相続した空き家をどう活用すれば良いのか、悩む人は少なくありません。
うまく活用できないと、管理や維持費の負担がかさんでしまいます。
では、実際に自身や家族が空き家を相続した人たちは、どのように空き家を活かしたのでしょうか。
今回は、自身や家族が空き家を相続した経験がある101人を対象に「やって良かった空き家の活用方法」を調査しました。
- 調査対象:自身や家族が空き家を相続した経験がある人
- 調査期間:2025年11月5日~12日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:101人(女性55人/男性46人)
- 回答者の年代:20代 12.9%/30代 34.7%/40代 28.7%/50代 15.8%/60代以上 7.9%
空き家を相続した際に考えた活用方法は「売却する」

自身や家族が空き家を相続した経験がある101人に「空き家を相続した際に考えた活用方法」を聞いたところ、圧倒的1位は「売却する(64.4%)」で、6割以上の人から回答を得ました。
2位は「賃貸物件にする(19.8%)」でした。
上位2つが空き家の活用方法として思いつきやすい、定番の方法だと言えます。
- 最初は売却を考えました。遠方にあるため管理が難しく、固定資産税などの負担も気になっていました。維持するよりも、必要としてくれる人に譲ったほうが有効に活用してもらえると思ったのがきっかけです(30代 女性)
- まず自分が住めるかどうか確認のうえ、リフォームを考えました(30代 男性)
- 最初は売却を考えました。建物が古く、維持費や管理の手間を考えると、住むのは現実的ではないと思ったためです。ただ思い出の詰まった家でもあったので、すぐに手放すのも気が引けて、リフォームして貸す方法も一度検討しました(40代 女性)
- 買い手が見つかれば売却する。買い手が見つからなければ、空き家を解体して駐車場などにする(30代 女性)
- 週末だけ住まいにする(50代 男性)
「遠方で管理が難しい」「維持費や固定資産税が負担」といった現実的な理由から、売却して手放す方向で考える人が多いとわかります。
一方「思い出のある家だから簡単には手放せない」といった声もあり、リフォームして住んだ貸し出したりといったかたちでの活用を模索する人も。
残すとしても、「更地にして駐車場にする」など、かたちを変えて活用しようと考えた人もいました。
空き家の活用方法を相談した相手は「家族」

「空き家の活用方法を相談した相手」1位は「家族(44.6%)」でした。
家族とは、親や自分と同じように相続人となった兄弟姉妹、配偶者、子どもなどです。
2位「不動産会社(17.8%)」、3位「弁護士(8.9%)」と、第三者に相談した人もいます。
- 相続する兄弟で相談しました(60代以上 男性)
- 最初は家族で話し合い、その後、不動産会社にも相談しました。家族の意見だけでは判断が難しく、売却と賃貸のどちらが良いか客観的なアドバイスが欲しかったからです。専門家から市場の動向やリフォーム費用の目安を聞くことで、現実的な方向性が見えてきました(40代 女性)
- まずは兄弟と話し合ったあと、不動産会社にも相談しました。家族それぞれの思いがあったため意見をすり合わせ、最終的に専門家のアドバイスを参考にして方向性を決めました(30代 女性)
- 不動産会社と、市役所の空き家相談窓口(20代 男性)
- 弁護士に相談しました(30代 男性)
まずは、家族や近しい人同士で話し合うことから始める人が多いとわかりました。
相続という性質上、相続人となる兄弟姉妹など、関係者同士で思いを共有しながら方向性を探っていく必要があるからですね。
相談や合意形成を疎かにしてしまうと、のちのち「本当は売るのは嫌だった」などのトラブルに発展してしまう可能性もあります。
そして、家族間だけでは判断が難しいと感じた場合に、不動産会社や弁護士など専門家に相談した人も。
第三者の客観的なアドバイスにより、現実的な動き方が見えてきた例もありました。
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やって良かった空き家の活用方法は「売却する」

最終的にやって良かった空き家の活用方法を聞いたところ、ダントツは「売却する(51.5%)」でした。
以下、2位「賃貸物件として貸す(18.8%)」、3位「駐車場にする(8.9%)」、4位「身内が住む(5.9%)」と続きます。
最も多かったのは「売却」でしたが、割合は「最初に思いついた段階」よりも13%近く減少しています。
2位の「賃貸」についても、「最初に思いついた段階」よりもやや減少。
家族や専門家に相談したり、売却・賃貸に向けて動き出そうとしたりするなかで考えが変わり、「駐車場にする」「身内が住む」「物置として使う」といった選択肢にシフトしたと考えられます。
「最初に思いついた選択肢」にランクインしなかった「身内が住む」「物置として使う」は、家をそのまま使えて、比較的費用や手間がかかりにくい活用法であるのも特徴です。
つまり空き家をどう扱うか考える際には、より手間のかからない方法へと考えが変わりやすいと推測できます。
1位 売却する
- 定期的な手入れや管理にかかる時間・費用がなくなり、精神的な負担が軽くなりました。また売却した資金を別の目的に使えたので、結果的に家族全体にとって良い選択だったと感じています(30代 女性)
- 貸し出すためにきれいにしましたが、広い一軒家だったため借り手がおらず、結果的に2年間以上空き家になってしまいました。時折父や私が換気のために空き家を訪れる必要があり、早めに売却すれば良かったと思いました(40代 女性)
- 相続人が公平に相続できました(60代以上 男性)
1位は「売却する」でした。
売却して良かったと考えている人から挙げられた理由は、大きくわけてふたつあります。
「管理の手間やコストがなくなり、楽になる」という点と、「現金が手に入る」という点です。
実際に売却で得た利益がかなり少なかった人からも、「二束三文でも、管理の手間やコストがなくなったので良かった」という声がありました。
また家を売却すれば現金が手に入るので、家計に余裕が出ます。
相続人が複数いる場合には、家よりも現金のほうがわけやすいというメリットもあります。
「あとくされがない」と表現した人もいて、きれいさっぱり区切りをつけられる点で、評価されていました。
2位 賃貸物件として貸す
- リフォームして賃貸物件として貸し出したこと。毎月の家賃収入で固定資産税などの維持費をまかなえるようになり、家を放置せずに活用できた(20代 男性)
- 人に貸して、固定資産税以上に儲けを出した。親戚が思い出のある家の解体や売却を嫌がったので、人に貸せて良かった(30代 女性)
- 安定した収入が得られ、管理も比較的楽だったからです(50代 女性)
2位は「賃貸物件として貸す」でした。
賃貸化を選んだ人たちから挙げられた良かった理由としては、「家を残せた」「安定した収入源になった」などがあります。
賃貸物件にして入居者がついてくれれば、固定資産税などの維持費を家賃収入でまかなえ、さらに生活に余裕が出る可能性も。
相続で得た空き家であれば大きな取得費用はかからないため、大規模なリフォームなどをしないまま貸すのであれば、ローンなどは組まずに賃貸経営を始められます。
家族内に空き家の維持を強く望む人がいるものの、自分たちでは住めないという場合にも、納得してもらいやすい活用方法です。
3位 駐車場にする
- 安定した収入源になった(20代 女性)
- 手間がかからず収益につながるから(30代 男性)
- 定期的な収入が入ってくるようになった(40代 男性)
3位は「駐車場にする」でした。
貸し駐車場としての活用は、比較的手間がかからず、安定した収入を得られる点で評価されています。
建物を取り壊してコンクリート敷きにすれば、管理の手間や修繕費がほとんどなくなり、空き家を賃貸に出すよりも維持コストを減らせます。
また「家の前が空き家だったので、コンクリートにして来客用の駐車スペースとして使っている」という体験談もあり、収益化するのではなく自分が使う駐車場としても活用可能です。
駐車場ニーズのある土地柄であれば、管理の手間を抑えつつ、土地があることのメリットを感じられます。
なお時間貸し(コインパーキング)にするか月極にするかは、エリアのニーズや、将来的に土地を自分で使う可能性があるのかなどによって決めるのがおすすめです。
4位 身内が住む
- 思い出を残せた(20代 男性)
- お金の面で苦労しなかった。今後はどうなるかわからない(30代 女性)
- 解体費用がかからなかった(40代 女性)
「身内が住む」が4位でした。
身内が空き家に住むことによるメリットとしては、「家を残せる」などが挙げられています。
知らない人が思い入れのある実家に住むのは、心理的に抵抗があると感じる人にとっては、家をよく知っている人が住まうことは安心にもつながります。
もちろん解体費用や売却・賃貸契約の手間もかかりません。
身内のなかで完結する活用方法です。
5位 物置として使う
- 現在は誰も住んでいない空き家を、荷物置きに使用してます。引っ越し先が狭いので、掃除しながらゆっくりと物の選別ができて良いです。ただ「本当は早く高く売却したい」と、兄・姉と話しています。なかなか売れないので困ります(30代 男性)
- ベストではないと思うけど、捨てにくい荷物や季節物などの物置として利用。住んでいる家がすっきりして、「必要ではないけど、思い出深い物」などをスペースの問題で処理しなくてもいい(30代 女性)
- 倉庫代わりに利用し、別の家にある荷物を片付けるのに役立った。今住んでいるところで、かなりスペースを圧迫していたため(40代 男性)
「物置として使う」が5位です。
空き家を残して物置として使っている人もいました。
収益性はありませんが、荷物の多い人にとっては利便性の高い活用方法ですね。
今住んでいる家が狭かったり、あまり使わないけど、捨てたくない物があったりする場合に、空き家を保管スペースとして使えるのは便利です。
一方で「本当は売りたいけどなかなか売れないから、物置として使っている」「ベストではない」という声もあり、便利なものの一時的・消極的な選択になっている面も伺えます。
まとめ
空き家の活用で多くの人がやって良かったと感じているのは、売却でした。
維持の手間や費用から解放され、現金を相続人で平等にわけられることから、すっきりしたという声が目立っています。
また、本当にその建物や土地が必要な人に売却することで、家が役立ったことに満足している人も。
一方で、「実家を維持し続けたい」という自分や家族の意向があり、物件を所有し続けながら賃貸物件や駐車場などにして収益を上げているケースもありました。
賃貸物件や駐車場にニーズのあるエリアであれば、安定収入を得られる方法として検討してみる価値があります。
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