「賃貸契約で後悔したことがある」は69.8%
賃貸契約経験のある全国の男女500人を対象にしたアンケートによると「賃貸契約で後悔したことがある」と回答した人は、500人中349人。全体の69.8%にのぼることがわかりました。
後悔の理由第1位は「騒音トラブル」
「賃貸契約で後悔したことがある」と回答した349人に理由を聞いたところ(複数選択式)、「騒音トラブルがあった(152人)」がもっとも多く、以下「設備がイマイチだった(112人)」「住民や大家の質が悪かった(100人)」「日当たりが悪かった(95人)」「水回りに問題があった(62人)」といった結果になりました。
また、この結果は男女間で比べても特に変わりなく、賃貸契約で共通する後悔(=失敗)ということがわかりました。
ここからは、これらの理由には具体的にどんな問題があったのか考えていきましょう。
第1位:騒音トラブルがあった
もっとも多かったのが、騒音トラブル。具体的には以下のようなケースが挙げられます。
- 隣や上下階の住民の生活音がうるさかった
- 家の目の前に電車が通っていた
- 入居してから近所で工事が始まった
目の前に電車が通っているケースは事前にわかりますが、隣や上下階の住民がどんな様子で生活しているかは内見だけでは中々判断できません。できる限り、昼と夜両方内見する方がよいでしょう。
また、建物の造りは鉄筋(RC)>鉄骨>木造の順番で防音性能が優れています。基本的には、騒音トラブルのリスクを抑えたい人は、鉄筋(RC)を契約するのがオススメです。
ただし、木造でも最近のハウスメーカーが建ててるものは防音性能も高い場合もあるため、あくまで基本情報として覚えておきましょう。
そのほか、意外と見落としがちなのが、単身世帯とファミリー世帯など生活リズムが違う世帯が混在してしまう事による騒音問題です。この問題を避けるには、まずは住む予定の物件の居住者(他世帯)を確認するとよいでしょう。
家賃についても、下げ過ぎるとどうしても住民の質は低下しがちな傾向にあります。リスクを下げたければ、頑張って高い家賃の物件を契約してみましょう。
第2位:設備がイマイチだった
次に多かったのが、部屋の設備に対する不満。
- 収納スペースが狭い
- エアコンのききが悪い
など、実際に暮らしてみると「思ってたのと違う」「想像していたよりも使い勝手が悪かった」という感想をもつ人も多いようです。内見時、動かせる設備はすべて動かしてみましょう。
第3位:住民や大家の質が悪かった
こちらは第1位の騒音トラブルとかぶる部分もありますが、長い期間暮らしていく上で、住民や大家、管理会社の質はとても大切です。
- 共用部の使い方が汚い
- ゴミ出しのルールが守られていない
- 住民同士の喧嘩やトラブルが絶えない
などは、住民が悪いのはもちろん、大家の管理が行き届いていない証拠でもあります。さらに、大家や管理会社の質が低ければ、トラブル時の対応も期待できません。
大家には大きく分けて「地主系」と「投資系」の2つがあり、地主系の大家は頻繁に顔を合わせる確率も高い傾向にあります。日頃から挨拶程度でもコミュニケーションをとっておくことで、トラブル時に親身になってくれるケースもあるでしょう。
第4位:日当たりが悪かった
- 日当たりが悪過ぎる
- 逆に日当たりが良過ぎて眩しい
- 夏は暑過ぎて、冬は寒過ぎる
など、日当たりに関して後悔した方も多いようです。詳しくは後述しますが、内見時だけでなく朝、昼、夜など、さまざまな時間帯で下見をおこないながら、春夏秋冬を想像してみるのがベストと言えるでしょう。
第5位:水回りに問題があった
- 水圧が弱過ぎた
- いつも排水口が下水臭い
といった水回りの問題も票を集めました。水回りに関しては、内見時に入念にチェックしておいた方が良さそうです。
一般的に水回りは臭い対策のためそのまま契約していることが多いものの、元栓を閉めているケースもあるため、そのときはどうしようもありません。
賃貸契約で後悔しないためには「昼と夜の両方で下見」と「現地で内見」
「賃貸契約で後悔したことがある」と回答した349人に「後悔しないためにやっておくべきこと」を聞いたところ、「昼と夜の両方で下見に行く(189人)」がもっとも多く、以下「現地で内見する(171人)」「契約内容をしっかり確認しておく(69人)」「前入居者の退去理由を聞く」「ない。運(43人)」といった結果になりました。
なお、こちらも後悔した理由と同じく、男女差はほぼありませんでした。
ここからは、それぞれの項目とそのポイントについてみていきましょう。
第1位:昼と夜の両方下見に行く
昼は隣や上下階の住民は仕事に出ていてるケースがほとんどです。そのため、「昼の内見時はとても静かな印象を受けたとしても、実際住んでみると夜はうるさくて眠れない」といったケースも少なくありません。
また、歓楽街の近くの物件では、昼と夜とでは周辺の雰囲気もガラっと変わってきます。両方の時間帯で内見に行くのは難しい場合は、周辺の環境だけでも時間帯によって変化がないか下見しておきましょう。
そのほか、駅やバスを使う場合は、物件までの道のりを実際に歩いてみるのもオススメです。
第2位:現地で内見する
最近はコロナ禍の影響もあり、オンライン内見ですます人も増えているようです。
しかし、オンライン内見では住民の質をある程度推測できる共用部の使用状況、水回りや部屋の匂い、物件周囲の様子などは確認できません。
できる限り現地まで足を運んで内見することが、賃貸契約で後悔しないためコツです。
第3位:契約内容をしっかり確認しておく
契約内容をしっかり読み込んでおかないと、後から損をしてしまう恐れもあります。
特に、原状回復、退去費用(償却)、解約通知の項目には入念に目を通しておいてください。
具体的には、「退去時にはどこまで原状回復をする必要があるのか」「事故などで部屋の一部が破損したときに、部屋を借りた側の過失とみなされる場合はどんな具体例があるか」などは最低限確認しておきましょう。
第4位:前入居者の退去理由を聞く
前入居者の退去理由も必ず確認しておきましょう。
転勤、結婚などであれば構いませんが、「近隣住民とのトラブル」などであれば注意が必要です。ただし、そうしたトラブルで退去した場合、その理由を不動産業者が正直に答えてくれるかはわかりません。
あくまで参考程度に留めておきましょう。
第5位:ない(運)
元も子もない意見ですが、「ない(運)」と答えられた方もいます。
現地まで足を運び、時間帯ごとに周辺状況を確認しても、後悔するリスクをゼロにすることはできません。
例えば、自分より後におかしな人が隣に入居してきたケースなどは、契約前にいくら注意しても避けることはできないでしょう。「最終的には運要素もある」ということは、割り切っておきましょう。
まとめ
入学、入社、転勤、出張など、人生の転換点において大切なポイントである賃貸契約。
ほとんどのケースで相当な額が必要となってくるため、後悔したくない、失敗したくないと考える人がほとんどでしょう。
しかし、実際は賃貸契約を結んだ経験のある人の約70%が「後悔したことがある」と答えています。そうした方々のアドバイスを参考にしつつ、「後の祭り」にならないよう、慎重に物件選びをしてみましょう。