底地の売却価格は更地価格より安い
底地の買取相場は更地価格の約10%と非常に安く設定されています。その理由は、底地の権利関係が複雑で取引が難航しやすいためです。
例えば、下記のような底地のトラブルが発生します。
底地のトラブル
- 地代が滞納されてしまう
- 借地人が権利を相続して権利関係が複雑になってしまう
- 立ち退きを求めても、借地人が同意してくれない
トラブルに巻き込まれないように借地権者に立ち退きを求めても、正当な事由がなければ、立ち退きは認められません。借地契約上、借地権者の権利が保護されているからです。
底地は権利関係が複雑で買取希望者が少ないため、売却価格が想像以上に安くなります。お客様がお持ちの底地はいくらで売れるのでしょうか?実際に、売却価格がいくらになるかを調べてみましょう。
底地の売却価格を調べる方法
底地の売却価格の計算式は「土地評価額×(1-借地権割合)」です。
路線価から土地評価額を計算する
土地評価額は「路線価×土地面積(㎡)×奥行価格補正率」で計算します。
1.国税庁の路線価マップから「路線価」を調べる
国税庁の路線価マップでは、底地に接する道路に「140D」と記載されています。路線価の単位は1,000円です。そのため、上記の底地の路線価は「140×1,000円=140,000円…①」となります。
2.横幅と縦幅から「土地面積」を調べる
土地面積は横幅×縦幅で計算できます。上記の土地面積は「16m×30m=480㎡…②」となります。
3.奥行価格補正率表から「奥行価格補正率」を調べる
参照元:国税庁:奥行価格補正率表
土地は道路から離れているほど利便性が劣ります。そのため、土地の奥行きに応じた奥行価格補正率を掛けます。奥行価格補正率は国税庁の奥行価格補正率表を参考にしてください。
今回の例題の奥行価格補正率は「0.95…③」であることが分かります。
4.土地評価額を計算する
土地評価額は「路線価×土地面積(㎡)×奥行価格補正率」で計算します。
「①140,000円×②480㎡×③0.95=6,384万円」
したがって、例題の土地評価額は6,384万円…④となります。
「土地評価額×借地権割合」で借地権評価額を求める
路線価には「140D」とアルファベットが記載されています。これらは借地権割合を示しており、記号に応じて借地権割合が異なります。
記号 | 借地割合 |
---|---|
A | 90% |
B | 80% |
C | 70% |
D | 60% |
E | 50% |
F | 40% |
G | 30% |
例題の借地権評価額は、6,384万円×60%=3,830万円…⑤
「土地評価額-借地権評価額」で底地評価額を求める
例題の底地評価額は、④6,384万円-⑤3,830万円=2,553万円となります。
底地の売却価格を計算してきましたが、実際はもう少し安くなることがあります。その理由は、底地は権利関係が複雑で自由に扱えず、買主がなかなか現れないからです。そのため、算出した売却価格は参考程度にしてください。
借地人に売る場合は更地価格の50%が売却価格
借地人に対して更地価格の50%で売却できる理由は、借地人が底地を購入すると、土地の権利を単独で所有できるためです。
借地人が土地も所有すれば、借地人は地主の承諾なく自由に土地活用ができます。例えば、建替行為や増築工事、土地の売却や賃貸経営などができるようになります。
借地人である以上は、地主の承諾なく土地活用ができません。しかし、底地を購入して土地所有者になれば、自由に土地活用ができるようになります。
このような利点があるため、借地人に底地を売れば更地価格の50%程度で買い取ってもらえるのです。
第三者に売却する場合は更地価格の10%が売却価格
不動産買取業者や投資家に売ると売却価格が安くなる理由は、借地権が付いた底地を購入しても土地活用できないからです。また、空室リスクの心配はありませんが、理想通りの地代収益が得られるとは限りません。
例えば、
- 借地人が地代の支払いを滞納してしまう
- 都市計画税や固定資産税を支払うと収益が見込めなくなる
などにより地代収益が理想よりも低くなる恐れがあります。
このような権利関係が複雑で、理想の地代収益が得られるか分からない底地を買いたがる第三者は多くはありません。そのため、第三者に底地を売ると更地価格の10%程度の売却価格となってしまいます。
底地の買取相場は取引相手により変わる
底地は「借地人」「不動産会社」「第三者(投資家)」に買取ってもらえますが、「誰に」「どのような方法」で底地を買取してもらうかで売却価格が変わります。そのため、取り引き相手別に異なる売却方法を確認しておきましょう。
借地人に売る場合
底地を高く売りたい方は借地人を第一候補者に考えましょう。
借地人に底地を買い取ってもらえれば、更地価格の50%程度で売却できます。その理由は、借地人が土地所有者になれば土地活用の自由度が増すからです。
例えば、従来は建替工事や増築工事をしたい場合に、地主の承諾が必要でしたが底地を買い取る事で承諾なく行えるようになります。また、建物と土地を一緒に売却することで市場価格で売却することも可能です。このような土地活用の幅が広がるため、借地人は底地を高く買い取ってくれます。
交渉タイミングを見極める
借地人に底地を売却する場合は交渉タイミングを見極めてください。
最適なタイミングは建て替えや増築工事をするときです。なぜなら、改築工事を希望する借地人は建物を子世帯に引き継ぐことを検討しているからです。
子世帯に引き継ぐ際に、借地権など複雑な権利関係を解決したいと願う相続人が多いため、このタイミングで底地の買取の相談をすれば応じてもらいやすいです。
買取業者に売る場合
底地の売却で労力をかけたくない場合は、底地専門の買取業者へ相談してください。底地専門の買取業者であれば交渉が必要なく、即現金化してくれるためです。
底地専門の買取業者は、買取した底地を借地人や第三者に売って利益を得ています。そのため、買取金額は10%程度になりますが、速やかに底地を買い取ってもらえるのです。
不動産買取業者に底地を売る場合は、以下のポイントを押さえて高く買い取ってもらいましょう。
複数の不動産買取業者に査定を依頼して競わせる
不動産買取業者へ底地を売る場合は、最初から1社に絞り込んではいけません。その理由は、不動産買取業者に応じて査定金額は異なるからです。
安い金額を提示してくれる不動産買取業者に底地を売ると、損をしてしまいかねません。そのため、複数の不動産会社に査定依頼して価格を競わせることで相場を把握することができます。
相場を理解しておく事で、査定額や条件を比べ買取金額が高く条件の良い業者へ底地を売却できます。
底地の買取実績が豊富な不動産買取業者を選ぶ
底地の買取実績が豊富な不動産買取業者は、借地人と交渉したり、第三者に売るためのネットワークを豊富に保有していたりします。
複雑な権利など訳あり物件の再利用方法などの知識を持っているため、一般の不動産買取業者と比較して高く底地を買い取ることができるのです。
底地の買取実績を豊富に持つ不動産買取業者は少ないですが、この記事の最後に業者をご紹介しています。ぜひ、参考にしてみてください。
借地権の種類が定期借地権の場合は契約満了まで待つ
底地の借地権は「普通借地権」と「定期借地権」の2つに分類できます。
1.普通借地権
土地賃貸借契約書の期間満了時に、借地権の更新ができます。借地契約上では、借地人の権利が強く守られており、地主から契約の更新拒絶ができません。
正当な理由がない限り、土地を利用する権利を取り返せないため、普通借地権の場合は査定価格が低くなります。
2.定期借地権
土地賃貸借契約書の期間満了時に、借地権の更新ができません。地主は契約期間満了時に土地を利用する権利を取り返せて土地所有権を一本化できます。
土地所有者となれば更地価格で売却ができます。そのため、定期借地権の底地を少しでも高く売りたい場合は、契約満了時まで売却するのを控えましょう。
第三者に売る場合
地代収益を目的とした投資家に売っても、購入者は借地権の関係上、土地を自由に利用できません。その関係で底地を買いたがる投資家は少ないですが、地代収益の利回りが高ければ買取してもらいやすくなります。
その理由は、賃貸住宅のような空室リスクの心配が必要ないからです。投資シミュレーション表を作成して、安定的に理想の地代収益が得られることを説明すれば、投資家に底地を買い取ってもらいやすくなります。
底地の買取相場に影響を与える3つの要因
底地の買取相場を説明してきましたが、土地条件、共有状態、利回りに応じて変動します。
買取相場の結果に一喜一憂しないように、影響が出る要因について学んでおきましょう。
土地条件
底地でも「再建築不可」と法律で定められていれば、買取相場が下がります。
再建築不可とは、法律で決められた接道義務(4m以上の幅員道路に2m以上接していなければいけない)を満たしていない土地を指します。
再建築不可の土地と定められている場合は、建替工事や解体工事はできません。そのため、再建築不可の土地を購入しても活用法は限られてしまい、買取相場が下がってしまいます。
共有状態
共有名義の底地を所有している方も注意が必要です。共有持分とは、底地を複数の人で所有している状態をいいます。
共有持分として底地を所有している場合は共有者との制限行為に従わなければいけません。
- 底地の利用:過半数の同意が必要
- 底地の処分:全員の同意が必要
したがって、底地の売却をしたい場合は、共有名義の方から同意を得なければいけません。
共有持分の権利を第三者に売却できますが、他の共有者とのトラブルに警戒する方が多く、購入希望者は少ないです。そのため、共有持分の底地は人気がなく売却価格が下がります。
利回り
底地の購入目的は定期的な地代を得るためです。しかし、地代が安く理想の利回りが得られない底地は購入してもらえません。
底地を所有すると、都市計画税や固定資産税を支払う義務が生じます。これらの税金を支払うと収益が見込めないというケースも多いです。このような利回りが出ない底地の買取相場も低くなります。
底地の査定・買取依頼におすすめの不動産会社3選
お持ちの底地を少しでも高く売りたい場合は、底地の実績を豊富に持つ買取業者に相談しましょう。
数少ない底地の買取業者の中でも、下記3つの買取業者がおすすめです。
それぞれの不動産買取業者の特徴を詳しく解説します。
要望を叶える提案力を持つ「Alba Link」
高い顧客満足度を実現できている理由は、底地に関する法律知識や運用方法を持っており、借地・底地トラブルにも対応できます。独自の販売経路を保有しているので底地のが買取も可能です。
お客様の要望を叶える提案力が魅力となっているため、底地を所有すべきか?売却すべきか?とお悩みの方におすすめの買取業者です。
即現金化を得意とする「NSアセットマネジメント」
ソクガイが実現できる理由は、不動産コンサルティング事業を中心にしているからです。同社は定期的に不動産コンサルティングセミナーを実施しており、不動産の購入希望者にお会いしています。
セミナー参加者へ底地を紹介できるため、ソクガイが実現できるのです。そのため、底地の買取先を早期に見つけて売却したいとお考えの方におすすめの不動産会社です。
上場企業で高い信頼度を誇る「サンセイランディック」
全国の訳あり物件の相談を受け付けており、底地に関しては3,800件以上の買取実績を持ちます。
底地に関しては、土地と借地権を1つにまとめあげ、不動産本来の価値が取り戻せるように交渉することを得意としています。そのため、上場企業で信頼ができる不動産会社を通して、借地人と交渉してみたいという方におすすめの不動産会社です。
まとめ
底地の売却価格は路線価と底地割合を使用して調べることができます。第三者に売却する場合は更地価格の約10%、借地人に売却する場合は更地価格の約50%です。
しかし、土地条件や共有状態、利回りにより買取相場は変動するので注意してください。具体的な売却価格を知りたい方は底地専門の買取業者に相談してみてはどうでしょうか。
複数の買取業者に査定依頼することで、所有する底地の買取相場が具体的に分かります。
売却を検討しているなら査定依頼へ申し込み買取価格を確認してみましょう。基本的に査定はどの買取業者も無料です。実績がある買取業者へ査定を依頼する事で、納得のいく査定額を確認できるでしょう。
「Alba Link」でも、底地の査定依頼を受け付けていますので、お気軽にご相談してください。