ゴミ屋敷の定義
ゴミ屋敷と呼ばれているものに明確な定義があるわけではありませんが、家中にゴミがある状況というのが一般的な認識でしょう。
テレビなどで報道されているものは、ゴミが天井まで堆く積もっている状況で、おおよそ人間が生活することができない空間です。
ゴミが積まれていて、それらが管理されておらず、通常の生活が送れない状況であれば、多くの方がゴミ屋敷と認識する状況と言えるでしょう。
家がゴミ屋敷になってしまう原因
最初からゴミ屋敷にしようと思ってゴミを溜め込んでいる方はほとんどいないでしょう。
多くの場合、時間がない、掃除をする気持ちの余裕がないなどの理由からゴミが少しづつ溜まっていきます。
ここでは、なぜ住まいがゴミ屋敷になってしまうのかについて解説していきます。
ゴミを片付ける時間がない
ゴミは日頃の整理整頓や掃除を行わないことで徐々に溜まっていきます。
仕事が忙しく、部屋の整理整頓や掃除をついつい後回しにしているうちに気がついたらゴミが溜まっていたというケースが多いようです。
多忙によって、ゴミの収集日や収集時間に間に合わせてゴミを出すタイミングを失っているうちにゴミが溜まってしまうのです。
また、日頃のストレスで疲労感を抱えている場合なども、休日に掃除・ゴミ出しをする気が起きないということからゴミが溜まってしまうことにつながっていきます。
収集癖がある(物を捨てられない)
物を捨てられずにためこんでしまう傾向にある場合も、ゴミ屋敷化に注意が必要です。
物を収集することに関心が高い、所有しているものは手元に残したいという気持ちが強い方は、不要なものが増えやすい傾向にあり、ゴミがたまりやすくなります。
また、物が増えると、その商品の包装紙やダンボールもゴミとなるので自ずとゴミが増えることになることも意識しておく必要があるでしょう。
精神疾患によるもの
ゴミを溜め込んでしまう要因として、以下のような精神疾患が原因となっている場合もあります。
①うつ病
②認知症
③統合失調症
④発達障害(ADHD)
①〜③のような精神疾患の場合、自覚することが難しいケースも多いので、発見が遅れてしまうこともしばしばあるようです。
①のうつ病は、精神的ストレスや身体的ストレスが重なるなどの理由から脳の機能障害を引き起こすもので、心の沈んだ状態が続き、家の中の掃除に対しても意欲を失くしてしまいます。
②の認知症脳は、神経細胞が壊れて判断能力が鈍る疾患で、発症するとゴミの日がわからなくなる、収集癖がついてしまうことなどによってゴミ屋敷化が進むケースが多いようです。
なお、認知症は高齢者だけに限らず、64歳以下で「若年性認知症」を発症する可能性もありますので注意が必要です。
③の統合失調症は複数の精神疾患が複合的に症状を起こすものです。
罹患すると注意力が散漫になり、片付け意欲がなくなるなどの症状によってゴミ屋敷化が進みます。
④のADHDは、脳の神経伝達物質が正常に分泌されずに、年齢や身体の発達とは不釣り合いな行動をすることを言います。
その場合、整理整頓や掃除など一つのことに集中できないという症状からゴミが溜まってゴミ屋敷化してしまうというケースがあります。
特に一人暮らしをされている方は、部屋の状態から病気を発見できる可能性がありますので、室内の状態に気を配るようにしましょう。
ごみ屋敷で発生する問題
ゴミ屋敷化によって発生する問題を以下にまとめました。
・病気等、心身共に悪影響を及ぼす
・火災や倒壊の危険性
・近隣の住民とのトラブル
・害虫や害獣被害
それぞれについて解説していきたいと思います。
病気等の原因になる
ゴミに集まる雑菌や害虫が危険な最近やウイルスを媒介し、居住者に病気をもたらします。
ハエは大腸菌やO-157など、ダニはダニ媒介性脳炎などを媒介し、それぞれ重症化すると死に至ることもあります。
また、ゴミ屋敷にはハウスダストなども充満していますので、アレルギー症状を引き起こすことも考えられます。
皮膚の腫れ、目のかゆみ、くしゃみ、鼻づまりなどさまざまなトラブルが起き、場合によっては呼吸困難などの症状を引き起こす可能性があります。
火災や倒壊の可能性
ゴミ屋敷は清掃が行き届かないため、コンセント周りなどの溜まったホコリが出火原因の火災が発生する可能性があります。
また、ゴミ屋敷は出火するとゴミに引火して大火災になる、もしくはゴミによって避難経路が塞がれて死亡事故につながるなどのリスクが高いです。
倒壊についても同様で、日頃のメンテナンスが行き届かないことでカビや腐食が進行すると建物の劣化につながることに加えて、大量のゴミの自重が床や壁に大きな負担をかけています。
ゴミ屋敷のゴミを撤去すると床が朽ち果てていることが多いですし、ゴミから染み出した液体が床から土台にまで及んで劣化を進行させています。
こういったことの積み重なりによる建物の劣化の進行は倒壊のリスクを高める一因となりますので、注意が必要です。
近隣住民とのトラブル
溜め込んだゴミからでる浸出液からカビが発生し、害虫や悪臭が発生すると、近隣住民に迷惑をかけることとなり、場合によっては損害賠償請求にまで発展する可能性があります。
集合住宅の場合は、大量のゴミの荷重で床が抜けてしまう、戸建ての場合は家屋が倒壊するなど、近隣住民に怪我をさせてしまうといったリスクがあります。
近隣住民との関係が悪化すると、ご自身が孤立することになり、そのストレスによってさらにゴミを溜め込んでしまうという悪循環に陥る可能性も考えられます。
ゴミ屋敷は衛生面の問題はもとより、他人の身体や財産・生命に対するリスクとなりうることを覚えておきましょう。
ゴミ屋敷の清掃費用目安
ここでは、ゴミ屋敷の原状回復にどのくらいの費用がかかるかについて解説します。
なお、ゴミの量や部屋の現況による稼働人数で費用感も変わってきますので、ここでは基本となる考え方についてまとめていきたいと思います。
人件費
作業する人員の人件費は、部屋の掃除やゴミの回収作業およびゴミの処分(分別含む)までが含まれます。
また、ゴミの種類によっては、指定の処分場に直接持ち込む必要もありますので、そういった費用も加算されます。
これらを踏まえると、作業員1人あたり1日10,000〜15,000円程度が相場で、部屋の広さや間取りによって増減する人数によって金額が上下していきます。
1Rであれば1名、1DKで2〜3名が目安となります。
ゴミ運搬・処分費
ゴミを運搬するためにかかる費用で、トラックを借りる費用に加えて、ガソリン代や高速道路料金なども含まれます。
ゴミの量が多ければ多いほどトラックの大きさは大きくなり、運搬する回数も増えますので、その分費用が嵩むことになります。
回収したゴミは、その内容や量によって処分費用が変わるため、処分にかかる作業時間で計算されることが多いようです。
処分費の目安は、1時間あたり10,000〜20,000円が相場です。
清掃費用の目安
間取りごとの清掃の費用感は以下の通りです。
・1Kで150,000円程度
・1DKで150,000~300,000円
・2DKで300,000~450,000円
・2LDKで450,000~600,000円
概算費用感は、稼働させる人数やゴミの量によって変わってきますので、あくまでも参考の金額となることにご注意ください。
また、エレベータの有無や周辺道路の環境でトラックを停められないなどの条件によって金額が変わるので覚えておくようにしましょう。
自力で清掃可能なケース
ゴミ屋敷の清掃を業者に依頼すると多額の費用が必要になることがお分かりいただけたかと思います。
ここでは、清掃費用を捻出せずに、自力で清掃を完結させられる限界について考えてみたいと思います。
どの程度であればご自身で対応できるかの参考にしていただければと思います。
ゴミ屋敷化が特定の部屋のみの場合
ゴミ屋敷化が特定の部屋のみで進行している場合、および1Rや1Kなどの単身用のコンパクトな物件にお住まいの方であれば、ご自身で処理が可能な場合があります。
ゴミ屋敷化の範囲が限られていることで、ピンポイントの対応で可能なこと、ゴミの量も限られているであろうことがその理由です。
逆に言うと3LDKで足の踏み場も無いというような環境ですと、独力で処理しきるのはかなり難しいと言えるでしょう。
また、業者に依頼すると、見積もりや人員・車両の手配で時間がかかりますので、特定の部屋だけであればご自身で対応したほうが素早く完了させられるでしょう。
掃除を行うための必要条件が整っている
ゴミ屋敷化が水回りまで進行していて水道が使えないという場合は、ご自身で処理するのは難しくなります。
掃除・汚れ落としでは、水を使う機会が自ずと増えますので、水回りが使えないと作業が捗りません。
また、集めたゴミを1ヵ所にまとめておくスペースを確保できないと、効率よく作業を進めることができませんので、事前に確認しておくようにしましょう。
いずれにしても、まずご自身が掃除をするといった気持ちを持つことが第一ですので、そうならない場合は業者や専門家に相談してみることをおすすめします。
ゴミ屋敷を放置するリスクとは?
ゴミ屋敷や空き家は、近年メディアで話題に上がることも多かったため、ゴミ屋敷に対処するための条例の整備が各自治体で進みました。
条例の多くは、該当するゴミ屋敷を行政・自治体が調査し、住人に対して指導・勧告・命令などを発出し、場合によっては強制的にゴミや不用品を排除する行政代執行を行います。
行政代執行は自治体が住人に変わってゴミの処理・清掃を行うスキームで、その費用は住人に請求されることに加えて、ペナルティが科されます。
ペナルティの内容は自治体によって異なりますが、住人の氏名と住所の公表や過料の支払いが必要になるケースもあります。
まとめ
ここまで、自宅がゴミ屋敷になってしまった場合のリスクや清掃費用の目安について解説してきました。
ポイントをまとめると以下の通りです。
・自宅がゴミ屋敷化する要因として、居住者の多忙・ストレス・精神疾患などが考えられる
・自宅がゴミ屋敷化することのリスクとして、病気などの心身への悪影響、火災や倒壊などの危険性、悪臭や害虫の発生による近隣とのトラブルなどが考えられる
・ゴミ屋敷の清掃は業者に依頼すると数十万円程度の費用がかかる。ゴミの量やゴミ屋敷化の進行度合いによっては、居住者独力で処理できる可能性もある
・ゴミ屋敷を放置すると行政が介入し、場合によっては行政代執行が行われ、ペナルティを科せられる可能性がある
ゴミ屋敷の買取を検討する
自宅がゴミ屋敷化した場合、放置することは絶対に避けなければなりません。
しかし、すでに独力で解決できない状態である、もしくは清掃費の捻出が難しいなどの場合は、専門業者による買取という選択肢もあります。
不動産業者による買取の場合、最短1週間程度で現金化が可能で、業者によってはゴミが残った状態でも買い取ってくれる場合がありますので、高額な清掃費用の負担なく、ゴミ屋敷を処理することができます。

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