実家に関する不安がある人は70.1%
実家がある502人に「実家に関する不安があるか」を聞いたところ、「ある」と答えた人が70.1%にのぼりました。
多くの人が、実家の扱いについて不安を感じているとわかりました。
なお「不安はない」という人の理由を調べてみると、「兄弟が実家に残っているから」「実家の資産価値が高く、兄弟が問題なく相続してくれるだろうから」などがありました。
実家に関する不安1位は「相続・相続税について」
次に「実家に関する不安の内容」を聞きました。
その結果、1位になったのは「相続・相続税について(98人)」、僅差の2位は「売却について(95人)」でした。
「相続することが決まっている」「売却するつもり」など方針が決まっているなら、「手続き方法」「売却価格の相場」などを調べることで不安は解消できそうです。
しかし、4位「実家をどうするか決まっていない(82人)」という場合には、具体的な身動きがとれず不安ばかりが募る人もいるでしょう。
1位 相続・相続税について
- 両親がなくなったあとの相続手続きや必要経費について、情報を何も知らないので不安があります(25歳 女性)
- 弟がいて、相続でもめないか不安がある(42歳 男性)
- 土地建物を相続したあとの税金(52歳 男性)
1位は「相続・相続税について」でした。
「兄弟間でモメたくない」「相続税が高くなりそうで不安」などの回答が寄せられています。
また一人っ子であれば、相続手続きを自分だけできちんとできるか不安な方もいるでしょう。
親の死後に実家を手放さず相続することが決まっているのであれば、ネットや金融機関の「相続セミナー」で勉強してみると、不安が少なくなるかもしれません。
2位 売却について
- 今後どんどん老朽化するであろう家に、値段がつくのか(38歳 女性)
- 利便性があまりよくない地域なので、親が亡くなったあとに売却できるのか不安です(41歳 女性)
- 「売るにしても、土地が狭いので売れないのでは」と思っています(54歳 男性)
2位は「売却について」でした。
とくに田舎に実家がある人から、不便な土地なので売れなさそうという不安の声が多数寄せられました。
「売れたとしても、かなり安くなるだろう」という声も。
田舎の土地や建物を扱う不動産会社もあるので、気になる方は一度相談してみるのもよいでしょう。
3位 室内の片付けが大変そう
- 親が亡くなったあとの荷物整理(26歳 女性)
- 親が亡くなったあとに大量の荷物をどうすればよいのか、今の時点で不安(31歳 女性)
- 親が亡くなった後、けっこうある物をどう処理するか不安です(44歳 男性)
3位は「室内の片付けが大変そう」です。
祖父母や両親が長く暮らしていた実家の場合、物が大量に溜まっていることも少なくありません。
そのため「自分や兄弟だけで処理できるだろうか」と不安になる人も多いようです。
物があまりに多い場合には、業者に片づけを依頼することも選択肢のひとつとなりますが、費用がかかります。
また、親が大切にしてきた物を捨てていいかわからないと悩む方もいることでしょう。
親が元気なうちから「生前整理」をしておくと、遺品整理の手間は少し軽くなります。
生前整理は、「いつか来る大きなお片付け」の負担を軽くする大切な作業です。
それを「自分でやるのか。専門業者に任せるのか」という方向性を、事前にご家族で話し合っておくと良いでしょう。
その中で、どちらを選ぶにしても「後々の整理がうまくいく準備」は3つ…
①重要書類や思い出の品を整理する。
②3年使わない物は処分して物を減らす。
③「いつかの遺品整理」に備えて「業者の選定と予算の準備」をしておく。
となります。
「自分で物を減らす」のも「最期まで大好きな物に囲まれて最後は専門業者に依頼する」のもどちらも正解です。
ご家族が一番納得のいく形で判断していく事をご案内させて頂きます。
【監修者】株式会社ココロセイリ 代表取締役荻原 悠史
6年連続で生前・遺品整理の優良業者認定を獲得している「株式会社ココロセイリを運営」
4位 実家をどうするか決まっていない
- 実家は地方にあるが、兄弟全員東京に住んでおり、誰も地元に戻る気はないので土地だけを売る方法しかない。しかし生まれ育った家を取り壊すことが嫌なので、どうしたらいいかわからない(29歳 女性)
- 親が亡くなったあと、「自分が住むのか」「売却するのか」「取り壊すのか」を決めていないため不安(35歳 女性)
- 親が亡くなったあとどう処分したら良いのかが不安です。空き家にしておくのは物騒だし、近隣住民からも嫌がられます。思い出が詰まっているので、売却も簡単には決断できません(63歳 男性)
4位は「実家をどうするか決まっていない」でした。
両親が亡くなったあとの実家の取り扱いには、「相続して自分が住む」「売却する」「メンテナンスしつつ貸し出す」などの選択肢があります。
方向性が決まれば具体的に準備できますが、どうするか決まらないと動けないので、不安になるのは当然でしょう。
方向性を決めるためには、親や兄弟との話し合いが必要です。
相談する際の材料として「いくらで売れそうか」「貸す場合に借り手がつくのか」など、プロの意見を聞いておくことも大切でしょう。
5位 維持・メンテナンスが大変そう
- 家の裏手と近所に畑があり、「自分や兄弟では管理しきれない」という不安がある(36歳 女性)
- 「実家は残すように」という両親の強い意向があります。しかし受け継いだとしても今後の維持管理をどうするか、大変不安に思っています(47歳 女性)
- 老朽化して、直さないといけない箇所が多くあること(52歳 男性)
「維持・メンテナンスが大変そう」が5位でした。
実家の維持には、メンテナンス費用が必要です。
自分で修繕・管理するにしても、かなりの手間と労力がかかるでしょう。
実家が遠ければなおのことです。
また持ち家や土地には固定資産税もかかります。
そのため、相続した後の維持管理や費用について心配している人も多くなっています。
6位 住む人がいない
- 相続後、誰も住む人がいない空き家になってしまうので困る(35歳 男性)
- 古い家なので、誰も住まないと思う(44歳 女性)
- 両親が施設に入り、実家が空き家状態になっていること(58歳 男性)
6位は「住む人がいない」でした。
「両親が亡くなった空き家になる予定で不安」という人もいれば、すでに実家が空き家になっていて心配している人もいました。
空き家を放置していると、劣化が進んで災害時に損壊したり、草木が生い茂って周辺住民の迷惑になったりします。
「空き家になっている実家について、自治体から頻繁に連絡が来る」という体験談もありました。
空き家のままにしないためには、売却したり貸し出したりする必要があります。
7位 処分にかかる費用
- 親が亡くなったあとの取り壊し費用(29歳 女性)
- 建物が古いうえ地震で傾いているので、更地にしなければ不動産を売却できないと思います。しかし土地の売却価格よりも産廃処分料のほうが高くつくかもしれません(47歳 男性)
- 実家を処分したくても資金がないため、手がつけられていません(50歳 女性)
7位は「処分にかかる費用」でした。
実家が老朽化しており解体を考えている場合は、処分費用が気になることでしょう。
解体費用は家の構造によって異なり、木造よりも鉄骨や鉄筋コンクリート造のほうが高くなります。
解体に補助金を出す自治体もあるので、取り壊しを検討している方は、使える制度があるか調べてみるとよいでしょう。
実家を将来どうするか親と話したことがない人は6割以上
最後に、「実家を将来どうするか、親と話したことがあるか」聞いたところ、「ない」と回答した人は6割を超えました。
「実家の扱いに不安を抱えつつも、親と相談したことはない」という人が多いとわかります。
なお30代以下と40代以上にわけて集計してみたところ、結果は以下のようになりました。
40代以上は、30代以下よりも「話したことがある人」の割合が15%ほど高くなっています。
40代以上だと「親が高齢になり相続が現実的になってきた」「実家が老朽化してリフォームや処分を検討する」というケースも多いからでしょう。
では「実家を将来どうするか親と話した理由・話していない理由」について、具体的な回答をもとに紹介します。
実家を将来どうするか親と話した理由
- 親の両親が亡くなったときに遺品整理を一緒にしていて、「将来自分たちも同じ状態になったらどうすべきか」と少し話しました(25歳 女性)
- 「相続で揉めた」という周囲の話を親が耳にして、兄弟で揉めることを心配して先に話してくれたから(37歳 女性)
- 父が大病をしたからです(43歳 女性)
- 両親が高齢になり、実家をどうするかが現実的な問題として迫ってきているので(58歳 男性)
- 親が建てた家なので、亡くなったあとどうして欲しいかを知りたかったからです(63歳 男性)
「話した」という人からは、「元気なうちに話しておきたかった」「兄弟間で揉めたくないから」などの回答が寄せられました。
親族の病気や死をきっかけに、相続や実家の扱いを現実的な問題として認識し、「私たちは将来家をどうしようか」と話し合うご家庭も多いようです。
「子ども世代が自分の家を買った」などの大きなライフイベントは、実家の扱いを話し合うための良い機会となるでしょう。
実家を将来どうするか親と話さない理由
- まだ親が若いから(23歳 女性)
- 親自身が実家の処分に苦労した経験があるので、マンションに移り住み、物も処分してくれている。そのためあまり心配していない(34歳 女性)
- 意見されたくないので。親が亡くなったあとに独断で行いたい(34歳 男性)
- 両親が亡くなったあとの話になるので、子どもからは話しにくい(46歳 男性)
- 親が認知症であり、話せる状況にない(52歳 男性)
話していない人からは、「話を切り出しにくい」「まだ先の話だと思っている」などの回答が寄せられました。
死やお金の話を嫌がる親御さんもおり、「話を切り出そうとするとすごく怒られる」という人もいました。
ただ話をしないうちに親御さんが病気になったり判断力を失ったりして、細かい話ができないままになってしまうことも。
「親や兄弟が考えてくれている」「実家がまだ新しく、親の死後も兄弟・親族が住む予定になっている」というケース以外は、機会を見て話し合っておくことをおすすめします。
まとめ
実家に関する不安で多かったのは「相続・相続税について」「売却について」でした。
また「実家をどうするか決まっていない」という人も多く、方向性が決まらず漠然と不安を抱えている人も多いとわかりました。
不安があるのなら、一度親や兄弟など実家に関わる人と相談することをおすすめします。
「死に関わることは話しづらい」と感じてしまいますが、今回のアンケートでは「意見交換できないまま親や兄弟が亡くなってしまったので困っている」という体験談も寄せられました。
「子どもが家を買った」「近しい親族が亡くなった」などは、実家の今後を考えるきっかけとなります。
機会をみて、少しずつ話をしてみてはいかがでしょうか。