【相続に関する不安ランキング】男女500人アンケート調査

相続に関する不安 アンケート調査

「手続きが難しそう」
「遺産分割でモメそう」
「税金が高そうで心配」

相続については、上記のような不安を感じる人も多いのではないでしょうか。

今回は家族・親族の相続について考えたことがある500人にアンケートを実施し、「相続に関する不安」について調査しました。

【調査概要】

  • 調査対象:家族・親族の相続について考えたことがある人
  • 調査期間:2022年12月26日~2023年1月4日
  • 調査機関:自社調査
  • 調査方法:インターネットによる任意回答
  • 有効回答数:500人(女性308人/男性192人)
  • 回答者の年齢:10代 0.4%/20代 16.4%/30代 37.6%/40代 25.0%/50代 16.4%/60代 4.2%
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相続について家族・親族と話したことがある人は約7割

家族・親族の相続について考えたことがある500人に、「相続について家族・親族と話したことがありますか」と聞いたところ、回答は以下のようになりました。

相続について家族間で話した経験

「ある」と答えた人が67.2%で7割近くという結果に。

相続について考え、実際に話し合った経験もある人が多いとわかりました。

相続にあたっては「どんな資産があるのか」「負債はあるのか」「資産関係の書類がどこにあるか」など、相続人(相続する側)が事前に知っておくべき情報がたくさんあります。

被相続人(財産を残す側)にも「家や土地をどう扱ってほしいか」「誰に何を相続させたいか」など、伝えておきたいことがあるでしょう。

いざ相続となったときに困らないよう、事前に話し合っておくのは大切ですね。

相続について家族・親族と話した理由

  • 親が高齢になり、相続について真剣に考えないといけない時期になったため(26歳 男性)
  • メディアで「終活」というワードをよく聞くようになったから。また祖父母が亡くなった際に財産の状況がよく分からず、両親が苦労していたため(29歳 女性)
  • 一人っ子というのもあり、全部自分に回ってくるものなので(34歳 女性)
  • 親が「相続について話をしたい」と言ってきたから(50歳 女性)
  • 相続額で揉めないよう、あらかじめ意見の一致をさせるため(69歳 男性)

「親が高齢になったから」「実際に身近で相続があったから」などの回答が寄せられました。

身近な人から相続で苦労した話を聞くと、「そろそろうちでも話しておかないと…」と切実に感じるでしょう。

とくに兄弟がいない人だと「すべて自分で手続きしないといけない」というプレッシャーがあるため、親・親族と話し合う必要性を強く感じるようです。

「親から話が出た」「目上の親族から話をされた」など、他の人から働きかけがあって、相続について話し合った人も多くいました。

相続について家族・親族と話さない理由

  • まだ親が若くて必要ないと思うから(25歳 女性)
  • 親がお金の話を嫌うから(31歳 女性)
  • 兄弟が遠くにおり、家族全員で集まる機会がなかなかない。両親と話したいが、あまり先のことを考えていないようで、「はいはい」と流される(32歳 女性)
  • 相続でもめるような資産がない(48歳 男性)
  • 田舎で「お金の話をするのは卑しい」という昔からの考えが今も残っており、家族間でもお金の話はしづらい雰囲気がある(51歳 男性)

「話題を切り出しにくい」「両親が健在なので実感がない」などの回答が多く寄せられています。

「家族・親族の誰かが亡くなること」や「リアルなお金のこと」を話題にするのを避けている家庭も多いようです。

親や兄弟と離れて住んでいると、なかなか話をする機会がないこともあるでしょう。

ただ「まだ早い」「親が嫌がるから、また機会を見て」と思っているうちに、実際の相続が発生することも。

そろそろ話しておきたいと考えているなら、きっかけを見つけて話し合っておくのがよいでしょう。

相続に関する不安1位は「家族・親族と揉めないか」

続いて、相続に関して具体的に何が不安なのかを聞いたところ、回答は以下のようになりました。

相続に関する不安

1位になったのは「家族・親族と揉めないか(170人)」です。

2位「税金・費用の額(87人)」、3位「手続きの難しさ(67人)」、4位「遺産の分割割合・方法(66人)」と続きます。

上位にランクインした不安をおおまかに分類すると「人間関係」「費用」「手続き」に分かれます。

費用や手続きについては、事前に情報収集したり専門家に相談したりすることで、不安を軽減できそうですね。

家族・親族間のいざこざについても、関係者が前もって少しずつ話し合っておけばトラブルを回避しやすくなると考えられます。

では具体的な回答を紹介します。

1位 家族・親族と揉めないか

  • 自分たちだけで相続の話を進めたときに、ちゃんと落としどころがつくのか。あとになって「言った」「言わない」の話にならないかが不安(30歳 女性)
  • 兄弟は仲がよくてモメないと思うが、それぞれの配偶者が口出ししてこないか不安(47歳 女性)
  • 姉が強欲なため、面倒なことになりそう(59歳 男性)

1位は「家族・親族と揉めないか」でした。

「兄弟と意見のすれ違いがないか不安」などの意見が寄せられています。

また被相続人の立場で「自分の財産を家族に相続させるときに、配偶者や子どもたちがモメてほしくない」と考えている人もいました。

残念ながら、相続をきっかけに不仲になってしまうご家庭もあります。

もともと家族や親族と折り合いが悪く、話し合いがスムーズに進まないことが容易に予想できるケースもあるでしょう。

2位 税金・費用の額

  • 正直言って結構な資産なので、相続税で大部分を持っていかれないかが心配(29歳 男性)
  • 「持ち家などの不動産に相続税がどれぐらいかかるのか」といった知識がない。相続税を払えずに相続放棄することにならないか不安(40歳 女性)
  • 相続税など、お金に関すること。持ち家のため、修繕費・維持費がどのくらいかかるのか心配です(54歳 女性)

「税金・費用の額」が2位。

「相続税」「専門家に手続きを依頼する費用」「相続した家の維持費」など、相続ではさまざまなお金の支払いが発生します。

現金以外の財産を相続した場合でも、原則として相続税は現金一括で支払う必要があるので、「税金を払えなかったらどうしよう」と不安になる人も多いようです。

ただ相続税には基礎控除があるので、相続財産が「3,000万円+(600万円×法定相続人の数)」以下の場合には、相続税の申告や納付は必要ありません。(2023年1月時点)

3位 手続きの難しさ

  • 流れや手続きがわかっていないこと(31歳 女性)
  • 亡くなったあとの銀行や保険などの手続き(49歳 男性)
  • 外国に住んでいる家族もいるので、手続きがスムーズにできるかどうか(56歳 女性)

3位は「手続きの難しさ」でした。

「具体的な相続手続きの手順がわからない」「亡くなった人の銀行口座からスムーズにお金を引き出せるか不安」などの声が寄せられています。

大まかな流れだけでも知っておきたい方は、相続関連の書籍で勉強したり、金融機関が主催しているセミナーなどに参加したりしてはいかがでしょうか。

最近ではオンラインで開催されているセミナーも多数あります。

4位 遺産の分割割合・方法

  • お金以外のものの財産分与(32歳 女性)
  • 分割協議が問題なくできるか(51歳 男性)
  • 遺言書による財産の分割になるのか、法定相続分による遺産分割になるのかわからない(69歳 男性)

4位は「遺産の分割割合・方法」。

とくに不動産をはじめとする「1円単位で分割できない財産」の分け方に不安を感じている人が多いとわかりました。

不動産や美術品の相続にあたっては、「誰が相続するのか」「不動産などを相続しなかった人に代償金を払うのか」「代償金はどうやって算出するのか」など、話し合うべきことがたくさんあります。

そのため不安に感じる人が多いのでしょう。

5位 遺産の全容がわからない

  • 資産がどれだけあるのかがわからない(45歳 男性)
  • 負債を隠されて相続させられること(25歳 女性)
  • 資産内容の確認、不動産の特定(56歳 男性)

5位は「遺産の全容がわからない」でした。

相続財産に含まれるものには現金・預貯金のほか、「土地・家などの不動産」「借地権や借家権」「株式などの有価証券」「自動車や宝石などの動産」「事業用財産」などがあります。

そのため「財産の種類や額が把握できていない」と不安を感じている人も。

また未払いの税金や負債も「マイナスの相続財産」となるため、「知らされていない借金があったら困る」という声も目立ちました。

被相続人の記憶力がしっかりしているうちに「引継ぎノート」や「相続ノート」などをまとめてもらえるといいですね。

6位 相続した不動産の扱い

  • 売れない土地や山などの管理(39歳 女性)
  • 田舎の土地をどうしたら良いのかが不安。限界集落にあるので売れそうにないし、私が相続しても管理できないので、今から憂鬱(41歳 女性)
  • 両親の実家が田舎の過疎地域にある。兄弟全員が実家を離れており、実家を相続する人がいないため、どう処分したらよいか考えている(51歳 男性)

6位は「相続した不動産の扱い」。

「空き家になる実家の維持管理が大変そう」「田舎の家や土地を処分したくても、売れなさそう」などの回答が寄せられています。

自分や兄弟が住むわけでもないのに、固定資産税とメンテナンス費がかかり続けるのは困りますよね。

不動産の処分に困ったら、「どうせ売れないだろう」と諦めずに、一度不動産会社などに相談するのがおすすめです。

直接土地を買い取ってくれる不動産会社もありますよ。

7位 不安はない

  • 相続に関してはすべて話がついておりますので、不安に思っていることはありません(37歳 男性)
  • 父親が相続税対策で何年にもわたって生前贈与してくれたり、生命保険などについても兄弟間で共通の認識をもたせてくれていたので、不安なことはない(41歳 女性)

7位は「不安はない」。

事前に家族・親族間で話し合っていたり被相続人がしっかり準備していたりするため、相続に関して不安はないというご家庭も。

まさに「備えあれば憂いなし」といえるでしょう。

ただ「不安はないが面倒だとは思う」という人もいました。

手続きが面倒な場合は、費用はかかりますが専門家に任せることで手間を減らせます。

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相続に関する相談は「弁護士にする」が1位

最後に、「相続の問題が生じた場合、誰に相談しますか」と聞いたところ、回答は以下のようになりました。

相続に関する相談相手

1位は「弁護士(45.0%)」で、半数近くを占めました。

2位「税理士(28.4%)」、3位「自治体(15.6%)」、4位「司法書士(8.2%)」と続きます。

全体的に、弁護士・税理士・司法書士など、専門家に相談したいという人が目立ちます。

また「農地のことならJAに相談するのがいいと聞いた」など、相続財産の種類に合わせて相談先を考えるという人もいました。

では「それぞれの相談先を選んだ理由」について、具体的な回答をもとに紹介します。

1位 弁護士

  • 専門的な知識を持っているから(28歳 女性)
  • お金を払ってでもプロに依頼した方が確実だと思うから(32歳 女性)
  • 法律の専門家に頼んで、トラブルを回避したい(49歳 女性)

1位は「弁護士」でした。

「専門家だから」「正確な対応ができ、トラブルを回避できそうだから」などの声が寄せられました。

弁護士は法律関連事務を制限なく取り扱え、相続人間のもめごとがあって裁判所での手続きが必要になったときも、正式な代理人になれます。

また相続放棄手続きの代理ができるのも、弁護士ならではといえます。

ただし司法書士などに比べて、依頼にかかる費用は高めです。

2位 税理士

  • 節税するにはどうしたらいいか、わかってないので(29歳 男性)
  • 実家が自営業で、普段から頼りにしている税理士の先生がいるから(48歳 女性)
  • 相続税の算出および納税手続きのため(57歳 男性)

「税理士」が2位。

相続税が心配な場合、相談先として税理士を思い浮かべる人が多いようです。

実際、相続税の申告は税理士しかできません。

税理士業務ができる弁護士はいますが、実務は税理士に任せることが多いようです。

また「知り合いに税理士がいる」「普段からお世話になっている税理士がいる」という人も目立ちました。

「弁護士よりも税理士のほうが身近で、相談しやすい」と感じている人も多そうです。

3位 自治体

  • 初期段階で税理士や弁護士に相談するのはハードルが高い。そのためまずは自治体に相談すると思います(30歳 女性)
  • 無料で大まかなことを教えてくれると思うので(42歳 女性)
  • たくさんの相続はないと思うし、兄弟も二人だけなので、公的な機関でよいかと思う(54歳 女性)

3位は「自治体」でした。

「弁護士や税理士に相談するのはハードルが高い」「自治体への相談なら無料だから」という回答が目立ちました。

定期的、相続の無料相談会を開催している自治体もありますね。

「自治体に相談しても解決できそうになければ、専門家に相談してみる」とステップアップするのもよい方法でしょう。

4位 司法書士

  • 弁護士よりも敷居が低そう(39歳 女性)
  • 相続登記する必要もあるし、相続全般でお世話になれると思うから(46歳 男性)
  • 以前、土地の相続でお世話になったから(58歳 女性)

4位は「司法書士」。

司法書士は不動産の名義変更(相続登記)を扱える専門家です。

そのため土地・家などを相続する場合には、司法書士も相談先の候補になるでしょう。

不動産の相続があり、「相続人間でのもめごとがない」「相続税の申告が発生しない」という場合には、司法書士だけで相続業務全般に対応できることも多いです。

相続業務全般を依頼したい場合には、相続登記以外もカバーできる司法書士を選びましょう。

5位 家族・親族

  • 外部の人を入れると時間がかかる。自分達の家のことは自分達で解決する(28歳 女性)
  • 波風たてず解決策が見つかりそうなので、相続の経験がある親族に相談します(37歳 男性)
  • 外部には出したくないから(48歳 女性)

5位は「家族・親族」でした。

相続問題を他人に相談することに抵抗を感じる人も多いのでしょう。

「最終的には専門家に相談するとしても、まずは家族・親族で話し合いたい」という人も多くなりました。

家族・親族内に法律やお金の知識をもつ人がいる場合、相談もしやすそうです。

6位 友人・知人

  • 忖度なく話せるから、相続を経験した友人に相談します(35歳 女性)
  • 専門機関に相談しない理由は「よくわからない」「料金が高い」「専門家に依頼するほどの相続でもない」。相続経験者である友人のほうが相談しやすい(49歳 男性)

6位は「友人・知人」。

「専門家に相談するのは抵抗があるし、料金も高そう」などの理由で、友人・知人に相談しようと考えている人もいます。

すでに相続を経験した友人・知人なら、リアルな体験談が聞けそうですね。

ただ、友人が経験した相続の困りごとや解決策が、必ずしも自分の相続にもあてはまるとは限りません。

専門知識をもつ友人でない限り、参考程度と考えたほうがよさそうです。

7位 ネット・SNS

  • いろんな経験をしている人がいるので、まずはTwitterなどで意見を求めると思います(38歳 女性)
  • 誰にどう相談すればいいのかさえわからないから(42歳 女性)
  • 他人に相談するとお金が必要だから。また自分で調べれば自分のスキルになるので(49歳 男性)

7位は「ネット・SNS」。

「誰に相談したらいいかわからない」「専門家に相談するとお金がかかる」などの理由で、ネット・SNSで調べてみるという人も。

幅広い意見や体験談を聞くにはいい方法かもしれません。

また「専門家や自治体に相談する前に、基礎的な知識を得たい」という場合にも役立つでしょう。

ただネットの情報には間違いもあるので、トラブルの場合、最終的には公的機関や専門家に相談するのがおすすめです。

まとめ

アンケートの結果、相続についての不安は大きく「人間関係に関する不安」「お金に関する不安」「手続きに関する不安」に分かれました。

いずれも被相続人が元気なうちから「当事者間での話し合い」「情報収集や専門家への相談」をすることによって、軽減できる不安です。

相続は「被相続人の死」と切り離せないものですので、相続人から被相続人に話を向けるのは、気が進まないかもしれません。

ただアンケートで「相続については話がついているので不安がない」という回答があったように、事前の準備が相続人の不安解消やスムーズな相続につながります。

被相続人が元気なうちに、家族間で「相続ノート・エンディングノート」や「相続に関する希望」について話し合ってみてはいかがでしょうか。

エンディングノートの書き方について詳しく知りたいという方は、終活サポートの下記記事も参考にしてください。
参考:エンディングノートとは?おすすめ使い方
監修者

坂根崇真 税理士

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秋田税理士事務所 代表税理士
一般社団法人全国第三者承継推進協会(株式会社バトンズ)理事、株式会社坂根ホールディングス 代表取締役を務める。

東北税理士会 秋田南支部133046号

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