【雛形あり】共有不動産の賃貸借契約書の記載方法と注意点を解説

共有名義不動産
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所有する物件を第三者に貸し出す場合、かならず賃貸借契約を締結します。これは、共有名義の不動産であっても同じです。

しかし、「共有名義の不動産を賃貸する場合は、どのように契約書を作成すれば良いのだろうか?」と悩まれている方も多いのではないでしょうか。

基本的には、一般的な賃貸借契約書に共有者全員の氏名や住所、連絡先や共有持分などを記載して契約を締結すれば良いです。ただし、共有者の中から1人だけ代表者を選び、入居者の窓口となる人を決定しておくことも大切です。

今回は、共有不動産のうち共有の建物について、主に居住用建物の場合を想定して、これを第三者に貸し出す場合の賃貸借契約書の雛形や書き方、注意事項について詳しく解説します。

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監修者

司法書士うんの・たかはし法務事務所

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東京都江戸川区の司法書士事務所。ほかに、行政書士、民事信託士。不動産売買などの登記業務のほか、相続発生前後の法務支援、中小企業の法務支援を通して、地域の皆さまの権利擁護に努めている。

賃貸借契約書の雛形

居住用建物に関する賃貸借契約書の雛形は、国土交通省「賃貸住宅標準契約書」からダウンロードできます。賃貸住宅標準契約書では、以下の2種類の賃貸借契約書の雛形が用意されています。

  • 家賃債務保証業者型
  • 連帯保証人型

賃料の未払いが発生した場合に賃貸人(物件を貸す人)の利益を守るために、基本的には保証会社あるいは連帯保証人を間に入れるようにしましょう。

ただし、賃借人が知り合いでとくに保証を必要としない場合は、設定しなくても問題ありません。保証人をつけない場合は、「連帯保証人型」の賃貸借契約書の雛形をダウンロードし、連帯保証人欄は「無し」と記載すれば良いです。

なお、共有不動産を賃貸借する場合は、「貸主」と「建物の所有者」のところに共有者全員の名前と住所を記載してください。別々で賃貸借契約を交わす必要はありません。

賃貸借契約書を作成する目的

一般的に、契約は契約書を取り交わさなくても成立します。そのため、個人間で賃貸借契約を締結する場合等は、わざわざ賃貸借契約書の雛形を用意して記載する必要はありません。

しかし、契約書を作成しておくことで賃借人(物件を借りる人)とのトラブル抑制に繋がったり、トラブルが発生した場合の解決につながったりします。

そのため、賃貸借する際は、賃貸人(物件を貸す人)と賃借人の間でお互いに納得した内容で、書面によって契約を締結してください。

入居者とのトラブルを回避するため

賃貸借契約を書面によって取り交わすことは、賃借人(物件を借りる人。入居者)とのトラブルを回避するために有効です。

たとえば、賃借人が賃貸人(物件を貸す人)の許可を得ることなく、ペットを飼い始めたとしましょう。もしも、「ペットの飼育禁止」と記載された契約書の取り交わしがなかった場合、法律的にペットの飼育が許されてしまう可能性があります。

もちろん、近隣住民への迷惑になる場合や、社会通念上、明らかに問題のある飼育方法(多頭飼育など)であれば、賃貸人からペットの飼育をやめるように言えます。しかし、契約書の取り交わしがない以上は、賃借人からペット飼育の正当性を主張される可能性もあるでしょう。

上記のように、契約書を書面で交わしておかなければ、あとから思わぬトラブルに発展する可能性が考えられます。そのため、最低限のことが記載された契約書の雛形に、必要に応じて追記・削除し、かならず書面で契約を締結しましょう。

共有名義不動産の賃貸借契約書を記入する際のポイント

共有不動産の賃貸借契約書を記入する際には、以下のポイントをかならず確認してください。

  • 契約内容を確認する
  • 共有者全員の情報を記載
  • 司法書士に契約書の内容を確認してもらう

契約書の不備は、あとからトラブルに発展する恐れもあります。これから解説することを踏まえ、正しく契約書を記入しましょう。

契約内容を確認する

かならず、契約書の内容を確認してから契約を締結してください。とくに、賃貸借契約書の雛形で契約を締結する場合は、必要に応じて追記・削除する必要があります。

なぜなら、雛形には一般的な最低限のことしか記載されていないためです。そのため、必要に応じて追記・削除を行いましょう。

【契約書の追記確認事項】

追記確認事項
ペットの飼育 ・ペットの飼育は禁止
・ペットの飼育は賃貸人の許可が必要
又貸しの禁止 ・又貸しの禁止
・賃借人以外の居住禁止
生活音の配慮 ・テレビ、ステレオなどを大音量で流してはならない
義務範囲 ・入居者は原状回復義務を負う

上記は一例です。賃貸人(物件を貸す人)は必要に応じてその他の項目を追記したり、不要な部分は削除したりするなどして、契約の締結を行いましょう。

国土交通省などでダウンロードできる賃貸借契約書の雛形には、上記の記載がない場合があります。追記などせずそのまま使用してしまうと、あとからトラブルに発展する恐れがあるので注意してください。

共有者全員の情報を記載

共有不動産の賃貸借契約を取り交わす際には、かならず共有者全員の情報を記載してください。代表者のみの記載だと、共有者同士のトラブルに発展する可能性があるためです。

仮に、同意を得ていたとしても、代表者のみの名前で契約を締結してしまった場合、あとから「賃貸借契約を認めていない」と言う共有者が出てきてしまう可能性があります。

そのようなトラブルが発生してしまうと、共有者のみならずその物件を借りている賃借人も困惑してしまうでしょう。

そのため、かならず賃貸借契約書には共有者全員の名前を記載しなければいけません。また、必要に応じて共有者全員の共有持分を記載しておくのも有効です。

共有者の名前や住所を記載する欄は以下の通りです。

  • 貸主の情報記入欄
  • 物件所有者の情報記入欄

いずれにも共有者の名前、住所、押印を行っておきましょう。

【注意】
貸主や物件所有者欄には、かならず共有者全員の情報を記載しなければいけません。しかし、共有者の中から代表者を選んでおいたほうが良いです。この代表者は賃借人(物件を借りる人)との窓口になる人を言います。物件に何かあった場合、共有者全員に連絡をするのは大変であるため、あらかじめ代表者を決めておき、賃借人に伝えておきましょう。

専門家に契約書の内容を確認してもらう

契約書の作成が完了次第、弁護士、司法書士、行政書士等の専門家に内容を確認してもらってください。専門家に契約書を確認してもらう主な理由は、以下の通りです。

  • 契約書に不備がないか確認してもらえる
  • 契約内容に法律に反する項目がないか確認してもらえる
  • 契約書の効力を確認してもらえる

国土交通省が提供している賃貸借契約書の雛形を使用すれば、基本的に不備はありません。しかし、賃貸人(物件を貸す人)が追記・削除をした場合に不備が発生する可能性があります。

また、追記した内容が法律に反していないかどうかを確認してもらったほうが、安心して契約を締結できます。

万が一、契約書の内容に不備があったり、違法な記載があった場合はトラブルの原因になります。そのため、かならず専門家に契約書の内容を確認してもらいましょう。

共有不動産を賃貸する場合の注意点

共有不動産を賃貸する場合は、以下のことに注意してください。

  • 一般的な建物の賃貸借契約では共有者全員の同意が必要
  • 賃料は共有持分に応じて分配
  • 共有者間で契約書の締結
  • 契約解除は持分価格の過半数の同意が必要

注意点について、それぞれ詳しく見ていきましょう。

一般的な建物の賃貸借契約では共有者全員の同意が必要

共有不動産を賃貸する場合は、共有者全員の同意が必要です。

裁判例や本年4月1日施行予定の改正民法252条4項の規定から、共有建物の賃貸借契約の締結に求められる共有者間の同意の要件は、およそ次のようになるものと考えられます。

  • 一般的な建物の賃貸借契約の締結には、共有者全員の同意が必要。
  • 共有者の過半数の同意でできる建物の賃貸借契約は、期間が3年を超えない定期建物賃借権等の特殊な場合に限られる。

賃料は共有持分に応じて分配


賃貸借契約によって得られた賃料は、共有持分によって分配をするのが一般的です。また、建物の修繕が発生した場合も、共有持分によって負担します。

たとえば、共有持分がA・Bそれぞれで1/2ずつで賃料が10万円だった場合、取り分は5万円ずつです。修繕にかかった費用も、当然1/2ずつになります。

ただし、賃借人(物件を借りる人)から支払われる賃料は、A・Bそれぞれに支払われるものではなく、代表者に対して支払いが行われます。

【注意】
賃貸借に同意をしていない共有者も、当然に賃料を受け取る権利を有しています。

共有者間で契約書の締結

賃貸借契約を締結する際は、共有者間でも契約書を取り交わしておいたほうが良いです。契約書に記載すべき内容は以下の通りです。

  • 賃料の分配方法
  • 修繕費の分割方法
  • 代表者

契約書に残しておかなければ、あとからトラブルに発展する恐れもあります。共有者間で親しき間柄であったとしても、かならず契約書を作成しておきましょう。

なお、共有者間で取り交わす契約書に正式な雛形などはありません。様式は問わず、契約書として成立するものであれば問題はないでしょう。不安が残る場合は、弁護士、司法書士、行政書士等の専門家に契約書の作成や確認をしてください。

契約解除は持分価格の過半数の同意が必要

賃借人(物件を借りる人)と賃貸借契約を解除する場合は、持分価格で判断して過半数の同意が必要です。

つまり、物件の過半数の共有持分を所有している共有者は、単独で契約解除を行うことができます。3人で平等に共有持分を所有している場合は、2人以上の同意で契約の解除が可能です。

契約の解除は賃貸借契約時に定めた「代表者」が行わなくても良いです。あくまでも、持分価格の過半数に達しているかどうかがポイントになります。

ただし、共有者の過半数の同意があった場合でも、賃貸人(物件を貸す人)が一方的に契約の解除を申し出ることはできません。建物の賃貸借契約においては、賃借人のほうが強いと考えておいて良いでしょう。

万が一、正当な理由なく賃借人を追い出すようなことがあった場合、賃借人から訴えを提起される恐れがあります。

以下に該当するようなケースでは、賃貸人からの契約解除が可能となり得ます。

  • 無断譲渡・転貸により信頼関係の修復が困難な場合
  • 家賃未払いによる信頼関係の修復が困難である場合

上記はほんの一例ですが、該当する場合であって持分価格の過半数の共有者の同意があった場合は、契約の解除が可能です。

まとめ

今回は、共有名義の不動産のうち建物について、居住用建物を想定し、で賃貸借契約を行う際の契約書雛形や書き方の注意点について解説しました。

居住用建物に関する賃貸借契約書の雛形は、国土交通省からダウンロードが可能であり、共有者全員の名前や住所を記載すればそのまま使用できます。しかし、国土交通省にある契約書には、必要最低限のことしか書かれていません。

そのため、必要に応じて追記したり削除したりする必要があります。契約書は、賃借人や他の共有者とのトラブルを回避するために、とても大切な書類です。そのため、賃貸借契約を締結する際には、かならず漏れがないように確認しなければいけません。

今回お伝えしたことを踏まえ、できるだけトラブルが発生しないように賃貸借契約の締結をしてください。

【よくある質問】共有不動産の賃貸借契約書の書き方について

共有不動産を賃貸する場合、基本的には共有者全員の情報を記載して契約を締結します。必要に応じて代表者を決定しておくと、トラブルを回避できるでしょう。
賃貸借契約書の作成は義務ではないため、作成しなくても法的な問題はありません。ただ、入居者や他の共有者とのトラブルを回避するためにも、作成しておいたほうが良いでしょう。
賃貸借契約書の雛形は、国土交通省のHPからダウンロードが可能です。ただ、あくまでも雛形であって最低限のことしか記載されていないため、必要に応じて追記が必要です。
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