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【親族間売買】適正価格の算出方法と注意が必要なポイントを解説

【親族間売買】適正価格の算出方法と注意が必要なポイントを解説 個人間売買
記事責任者:株式会社AlbaLink河田憲二
記事責任者:株式会社AlbaLink河田憲二
株式会社AlbaLink代表取締役の河田憲二と申します。訳あり物件や売りにくい不動産の買取再販業を営んでおります。サービスサイトとして、「訳あり物件買取PRO」を運営しています。訳あり物件買取PROの責任者として、執筆・編集・監修のすべてに携わっています。

不動産の売却経路は実にさまざまです。一般的には、不動産仲介を通じた売主と買主のマッチングや不動産業者による買取などが主流ですが、今回は親族間での不動産売買について取り上げたいと思います。

親族間での不動産売買にも一長一短のメリット・デメリットがありますが、取引のポイントになるのは当該不動産への適正な値付けと言えるでしょう。

というのも、親族間で手続きを曖昧にしてしまうと、売買ではなく贈与とみなされてしまい、贈与税が課されるといったことがあり、負担が大きくなりますので注意が必要です。

この記事では、親族間の不動産売買の流れ、メリット・デメリット、適正価格の考え方などについて解説します。

親族間売買をスムーズに進めるためのポイントを理解していただけると思います。

親族間売買とは何か?

親族間売買とは、文字通り不動産を親族の間で売買することです。
親族間で不動産を売買することに法律上の問題はありません。

不動産売買の際は、不動産会社が間に入ることが一般的ですが、親族間売買では間に業者を挟まずに取引が行われることが多くなっています。

しかし、取引当事者に不動産および不動産取引に関する知識が無いことで、知らず知らずのうちに脱税行為を行っていたということも考えられます。

親族間取引だからといって取引・契約を曖昧にして進めるとトラブルの元になりますので、注意深く、慎重に進める必要があります。

親族間売買

親族間売買のメリット

自宅の所有権を第三者に渡さなくて良い

愛着のある自宅を仲介や買取で所有権を第三者に渡した場合、今後はその家に関わることができなくなりますが、親族間であればそういった心配も薄らぐでしょう。

マイホームを購入するにあたっての想いや、子どもが成長してきた過程などの思い出はお金には代えられないもので、所有者それぞれに愛着があるはずです。

マイホームを売却するといっても、親族であれば、比較的気軽に再訪することもできるでしょうし、思い入れのあるマイホームを親族に使い続けてもらえる安心感もあります。

共有の持分売買に適している

相続が発生した場合、土地や家屋のような不動産を均等に配分することは難しいことが一般的です。

共有持分とすることもできますが、あくまでも共有なので、その不動産を自由にすることもできませんし、売却するにしてもそういった背景から、相場よりも低い価格での売却となるでしょう。

しかし、生前に親子間売買で不動産を子供の名義に変更しておくと、相続のトラブルを回避することができます。

その場合、贈与という選択肢もありますが、贈与税の負担が大きくなりますので、親族・親子間売買とすることでコストを抑えられることもメリットとなります。

贈与すると贈与税がかかる

親族間売買のデメリット

親族間売買のデメリットは、住宅ローン審査が通りにくい点です。

特に親族間での売買の場合、相続によって自動的に所有権が移転するにも関わらず、売買で所有権を移転させることを不審に思われがちです。

金融機関としては、融資した住宅ローンが脱税などの犯罪に使われることを懸念しており、自ずと審査が厳しくなります。

加えて、審査が通らなかった場合、融資が断られたという情報が残ることになりますので、今後の取引に影響を与える可能性があることも注意が必要です。

住宅ローン審査が通りにくい

ちなみに、一般的な住宅ローンによる融資が受けられない場合は、直接銀行から融資を受けるプロパーローンなどを利用するしかありませんが、審査が厳しい、金利が高いといった特徴があります。

親族間売買の適正価格はいくら?

親族間で売買する際の不動産の適正価格は市場相場の80%程度とされています。

ここでいう市場相場とは、一般的な売却活動期間である3〜6ヶ月以内に買主がみつかる不動産の売出価格を指します。

ここでは、適正価格を80%程度とする理由について解説していきます。

親族間売買の適正価格

親族間売買の値付けは自由

親族間の売買は買主が決まっているため、当事者間の合意の上で、不動産の価格を自由に値付けすることができます。

その場合、売主の目的は売却益を得ることが目的ではなく、名義変更が主目的であることがほとんどです。

従って、売買価格を1円や10円とすることも可能で、そのことを制限する法律はありません。

しかし、これを不動産取引だと強弁することには限界があり、あまりにも安すぎる価格での不動産取引は贈与とみなされてしまうことがほとんどです。

安すぎると課税対象に

適正価格から逸脱した価格での不動産取引は贈与

不動産を市場相場からはるかに安い価格で売却した場合、市場価格との差額分は贈与とみなされ、贈与税の課税対象となります。

しかし、不動産の相場というのは曖昧です。
2つとして同じ不動産はありませんので、適正価格を見極めることはとても難しいです。

固定資産税評価額や路線価、公示地価などを参考に、当該不動産と条件の近い不動産の売却価格、土地建物の状態などを総合的に勘案する必要があります。

しかし、これらの情報がそろっていても、専門知識が無いと判断が難しいと思われますので、費用はかかりますが、不動産鑑定士に評価してもらう方が好ましいでしょう。

適正価格の目安は相場価格の80%

親族間売買の適正価格は、相場価格の80%とすることが一般的です。

80%とする根拠として、「東京地判平成19年8月23日(行ウ)第562号」の裁判判例が引き合いに出されます。

この裁判では、路線価(およそ時価の80%)で親族へ売買した不動産が、市場価格よりも著しく低い価格に該当するかどうかが争点となっていました。

判決の要旨は以下のとおりです。

・路線価は時価とおおむね一致すると考えられる地価公示価格の約80%とされている
・80%という割合は、社会通念上、基準となるべき数値と比べて一般に著しく低い割合とはみられていない
・路線価を基準として土地の譲渡の対価とすることが経済合理性のないことが明らかとはいえない

この判決に対して原告が控訴しなかったため、判決が確定し、80%が適正価格の根拠としてされるようになりました。

親族間売買が贈与とみなされるケース

親族間売買において、適正価格から逸脱した値付けを行うと贈与とみなされてしまう可能性があります。

具体的には、以下のようなケースは贈与と判断されるケースが多いので、注意が必要です。

・市場価格よりも大幅に安い価格で取引を行った場合
・借金を売却益で相殺した場合
・購入代金と所有検討金の持分の割合が大きく異なる場合

いずれも親族という近しい関係だからこそ成立する内容ですので、みなし贈与とされないためには契約の中身に曖昧さを残さないことが重要です。

税務署は、脱税を目的とした不正な不動産取引を厳しく監視しており、特に親族間売買は目をつけられがちですので、慎重に対応するようにしましょう。

契約書を作成する

親族間売買であっても、不動産取引の正当性を担保するために当事者間の同意の元、売買契約書を作成するようにしましょう。

契約書はどの不動産が誰から誰の手に渡ったか、その際の対価(取引価格)が記載されていますので、当該取引の正当性を主張するための重要な材料となります。

これは、税務署や法務局などの第三者向けに示すことにも有効ですが、買主以外の親族に対しても契約の正当性を示すことができます。

親族間の取引だからといって、不動産のような高額取引を口頭で済ませてしまうと、言った言わないで後々トラブルになりがちです。

その際にも契約書を交付しておくことで、取引が適切に行われたことの証拠として、正当性を証明することに役立てることができます。

契約書を作成する

親族間売買の進め方

親族間売買のプロセスは以下の通りです。

①名義や権利関係を整理する
②売却の価格を決める
③売買契約をする
④引き渡しと名義変更手続きをする

①名義や権利関係を整理する

登記事項説明書で当該不動産の名義や権利関係について整理します。

登記事項説明書は、最寄りの法務局で取得することができますので、所有権者や抵当権などについて確認しましょう。

また、建物が古い場合には、登記されていないといったケースや登記されているものが実際の建物と相違するといったことがあります。

そういった場合、登記事項説明書を取得することができず、評価証明書などで物件を特定するなどの手間がかかることもありますので、事前に先んじて進めておくようにしましょう。

名義や権利関係を整理する

②売却価格を決める

市場価格の80%を目安に、今回の取引価格を決定します。

市場価格は、固定資産税評価額や路線価、公示地価などを参考に、条件の近い不動産の売却価格、土地建物の状態などから算出します。

しかし、正確な価格の算出は専門知識を要しますので、費用はかかりますが、不動産鑑定士に依頼することをおすすめします。

売却価格を決める

③売買契約を行う

契約書を作成し、売主・買主両者の同意の元、契約書への捺印を行います。

個人間売買契約書の作成については、代行業務を行っている不動産会社もありますので、作成方法が分からない場合は、依頼することも可能です。

後々、法務局や税務署に提示することを想定して、ある程度一般的な契約内容・事項を記載したものを作成するようにしましょう。

また、親族間売買であっても売買契約書への収入印紙の貼付は必須ですのでご注意ください。

売買契約

④引き渡しと名義変更手続きをする

契約の完了後、引き渡しを経て名義変更手続きとなります。

通常の不動産売買では、契約から引き渡しまで1ヶ月程度かかりますが、親族間売買であれば契約書への調印後即時の引き渡しも可能です。

決済は、引き渡し時に行うことが一般的ですので、このタイミングで金銭の授受を行うことが望ましいでしょう。

引き渡しの完了後は、管轄法務局で不動産の所有権移転登記を行い、所有者が変更されれば引き渡しは完了となります。

登記についてはご自身で行うことも可能ですが、司法書士に依頼することが一般的です。
手間もかからず正確に処理してくれますので、依頼してみるのも一つの方法です。

名義変更・登記

まとめ

ここまで、親族間の不動産売買の流れ、メリット・デメリット、適正価格の考え方などについて解説してきました。

ポイントは以下の通りです。

・親族間売買とは、文字通り不動産を親族の間で売買することで、法律上の問題はない。

・親族間売買のメリットは、自宅の所有権を第三者に渡さなくて良い点にあるが、その一方で、買主の住宅ローン審査が通りにくいというデメリットがある

・親族間売買における不動産取引においては、基本的に当事者間で自由に決めることができるが、一般的に市場相場の80%程度が適正価格とされている

・親族間売買の注意点として、市場相場から大きく逸脱して安い価格をつけると、贈与とみなされて贈与税が課されるケースがある

・親族間売買であっても、契約書を作成するといった一般的な不動産取引と同じプロセスを踏むことが重要

不動産取引全般に言えることですが、特に親族間取引においては、不動産に関する知識・経験の豊富なプロに相談・依頼することが重要です。

親族間というできあがった関係の中で、口約束による契約や根拠の薄い価格の値付けといった曖昧さを残すと、後々税務署から思わぬ指摘が入り、贈与税の負担が必要になるといったことが想定されます。

またこの曖昧さによって、「言った言わない」や他の親族から責めを受けるなどのトラブル発生のリスクを回避するという意味でも、不動産のプロが間に入る重要性は大きいと言えるでしょう。

まずは、経験実績の豊富な不動産会社に相談する、もしくは、売買の流れ(①名義や権利関係を整理する〜④引き渡しと名義変更手続きをする)に応じて、専門家や代行業者に依頼するといった方法で、安心・安全でスムーズな取引を目指しましょう。

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