親の死後に実家を処分する方法
はじめに、実家を処分する方法をご紹介します。
用途がない実家を処分するなら、売却が最適です。
ご存じの方も多いかも知れませんが、実家の売却方法は、主に仲介と買取の2種類があります。
それぞれの仕組みや特徴の違いを、まずは簡単に理解しましょう。
- 仲介
- 不動産仲介業者が、不動産の所有者から売却の依頼を受け、一般に広く買手を募集する方法。
仲介業者は、売主と買主の間を取り持ち、契約成立を目指す。
特徴は、買主は一般の個人で、購入目的は住居用であること。 - 買取
- 不動産買取業者が、売却を希望する所有者から、直接不動産を買い取る方法。
特徴は、買主は不動産の知識を豊富に持ち合わせるプロ(買取業者)であり、買取目的は事業用であること。
ここでいう事業は、買い取った不動産をリフォーム等して再販し、買取価格と再販価格の差額で利益を上げる事業を指す。
このような仕組みの違いから、そもそも一般の住居として需要がない実家は、仲介で売却するのは困難です。
以下では、実家の具体的な条件ごとに、適切な売却方法をご紹介します。
仲介業者に依頼して売却
実家の売却方法として、真っ先に仲介が思いつく方も多いのではないでしょうか。
前述の通り、仲介は一般の買手を募る売却方法なので、一般の住居として需要があれば、およそ3カ月~半年で売買契約に至るのが一般的です。
一方で、住居として需要がない実家は、年単位で売れ残り、結果として大幅な値下げを強いられるおそれもあります。
住居として需要があるか否かによって、売却期間や売却価格に差が出てしまうのが、仲介で売却する際の注意点と言えます。
一般の住居として需要がある家の条件
具体的に、一般の住居として需要があるか否かを決めるポイントは、実家の「立地」と「状態」です。
住居として需要がある立地
- 都心の場合、最寄り駅まで徒歩10分以内
- 地方の場合、市街地まで車で15分以内
上記のような立地であれば、通勤や通学がしやすいため、一般の住居として需要があります。
また、上記の立地条件に加え、破損や汚損、故障している箇所がなく、大掛かりな修繕やリフォームをしなくてもすぐに住める状態であれば、需要があると言えます。
このような条件に当てはまるのであれば、仲介業者に依頼しても売却できるでしょう。
解体して土地を売却
建物の劣化が著しく、一般の住居として需要がない場合、解体して土地として売却する手段を仲介業者に勧められることがあります。
しかし、解体には大きな2つのリスクが伴います。
解体のリスク
- 高額な解体費用がまるまる赤字になる
- 固定資産税が最大6倍に増額する
そのため、独断で解体してはいけないのはもちろん、仲介業者に勧められた場合も安易に決断せず、一度踏み止まってください。
以下では、解体のリスクを簡単に説明します。
高額な解体費用がまるまる赤字になる
解体には、百万円以上の高額な費用がかかります。
しかし、高額な費用をかけて解体しても、住居として需要がない土地であれば、買主は現れません。
土地として売却できなければ、解体費用が全て赤字になってしまいます。
木造の場合およそ120万、鉄筋コンクリートの場合およそ180万
数百万の費用が赤字になれば、所有者の家計が火の車になることは想像に容易いでしょう。

固定資産税が最大6倍に増額する
建物を解体すると、毎年所有者に課せられる固定資産税が最大6倍に増額します。
前提として、人が住むための土地には、住宅用地の特例が適用されていて、固定資産税が1/6に抑えられています。
しかし、建物が建っていない土地は、人が住むための土地として認められません。
そのため、特例の適用外となり、固定資産税が最大6倍に増額してしまうのです。
一般的な中古住宅の固定資産税はおよそ10~12万ですが、毎年60万以上が課税されるようになれば、所有者の大きな金銭的負担になるでしょう。

買取業者に直接売却
買取業者であれば、一般の住居として需要がない実家も、そのままの状態で売却可能です。
先述の通り、買取業者の買取目的は住居用ではなく再販事業用だからです。
もし解体が必要であれば、再販前に買取業者が行うため、売主が費用を負担して行う必要はありません。
そのため、住居として需要がなく、仲介で売却するのが困難である、もしくは解体が必要である実家は、買取業者に直接売却するのが最善です。
弊社は、実家などの中古住宅に強い専門の買取業者です。
豊富な買取ノウハウを活かし、できる限りお客様のご希望に沿った金額で買い取れるよう、全力を尽くさせていただきます。
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買取業者に依頼するべき家の条件
具体的に、買取業者に依頼するべき実家の条件は以下の通りです。
- 築22年以上経過している
- 劣化が進んでいて修繕やリフォームをしないと住めない
一般的な木造住宅の法定耐用年数は22年と定められています。
機械や不動産が正常に使用できると法的に定められている期間
そのため、22年は、一般の買手が「住みたい」「買いたい」と思えるか否かの1つの指標となります。
ただ、築22年が経過していなくても、著しい劣化により修繕やリフォームが必要な家をわざわざ購入する一般の方はいないでしょう。
また、立地は、学校、病院、スーパー、バス停や駅など、生活するうえで欠かせない施設が徒歩圏内にないと、一般の住居として需要があるとは言えません。
このような条件の実家は、一般の買手に需要がないので、買取業者に直接売却するのが最適です。
親の死後、実家を売却する前にやるべきこと
売却の流れを説明する前に、売却前に必ずやるべきことを解説します。
そもそも実家の売却は、原則として、相続登記を完了させた正式な所有者しか行うことができません。
相続登記やそれに付随して必要な手続きを、売却前に済ませましょう。
死亡届を出す
親が亡くなったら、死亡の事実を知った日から7日以内に死亡届を提出しましょう。
相続登記の際は、住民票で被相続人の死亡を証明しますが、死亡届を出さないと住民票に死亡の事実が記載されないため、相続手続きがスムーズに進められません。
届出場所は、親の死亡地、本籍地、または届出人の所在地の3カ所うち、いずれかを管轄する役所です。
遺言書の有無を確認する
親が亡くなったら、遺言書の有無を確認しましょう。
相続は、遺言書に記載された通りに行うのが原則だからです。
親が亡くなった実家を探したり、親族に遺言書を預かっていないか尋ねたりしてみてください。
それでも見つからない場合は、公証役場に保管されていることもあるので、自ら役場に問い合わせ、遺言書の有無を明らかにする必要があります。
相続登記をする
必要に応じて遺産分割協議を行い、相続人を1人に確定したうえで相続登記を行いましょう。
相続人に該当する親族全員が集まり、遺産の分割方法を決定する話し合い
複数人で実家を相続すると、実家の売却も居住も1人の意思で自由に行えなくなり、名義人どうしの意見の食い違いからトラブルに発展するリスクが高まります。
なお、遺言書で相続人が1人に指定されていた場合は、わざわざ遺産分割協議にて実家の相続人を決め直す必要はありません。
その他にも、遺産分割協議が必要ないパターンがあるので、詳しく以下の記事を参考にしてください。

実家を処分(売却)する流れ
相続登記が完了したら、相続人は実家を処分(売却)することが可能になります。
以下では、実際に売却する際の流れを解説します。
仲介で売却する流れ
仲介は、大きく5つのステップに分けられます。
5ステップに入る前に、まずは売却予定の実家と似ている条件の不動産が、実際にどれくらいの金額で売り出されているかチェックしましょう。
一般的な売出価格の目安を知ることで、自身の実家の売却金額の目標が決めやすくなるからです。
売出価格の目安を把握するには、SUUMOやat homeなどのポータルサイトを活用してください。
査定依頼
複数の仲介業者に査定を依頼し、それぞれの査定価格を比較しましょう。
比較することで、より良い条件や、より適正な価格での売却を目指します。
ちなみに、査定を依頼するのは、実家周辺の地域を良く知っている、地元の仲介業者が望ましいでしょう。
地元の仲介業者だからこそ知っている地域の情報を、買主へのアピールポイントとして売却活動に活かし、契約に繋がりやすくしてくれるからです。
媒介契約
複数の専門業者に依頼したのち、仲介業者と媒介契約を結びます。
媒介契約は、不動産の売主と、売却活動を委託する仲介業者の間で締結する契約のことです。
契約の際には、査定価格だけでなく、営業担当者の態度や円滑なコミュニケーションがとれるかも比較して、信頼できる担当者と契約を結んでください。
なぜなら、売出価格は、売主の意思で後から変更することもできますが、営業担当者の営業力は、売主の意思で後から変更できないからです。
売買契約成立に至るかどうかは、営業担当者の営業力にかかっていると言っても過言ではありません。
もし自分が買主だったら、この担当者から不動産を買おうと思えるか、よく吟味しましょう。
売却活動
媒介契約を締結したら、担当の仲介業者による売却活動(買手に向けた物件情報の公開)がスタートします。
売主は、内見の予約が入るまでに、実家に残された荷物や家具を処分し、少しでも綺麗な状態にしておいてください。
前述の通り、一般の買主は住居として不動産の購入を検討しているので、「すぐにでも住みたい」と思われる物件でないと、売買契約に至りにくくなってしまうからです。
売買契約
買主と、売却価格や売却条件を話し合い、お互い合意のうえで売買契約を結びます。
売買契約当日は、売主と買主、そしてそれぞれの仲介担当者が集まって、契約書を取り交わします。
売買契約の際に行われる金銭のやりとりは、以下の2つです。
- 買主から売主へ支払う手付金
- 売主から仲介業者に支払う仲介手数料
手付金の金額に法的な決まりはありませんが、売買価格のおよそ10%が平均的です。
また、売主の仲介手数料の支払い義務は、売買契約が成立した時点で発生します。
売買契約締結時と決済時、2回に分けて支払うのが一般的です。
決済&引き渡し
売買契約成立から1カ月以内を目安に、実家の決済と引き渡しを同日に行います。
売主は営業担当者の指示を仰ぎ、決済当日までに、登記事項証明書や身分証など必要書類を集めておきましょう。
当日は、売主と買主、それぞれ担当の仲介担当者、そして司法書士が集まり、主に以下の内容を行います。
- 売却金額の受け渡し
- 売主は、買主から売却金額を受け取る。
- 登記簿上の名義変更
- 司法書士による本人確認のもと、売主から買主へ、登記簿上の所有者の名義を変更する
- 鍵の受け渡し
- 売主は、合鍵を含むすべての実家の鍵を買主に渡す。
- 仲介業者と司法書士への支払い
- 売主は、仲介業者に残りの仲介手数料の支払いと、司法書士へ報酬の支払いを行う。
最終確認をして、問題がなければ、無事取引完了です。
買取で売却する流れ
買取業者に依頼して売却する流れを、3ステップでご説明します。
査定依頼
買取業者に査定を依頼しましょう。
買取の場合は、自身で買取価格を調べたりせず、まず1番に買取業者に直接査定を依頼してください。
なぜなら、買取業者によって査定価格は大きく異なるからです。
様々な不動産査定サイトを徘徊して、根拠のない査定価格に惑わされるよりも、直接問い合わせた方が、買取業者ごとの確実な査定価格がわかります。
例えば、実家をはじめとする中古戸建てを専門としている買取業者であれば、独自の買取ノウハウや再販ルートを確保しているので、より高額な査定価格を提示してくれるでしょう。
弊社も、実家などの中古戸建を専門に買い取っているため、他の買取業者より金額感は全力で対応させていただきます。
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売買契約
買取業者を1社に絞り、売買契約を結びます。
査定価格だけでなく、営業担当者の対応も比較し、1番信頼できる買取業者を見極めたうえで契約するようにしてください。
残念ですが、契約直前に買取価格を下げる等、悪質なことをする買取業者も一定数存在するからです。
具体的な買取業者選びのポイントは、以下の記事で解説しているのでぜひ参考にしてください。

なお、売買契約が成立すると、買取業者から手付金(買取価格の5~10%)が売主に支払われるのが一般的です。
決済&引き渡し
手付金を除いた買取代金を受け取り、買取業者に実家の鍵を引き渡したら、無事取引は完了です。
売主は担当者の指示に従って、決済当日までに必要書類や実印を用意してください。
決済や必要書類の受け渡しは、基本的に、売買契約のプロである買取業者に一任しましょう。
実家を売却したら確定申告
実家を売却したら、自身の住所を管轄する税務署にて、譲渡所得税の確定申告を行いましょう。
確定申告の期限は、売却した翌年の2月16日~3月15日までです。
譲渡所得税は、不動産売却によって発生した利益(譲渡所得)にかかる税金で、具体的には「所得税」と「住民税」の2つを指します。
譲渡所得=実家を売却した金額ー実家の取得費(購入時の価格や購入の際の仲介手数料など)
譲渡所得税=譲渡所得×税率
税率は、実家の所有期間に応じて異なります。
売却した年の1月1日時点で所有期間5年以下(短期譲渡所得) | 売却した年の1月1日時点で所有期間5年超(長期譲渡所得) | |
---|---|---|
所得税 | 30.63% | 15.315% |
住民税 | 9% | 5% |
合計 | 39.63% | 20.315% |
なお、相続した実家を売却した場合、被相続人実家を取得した日が所有期間の起点となります。
取得費不明で譲渡所得税が高額になる
実家の取得費は、売買契約書に記録されていますが、両親や祖父母、もしくはもっと先代が購入した実家であれば、契約書を紛失していて、取得費がわからないケースもあるでしょう。
実家の取得費が不明だと、取得費がわかる場合に比べて、譲渡所得税が高額になってしまうので注意してください。
なぜなら、「取得費が不明の場合、売った金額の5%相当を取得費として譲渡所得、および譲渡所得税を計算する」という規定があるからです。
仮に、2,000万で売却した実家の取得費が1,400万だとわかっていた場合、譲渡所得税は以下のように算出できます。
空き家を売却した金額:2,000万
購入時の取得費:1,400万
〔2,000 万ー1,400万〕×20%=120万
一方、取得費が不明の場合は、売った金額の5%を取得費として、以下のように計算します。
購入時の取得費:わからない→2,000万×5%=100万
空き家を売却した金額:2,000万
〔2,000万ー100万〕×20%=380万
結果として、譲渡所得税が3倍に増額しているのがわかります。
ただ、相続した実家を売却した場合は、控除特例によって、取得費が不明であっても譲渡所得税が高額にならないケースもあります。
相続した家を売った際の3,000万控除特例
「相続した居住用財産を売った時の3,000万控除特例」が適用されれば、譲渡所得税の負担を大幅に抑える、もしくはゼロにすることができます。
譲渡所得を最大3,000万控除したうえで譲渡所得税を計算できる特例。結果として、譲渡所得税の負担が大幅に軽減する、もしくはゼロになる
前述した計算では、取得費不明により税負担が3倍になってしまう例をご紹介しましたが、控除特例が適用されれば、税負担はゼロになります。
購入時の取得費:わからない→2,000万×5%=100万
空き家を売却した金額:2,000万
〔2,000万ー100万〕×20%=380万
〔2,000万ー100万〕ー3,000万=0
0×20%=0
ただし、控除特例の適用条件の1つは「相続の開始があった日から3年経過する日の属する年の12月31日までに売却すること」です。
他にも条件があるので、詳しくは国税庁のHPとチェックシートを合わせてご確認ください。
参照元:国税庁「被相続人の居住用財産(空き家)を売ったときの特例」
参照元:国税庁「3,000万円特別控除の特例チェックシート」

実家の処分(売却)にかかる費用
実家を処分する際に、売主が負担しなければならない費用をご紹介します。
仲介でも買取でもかかる費用
- 相続登記費用
- 印紙税
仲介の場合のみかかる費用
- 仲介手数料
- 修繕やリフォーム費用
相続登記費用
相続登記にかかる費用の内訳は、国に収める登録免許税と、司法書士に支払う報酬です。
登録免許税
登録免許税は、登記簿上の所有者の名義を被相続人から相続人に変更するために納める税金です。
納税額は固定資産税評価額の0.4%と定められています。
固定資産税評価額は、役所から所有者に届く固定資産税の納税通知書で確認できます。
司法書士への報酬
相続登記の一連の手続きは、一般の方には馴染みがなく、手間と時間を要するため、司法書士に依頼するのが一般的です。
司法書士への報酬額は、およそ7~12万です。
印紙税
収入印紙税は売買契約書の作成時に課せられます。
納税額は売却した金額に応じて変動し、例えば、売却金額が1,000万超5,000万以下だった場合の納税額は1万円です。
郵便局や法務局で収入印紙を購入し、売買契約書に貼って納税します。
仲介手数料
仲介業者に売却を依頼した場合、仲介手数料がかかります。
仲介業者は、買主や売主から仲介手数料をもらうことで利益を出しているからです。
仲介手数料の金額は、宅地建物取引業法によって、売却価格に応じた上限が定められています。
取引物件価格(税抜) | 仲介手数料の条件 |
---|---|
400万円超 | 取引物件価格(税抜)×3%+6万円+消費税 |
200万円~400万円以下 | 取引物件価格(税抜)×4%+2万円+消費税 |
200万円以下 | 取引物件価格(税抜)×5%+消費税 |
仮に売却価格が2,000万だった場合、仲介手数料の上限は以下のような計算になります。
2,000万×3%+6万+消費税(10%)=72万6,000円
上限一杯まで手数料を請求する仲介業者が大半なので、仲介手数料は決して安い金額ではありません。
修繕やリフォーム費用
仲介で実家を売却する場合、売主が、売却前の実家の修繕やリフォームをしなければならないことがあります。
仲介は、住居を探す一般の買手に向けた売却なので「すぐにでも住みたい」「買いたい」と思われる状態にしなければ、売買契約成立に至らないからです。
水回りや給湯器等の部分的な修繕であれば数十万、家全体のリフォームであれば1,000万近くかかります。
親の死後、家を放置した場合のリスク
親の死後、実家を放置した場合は、所有者に非常に大きなリスクが課せられるため、用途がない家はなるべく早めに処分しましょう。
以下では、放置した場合のリスクを解説します。
固定資産税が課税され続ける
たとえ活用していない家であっても、所有し続ける限り永遠に、毎年1月1日には固定資産税が課税されます。
一般的な戸建て住宅の固定資産税は、年間およそ10~12万です。
誰も住んでいない家に納め続ける税金は、非常に無駄な出費と感じるはずです。
特定空き家に指定される
実家を適切に管理せず放置していると、行政から「特定空き家」に指定されます。
特定空き家とは、保安・衛生・景観・その他の観点から、今後も放置するのは危険であると行政に判断された家屋です。
特定空き家に指定されると、以下のような罰則があります。
固定資産税が最大6倍になる
特定空き家に指定されると「住宅用地の特例」の対象外となり、固定資産税が最大6倍になります。
前述の通り、住宅用地の特例は、住居用の家屋に適用され、固定資産税の負担を1/6に軽減していますが、特例空き家は住居用の家屋として認められないからです。
結果として、固定資産税の負担が最大6倍(年間およそ数十万)になり、所有者の非常に大きな金銭的負担になります。

高額な解体費用が請求される
特定空き家に指定されると、行政から実家の管理を求められます。
にもかかわらず、行政の指示を無視して実家をそのまま放置した場合、最終的に行政による実家の強制的な解体(行政代執行)が行われ、解体費用が全額所有者に請求されます。
解体費用は実家の規模によって異なりますが、1,000万以上かかることもあり、請求されてもすぐに一括では支払えない方も多いでしょう。
しかし、行政代執行の解体費用は、税金と同様、国の強制徴収が認められているため、請求されてしまったら自己破産をしても絶対に逃れることはできません。
財産や給与を差し押さえられながら、長い年月をかけて全額支払うことになり、所有者の生活は非常に苦しくなってしまいます。

維持・管理の負担がかかる
特定空き家に指定され、様々な罰則の対象にならないためには、保安や衛生の観点から問題視されないよう、実家の適切な管理が必須です。
具体的には、月に1回実家に出向き、清掃や修繕、敷地内の草むしり等を行わなければなりません。
普段の家事や仕事をこなしながら、毎月1回は用途がない実家に出向き、夏場も冬場も管理を行うのは、想像以上の体力が必要でしょう。
しかも、実家が遠方にある場合は、毎月出向くための交通費や時間もかかります。
空き家の管理を専門とする業者に依頼する方法もありますが、毎月およそ5,000~1万円の依頼費用がかかってしまい、どちらにしろ所有者の負担となります。

少しでもスムーズに実家を処分したいなら買取業者へ
放置した場合のリスクを避けるために、用途がない実家は早急に売却しましょう。
手間や時間、費用をかけずにスムーズに実家を売却したいなら、買取業者に直接売却するのが1番です。
買取業者に売却した場合の大きなメリットを1つずつ簡単に説明していきます。
売却スケジュールが立てやすい
買取の大きなメリットの1つは、仲介に比べて売却スケジュールが立てやすいことです。
買取業者は、売主から直接買い取るので、売主が金額感に納得さえできれば、最短数日で確実に買い取り現金化することが可能です。
一方、仲介は、一般の買手を募る売却方法であるため、住居として需要がある実家であっても、売買契約成立までに3カ月~半年かかります。
需要がなければ、年単位で売れ残ったり、永遠に売却できないおそれもあるため、なかなか明確な売却のスケジュールが立てられません。
前述した3,000万特別控除の適用期限や固定資産税の課税日(1月1日)が迫っている場合は、買取業者に依頼して、数日以内に確実に売却しましょう。
遺品整理の手間と時間、費用が省ける
買取業者に依頼すれば、大掛かりな遺品整理の必要がありません。
買取業者は、居住用に買い取るわけではないため、実家に残された故人の家具や荷物もそのままの状態で買い取ってくれるケースが大半だからです。
一方、仲介は、住居を探す一般の個人に向けた売却です。
内見の際に故人のの家具や荷物が残っていたら、買手は新居での自分たちの生活を想像できないので、売買契約成立に至りにくくなってしまいます。
そのため、売主が手間や費用をかけて家具や荷物の撤去を行わなければなりません。
1立方メートルあたり3万円
故人の思い出深い品だけ持ち出して、他の家具はそのままの状態で買取業者に直接売却してしまえば、売主の遺品整理の手間や時間、費用を大幅に削減できます。
売主の責任が一切免除される
前提として、不動産の売主には契約不適合責任が課せられるのが一般的です。
契約不適合責任とは、不動産の売主に課される責任を指します。
売却後の不動産に、契約書にない不具合(シロアリや雨漏り等)が見つかったら、売主は損害賠償や売買契約の取り消しに応じて、契約不適合責任を負わなければなりません。
しかし、買取業者に直接売却すれば、売主の契約不適合責任は一切免責されます。
そもそも買取業者は、リフォームして再販する前提で買い取るため、実家の不具合も承知のうえで売買契約を結ぶからです。
相続した実家やしばらく管理していない家は、老朽化による思わぬ不具合が隠れている場合も多いので、売却後に責任を問われないためにも、買取業者に直接売却するのが適しています。
売却経費を抑えられる
買取であれば、仲介手数料をはじめとする売却経費が大幅に抑えられます。
買取に依頼して抑えられる費用
- 仲介手数料
- 修繕・リフォーム費用
- 解体費用
買取業者は仲介業務ではないため、もちろん仲介手数料はかかりません。
また、修繕やリフォーム、解体が必要な場合は、買取業者が買取後に行うため、売主が売却前に負担する必要はありません。
これらの経費を合計すると、最大1,000万以上の売却経費を節約できる可能性もあります。
まとめ
親の死後、家を処分する方法や費用、具体的な流れを解説しました。
結論をまとめると、用途がない実家は早急に売却するべきでしょう。
使い道がないからと言って、実家を空き家として放置していると、所有者には非常は大きな罰則が課せられてしまうからです。
具体的な売却方法は、仲介と買取の2種類がありますが、一般の住居として需要がない実家は仲介では売却できません。
そのため、老朽化していたり、立地が悪い実家は、買取業者に直接売却するのが適しています。
弊社は、相続した実家をはじめとする中古住宅に強い専門の買取業者です。
豊富な買取ノウハウを活かし、お客様の希望する条件に全力で寄り添います。
実家の売却をご検討中の方は、ぜひ一度弊社にご相談ください。