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不動産の個人売買は宅建業法に違反する?個人売買のメリットや注意点までわかりやすく解説

不動産の個人売買は宅建業法に違反する?個人売買のメリットや注意点までわかりやすく解説 個人間売買
西岡容子司法書士
西岡容子司法書士
熊本にて夫婦で司法書士事務所を営む。10年以上の実務経験で、不動産関連登記の経験も豊富。現場での経験を活かしてユーザーのためになる確かな記事を執筆中。

おそらく、人生の中で一度か二度しか不動産を売り買いしない人が大半でしょうから、そのような人はあまり「宅建業法」を意識したことはないでしょう。

一定の条件のもとに自ら不動産の取引をしたり他人の取引の媒介や代理をしたりする場合には、「宅地建物取引業」の免許が必要とされます(条件については後述します)。

繰り返し不動産を個人売買する人は「自分は宅建業法に違反していないだろうか?」との不安を抱いたり、また、一回の取引でも「仲介業者は絶対に入れなくてはいけないのだろうか?」と疑問に思う人もいるでしょう。

宅建業法

では、宅建業法の考え方、個人売買のメリットや注意点について確認しておきましょう。

不動産の個人売買とは

では、まず不動産の個人売買とはどのようなことなのかを確認します。

概要

不動産の世界で「個人売買」と言った場合は、通常「不動産仲介業者に依頼せずに個人対個人で不動産取引をすること」という意味になります。

一般的な取引では、ほとんどの場合「仲介業者」が物件の状態や契約条件などを確認し、売主と買主に必要な準備を指示したりサポートしたりして「仲介手数料」を得ています。

ただ、売主と買主が親族だったり旧知の間柄であるなど、特殊な関係のケースを中心に個人売買が行われることもあります。

個人間の取引は宅建業に違反しないのか?

では、個人で取引することは果たして宅建業に違反していないのでしょうか?

法律違反にはならない

宅建業法の規定をまず確認してみます。

「宅地建物取引業」とみなされるのは以下の取引を「業として行う」者です。

・土地建物の売買、交換を「自ら行う」

・土地建物の売買、交換、賃借の「媒介をする」

・土地建物の売買、交換、賃借の「代理をする」

これらの「宅建業として」扱われる取引をするには、都道府県知事または国土交通大臣の免許が必要です。

個人が一度か二度マイホームの売り買いをするレベルであれば、もちろん「業として」にならないのは明らかですが、複数回の取引をする人は迷うこともあるようです。

なぜなら「業として行う」という表現に明確な基準がなく、具体的に「何回以上」「どのような目的で」といった点についても曖昧な部分が多いからです。

国土交通省が出している「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方」という文書がありますが、その中で「業として」の判断基準をこのように示しています。

取引の対象者 広く一般の者を対象に行おうとするものは事業性が高く、取引の当事者に特定の関係が認められるもの(親族や隣地所有者など)は事業性が低い。
取引の目的 利益を目的とするものは事業性が高く、特定の資金需要の充足(相続税納税資金調達など)を目的とするものは事業性が低い。
取引対象物件の
取得経緯
転売するために取得した物件の取引は事業性が高く、相続又は自ら使用するために取得した物件の取引は事業性が低い。
取引の態様 自ら購入者を募り一般消費者に直接販売しようとするものは事業性が高く、宅地建物取引業者に代理又は媒介を依頼して販売しようとするものは事業性が低い。
取引の反復継続性 反復継続的に取引を行おうとするものは事業性が高く、1回限りの取引として行おうとするものは事業性が低い。

最後の「取引の反復継続性」については特に注がつけられており、

「現在の状況のみならず、過去の行為並びに将来の行為の予定及びその蓋然性も含めて判断する

「1回の販売行為として行われるものであっても、区画割りして行う宅地の販売等複数の者に対して行われるものは反復継続的な取引に該当する

となっています。

宅建業法

要するに「過去から将来の予定までトータルで見て判断する」というものであり、結局は個人売買についても個々の事例につきケースバイケースで結論を出すしかない、ということになります。

個人売買のメリット

宅建免許が必要な「宅建業法」にあたる場合を紹介しましたが、個人売買の場合は多くがこれに該当しないため、わざわざ当事者が宅建免許を取ることなしに、つまり専門知識を持たずに取引することになります。

当事者が免許を持たず、宅建業者(仲介業者)にも一切世話にならずに個人売買すること自体は宅建業法の上では特に問題ないのですが、実質的にどのようなメリットや注意点があるのでしょうか。

まずはメリットから確認してみましょう。

金銭面

一番のメリットは「仲介手数料がかからない」ことではないでしょうか。

また、仲介手数料自体が(物件の売買金額によりますが)数十万以上など多額になるケースも多いため、それに伴う消費税もかからないことなど、諸経費の削減を考えたらかなりの削減になります。

そして、物件価格自体を自らの裁量で設定できるということもあります。

一般に告知して売り出すのであれば価格を素人が決めるというのはかなりのリスクがありますが、親族間売買など特殊事情であれば価格調整ができるのはメリットといえるのではないでしょうか。

ただし、あまりにも相場とかけ離れた価格を設定してしまうと、「みなし贈与となり贈与税が課税される可能性がある」ことは承知しておかなくてはなりません。

個人売買のメリット

個人売買の注意点

では、逆に個人売買において気をつけなければならない点を確認してみましょう。

契約不適合責任

個人売買した不動産に何か不具合があった時の責任の所在と範囲はどうなるのでしょうか?

このことを規定したのが民法・債権編の「契約不適合責任」です。
これは、2020年4月に旧規定の「瑕疵担保責任」がかなり大幅に改正されたものです。

契約不適合責任というのは、物件に「キズ、欠陥」があった時に責任について規定したものですが、
下表のように、もし双方に責めを負う理由がない場合、売主にとっては「重い」と感じられるであろう内容になっています。

買主の救済方法 買主に帰責事由 双方帰責事由なし 売主に帰責事由
損害賠償 不可 不可 可能
解除 不可 可能 可能
追完請求 不可 可能 可能
代金減額 不可 可能 可能

※法務省民事局「民法(債権関係)の改正に関する説明資料」より

このように、状況によって追及できる責任の内容が異なってくるのですが、契約不適合責任については、その責任の内容がどのようになっているか、責任の制限はできるのかということについて知識がないと自分に不利になってしまう危険性があります。

また、契約締結が法改正の前だったか後だったかにより適用される法律がどちらかが変わってきますので、内容や改正法の適用時期などについて、こちらの記事でしっかり確認しておきましょう。

「個人売買における契約不適合責任とは?注意点をわかりやすく解説」
https://wakearipro.com/sales-contract-nonconformity-liability/

住宅ローンが利用できない

「買主に現金が準備できない」場面でも個人売買は不利になってきます。

住宅ローンを利用しようとすると、銀行等の金融機関が貸付をする場合はほぼ例外なく「購入物件に抵当権を設定」して、いざ長期滞納といった事態になると物件を競売にかけて債権を回収します(自社の社員への「社内融資」などでは一部例外があります)。

つまり、債権者にとって、「信用できる物件、取引内容であるかどうか」は債権回収のための最後の砦ともいえるものです。

そのため、しっかりした宅建業者を介した取引でなければローン審査に通さないという銀行の方が圧倒的に多いでしょう。

契約書や重説の準備

売買契約書や重説(不動産業界用語で「重要事項説明書」のこと)といった契約の重大な内容を記した書面は、形だけであれば今はいくらでもインターネットなどで例が載っています。

よって、そのようなものを丸写しすれば通り一遍のものはできるのではないでしょうか。

標準的な契約書はこのようなものになります。

しかし、問題なのは形式ではなく「内容に過不足、不備がないか?」ということであり、とりわけ「特約事項」などで大切なことを記しておかなくては後で当事者間のトラブルになる場合もあります。

これは上記の契約不適合責任にもつながる点ですので、個人売買でまったくプロの不動産業者を通さない場合はとてもリスクが大きいことを理解しておかなくてはなりません。

人間関係のトラブル

不動産は高額財産の取引ですから、ちょっとした当事者の気持ちの行き違いが大きなトラブルを招くことがあります。

プロの不動産業者は取引においてどのような点がトラブルになりやすいかを経験上知っているため、未然にそれを防ぐ動きをしてくれます。

しかし、宅建業法を知らない、売買に慣れていない人のみで取引をすると思わぬ事態が起きることもあります。

親族やご近所など近い人間関係の場合はなおさら、今後の付き合いに影響が出るレベルの感情のこじれは極力避けたいものです。

個人売買のデメリット

個人売買と仲介はどちらが得策?

では、結局のところ、個人売買と仲介業者を通した取引のどちらを選択するのが得策なのでしょうか?

言うまでもありませんが、不動産は数千万円レベルの人生最大ともいえる取引でしょう。

よって、失敗、トラブルを極力避けられる手段があればそれを選択するべきです。

仲介業者を挟んだ取引がおすすめ

個人売買するか、仲介業者を依頼するかのどちらかをおすすめするのであれば断然後者です。

宅建業法や税金など専門知識を持つ人にきちんとした売買契約書、重要事項説明書などを作成してもらうのは「契約内容の誤解によるトラブル」や「契約不適合責任」を回避する意味でも大切なことです。

また、契約から代金決済までの間にするべき事務手続きは非常に多く煩雑です。

買主の住宅ローン手続きや売主の抵当権抹消手続きなど、特に金融機関が絡むものは稟議等の関係で日程がタイトなこともあります。

買主が「あらかじめ決めた決済日に引渡しを受けなければ困る(リフォーム業者との契約など様々な都合上)」というケースも多く、その日に間に合うように仲介業者に確実にサポートしてもらうことが必要なのです。

また、予期せぬトラブル発生の際に対処方法の知識、選択肢を持っているという意味でも、業者に依頼していることは非常に心強いものです。

もちろん、普通の人からすると数十万円以上もの報酬は安いものではありませんが、それ以上に

「確実に手続きを終えることで、取引の相手に迷惑をかけない」

「お互いに後々のトラブルになるような状況を回避する」

ことの方が大切なのは言うまでもありません。

仲介業者を挟んだ取引がおすすめ

個人売買や仲介以外の選択肢

売却の方法として、個人の買主を探す他には「専門の買取業者」を利用するというものがあります。

業者に直接買い取ってもらうことのメリットとしては

「売却までの期間が短い」

「何らかの問題を抱える物件でも取り扱ってくれる業者があるため、売れるかどうかを心配しなくてよい」

「周囲に知られずに売ることができる」

ということです。

一般の人に売却する相場よりも安くなってしまうという点は否めないのですが、それ以上に素早く売ることができるメリットは大きなものといえますので選択肢の一つに入れてみてはいかがでしょうか。

まとめ

・個人が1、2回不動産売買することは「業としての売買」に当たらないため宅建免許は必要ないが、反復継続して、営利目的で売る場合などは業にあたることがあり、明確な回数などの基準がない。

・仲介業者を介さずに「業にあたらない」取引すること宅建業法の上では問題ないものの、契約内容や手続きの点で後からトラブルになることがあるため、手数料はかかるもののやはり専門知識を持つ業者に依頼することが望ましい。

・素早く確実に不動産を売却したい人には「不動産買取業者」に直接売却するという方法もある。

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