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契約書が無い場合、底地・借地契約や売却はできるのかわかりやすく解説

契約書が無い場合、底地・借地契約や売却はできるのかわかりやすく解説底地
西岡容子司法書士
西岡容子司法書士
熊本にて夫婦で司法書士事務所を営む。10年以上の実務経験で、不動産関連登記の経験も豊富。現場での経験を活かしてユーザーのためになる確かな記事を執筆中。

不動産の本などを読んでいると、「底地」「借地」という言葉がしばしば出てきます。

これらは大まかに言えば土地の権利の貸し借りに関する用語なのですが、これらについては現在の法律ではさまざまな借り方の形態がありますので、それぞれの特徴を理解しておきたいものです。

また、底地や借地のような「貸し借りに関する権利」を取引しようとした場合、きちんと契約書を作らなければならないのか?といった点も確認してみましょう。

借地権の買取についてはこちら

底地買取りでローンを組むには?

借地・底地とは?

そもそも借地や底地とはどのような意味なのでしょうか。

借地・底地

借地

「借地」とは読んで字の如く「(自分以外という意味での)他者から借りている土地」のことです。

別の言い方をすると、「借りている土地を借主側から見た呼称」であるといえます。

借地権において借りる人と貸す人は別人であることが前提ですが、例外的に「自分が所有する土地の上に自分と他者共有名義」の建物を所有するなどの「自己借地権」という例外的状況もあります。

底地

それに対し、「底地」とは他者に貸している(つまり他者の権利が付着している)土地を指します。

結局、借地と同じ土地ではあるものの、「貸している土地を貸主(所有権者)側から見た呼称」ということです。

借地権の種類

土地を借りる権利を規定している法律にはまず「民法」があります。

しかし、民法の規定だけを適用して借地権をつけると、当事者にとって不都合なケースも出てきます。

法律には民法のような「一般法」と、その中でもさらに狭い範囲のケースで適用されることを想定した「特別法」がありますが、両方がかぶっている場合は特別法が優先されることになります。

借地や借家契約を結ぶ場合には特別法として「借地借家法」があるためそちらが適用されます。

借地借家法上の借地権は、建物の所有を目的とする地上権又は土地の賃借権に適用されます(借地借家法第2条1号)。

では、借地借家法で定められている借地権の種類を確認してみましょう。

全体像としてはこのようになります。

では、これらの概要を説明します。

普通借地権

普通借地権とは、後述する定期借地権とは異なって、正当事由制度の適用を受け、契約の更新(法定更新)ができるものをいいます。

※正当事由制度・・貸主が、正当な事由がなければ借主に対して契約更新を拒絶することができないという借地借家法上のルール。

普通借地権の存続期間は30年とされます法定存続期間)。

しかし当事者の合意があれば30年以上の期間を定めることもできます借地借家法第3条)

普通借地権

定期借地権

普通借地権においてネックになるのは、「貸主側が、一定の期間後に借主に出ていってほしいと思っていてもなかなか更新を拒絶しづらい」という点ですが、定期借地権では存続期間を超えたら契約更新がありません。

そこで「ある時期までは借主から地代をもらって活用したいが、決められた期間が過ぎたら確実に土地を返して欲しい」という場合には、定期借地権を利用すれば確実に契約を終了させるという貸主の目的を達成することができます。

また、借主側にもメリットがあります。

東京23区などの地価が高いエリアでのマンション購入では、なかなか物件価格が高くて手が出ないということが多いのですが、マンションの敷地を利用する権利を定期借地権にすることで価格を抑えることができるのです。
(ただ、メリットだけではなく、定期借地権だと住宅ローンが組みにくかったり、売却を希望した時になかなか売れないなどのデメリットもあることに注意が必要です。

定期借地権

では定期借地権の「一般定期借地権」「事業用定期借地権」「建物譲渡特約付借地権」という3つの種類それぞれの特徴を見てみましょう。

一般定期借地権

一般定期借地権とは、借地権の存続期間において50年以上の一定期間を定めて借地契約をする場合において

・契約の更新がない
・建物の築造による存続期間の延長がない
・期間満了時に借地人が借地権設定者に建物買取請求をしないという特約

がされている契約です。

これらを必ず「公正証書等(必ずしも公正証書でなくてもよい)」で行わなくてはなりません。

従来、借地権を設定してしまうとなかなか土地を返してもらえず、そのため地主が土地を貸し渋る傾向があったのですが、それが解消できることになります。

また、一定期間の利用さえできれば目的が達成できるという借主のニーズも満たせるため、借地権がより柔軟に利用できるように作られた規定といえます。

一般定期借地権

事業用定期借地権

事業用定期借地権はもっぱら事業のために使う建物の所有を目的とする借地権のことです。

存続期間を30年以上50年未満として借地権を設定する場合において

・契約の更新がない
・建物の築造による存続期間の延長がない
・期間満了時に借地人が借地権設定者に建物買取請求をしないという特約

がされている契約です。

なお、契約期間が10年以上30年未満のものについては必ずこの特約が必要となります。

事業用定期借地権は「公正証書」で行わなくてはなりません。

事業用定期借地権を利用すると、地主自らがリスクを負って事業を行わなくても地代の収入を得られるというメリットがあります。

建物譲渡特約付借地権

建物譲渡特約付借地権とは、借地契約をする場合において借地権を消滅させるため、借地権設定後30年以上を経過した日に借地上の建物を借地権設定者に相当の対価で譲渡する特約(建物譲渡特約)をした契約のことです。

契約の方式は、特に決まったものはありません。

この借地権が想定しているものは、

・ディベロッパーが借地上に建てたマンション等を「借地付き」で分譲し、決まった期間が経過したら土地所有者が建物を買い取る

といったケースです。

契約書なしで借地契約や売却はできる?

各契約形態の解説でも少し触れましたが、借地契約を締結することに形式上の決まりはあるのでしょうか?

極端に言えば「契約書なし」でも法的に問題ないのかどうかを考えてみましょう。

契約書無しでも契約・売却は有効

これは民法の最も基本なのですが、私人間の「契約」という行為は契約書なしで法律上、有効に成立します。

つまり、普通の借地権については契約書なし、当事者の合意で成立することになります。

例えば売買の場合は「売りましょう」「買いましょう」という意思表示のみで成立していることになるので、スーパーマーケットでの買い物等も一種の「売買契約」ということになります。

合意のみで合法

 

ただ、個人間ならともかく、会社同士が一定以上の金額の取引を口頭で行うことはほぼないでしょう。

なぜなら「契約書」がないと何らかのトラブルの際に裁判等で「立証」することができなくなるからです(契約金額や支払時期、契約内容に違反した場合のペナルティなど)。

そのような意味で契約書はどちらかと言えば証拠を確保し、トラブルの防止や解決のためにあると言ってもよいのではないでしょうか。

ただし、上記で触れた「一般定期借地権」については公正証書等の書面、「事業用定期借地権」については公正証書で契約しなくてはならない、という借地借家法上の規定があります。

借地契約書が無い場合の売却

では、借地契約を最初に「口頭で」行ってしまっている場合に底地の売却(オーナーチェンジ)をする場合には何に気をつけたらよいのでしょうか。

二つの準備が必要

まず、地主側が準備しておかなくてはならない点です。

土地の売主(従来のオーナー)が例えば1年分の賃料を先に受け取っている場合に、土地の買主(新しいオーナー)に対してその分を精算しなくてはなりませんから、領収書が必要です。

また、新しいオーナーは借主に対して自分が土地を買ったことを通知して賃料の振込先などの情報を伝えなければりません。

次に、オーナーチェンジがわかったら借主側が確認または準備しておかなければならないのは「対抗要件の取得」です。
対抗要件というのは、それを持っていれば他人に対して自分の権利を主張することができるというものです。

借地契約書が無い場合

 

借地権(賃借権)というのは、本来は債権ですので「所有権」や「抵当権」のような物件とは違う性質を持っていますが、例外的に対抗要件としての登記ができることになっています。

ただし、実務的に賃借権が登記されている事例はそう多くありません。

借地権の場合は土地に賃借権の登記をつけなくても、借地の上に「登記された建物」を所有していれば新しいオーナーに対しても借地権の存在を主張(対抗)することができますので、借主側としては建物登記をきちんとしておくことが大切です。

ここで、「建物の登記」について問題になりやすい事例を考えてみます。

・所有者についての登記は通常「表題部所有者」を入れた後で「権利部(甲区)」に所有者を入れる形になるが、表題部所有者のみ登記された状態であっても対抗要件を取得したものとされる。

実際に建物を使用(=土地を賃借)している人と建物の登記名義人が異なると、いざ裁判等になった時に対抗要件を備えていることを主張できなくなることがある。

例えば、所有者が死亡しているのに相続登記をしていなかった、親から子に贈与されたが名義を変えていなかった場合などに注意が必要です。

契約は必ず書面で交わす

上記のように、口頭で契約を行うこともできますが、やはり書面にしないことの一番のリスクは「トラブルが発生した時」です。

契約書なしの借地契約はリスクが大きい

実務でもよくあるのが、「先代はこのように言っていた」など、相続人が親から聞いていた話を契約相手に言っても、相手方は内容的に違う認識でいた、というものです。

相続人とは言ってもやはり契約者本人ではないため、はっきりしたことは言えないわけですし、そこで相手方との信頼関係がなくなってしまえば後々契約を継続することが難しくなります。

また、契約者本人であっても契約当時から年数が経っていて自分が言ったことを忘れている可能性もあります。

言った言わないのトラブルになることを防ぐためにも、最初から書面での契約を心がける、また、すでに口頭で契約してしまった場合は新たに契約内容を確認しつつ書面を作るなど、極力リスクを回避する工夫をすることが大切です。

契約は必ず書面で交わす

まとめ

・借地借家法で他人の土地を借りる権利としては「普通借地権」「一般定期借地権」「事業用定期借地権」「建物譲渡特約付借地権」があるが、定期借地権を使えば地主が確実に一定期間経過後、土地を返してもらえるというメリットがある。

・賃借権は土地への登記で対抗要件を取得することができるが、借地の上に登記した建物を持つことによっても対抗力となり、この場合には実際の賃借人(使用者)と建物の登記名義人を一致させておくことを忘れないようにする。

・契約書なしでも口頭で契約を有効に成立させることはできるが、書面がないとトラブルが起きた時に自分の権利を証明できないことにもつながるため、できる限り契約書を作ることが大切である。

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