騒音トラブル解決の教科書【弁護士解説の保存版】

鈴木弁護士 宣材1 特集記事
facebook twitter

つい最近も、アパートの騒音問題で刺殺事件が発生しました。

直前の騒音トラブルが原因か アパートで男性が刃物で刺され死亡 静岡・熱海市

引用元:YAHOO!JAPANニュース

弊社は、「事故物件」「築古空き家」といった通常の売却が難しい不動産の買取を積極的に行っていますが、直近で「近隣トラブル」を理由とした売却が増加傾向にあります。

コロナ渦による在宅率の増加も大きな原因かも知れません。

実際に、弊社の500名調査でも78.2%が「騒音問題に悩んだことがある」と回答。

【アパート・マンションの騒音トラブルランキング】男女500人アンケート調査

騒音とはそれほど身近な問題であるということです。

間違った方法で騒音を止めさせようとすれば、大きな事件に発展する可能性もあります。

今回は、近隣トラブルに積極的に取り組んでいる、吉田修平法律事務所の鈴木崇裕(すずきたかひろ)弁護士に騒音トラブルの解決策を伺ってきました。

現場を知り尽くしたプロから、騒音トラブル解決に向けた最短ルートを教えて貰ったので、ぜひご活用ください。

鈴木弁護士 宣材「立ち姿」

鈴木崇裕(すずき たかひろ)。一橋大学法科大学院卒業後、東京都中央区にある「吉田修平法律事務所」へ入所。不動産や遺産相続の分野を中心にこれまでに多数の法律トラブルを解決してきた実績をもつ。中でも不動産分野においては、「賃借人間でのトラブル」・「不動産売買のトラブル」・「近隣トラブル」など幅広いトラブルに対応。法律知識だけでなく、不動産取引の慣行や相場などの現場情報に基づいた解決を強みとしている。

騒音と認定される基準のようなものは法律等で定義されているのでしょうか?

騒音規制法というものがあります。

ただし、この法律は工場や建設現場、自動車などの騒音を規制するために制定されたものです。

日常生活の騒音を規制するための法律ではないため、隣人の生活音等の騒音トラブルに際して、騒音規制法を直接の根拠として何か請求できるわけではありませんし、対象としている騒音の種類や程度もだいぶ違います。

参照元:騒音規制法の概要

現実的に騒音トラブルに巻き込まれた際の対応方法を教えてください。

騒音トラブルに悩まれている多くの方は、主に2つの対策方法を考えると思います。

1つめが、「騒音を出している本人に直接改善を求める」という方法です。

直接注意しに行くというのは、勇気も要るでしょうし、さらなるトラブルや事件のきっかけにもなりかねませんので、なかなかお勧めしにくいです。

騒音で悩んでいる方は、冷静に務めようと思っても多少なりとも感情的になってしまいますし、注意された側も同様です。

また、騒音を出している側の人は、無自覚なことも少なくありません。

その場合、突然いわれのない文句を言われたと感じてしまうこともあります。

このようなとき、本来はお互い論理的に話せる方だったとしても、ヒートアップしてトラブルになってしまいます。

もちろん、そもそも話の通じない相手、暴力的な相手の可能性もあります。
最悪、暴行事件などにも発展しかねませんから、いきなり訪問して直接の話し合いを試みるのは、避けた方が賢明でしょう。

2つめが、「管理会社などの第三者の力を借りる」という方法です。

賃貸や分譲マンションであれば、まず管理会社に相談する方がほとんどです。

親身になって相談に応じてくれて、実際にトラブルが解決に至る例も多くあると思います。

弁護士等に相談するよりも、敷居は低いでしょうし、費用も掛からないので、まずは管理会社さんに相談することをお勧めします。

ひとつ覚えておいていただきたいことがあります。

よく、ご自身が苦情を入れたことを相手に知られるのは気まずいなどの理由で、
「私からの苦情と分からないように注意してください」と管理会社さんに伝える方がいらっしゃいます。

お気持ちはわかるのですが、管理会社さんがその点を配慮しようとすると、「全住戸への注意喚起」などにとどまってしまいがちです。

例えば、301号室の方が「足音がうるさいので注意してくださいね。」と管理会社さんに伝えられたら、「クレームを入れたのは201号室の人か・・・」と勘付きますよね。

そのため、管理会社さんは「足音がうるさいので注意しましょう。」といった手紙を全住戸に配布するとか、掲示するような方法しかとれなくなってしまいます。

これでは、301号室の方に騒音を出している自覚がない場合、自分の足音がうるさいと認識出来ませんから、結局は何も解決しません。

具体的に管理会社さんに相談するなら、
「私が言っていることが知られてしまっても問題ないですが、なるべく丁寧に伝えてください」とか「皆さんに見られてしまうとお互いきまずいので、掲示するのではなく、直接お伝えしてださい」などと相談した方が、解決する可能性は高いと思います。

警察に相談するのは有効ですか?

管理会社さんに相談しても一向に改善しないとか、戸建住宅で管理会社さんがいない場合に、警察に相談する例もあると思います。

事件に発展しそうな場合には、遠慮なく警察に連絡を入れるようにしてください。

ただ、警察は事件性が無い場合には、それほど親身になって対応してくれないかもしれません。役割が違いますから、やむを得ないと思います。

また、それほど悪質とか危険でない場合に、いきなり警察に通報したり、通報を繰り返すというのは、お互いの精神衛生によろしくないと思います。

隣人との関係は基本的にその後も長期的に続きますので、いきなり喧嘩腰で臨むというのは、あまりお勧めできません。

賃貸であと数ヶ月で退去するような場合を除き、その後も隣人としての関係性は続くからです。

また、問題解決に向けた効果の点からも、必ずしも警察への通報が効果的とはいえません。

管理会社から注意されるのと、突然警察が訪ねてくるのでは相手の受け取り方は大きく違いますよね。

では、現実的な騒音トラブルの解決手段は弁護士さんに相談となりますか?

そうですね、実際に弁護士が手紙を送ったり連絡を取ったりするかは別として、自分で対応するのが困難になったら、まずは弁護士に相談して、冷静に状況把握をするべきでしょう。

大前提として、騒音を出している側が無自覚な場合も多いということを理解しておくと良いと思います。

「わざと騒音を出して嫌がらせしてやろう!」などと最初から思う人はまずいません。(関係性が悪くなってきて、そういう行動に出る人は残念ながらいるのですが。)

また、どんな人が、何の音を立てているのかを知ることができるだけでも、心持ちはだいぶ違ってくると思います。

情報が不足していると、人は誰しも不快に思うものです。

そのような状態で、

  • 感情的に直接注意する
  • 突然警察を呼ぶ

といったアプローチから入ってしまったばかりに、相手もヒートアップしてしまい、収拾がつかなくなる場合もよくあります。

裁判前提ではないということでしょうか?

もちろんです。

弁護士に相談する=裁判を起こす、と思われているかもしれませんが、そんなことはありません。

相談をお聞きし、アドバイスだけ聞いてご自身で対応する、ということもあるでしょうし、弁護士が代理人として話合いを持ちかけることもあります。

弁護士がついたからといっていきなり喧嘩腰で挑むわけでもありません。

むやみに喧嘩をするのではなく、問題を解決するのが弁護士の仕事ですから、その事案によって最適な対応を考えて取り組むようにしています。

隣人トラブルなどは、裁判にならずに済めばそれに越したことは無いと思います。

突然、裁判前提で内容証明を送り付けたりしたら相手も好戦的になってしまいます。

そうせざるを得ない場合とか、そうしたほうがいい場合もありますが、よくある騒音トラブルであれば、必要以上に非難したり、感情的になるのではなく、「何が困っているのか」「どうしてほしいのか」ということについて落ち着いて話せば理解してくれることがほとんどです。

弁護士によってやり方が違うかもしれませんが、私はなるべく穏便に済むように、まずは、丁寧なお手紙を送るなり、電話とか直接お目にかかってお話をするなりして解決を目指します。

即裁判すべき事案とか、警察などに通報すべき事案もありますが、そういったことは極めて稀です。

私はいつも「どんな人が、何の音を出しているんですかね?」とお尋ねするようにしていますが、「わかりません」というご回答がほとんどです。

例えば「小さいお子さんが早起きして走り回っている」のか、「学生が友達を家に招いて飲み会をしている」のか、それとも「虐待されている人が助けを求めて床を叩いている」のかによって、心持ちも、対処方法も変わってきますよね。

もちろん、裁判を絶対にやらないということではないのですが、隣人との騒音トラブルについては、裁判を起こすにしても相応の覚悟を決めていただかないといけません。

理由としては3つあります。

  • 裁判に勝っても相手を引っ越しさせることは出来ない。
  • 裁判に勝っても赤字になる場合がほとんど。
  • 裁判は長期戦になる。

まず、自身が一棟のオーナーマンションでもなければ、相手を無理やり引っ越しさせることは出来ません。

相手にも住む権利がありますし、そもそも立場上、自分の持ち物でもないところからの退去を求めることができないからです。

また、裁判に仮に勝てても、得られるのは慰謝料くらいです。しかも、その金額は数万円とか、高くても数十万円というのが関の山です。

騒音が原因で病気になったとか、聴覚に支障が出たということがしっかりと立証できれば慰謝料はもう少し高くなる場合もありますが、その立証は簡単ではありません。

裁判にかかる弁護士費用は数十万円以上ですが、その費用を相手に全部請求することもできません。

そのため、裁判に勝てても赤字になる場合がほとんどです。

さらに、裁判には時間が掛かります。どんなに早くても半年、1年2年とかかることもざらにあります。

しかも、裁判期間中や、裁判後の関係性が良好なものになるとは到底言えないですから、精神的にもコストがかかります。

一方で、弁護士を代理人として話合いを試みてもらう、ということであれば、裁判の場合と比較して費用は少額で済みます。数万円程度でできると思います。

状況を把握したり、今後の対策を考えるために、弁護士をうまく使ってくれると良いと思います。

特に、騒音を出している側が無自覚だった場合には、弁護士から連絡が来て驚いた、そんなに迷惑をかけているとは知らなかった、今後は注意する、という感じで、話合いで一応解決することも少なくありません。

生活音の場合、どうしても仕方ない面もありますから、お互いに配慮し合うような解決が望ましいですね。

つい最近も、上階の激しい足音に悩んでいる相談者様がいらして、私が直接お話をさせていただいたことがありますが、やはり相手方は無自覚というか、そこまで迷惑だったとは思っていなかった、という態度でした。

小さいお子さんがいらしたので仕方ない部分もあるかと思いますが、謝罪してくれたうえ、防音マットを敷くとか、特に早朝や夜間は注意すると言ってくれました。

相談者様も、相手がきちんと謝ってくれたので、「子育ては大変でしょうからなるべく応援します」とおっしゃってくれました。

弁護士さんに相談する前に必要な準備はありますか?

弁護士への相談は、病院に診察を受けに行くのと似ています。

何がどう問題なのかを、具体的に伝えていただく必要があります。

病院なら体温を測ったり問診票を書いたうえで、聴診器とかレントゲンを使って診察していくわけですが、弁護士への相談は、お話を聞きつつ、書類とか録音データとかを見ながら状況を分析していくことになります。

そのため、どこから、どんな騒音が、どのくらいの頻度で生じるのかなどの具体的な記録をつけていただくとか、可能なら騒音を録音して持ってきていただくと良いかと思います。

最後に信頼できる弁護士さんの選び方を教えてください。

まずは、しっかりと話を聞いてくれるかどうかですね。

何が問題なのか、相談者様が何を目的としているのかを正確に把握するためには、まずはきちんとお話を伺わなければ分かりません。

また、対応方針を立て、相手方との交渉に必要な情報を十分引き出すためにも、お話を伺うことは重要です。

次に、具体的な見通しをつけてくれるかどうかも重要です。

「この先こうして、こうなったら解決だし、ここまでやってダメならこういう方法に切り換えましょう。ここまではできると思いますが、これ以上はお勧めしません。」といった具合です。

「どうなるか全然わかりませんが、まぁ、とりあえずやってみましょう!」みたいな説明だと、大丈夫かな?と思ってしまいますね。

最後に、詳細な費用を教えてくれるかどうかです。
見通しの説明とセットになりますが、「ここまでやったらいくらで、この方法に切り換えたらいくらです。」と教えてくれれば相談者様も検討がしやすいと思いますし、弁護士費用で弁護士とトラブルになるのでは本末転倒です。

最後に騒音問題に悩んでいる方へ一言お願いします。

鈴木弁護士 正面写真
実際に騒音問題に巻き込まれると、大変なストレスですよね。
辛い思いをされていると思います。

相手に自覚があってもなくても、何もしないとなかなか解決しないと思います。
引越しを検討するにしても、思い切りがつかないと思います。

弁護士は法律のプロでもあり、交渉のプロでもあります。

無理にご自身で解決しようとせず、頼っていただいてもよろしいと思います。

騒音トラブルの対応策のまとめ

いかがでしたでしょうか?

筆者としては、騒音を出している側が無自覚というのは意外でした。

騒音を出しているくらいなので、言葉を濁さずいえば乱暴者のイメージだったからです。

話せば分かる人なら穏便な解決に越したことはありません。

費用も想像より安価ですし、はじめから交渉のプロである弁護士さんに任せるのが一番でしょう。

【ポイント】

  • 騒音主に直接接触する場合は注意
  • 管理会社への伝え方を工夫。
  • 信頼できる弁護士に依頼する。
  • 交渉だけなら弁護士費用も低く抑えられる
特集記事
この記事をシェアする
facebook twitter
訳あり物件買取プロ
タイトルとURLをコピーしました