マンションの共有設備をもっと充実させてほしいと思う人は84.8%
マンションの共有設備をもっと充実させてほしいと思っている人は、「とても思う」「まあ思う」を合わせて84.8%でした。
マンションの共有設備に対するニーズは高いとわかります。
一方「あまり思わない」「全く思わない」という人からは、「マンション住人のマナーが良くないので、共有したくない」などの回答が寄せられました。
マナーが悪いと共有設備が壊されるなどして「共有設備があるのに利用できない」といったトラブルが起こり、新たなストレスになる可能性もあります。
単にマンション内に魅力的な共有設備があるだけではなく、「共有する相手」も重要だとわかります。
マンションでシェアできたら嬉しいものや設備1位は「宅配ボックス」
マンションでシェアできたら嬉しいものや設備の1位は「宅配ボックス(22.5%)」でした。
2位「コワーキングスペース(17.8%)」、3位「自転車(13.9%)」が続きます。
宅配ボックスやコワーキングスペースは、生活を便利にしてくれる点が評価されて上位に入ったと考えられます。
また、自転車・自動車・高圧洗浄機のような「必要ではあるが、使用頻度が低いもの」を所有することに抵抗がある人にとって、マンションでシェアできるメリットは大きいかもしれません。
1位 宅配ボックス
- 宅配ボックスは一戸一台にすると使用頻度の割にスペースを取るので、共有がいいと思う(30代 女性)
- 玄関まで来てもらわなくても、荷物を受け取れる(60代以上 女性)
1位は「宅配ボックス」です。
不在でも荷物を受け取れて、再配達の手間を減らせる宅配ボックスは、幅広い層からニーズの高い設備です。
個別に宅配ボックスを持つことも可能ですが、玄関前の廊下などに設置すると通行の邪魔になってしまう可能性もあります。
またマンションのエントランス部に導入されていれば、配達員に玄関先まで来てもらう必要がありません。
2位 コワーキングスペース
- 家では落ち着かないけど、図書館やカフェのように他人がいる場所だと集中できるため(20代 女性)
- 街中で丁度良いところを探そうと思っても、意外とないからです(30代 男性)
- 週の半分は在宅勤務なので、マンションにコワーキングスペースがあると仕事に集中できると思うから(40代 男性)
2位は「コワーキングスペース」でした。
在宅勤務している人も多いですが、家の中だと気が散って集中できなかったり、気持ちが煮詰まったりすることもあります。
気分を変えるために、マンション内にコワーキングスペースがあると嬉しいと考えている人も多くなりました。
リモートワークが浸透したことによって高まってきたニーズであると推測できます。
3位 自転車
- 電動自転車。ガソリン代が高いので近距離であれば自転車で行きたいが、腰が重い。電動自転車だと頑張れる気がするものの、自分で買うと高いため、共有できると嬉しい(30代 女性)
- 駅近なので、めったに自転車は乗らない。ただ子どもの行事などで学校に行くとき、「自転車があれば楽なのになぁ」と常々思っているから(40代 女性)
- 自分で用意しなくて済む。たまに使う程度なので、個人で管理するのは面倒(60代以上 男性)
3位は「自転車」でした。
「あまり乗らないけれど、あれば便利だろうなと思う瞬間もある」という人からの回答が多く寄せられています。
また電動自転車は高価なので、自分で購入するのはハードルが高くなります。
そのため「シェアサイクルがあればいいな」と考えている人が多くなりました。
シェアサイクルが普及すれば、駐輪場の混雑緩和も期待できます。
4位 キッズルーム
- マンション住まいだと足音などを気にする生活になり、子どもが走ると「走らないで!」と止めてしまう。キッズスペースがあると気にせず思い切り遊ばせられるし、マンション内にあると天候も気にしなくていいから(30代 女性)
- 共有部分で子どもたち同士を遊ばせたり、勉強させたりできる環境が整えば、余計な心配事がなくなる(40代 男性)
4位は「キッズルーム」となりました。
キッズルームを希望する理由としては、「マンション住人同士の交流が促進される」と「雨の日でも遊べる」が多く挙がりました。
またマンションで子育てしていると足音などが気になるので、しつけをしっかりしようとするご家庭ほど、子どもが家で思い切り遊べないことも多くなります。
上記のような場合にキッズルームがあると、「キッズルームなら思う存分走っていいよ」と言えて、子どもたちもエネルギーを発散できます。
「マンション住人しか使わないなら安心」など、防犯面でもメリットがあるとわかりました。
5位 ゲストルーム
- ゲストルームがあれば、家に上げられないときでも、来客と話ができると思うので(30代 女性)
- 知り合いなどの宿泊場所に使えたらとてもありがたいです。今では一般的な設備ですが、ウチにはないので(50代 男性)
「ゲストルーム」が5位となりました。
マンション内のゲストルームは、大規模マンションや高級マンションに多く設けられている、来客用の宿泊ルームです。
たくさんの親戚や友人を招いたとき、自宅内では就寝スペースを用意できなくても、ゲストルームがあれば泊まってもらえます。
お互いのプライバシーを守れ、気兼ねなく過ごせるのも、ゲストルームのメリットです。
6位 フィットネスジム
- 家ではなかなかジム器具を揃えられないから(20代 女性)
- よく使用するが、人が多くて使いづらいと思っているので(30代 男性)
- スポーツクラブにいちいち行くのが面倒だから(40代 女性)
「フィットネスジム」が6位です。
ジムに通っていたものの、通うのが面倒になって辞めてしまう人もいます。
しかしマンション内にジムがあれば、トレーニングを続けられたり、「運動してみようかな」と考えたりする人も多いかもしれません。
自宅内で器具を揃えることも可能ですが、お金がかかりますし、スペース面で難しいこともあるので、共有設備としてあれば便利だと考える人も多くなりました。
7位 自動車
- 自分で所有するには費用もかかるし使用頻度も高くないが、たまにあると助かるため(20代 男性)
- 駐車場の数に限りがあるため、カーシェアがあれば「車を持たない選択」ができると思う(30代 女性)
- マンションの駐車場を見ていると、普段全く動かしていない様子の車ばかり。共同で持って使えれば駐車場も無駄にならないし、みんなお得なのではないか(50代 男性)
「自動車」が7位となりました。
自動車を個人で所有する場合には、購入費用のほか「駐車場代」「車検代」などのランニングコストがかかります。
しかしマンション内でカーシェアができれば、購入費用はかかりませんし、メンテナンスもカーシェア運営会社に任せられます。
たまにしか車を使わない人が多いマンションであれば、マンション内カーシェアは便利なサービスです。
8位 家庭菜園スペース
- 家庭菜園が趣味なので、プランターで野菜を育てています。直土栽培ができたら、野菜がもっと立派に育つだろうし、たくさん育てられると思います(40代 男性)
- マンションに菜園スペースがあると、住人同士のコミュニケーションに良い影響を与えると思う(50代 女性)
「家庭菜園スペース」が8位です。
一般的にマンションで家庭菜園を楽しむときには、「ベランダ菜園」にする人が多くなっています。
しかしベランダ菜園だとスペースが限られるうえ、隣戸への気兼ねもあり、思う存分楽しめていない人も。
そのため「敷地内に家庭菜園があったらいいな」と考えている人も多くなりました。
「育て方を教えて欲しい」「収穫したものをシェアしたい」など、家庭菜園を介した住人同士の交流に期待している人もいます。
9位 高圧洗浄機
- 使う頻度は少ないが、使いたいときがあるから(40代 男性)
- 高性能なものは結構高価なので、みんなでシェアできると良い(40代 女性)
9位は「高圧洗浄機」です。
高圧洗浄機は強い水圧で頑固な汚れを落としてくれる機械で、「石畳」「ベランダ」「浴室」などの掃除に役立ちます。
実際に管理人や管理会社が廊下などを掃除するために使っているマンションもあります。
毎日使うものではなく、高価な機種も多いので、共有できたらいいなと考えている人も多くなりました。
10位 自転車の空気入れ
- ワンルームだと置き場がないものの、ないと困るため(20代 女性)
- 自転車の自動空気入れ。いちいち個人で準備しなくて良いし、部屋を行き来する必要もなく、自動なら力もいらないから(40代 女性)
10位になったのは「自転車の空気入れ」でした。
自転車の空気入れを共有設備にしてほしい理由としては、「空気入れを持って駐輪場に行き、また家に戻すのが面倒」などが挙げられています。
また、管理人室に行って借りるとなると、結局は管理人室と駐輪場を行き来する必要があるため、「駐輪場に常設された空気入れ」を望んでいる人も多いとわかりました。
マンションの共有設備に必要なルールは「利用時間を制限する」
「マンションの共有設備に必要なルール」を聞いたところ、1位は「利用時間を制限する(35.0%)」、僅差の2位は「利用後は片付ける(30.0%)」、3位は「マナーを守る意識(29.6%)」でした。
以下、4位「事前予約制にする(14.2%)」、5位「利用頻度を制限する(10.1%)」、6位「利用料を設定する(4.9%)」、7位「罰則を設ける(3.9%)」の結果となっています。
利用時間や頻度の制限、事前予約といったルールを望む声が多いことから、共有設備を特定の住人が独占することへの危惧が読み取れます。
独占されると、平等に利用できなくなってしまうからですね。
「マナーを守る意識」「管理表の作成」という回答からは、トラブルを防止したいという意識も見て取れます。
1位 利用時間を制限する
- みんなが使えるように、使用時間を制限する(20代 女性)
- 使用時間の制限。同じ人が独占できないようなルール(40代 女性)
1位は「利用時間を制限する」です。
誰かが使っていると他の人が使えない設備や、たくさん導入できない設備については、「1回1時間まで」など使用時間の制限を設けたほうがいいと考える人も多くなりました。
時間制限により特定の住人による独占を防ぐことで、不満が出にくいと考えられます。
またキッズスペースなど利用できる人数に明確な上限がない場合でも、時間制限をつけることで混雑を防ぎやすくなります。
なお「夜は20時まで」「早朝の利用は禁止」など、利用可能時間を決めるというルール案もありました。
上記のルールは騒音対策などに効果があると考えられます。
2位 利用後は片付ける
- スポーツジムは、使用したら必ず拭き上げておくこと(30代 女性)
- 「ゴミの持ち帰り」と「使う前の状態に戻す」のは、当たり前に必要。使った後に確認してくれる人がいるといい(40代 女性)
2位は「利用後は片付ける」でした。
「キッズルーム」「ワークスペース」「ジム」などのスペースを使った後は、掃除や片付けが必要だと考えている人が多数。
掃除されていないと荒れ放題になっていき、快適に利用できないからですね。
自転車や自動車なども、汚れてしまったら次に使う人のために掃除する必要があります。
汚れを予防するため、「飲食物の持ち込み禁止をルール化したほうがいい」という意見もありました。
3位 マナーを守る意識
- 利用者のマナーについてのルール。「ゴミを放置しない」「共有スペースで喫煙しない」など、マナーに関するルールは徹底したほうが良いと思います(30代 女性)
- 特定の人たちが独占するのではなく、お互いに譲り合うマナー。また共有物を使うのだから、壊さないよう大事に使う配慮(50代 男性)
3位は「マナーを守る意識」でした。
「みんなのスペースなので、きれいに使いましょう」「譲り合って使いましょう」といった意識の浸透が大切だと感じている人も多くなりました。
マナーの悪い人が多いと、共有自体が上手くいかないと考えている人も。
ルールがあっても無視されてしまう可能性があるからですね。
マナー意識を高めるための方法としては、「ルールの周知徹底」「監視カメラ」などが挙がりました。
4位 事前予約制にする
- 利用を必ず予約制にする。誰もが事前に利用時間などを決めておくことで、設備に何かあった際に特定がしやすいし、罰金などの処理も行いやすいから(20代 男性)
- 利用時間を公平にするために、予約システムを導入して、事前に利用時間を確保できるようにする(40代 男性)
4位は「事前予約制にする」となりました。
「自動車」「ワークスペース」「来客用駐車場」など、「数が少なく、かつある程度長い時間使うことが前提の設備」では予約制が必要だと考えている人が多くなっています。
事前予約制にするメリットとしては「利用時間を確保できて公平」「どの時間に誰が使っていたかわかるので、トラブル対応しやすい」があります。
「わかりやすい予約システムの導入」という声もあり、オンラインで簡単に空き状況が確認でき、予約もできるようなイメージを抱いている人も多いとわかりました。
紙の管理表などで予約を取る方法では、書き漏れがあったり確認が手間だったりすると考えられるからですね。
5位 利用頻度を制限する
- ゲストルームは、回数制限や頻度のルールが必要。実際に特定の人がずっと借りて、又貸しして儲けている事例があった(30代 女性)
- 同じ人が何回も使うと公平さを欠くので、回数制限(40代 男性)
- 回数制限は必要だと思う。設備費を払ってるのに、平等に使えなくなるから(40代 女性)
「利用頻度を制限する」が5位となりました。
導入したい共有設備として「宅配ボックス」「ゲストルーム」を挙げた人からの回答が多くなっています。
多くの人が使いたい設備は、「月あたりの利用回数」などの頻度制限を設けないと、使いたくても全然使えない人も出てくる可能性があります。
「共有設備を維持するための管理費や共益費を同じように負担しているのに、利用回数に差が出るのは不公平」という意味で、頻度制限を求める人も多くなりました。
「ずっと借りて又貸しする」などの悪用を防ぐためにも、必要なルールであると言えます。
6位 利用料を設定する
- 低額で構わないので使用料を設ける。使わない人との格差が生まれないようにするため(20代 女性)
- 有料にしてでも、マナーが良い人とシェアしたい(40代 女性)
- あくまでマンションの共有設備なので、全く利用しない人の不満が出ないよう、使用頻度の多い人は使用料金を払うシステムが必要だと思います(60代以上 男性)
「利用料を設定する」が6位となりました。
共有設備があっても、興味がなかったりシェアに抵抗があったりして、使わない人もいます。
例えばマンション内キッズスペースがあっても、小さな子どもがいないなら使わないですよね。
「使っていないのに管理費や共益費を負担するのは嫌」という感情に配慮して、利用する人からは維持管理にかかる利用料を徴収するというルールを求める人もいるとわかりました。
「利用料を払ってでも使いたい」という人に限定することで、マナー向上を期待する声もあります。
7位 罰則を設ける
- どんなにルールを設けても、必ず破る人が現れて、ルールを守っていない人のためにルールが増えたり設備が使えなくなったりします。最低限のマナーやルールを設け、監視カメラを設置するなどして、ルールを破った人が必ず罰せられるようなルールを作ることが必要だと思います(30代 女性)
- 自転車はマナーの悪い人が駅などに乗り捨てそうなので、ペナルティ制にして、ルールを破った回数によって使用停止にするなど厳しく対処するべき(60代以上 男性)
「罰則を設ける」が7位です。
「ルールを作っても守らない人がいる」「マナーの悪い人はどうしても出てくる」という前提に立った項目となっています。
罰則があれば「賠償はしたくないから、ルールを守ろう」と感じやすいからですね。
また故意ではなくても、使用中に設備を壊したり傷つけたりしてしまう可能性もあります。
他の住人に迷惑がかかったときの罰則をあらかじめ決めておくことで、スムーズに対応しやすいと考えられます。
まとめ
多くの人が「マンションの共有設備が充実していたら嬉しい」と感じています。
そしてマンションで充実させてほしい共有設備の特徴は「日常生活をより便利にする設備」「高価な設備」「たまにしか使わないが、必要な設備」だとわかりました。
具体的には「宅配ボックス」「キッズスペース」「自動車」「自転車」などですね。
「コワーキングスペース」はリモートワークの普及、「ジム」は健康意識の高まりなど、時代を映し出したニーズも多くなりました。
しかし、共有設備では住人のマナーが原因でトラブルが起こることもあります。
そのため多くの人が「利用したい人が快適に利用できるよう、事前予約制や利用制限などのルール整備が必要だ」と考えています。
ただルールが設定されても、守られないと意味がないため、住人のマナー意識向上も必要です。