老後は「持ち家」に住みたい人が70.8%
全国の男女500人に「老後は持ち家と賃貸のどちらに住みたいですか」と聞いたところ、「持ち家」と答えた人が70.8%で多数派となりました。
「ローンを払い終えた持ち家で安心して暮らしたい」と考えている人が多いのかもしれません。
持ち家なら、介護を見据えてのリフォームなども気兼ねなくできます。
資産価値の高い持ち家を所有している場合は、お金がなくなったときに売却して資金を得ることも可能でしょう。
一方賃貸は、「高齢だと契約更新してもらえない」「何らかの事情で転居が必要になったとき、審査に通らない」といった心配があります。
ただし賃貸では「メンテナンスなどは管理会社や大家さんにお任せできる」「固定資産税がかからない」「相続対策が不要」といった点がメリットです。
持ち家にも賃貸にもメリット・デメリットがあるので、「持ち家の資産価値」や「どのメリットを優先したいか」などを検討する必要があります。
老後は「一戸建て」に住みたい人が54.0%
続いて「老後は一戸建てと集合住宅のどちらに住みたいか」を聞きました。
その結果、「一戸建て」と答えた人が54.0%とやや優勢。
「持ち家か賃貸か」という選択ほどには、差が広がりませんでした。
「分譲マンションに住みたい」と考えている人も多いのでしょう。
一戸建ては、分譲マンションに比べてリフォームしやすいメリットがあります。
ただメンテナンス費用を自分で用意しなくてはいけないほか、面積が広いので高齢になると管理が大変になると考えられます。
一方マンションはセキュリティ面や立地条件に優れていることが多いです。
ただ「マンションが老朽化すると管理費が高くなる」「スペースが戸建てに比べて狭くなりがち」というデメリットもあります。
どちらにもメリット・デメリットがありますので、住み替える前には十分検討しましょう。
老後に住みたい住宅ランキング
最後に、「老後にどのような住宅に住みたいか」を具体的に回答してもらいました。
その結果、圧倒的1位は「一戸建て(243人)」でした。
集合住宅については、2位「サービス付き高齢者向け住宅(58人)」、3位「分譲マンション(53人)」、4位「通常の賃貸住宅(52人)」などに票が割れたかたちとなっています。
また「一戸建てと集合住宅なら、一戸建てに住みたい」と答えた人の中にも、「最終的にはサービス付き高齢者向け住宅に入りたい」と答えた人がいました。
なお、年代別や性別で比較しても、結果に大きな違いはありませんでした。
ではそれぞれの住宅を選ぶ理由について、具体的な回答をもとに紹介します。
1位 一戸建て
- 家賃が払えなくなって追い出される心配がないから(25歳 男性)
- そこそこ田舎で自然に囲まれた場所にある、平屋の一戸建て。ゆっくりと落ち着きたいので(36歳 男性)
- 今までずっと賃貸だったので、最後くらい汚れなどを気にせず一戸建てに住みたいです(51歳 女性)
1位は「一戸建て」でした。
「持ち家なら家賃の心配がない」「隣室を気にせずリラックスして暮らしたい」などの回答が寄せられています。
老後は田舎でのんびり暮らしたい人なら、そもそも集合住宅を見つけるのが大変かもしれません。
条件としては「階段は大変になるかもしれないから平屋」「ガーデニングをしたいから庭つき」という声が目立ちました。
2位 サービス付き高齢者向け住宅
- 家族に迷惑をかけずに日常生活を過ごせると思うから(30歳 女性)
- 一人では不安だが縛られたくはないから。普段は自由にできて、何かあったときにはサポートしてくれるようなところに住みたい(45歳 女性)
- 一人暮らしなので定期的に安否確認が行われるところに住みたいと思っている。ただし予算と相談です(58歳 男性)
2位は「サービス付き高齢者向け住宅」でした。
サービス付き高齢者向け住宅とは、バリアフリー環境の整った高齢者用の賃貸住宅です。
「一般型」と「介護型」があり、介護ケアを必要とする人を対象とした「介護型」では、施設に常駐しているスタッフから介護サービスを受けられます。
「家族に迷惑をかけたくない」「一人では不安」という気持ちで選んだ人が多くなりました。
3位 分譲マンション
- マンションだとセキュリティなどがしっかりしていると思うから(27歳 男性)
- 家賃を気にせず、管理が簡単だから(35歳 女性)
- 無駄な広さは必要なく、ワンフロアで過ごせるほうが快適だから(45歳 女性)
3位は「分譲マンション」です。
コンパクトに暮らせて管理の手間が少なく、セキュリティ面にも優れているのが分譲マンションの特徴です。
室内に階段がないので、老後の体力面を考えたときにも安心感がありますね。
また賃貸マンションだと住民の入れ替わりがありますが、分譲マンションなら周囲の住民と長期的な関係を築けるのもメリットです。
4位 通常の賃貸住宅
- 持ち家を子どもに渡すのが申し訳なく思うため(24歳 女性)
- 賃貸なら立地のいいところに住めそう。また持ち家だとなかなか引っ越しは難しいし、晩年は自分で管理するのはしんどいと思う(30歳 男性)
- 家を売り、静かに暮らしたい(52歳 男性)
4位は「通常の賃貸住宅」でした。
「相続や管理が大変」といった持ち家のデメリットを強く感じており、賃貸住宅に住みたいと考えている人もいるとわかります。
また賃貸なら「駅チカ」「商業施設や病院の近く」といった立地面での条件も、持ち家に比べて満たしやすくなります。
5位 有料老人ホーム
- プロが面倒を見てくれるので、家族に迷惑をかけないから(33歳 女性)
- 孤独死は嫌ですし、家族に心配をかけたくないので(42歳 男性)
- 周りに人がいると安心できるから(50歳 男性)
「有料老人ホーム」が5位でした。
サービス付き高齢者向け住宅はあくまで「賃貸住宅」ですが、住宅型有料老人ホームは「介護施設」です。
そのため有料老人ホームでは、食事やレクリエーションなどのサービスが提供されます。
選んだ理由としては「家族に迷惑をかけたくない」「一人では不安」など、サービス付き高齢者向け住宅と共通するものが多くなりました。
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6位 シニア向け分譲マンション
- 一戸建てだといろいろ管理が大変なので。シニアに特化した分譲マンションなら暮らしやすそう(36歳 女性)
- 一戸建てだと治安面で不安を感じますし、マンションなら近所付き合いができそうで寂しくなさそうだから(47歳 男性)
- 普通の集合住宅だと、子育て世代も入居しているので、子どもが走り回る音など騒音が気になる。シニア向け分譲マンションだと、あまりうるさくないのではないかと思う(60歳 男性)
6位は「シニア向け分譲マンション」でした。
シニア向け分譲マンションは、民間の企業が販売している「高齢者向けにバリアフリー化されたマンション」を指します。
「見守り」や「緊急時の対応」などのサービスもついており、高齢者が安心して暮らせるようになっています。
フィットネスジムや共用リビングで他の住人と交流ができるマンションもあるため、「楽しそう」という意見もありました。
7位 シニア向け賃貸住宅
- 死亡した際、自分の子どもたちなどに迷惑がかからないから(29歳 女性)
- シニアが暮らしやすいように工夫や配慮がされていると思うから(33歳 男性)
- 同じような人たちがいると安心かなと思う(48歳 女性)
7位は「シニア向け賃貸住宅」でした。
シニア向け賃貸住宅は、高齢者向けにバリアフリー化された賃貸住宅で、高齢者でも契約しやすくなっています。
サービスの有無や内容は住宅によって異なるため、サービス付き高齢者向け住宅とは違い「安否確認」や「見守り」などが必ず提供されるわけではありません。
ただ「介護や見守りは不要だけど、一般的な賃貸住宅では暮らしにくそうで不安」という方には向いていそうです。
同世代も入居しているでしょうから、交流もしやすそうですね。
まとめ
老後は家賃や契約更新の心配がない「持ち家」に住みたいと考えている人が多数。
しかし戸建てだとメンテナンスの手間がかかり、分譲マンションも管理費がかかり続けることには注意が必要です。
また「慣れた自宅に住み続けたいが、サポートが必要になってきたら介護施設や高齢者向けのサービスがある住宅に住み替えることも検討する」という声も。
一口に「老後」といっても、「介護が必要ない期間」「介護が必要な期間」「配偶者が亡くなったあと」など、ライフスタイルや家族構成はさまざまです。
「ステージごとに最適な住まい」や「ステージごとの住み替え」を考える必要があるのかもしれません。