不動産の個人売買で住宅ローンを組める?ポイントをわかりやすく解説

不動産売却
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不動産仲介会社を通さずに「個人売買」する場合、住宅ローンを組めるのでしょうか?

実は個人間売買では多くの金融機関が住宅ローンの審査に通してくれません。
とはいえ「住宅ローンを利用できないと購入資金を払えない」方も多いでしょう。

この記事では個人間売買で住宅ローンを組みにくい理由やローンを利用する方法、個人間売買のリスクについて解説します。

これから個人売買で不動産を購入しようとしている方は、ぜひ参考にしてみてください。

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監修者
元弁護士福谷陽子

元弁護士福谷陽子

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京都大学在学中に司法試験に合格し、不動産トラブル、多重債務、離婚問題や交通事故、相続などの案件を担当し、自身で弁護士事務所を運営。その後体調不良により弁護士事務所を一時閉鎖し、現在は10年間の弁護士経験を元に執筆に専念。

個人間売買とは

不動産の個人間売買(個人売買)とは、不動産会社を入れずに、売主と買主が個人的に不動産を売買することです。

個人間売買

不動産の取引を行う際、多くの方が不動産仲介会社を入れて取引をするでしょう。
その方が安心ですし、そもそも仲介会社に依頼しないと「取引相手を見つけられない」ためです。

ただ、仲介会社を入れるとどうしても高額な「仲介手数料」が発生するデメリットがあります。

たまたま知り合いや親戚と取引できるなら、仲介会社を入れて売主を探してもらう必要もありません。

そこで親族間取引などの場合、不動産会社を入れずに個人間で売買するケースがまれに存在するのです。

もちろん個人間売買は違法ではありません。

個人間売買で住宅ローンは組める?

個人間売買するケースでも、購入代金は住宅ローンを利用して支払いたい方が多いでしょう。
住宅の購入資金は数千万円単位など、高額になるケースがほとんどだからです。

では個人間売買でも住宅ローン審査に通るのでしょうか?

実は個人間取引を前提に銀行などの金融機関に行って融資を申し込んでも、断られるケースがほとんどです。

高収入な方、不動産自身の価値が高い場合であっても同じです。

「個人間売買」というだけで審査に落とされてしまうので注意しましょう。

以下で「なぜ個人間売買では住宅ローンを利用できないのか」説明します。

ローン審査では重要事項説明書が必要

1つめの理由は、住宅ローン審査に通るには「重要事項説明書」を要求されるためです。

重要事項説明書

 

重要事項説明書とは、不動産取引の内容や不動産の設備、制限などの事項について、宅地建物取引士がユーザーへ説明するための書面です。

重要事項説明書がないと、金融機関としては物件の概要やリスクを把握できません。

不動産価値を適正に見定められないので、そもそも住宅ローン審査を行うことすら難しくなってしまいます。

法律上、重要事項説明書を作成してユーザーへ内容を説明できるのは「宅地建物取引士」という有資格者のみです。

個人が勝手に作成してはなりません。

個人間売買では重要事項説明書の入手が難しいので、そもそも住宅ローン審査にまわしてもらうことすらできず、入り口時点で拒絶されてしまいます。

重要事項説明書

不正取引のリスク

個人間売買で住宅ローンを利用しにくい理由の2つ目は、「不正取引のリスク」です。

たとえば「税金逃れ」「破産時の財産隠し」「詐欺」など、個人間売買はさまざまな不正取引に用いられやすい問題があります。

問題のある取引で買主に住宅ローンを貸し付けたとなると、銀行も不正に加担したことになって重大なトラブルに巻き込まれ、信用問題に関わるでしょう。

銀行は「個人間売買」には関わりたくないと考えます。

他の目的へ流用されるリスク

住宅ローンの金利は一般のフリーローンなどよりかなり低くなっており、借入可能額が高額です。

人によっては結託して住宅ローンを借り入れ、別目的に流用する可能性が懸念されるでしょう。

たとえば事業資金や子どもの教育資金などに使われる可能性もあります。

トラブルに巻き込まれるリスク

個人間売買では、不動産会社を間に入れた取引よりも「後日のトラブルリスク」が高まります。

・ 詐欺
・ 契約書の不備
・不動産の欠陥
・ 行政上の規制を見逃していた

買い主と売り主との間でトラブルが発生すると、代金不払いや解除、取消などの問題が起こり、「住宅ローンの不払い」にもつながります。

銀行側へもトラブルが波及してくるのです。

トラブルリスク

 

こういったリスクがあるので、銀行は個人間売買への関与を敬遠する傾向があります。

すべての金融機関で100%、住宅ローンを組めないとは言い切れません。

しかし現実にはほとんどのケースで住宅ローンを利用できないと考えましょう。

住宅ローン減税の「特定取得」にならない

仮に住宅ローンを利用できる金融機関が見つかったとしても、個人間売買の場合には住宅ローン減税制度における「特定取得」になりません。

税制上、不利になる可能性があるので注意しましょう。

特定取得とは

特定取得とは、住宅ローン減税に適用される特例制度の1種です。

目的は「消費税増税」による国民への負担を軽減すること。
日本において消費税はもともと5%でしたが、近年8%に上がり、さらに10%まで増税されました。

増税すると、消費の落ち込みが懸念されるでしょう。

そこで政府は「増税後に消費税を払って不動産を購入した場合、税制優遇制度を適用する」と定めたのです。

そのための具体的な制度が「特定取得」制度となります。

特定取得とは

特定取得制度が適用されると、住宅ローン減税の限度額が年間40万円(認定住宅の場合には年間50万円)となります。
一般の場合には年間20万円(認定住宅の場合には年間30万円)なので減税額が倍になる計算です。

また一般の場合、住宅ローン減税の適用期間は10年ですが、特定取得の場合には13年まで延長できます(ただし2020年12月31日までに住宅を取得した場合)。

このように、特定取得になると住宅ローン減税の内容が大きく拡充されます。

税金が長期にわたってたくさん減額されるので、多大なメリットを受けられるでしょう。

特定取得

個人間売買は特定取得には該当しない

住宅ローン減税の特定取得には「8%または10%の住宅ローンを払って不動産を購入した」ことが必要です。

個人間売買の場合、消費税はかからないので特定取得になりません。

住宅ローン減税の限度額は年間20万円が限度となり、住宅ローン減税の適用期間も10年までとされます。

このように、個人間売買で住宅を取引すると、税金面でもメリットが小さくなる可能性があるといえます。

個人間売買は住宅ローン以外にもリスクが多い

個人間売買をすると、住宅ローン以外の点でもいろいろなリスクが発生します。

贈与税がかかる可能性

不動産を売買した場合、基本的には「贈与」ではないので「贈与税」はかかりません。

しかし親族間で不動産売買をすると「みなし贈与」と判断されて課税される可能性があるので注意が必要です。

みなし贈与とは、形式的に売買であっても実質的に贈与とみなして贈与税を課税することです。
不動産の「適正価格」より低い金額で売買すると、適正価額との差額を贈与したとみなされてしまいます。

たとえば2,000万円の価値のある不動産を1,000万円で売却したら、1,000万円を贈与したのと同じ計算になるでしょう。

受贈者に1,000万円に対する贈与税がかかるのです。

贈与税がかかる可能性

個人間売買で「適正価格」を意識しないと、予想外の税金がかかる可能性があるので注意してください。

親族間売買の適正価格は市場相場の80%!贈与税を課されないための注意点
親族間で不動産を取引する、通称「親族間売買」は法的に全く問題ありません。ただ取引価格が極端に安価な場合は「売買」ではなく「贈与」とみなされて、贈与税の対象となってしまいます。この記事では親族間売買の適正価格と取引前に知っておくべき注意点を余すことなく解説します。

 

人間関係に亀裂が入るリスク

個人間で不動産売買を行うと、さまざまなトラブルが発生しやすい傾向があります。

・不動産に欠陥があった
・代金をきちんと払ってもらえない
・売買代金が相場より高すぎた、低すぎた
・登記をしてもらえなかったので、売主のもとに固定資産税の請求書が届いた

人間関係に亀裂が入るリスク

こういったトラブルが起こると、人間関係にも亀裂が入ってしまうでしょう。
個人間売買をきっかけに親族付き合いがなくなったり、信頼関係が失われたりするリスクがあります。

契約不適合責任に問われる可能性がある

不動産に欠陥があると、買主は売主へ「契約不適合責任」を追及できます。
具体的には以下のような請求が可能です。

・修補請求
・代替物の請求
・ 代金減額請求
・ 解除
・損害賠償

個人間取引では不動産仲介会社がチェックしないので、どうしても欠陥や不備が見逃される可能性が高くなります。

取引完了後、買主が売主に責任追及を行ってトラブルになるリスクが高くなってしまうでしょう。

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個人間売買で住宅ローンを通すには?

個人間売買で「どうしても住宅ローンを利用したい」場合、以下の方法があります。

書類作成のみ不動産会社に依頼する

住宅ローンを利用するには、基本的に「重要事項説明書」が必要です。
しかし素人では重要事項説明書を作成できません。

そこで書類の作成のみ、不動産会社に依頼する方法があります。
取引条件などはすべて自分たちで取り決めて、重要事項説明書の作成だけを宅建業者にお願いするのです。

不動産会社の対応業務は書類作成だけなので、通常の仲介手数料よりは大きく値引きしてもらえる可能性もあるでしょう。

書類作成のみ不動産会社に依頼

ただ、こうした条件で仕事を引き受けてくれる不動産会社を探すのは簡単ではありません。

いきなり大手不動産会社に「書類だけ作成してください!」と言っても断られるか、正規の金額で仲介手数料を請求されるでしょう。

知り合いを通じて地元の親切な不動産会社を紹介してもらえる場合などには、この方法を利用できる可能性があります。

重要事項説明書が不要なローンを利用する

2つ目は「重要事項説明書が不要なローン」を利用する方法です。
住宅ローンでは重要事項説明書が必要ですが、すべてのローンで要求されるわけではありません。

・貸金業者(ノンバンク)のフリーローン、不動産担保ローン
・金融機関の投資用不動産のローン

こういったものであれば、重要事項説明書が不要なものもあります。

ノンバンク

高金利に注意!

ただし重要事項説明書が不要なローンを利用する際には「金利」に注意してください。
投資用不動産のローンは、一般の住宅ローンと比べて金利が高くなっているのが通常です。

一般の住宅ローンの場合には年利1%未満になるのが相場ですが、投資用不動産の場合には4%以上になるケースも少なくありません。

一般の貸金業者のフリーローンや不動産担保ローンには、年利8%以上のものもざらにあります。

金利が高いと返済が困難になるリスクが高まるので、あまりお勧めしません。

住宅ローンは高額なので、支払えなくなったらたちまち「自己破産」になってしまう可能性もあります。

個人間売買で、無理に金利の高いローンを利用するのは危険です。

どうしても個人間で取引を行いたいなら、ローンを利用せず一括で代金を払えるケースに限定しましょう。

不動産を売買する場合は不動産会社を間に挟んで取引を

不動産を売買するときには、不動産会社を間に挟んで取引する方が、結果的にメリットが大きくなります。

住宅ローンを利用できる

1つ目のメリットは、住宅ローンを利用できることです。

高額な購入資金を用意できなくても、低金利な住宅ローンを利用すればスムーズに決済まで持ち込めるでしょう。

トラブルを避けられる

個人間取引では、さまざまなトラブル発生のリスクが高まります。

・欠陥住宅
・不適正な価格設定
・建築基準法による制限や道路制限に気づかなかった
・代金不払い
・登記してもらえない
・対応してもらおうとしても音信不通になった

きちんと不動産会社を通していれば、契約時にしっかり調査を行って重要事項説明を受けられる、トラブルを大きく軽減できるでしょう。

手間を省ける

不動産売買の際、自分たちで対応するとさまざまな手続きに対応しなければなりません。

・ 手付金のやり取り
・領収証の発行
・印紙の購入や貼り付け
・契約書の作成
・ 固定資産税やマンション管理費の精算

取引が成立したら「不動産登記」も行う必要があります。

いつまでも登記しなければ、不動産名義が売主のままになるのでトラブルの種になります。
しかし慣れない作業には、大きな手間がかかるでしょう。

不動産会社に依頼すれば、事務手続をすべて任せられます。
登記も紹介してもらった司法書士に任せれば簡単です。

余計な手間を省けるだけでも、仲介手数料を払う価値があるといえるでしょう。

仲介業者を入れるメリット

まとめ

不動産売買を行うとき、個人間売買をすると住宅ローンを利用できません。

それ以外にもさまざまなリスクが発生します。

不動産仲介手数料を払っても、不動産会社を間に入れて取引した方が結果的に利益は大きくなるでしょう。

当社でも個人間で取引したい方へのサポートを行っていますので、親族間や友人間で不動産売買を検討されているなら、一度お気軽にお問い合わせください。

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