【親がしてくれていたら助かる相続準備ランキング】男女505人アンケート調査

「相続って難しそうだな」「大変そうだな」と不安を感じている人も多いでしょう。

しかし親が適切な相続準備をしてくれていると、相続手続きの負担はかなり軽減されます。

今回は全国の30代以上の男女505人を対象に、「親がしてくれていたら助かる相続準備」について調査。

「親が実際にやっている相続準備」と「子どもが求める相続準備」には、少しずれがあるとわかりました。

親が相続準備をしてくれている人は46.7％

全国の男女505人に「親が十分な相続準備をしてくれているか」を聞いたところ、「十分にしている（8.1％）」「多少している（38.6％）」が合わせて46.7％でした。

半数近くのご家庭で、何らかの準備がされていることがわかりました。

ただ「わからない」と答えた人が23.4％もいた点にも注目です。

親が何らかの準備をしていたとしても、子どもに伝わっていない可能性があるのですね。

親が準備をしっかりしたうえで子どもにも進捗状況を伝えることで、子どもを安心させてあげられると言えます。

親がしてくれている相続準備は「書類の保管場所を伝える」

「親がしてくれている相続準備」のダントツは「書類の保管場所を伝える（24.0％）」。

以下はかなり差が開いて、2位「遺言書を作成する（9.3％）」、3位「資産をリスト化する（7.9％）」が続きます。

比較的手軽に実行できる「書類の保管場所を伝える」が最も多くなりました。

「通帳」「権利関係の書類」など重要な書類の保管場所を共有することで、親の認知機能が低下したり意思疎通ができない状態になったりしたとき、親に代わってさまざまな手続きをする子どもの負担を軽減できます。

ただ保管場所の共有では、「相続全体の方向性提示」や「死後の希望に関する明確な意思表示」まではしていません。

一方で「遺言書の作成」「資産のリスト化」「財産分与の方向性を決める」「生前贈与を行う」などは、書類の保管場所を伝えることよりも具体的な相続準備です。

ただ上記のような準備には十分な検討が必要で手間もかかり、場合によっては専門家の助けも借りることになります。

手軽とは言えない準備であるため、現時点で実行している親御さんは比較的少ないとわかりました。

親がしてくれていたら助かる相続準備1位は「資産をリスト化する」

「親がしてくれていたら助かる相続準備」を聞いたところ、圧倒的1位は「資産をリスト化する（42.6％）」で、半数近くの人から回答を集めました。

2位「生前贈与を行う（25.1％）」、3位「遺言書を作成する（11.9％）」が続きます。

子ども側は「明確な情報の提供」と「負担の軽減」を重視していることがわかりました。

「資産のリスト化」で財産を明確に把握したり、遺言書やその他の書面などで親の意思をはっきり伝えてもらったりしたいと考えているのですね。

また「生前贈与」「不用品処分」「不動産処分」などは、相続手続きの手間を軽減してくれます。

それぞれの項目について、やっておいてほしい理由は以下の通りです。

1位　資産をリスト化する

1位は「資産をリスト化する」です。

資産のリスト化を希望する理由としては、相続手続きのスムーズさが多く挙がりました。

例えばリスト化で「近隣とトラブルを抱えている不動産」など相続時に複雑な対応が必要な資産があるとわかれば、心づもりができます。

資産があることに気づかず、相続税の申告漏れにつながることも防ぎやすくなります。

さらにマイナスの資産も含めてリスト化することにより、借金を相続してしまうリスクを低減できるメリットも。

また資産内容を明確に把握することにより、複数の相続人で何をどう分けるかという話し合いもしやすいため、兄弟姉妹間の「勘違い」や「疑念」などによるトラブルも防ぎやすくなると期待する人が多くなりました。

2位　生前贈与を行う

2位は「生前贈与を行う」でした。

生前贈与を希望する理由としては、節税効果が多く挙げられました。

相続税がかかるほどの資産がある場合には、生前贈与を行うのは有効な節税方法です。

また生前贈与を通じて一部の資産を前倒しで受け取ることで、相続時の手続き負担を減らせるというメリットもあります。

3位　遺言書を作成する

3位は「遺言書を作成する」でした。

遺言書を希望する理由としては「相続時の争いを避けたい」が多く挙がりました。

法的な効力をもつ遺言書があれば、遺言にのっとって財産分与がなされるので、兄弟姉妹で争いにくくなります。

口頭での話だけでは不安という声もあり、書面で残しておく重要性がわかりました。

4位　財産分与の方向性を決める

4位は「財産分与の方向性を決める」となりました。

財産分与の方向性を決めてほしい理由としては、「兄弟・親族間のトラブルを避けたい」が多く挙がっています。

親の希望がはっきりと示されていれば、通常子どもたちは、親の希望に沿って相続を行います。

そのため兄弟姉妹と争うことは少なく、トラブル防止につながるのがメリットです。

法的な効力のある遺言書が作成するまではいかなくても、親が亡くなる前に財産分与の方向性を決めて子どもに示しておくことは大切だとわかります。

5位　重要書類の場所を教える

「重要書類の場所を教える」が5位となりました。

理由としては、相続手続きをスムーズにするためと答えた人が多くなっています。

親が亡くなったあとの各種手続きに必要な書類が見つからないと、手続きに時間がかかってしまうからですね。

実際に親の家で書類を探して大変だった経験があり、相続に向けて整理しておいてほしいと考えている人もいました。

6位　不用品を処分する

「不用品を処分する」が6位です。

遺品整理の手間を軽減するためという理由が多く挙がりました。

親が亡くなったあと、子どもが遺品を整理するのは体力や時間を使います。

さらに、親が亡くなって悲しいときに思い出の品を捨てたり売ったりする行為は、精神的なストレスにもなります。

またコメントにもあるように、家にかなり物が多い場合には、不用品と重要な書類が混ざってわからなくなってしまうことも。

子どもの心身や手続きの負担を軽くするためには、不用品の処分も重要な準備だとわかりました。

7位　不動産を処分する

「不動産を処分する」が7位となりました。

相続前に不動産を処分しておいてほしい理由としては、「相続後の管理が大変」や「兄弟姉妹と分けにくい」などが挙げられました。

分けにくいからと共有名義で相続すると、のちのち実家の解体や売却の際にトラブルになりやすくなります。

また子どもが実家から離れたところに生活の拠点を置いている場合には、定期的な風通しや草抜きなどのために帰省するのは大変です。

とくに不便な場所にあって資産価値の低い不動産については、相続までに処分しておいてほしいと考える人が多くなっています。

まとめると「子どもが使わない不動産」については、処分しておいてほしいと考える人が多くなりました。

相続税は原則として現金で納めるので、不動産を売却してお金に変えることで、相続税を納付しやすくなるというメリットもあります。

まとめ

子ども側は、相続手続きのスムーズさやトラブル回避を重視しており、財産のリスト化などを求めています。

一方で親が実際にやっている相続準備としては、より手軽な「書類の保管場所を教える」となりました。

書類の保管場所を教えるのも重要ではあるのですが、財産のリスト化や、必要であれば生前贈与なども検討しておくといいでしょう。

なおアンケートでは一部「相続するのが手間だし財産はいらないから、財産は自分で使い切ってほしい」という意見もありました。

上記の意見を踏まえると、相続準備の前段階として「子どもは親の資産を相続したいのか否か」という根本的なところから、親子間の意思疎通が必要であると言えます。