれています。
経営陣や管理職が、「ワークライフバランスがとれると、社員だけではなく企業側にもメリットがある」という意識をもっている会社なら、働きやすそうですね。
3位 風通しの良い雰囲気・人間関係
- 人間関係にストレスがないこと(24歳 女性)
- 些細なことを気にしたり人の悪口や噂話をしたりせず、みんなが仕事に一生懸命な職場であること(30歳 男性)
- 意見が採用されるかどうかは別として、「階級に関係なく意見を言える環境」を与えてくれること(51歳 女性)
3位は「風通しの良い雰囲気・人間関係」です。
人間関係がよいと、仕事が円滑に進んだりモチベーションが高まったりします。
そのため「ゴールに向かって、みんなで意見を言い合える」「人間関係がギスギスしていない」といった雰囲気を求めている人が多くなりました。
目標を共有しつつ各社員が仕事に集中している職場なら、みんな仲良しでなくても、人間関係の悩みは少ないのではないでしょうか。
4位 成長できる環境
- やりたいことにチャレンジできる会社。自分のアイデアを形にするために、見守ってくれる会社が嬉しい(29歳 女性)
- しっかり教育してもらえる環境(32歳 男性)
- お金を稼ぐだけではなく、自分自身が成長できなければ意味がありません。働きながら学べる会社が理想的です(45歳 男性)
4位は「成長できる環境」でした。
具体的には「教育研修体制が整備されている」「新しい仕事に挑戦できる」「業務を通じてスキルが身につく」といった回答が寄せられています。
スキルアップは自分でもできるのですが、本業の実務を通じてスキルアップできると効率的です。
社員がスキルの幅を広げられるよう、希望制の配置転換制度を設けている企業もあります。
5位 働きに見合った収入
- 成果報酬のように、勤務時間だけではない手当を充実してほしい(29歳 女性)
- プレッシャーの多い仕事なので、見合った給料が欲しいです(37歳 女性)
- 仕事量相応の収入(54歳 男性)
5位は「働きに見合った収入」でした。
「成果を出した分、賞与や手当を出してしてほしい」「能力給にしてほしい」などの意見が寄せられています。
「キツい仕事なら高収入が欲しいけれど、ゆるい仕事なら多くは望まない」という声も。
とはいえ全額歩合制ですと収入が不安定になってしまうので、「安定した収入+出来高に応じた手当」を求める人もいました。
6位 やりがいがあること
- やりがいをもって働けること(26歳 女性)
- やりがいを感じる仕事であってほしい(66歳 男性)
「やりがいがあること」が6位でした。
どのような点にやりがいを見いだすかは、人によって違います。
ただ「将来性がある」「自分の能力や資格を活かせる」「誰かの役にたっていると感じられる」といった仕事だと、やりがいを感じやすくなるといわれます。
「働きに応じて収入が増えること」「裁量を与えられ、自由に働けること」にやりがいを感じる人もいるでしょう。
7位 公平・適切な評価制度
- 業務改善などの努力がきちんと評価されること(27歳 女性)
- 評価基準が明確であること(34歳 女性)
- 正当な評価をしてほしい(54歳 男性)
7位は「公平・適切な評価制度」でした。
明確な基準に基づいた、公平で納得できる評価を求めている人が多数。
「評価を給料に反映させてほしい」など、評価と働きに見合った収入をセットで答えた人も多くなりました。
褒められたり認められたりするだけではなく、収入アップで報いてほしいと考えている人が多いとわかります。
8位 定期的な昇給がある
- 年収アップする機会(27歳 男性)
- 毎年ベースアップがあること(53歳 女性)
「定期的な昇給がある」が8位でした。
「物価に応じて昇給してほしい」「毎年ベースアップを望む」などの回答が寄せられました。
定期的に昇給があれば、将来の見通しも立てやすくなるでしょう。
「会社の規模が大きくなったら、給料も上げてほしい」という声もありました。
9位 裁量権をもって働ける
- 個人の裁量で仕事を進められること(27歳 女性)
- 裁量をもって働けること。いちいち管理職や役員に意向を確認して進めるのは疲れます(37歳 男性)
9位は「裁量権をもって働ける」でした。
「自分の判断で仕事を処理して進められる状態」を求めている人も多いとわかります。
大きな裁量が認められていれば、新しい仕事に挑戦しやすかったり、従来行っていなかった仕事の進め方を試せたりします。
自発的に行動したい人にとっては、個人に与えられる裁量が大きい企業は魅力的です。
10位 人並みの収入
- 生活に困らない程度の収入があること(28歳 女性)
- 平均的な生活を送れる収入(32歳 男性)
10位は「人並みの収入」でした。
生活に困らない程度の収入があればいいという人も多いとわかりました。
「給料が少なすぎて余裕がないのは困るが、高収入は望まない」という人も多いのですね。
生活に困らない程度の収入で満足できる前提としては、「仕事がラクでストレスが少ない」「休みやすい」などの条件があると考えられます。
まとめ
現在仕事をしている512人にアンケートを実施したところ、「自分の職場は、ゆるブラックだ」と感じている人は7割近くにのぼりました。
収入アップや成長の実感を得られないまま働いている人が多いとわかります。
「成長できなくても、ラクで安定した給料がもらえるなら満足」と考える人も3割以上いたものの、ゆるブラック企業では働きたくないと考える人が多数派。
副業やプライベートの時間で「スキルアップ」や「収入増」が目指せるとはいっても、本業で成長・収入アップを実現させたいと考える人が多いとわかります。
多くの人は副業よりも本業に費やす時間の方が長くなりますから、長い時間を過ごす職場で充実した時間を過ごしたいと考えるのでしょう。