共有持分を内緒で売る4つの方法
共有不動産の建物全体を売却するには共有者全員の合意が必要です。
参照元:民法第251条(共有物の変更)
しかし、「共有持分のみ」であれば、他の共有者の同意は不要で、自身の判断で売却できます。
不動産は共有していても、共有持分の所有権はあなたにあるためです。
「民法第206条」でも、「自分の所有物は自由に使用したり収益を生み出したり、売却(処分)したりできる」と定められており、持分のみの売却もこの内容に該当します。
よって、共有持分のみなら、他の共有者に内緒で売却できます。
共有持分の売却方法としては以下の4つが挙げられます。
- 一般の不動産仲介業者に売る
- 他の共有者に売る
- 不動産投資家に売る
- 持分専門の不動産買取業者に売る
結論としては上記4つのうち、4つ目の専門の買取業者へ売却する方法が一番確実です。
その理由も含めて解説します。
なお、共有者ができる行為に関する民法の条文については、以下の記事で詳しくまとめています。
一般の不動産仲介業者に売る
一般の不動産仲介業者は、大手であれ地元業者であれ、「持分のみ売却したい」旨を相談しても取り扱うスキルがないため、持分売却の相談相手として適切ではありません。
持分のみを売り出しても、一般の買い手は持分のみを欲しがることはほとんどないので、買い手を見つけることはまず不可能です。
他の共有者に売る
現実的に、売却の話が好条件かつ時間的にも早くまとまる可能性が高いのは「他の共有者への売却」です。
もし、他の共有者との関係が良好なのであれば、市場価格と同等の価格で取引が可能になることもあります。
もし2人で共有している場合、共有者にとっても、あなたの共有名義を買い取ることで不動産を自身の単独名義にでき、自由に活用できるメリットがあります。
ただ、他の共有者に「持分を買う意欲がある」「買い取れる資力がある」などの条件が整っていなくては交渉が成立しないことは言うまでもありません。
不動産投資家に売る
あなたの共有持分を「一般の不動産投資家」に売却する方法もあります。
しかし、共有持分の売却を他の共有者に内緒にしたい場合、不動産投資家に売却するのはお勧めできません。
なぜなら、売却完了前に投資家から他の共有者に連絡され、売却することが他の共有者に知られてしまう恐れがあるからです。
投資家は、あなたの持分だけを購入した後、他の共有者と交渉し「自分が他の共有者の持分を買い取る」または「相手に自分の持分を買い取ってもらう」ことにより収益化します。
そのため、投資家としては事前に他の共有者の意向を確認し、収益化の見通しを立てておきたいわけです。
そのため、不動産投資家に持分売却をするケースでは、他の共有者に内緒で売ることは難しいでしょう。
持分専門の不動産買取業者に売る
持分買取を専門に取り扱う不動産業者への相談は「内緒で売買する」ことを想定した場合、最も適切であると考えられます。
いずれ他の共有者に売却したことを知られるでしょうが、売却後であれば共有関係から抜けているため、面倒なトラブルに巻き込まれることはありません。
売却後は専門の買取業者が他の共有者との交渉を行ってくれるため、心理的な負担も一切かかりません。
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そこで、弊社が共有持分を買い取ったお客様からいただいた、直筆のメッセージも紹介します。
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このお客様は共有者である親族と折り合いが悪く、話し合いができる関係ではありませんでした。
そのため、弊社が共有持分を買い取ったことで「(共有者と)やり取りをしなくて済むようになり、気持ちが楽になった」というメッセージをお寄せくださいました。
上記のお客様以外にも、弊社に物件の買取依頼をしていただいたお客様からは「肩の荷が下りた」「もっと早く依頼すれば良かった」といった感謝の言葉を多数いただいております(下記Google口コミ参照)。
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持分売却前に他の共有者へ知られると揉める
売却が完了する前に他の共有者に売却の事実が知られた場合、トラブルに発展することもあります。
では、売却先の選択を間違えたばかりに売却前に他の共有者にバレてしまったら具体的にどのような状況になるのでしょうか。
共有物分割請求訴訟を起こされる
他の共有者があなたに対して「共有物分割請求訴訟」を起こしてくることが考えられます。
共有物分割請求とは、裁判所に対して「共有不動産の分割方法について適切な判断を下してほしい」と求めるものです。
他の共有者からしたら、あなたが持分を売却することで、見知らぬ第三者と共有関係になることを避けたいためです。
第258条
1.共有物の分割について共有者間に協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、その分割を裁判所に請求することができる。
2.裁判所は、次に掲げる方法により、共有物の分割を命ずることができる。
1.共有物の現物を分割する方法
2.共有者に債務を負担させて、他の共有者の持分の全部又は一部を取得させる方法
3.前項に規定する方法により共有物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。
4.裁判所は、共有物の分割の裁判において、当事者に対して、 金銭の支払、物の引渡し、登記義務の履行その他の給付を命ずることができる。引用元:民法第258条
共有物分割の方法には次のようなものがあります。
現物分割 | 財産をそのままの状態で分割する。 |
---|---|
換価分割 | 財産を売却して金銭に換えた上で分割する。 |
代償分割 | 財産を誰かに取得させ、取得者が他の人に金銭を交付する。 |
裁判所はこのような類型の中から、最も適切な分割方法を判決として提示します。
共有物分割請求訴訟は、当事者が分割方法を希望することも可能ですが、裁判所は必ずしも希望に拘束されず、裁判所が独自に下した判断で当事者に分割方法を指定することもあります。
また、共有物分割請求訴訟は他の訴訟と異なり、「必ず共有者全員を当事者としなくてはならない」という特徴があります(=固有必要的共同訴訟)。
よって、もともと共有者AとBが争っていたのに、その他の共有者Cまで巻き込んでしまう状況になるリスクもあります。
なお、もし共有物分割請求訴訟が係属中(=裁判所で取り扱い中)に共有者の1人が共有持分を第三者に譲渡すると、当事者の申立てにより裁判所が決定で、譲受人に訴訟を引き受けさせる手続きを取ることとなります(民事訴訟法第50条1項)。
なお、共有物分割請求訴訟については、以下の記事でわかりやすく解説していますので、参考にしてください。
トラブルが過激化すると第三者が介入できなくなる
共有者間でのトラブルが過激になると、第三者が買い取る余地がなくなってしまいます。
持分買取業者も、買い取った後に明らかに他の共有者から交渉を拒否されるような状況になれば、その後の名義一本化等の処理が困難となります。
トラブルが深刻になれば弁護士に相談するしかないでしょう。
共有持分を揉めずに売るための注意点3選
共有持分を他の共有者と揉めずに売却するためには、売却することを他の共有者に知られてはいけません。
特に、他の共有者との関係性が良くない場合は、売却しようとしていることを知られると前章でお伝えしたようなトラブルに発展しかねません。
共有持分を揉めずに売るための注意点は以下の3つです。
- 固定資産税の通知書が送付される前に持分を売る
- 持分の買主に売買完了まで他の共有者に連絡しないよう伝える
- 持分を売るまで登記簿謄本が必要となる他の手続きを行わない
いずれも、持分を売ることを他の共有者に知られないために必要なことです。
それぞれ解説しますので、ご確認ください。
固定資産税の通知書の送付される前に持分を売る
市区町村から固定資産税納税通知書(下図参照)が送られてきたことにより、他の共有者に持分の売却を知られることがあります。
【固定資産税納税通知書】
固定資産税納税通知書が送付されたことにより、持分売却が発覚する例としては以下のようなケースがあります。
例)
A2/3、B1/3で共有する不動産につき、Bが自分の持分全部を令和4年10月に不動産業者Cに売却した。
令和5年度からの固定資産税納税通知書が送られるのはAもしくはCということになる。
自治体によって対応方法は異なるが、一般的には以下の対応となる。
- 持分が多いAに送る
- AかCどちらかで自分が受け取る旨を申し出た者に送る
- 住民票(または会社本店)がその不動産の所在地に存在する方に送る
もし、Aに送られた場合には固定資産税納税通知書に「所有者 A C」と書かれていれば、Bが持分を売却したことによる名義変更に気づかれてしまいます。
ただ、固定資産税納付通知書を見て、他の共有者があなたに文句を言おうとしても、持分の所有者が完全に買主に移っていれば、あなたは無関係でいられます。
また、専門の買取業者へ売却していれば、買取業者が間に入ってくれるため、あなたが直接矢面に立つことはありません。
固定資産税納税通知書は毎年4月~5月頃送付されます。
そのため、それより前に専門の買取業者へ売却してしまうことをお勧めします。
なお、弊社Albalinkへご依頼いただけば、平均1ヶ月程度で持分を買い取ることができます。
内緒で持分を売り、売却が知られた後も他の共有者と揉めたくない方は、ぜひ弊社の無料買取査定をご利用ください。
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持分の買主に売買完了まで他の共有者に連絡しないよう伝える
前述した通り、持分を買主が売買完了前に他の共有者に連絡を取ってしまい、売買の事実が発覚してしまうことがあります。
そのため、持分の買主に売買完了まで他の共有者と連絡しないよう伝え、守ってもらう必要があります。
もちろん、他の共有者はあなたが持分を売却していることを知ったとしても、取引自体を妨害することはできません。
ただ、旧不動産登記法時代の「権利証(登記済証)」では、全員が同時に物件を取得して共有になっている場合には、全員分の権利証が1通にまとまっています(※現在では新規に所有権を取得しても権利証は発行されず、「登記識別情報通知」を共有者ごと、物件ごとに発行する取り扱いとなっています)
【登記識別情報通知の見本】
AとBの共有不動産の共有者Bが持分を売却しようとすると、売買の際に、本来であれば法務局に対する登記申請書に権利証を添付しなくてはなりません。
しかし、「権利証をAが所持している」「持分を売却したいのに、Aが権利証を渡してくれない」といったケースも考えられます。
そうなると、「資格者代理人(司法書士)による本人確認情報」など、別の方法での売買が必要となり、余分にかかる費用(プラス数万円~十数万円)をBが負担しなくてはならなくなります。
また、Aが実力行使として売買関係者へのクレームや嫌がらせなどを行ってくる可能性がないとはいえません。
なお、弊社Albalinkでは個人情報保護方針を定めており、お客様の不利益になるような個人情報を他者へ伝えません。
そのため、上記のようなトラブルに見舞われることはありません。
弊社にご依頼いただけば、売却前に他の共有者に知られる心配をせず、安心して持分を売却できます。
相談ベースでも構いませんので、ぜひ一度、下記無料買取査定フォームよりお問い合わせください。
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持分を売るまで登記簿謄本が必要となる他の手続きを行わない
他の共有者が何らかの手続きのために登記簿(不動産の所有権などが記載された公的書類)を法務局で確認した際に、あなたの持分売却に気づく可能性があります。
登記簿には持分の所有者などの情報が記載されているためです(下図緑枠)。
【登記簿謄本】
そのため、持分の売却期間中は、他の共有者が登記簿を確認する可能性があるような手続きを行うのはやめておきましょう。
なお権利証(登記済証)が発行されているケースでは、権利証だけを見ても発覚しないことがあります。
もともと共有で登記された権利証には、誰か1人が持分を売却しても、現在では特に権利証に何かが書き込まれることはないからです。
持分売却以外の共有名義の解消方法3選
持分売却以外の共有名義解消方法としては以下の3つがあります。
- 他の共有者全員と合意し、共有不動産全体を売却する
- 他の共有者から持分をすべて買い取り、名義を一本化して売却する
- 共有物分割請求訴訟を起こす
それぞれ解説しますが、結論からお伝えすると、どの方法もあまりお勧めできません。
他の共有者の協力が必要であったり、実施するのに時間や費用がかかるものばかりだからです。
お読みいただけば、共有名義を解消するのは、持分の売却がベストだとお気づき頂けるはずです。
なお、共有名義の解消方法については以下の記事で詳しく解説していますので、参考にしてください。
他の共有者全員と合意し、共有不動産全体を売却する
共有者全員が合意の上で行うのであれば「共有不動産全体の売却」という方法があります。
ただ前述したように、共有不動産の全体売却は、「共有物の変更・処分行為」にあたるため、次の条文によって共有者全員の合意が必要であるとされています。
第251条
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。引用元:民法第251条
そこで、共有者同士の関係が悪い場合には、もちろん全体売却は不可能ということになります。
他の共有者から持分をすべて買い取り、名義を一本化して売却する
他の共有者から持分を売却してもらい、自分の単独名義にして売却する方法があります。
しかし、売買を行う場合にも当然、共有者同士の関係が良好であることが前提となります。
相手との売買となれば、価格など条件交渉に始まり、売買契約、代金決済まである程度長期に渡って関わらなくてはならないからです。
共有物分割請求訴訟を起こす
他の共有者に対し、「共有物分割請求訴訟」を起こす方法もあります。
共有物分割請求訴訟については前述していますが、この方法には、
- 争っていなかった共有者も含めて共有者全員を巻き込むことになる
- 当事者が希望していなかった分割方法が指定されてしまうことがある
といったデメリットがあります。
さらには、弁護士報酬などの費用面や時間的、精神的消耗を考えても、必ずしも得策といえないこともあります。
共有名義から離れる目的だけであれば、共有持分専門の買取業者に自分の持分のみ売却したほうがトータルでのメリットが大きいといえるでしょう。
不動産業者への売却であれば手続きが完了するまでの期間をなるべく短くすることができ、他の共有者に知られないように売却することが可能になるからです。
まとめ
今回は、共有持分を内緒で売る方法について解説いたしました。
基本的に「共有持分のみ」の売却であれば、他の共有者の同意なしで売却できます。
よって、他の共有者に内緒で持分を売ることは十分可能です。
しかし、売却する相手によっては、あなたが持分を売却することが他の共有者に知られてしまう恐れがあります。
こうしたリスクを限りなくゼロにしたいのであれば、共有持分の買取に強い、不動産買取業者に依頼することをお勧めします。
専門の買取業者であれば、売主の不利益になるようなことを他の共有者に伝えることはありません。
また、持分買取後は、あなたに代わって他の共有者と交渉してもらえます。
なお、弊社Albalinkも持分買取に強い専門の買取業者です。
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