地震・津波などの災害に十分備えている人は4.4%
全国の男女500人に「地震・津波などの災害に自宅で備えていますか」と聞きました。
その結果、「十分に備えている」はわずか4.4%、「多少備えている」が53.6%でした。
地震・津波に備えているつもりだが十分かどうかわからず不安を抱えている人も多いと推測できます。
「災害に備えたいけれど、何から手をつけたらいいかわからない」「家のスペースが足りなくて十分な備蓄ができない」といった人もいるかもしれません。
では「災害に備えている理由」「備えていない理由」について、実際の回答をもとに紹介します。
地震・津波などの災害に備えている理由
- 親が災害経験者だから(20代 女性)
- 東日本大震災で大きな被害を受けたので、大きな災害に備えるようになりました(30代 男性)
- 心配性な自分の不安を軽減させるために備えています。また小さな子どもがいて緊急時に身軽に動けないので、普段から気にするようにしています(30代 女性)
- 災害時、可能な限り不便な思いをせずに過ごしたいから(40代 女性)
- 静岡県在住で「大地震が来る」といわれているので、地震に対する備えをしている(40代 男性)
「災害を経験した」「災害リスクの高いエリアに住んでいる」などの理由が寄せられています。
自身が災害を経験していなくても、親や知人など身近な人から話を聞いて、備えている人もいます。
パンフレットなどを参考にするだけではなく「リアルな体験談」を聞くと大変さがひしひしと伝わり、「備えておかなくては」という気持ちが強まりそうです。
「危機感の強さ」「切実さ」が災害に対する備えに影響するとわかります。
地震・津波などの災害に備えていない理由
- 「いつくるかわからないもの」にかけるお金がない。また被災経験がなく、何がどれだけいるのかなど想像できないため(20代 女性)
- していた時期もあるのだが、継続するのが難しい。一度用意してもずっと使えるわけではないので、「気づいたころに期限が切れている」のを繰り返して、やらなくなった(20代 女性)
- 備えられるだけの収納スペースがなく、経済的余裕もない(30代 男性)
- 「備えなきゃ」とは思っているものの、何が必要かあまりわかっていなくて備えられていない。今後ちゃんと調べて備えようと思う(30代 女性)
- 心のどこかで「自分が住む地域では、大きな災害が起こらない」と思っている(50代 男性)
「自分の住んでいる地域は大丈夫だろう」といった回答が寄せられました。
ただ今まで大きな地震が起こっていない地域でも、「未確認の断層」などによって地震が発生する可能性はあります。
地震・津波用に備えていた防災グッズが、台風や水害で役立つこともあるでしょう。
また「お金がかかる」という意見もありました。
確かに「発電機」など大掛かりなものを購入するのにはお金がかかります。
一方、災害に備えて少し多めに食料や日用品を買っておき、古いものから消費する「ローリングストック」なら、負担感少なく実践できるのでおすすめです。
地震・津波などの災害に自宅で備えていること1位は「水・食料の備蓄」
「地震・津波などの災害に自宅で備えていること」の1位は「水・食料の備蓄(228人)」でした。
2位「避難所・避難経路の確認(148人)」、3位「家具の固定(128人)」、4位「防災リュック・グッズの用意(106人)」と続きます。
「まずは水と食料の確保が重要」と考える人が多いとわかりました。
また「避難所・避難経路の確認」「家族との連絡手段を決める」「高いところにものを置かない」など、お金をかけずにできる備えも複数ランクインしています。
1位 水・食料の備蓄
- 災害時、食糧不足に陥ることだけは避けたいから(10代 男性)
- 東日本大震災のときに、食料がなかなか手に入らず苦労したため(30代 男性)
- 熊本地震のときに、水が泥水に変わって困りました。なので、お水だけは常備するようにしています(40代 女性)
1位は「水・食料の備蓄」でした。
「最低限の備え」として、水と食料を備蓄している人も多い印象です。
また「避難所やスーパーに品物が届かない」「買い占めが起こる」といったケースを心配している人もいました。
災害に備えて、飲食用の水と食料は3日分備蓄しておくのがよいとされています。
2位 避難所・避難経路の確認
- 比較的海と川に近い場所に住んでいるため、避難場所だけでも確認しておいたほうが安心だから(20代 女性)
- 平日日中に災害が起きた場合、家族全員が合流できるようにするためです(30代 女性)
- いざというときにどこに避難したらよいかわからないのでは、困ってしまうので(40代 男性)
2位は「避難所・避難経路の確認」でした。
避難場所と避難経路を確認しておかないと、いざ避難しようと思ったときに戸惑ってしまう可能性があります。
そのため避難場所や避難経路を確認している人が多くなりました。
また家族と避難場所について話し合っておくことで、災害発生時に別々の場所にいても、避難場所で集合できます。
同居家族がいる人は、家族みんなで「避難場所・避難経路」や「災害時の集合場所」を共有しておきましょう。
3位 家具の固定
- 家具が倒れて逃げられなくなると大変だからです(20代 女性)
- 倒れて子どもが下敷きになったら大変だから(30代 女性)
- タンスのある部屋で寝ているため、タンスは固定しています(60代 男性)
3位は「家具の固定」です。
地震の揺れで家具が倒れると、人やペットが下敷きになってしまう危険性があります。
また倒れた家具で逃げ道を塞がれて、避難に時間がかかってしまう可能性も。
そのため、大きな家具や家電は固定しているご家庭も多くなっています。
倒れた家具が逃げ道を塞がないよう、家具の置き方や向きに注意するのもおすすめです。
4位 防災リュック・グッズの用意
- 基本的な災害グッズを揃えて、ひとつのリュックに詰めている(20代 男性)
- 災害用バッグを大人用と子ども用で準備しています(30代 女性)
- 各種グッズの入った災害用の持ち出し袋を、すぐに持ち出せる場所に置いています(60代 男性)
4位は「防災リュック・グッズの用意」でした。
リュックに貴重品、水・食料、救急グッズ、懐中電灯、ラジオなどを入れ、災害時の持ち出し用として常備している人も多数。
必要だと思われるグッズがあらかじめセットになった「非常用持ち出し袋」も市販されています。
「リュックの中身は自身や家族の状況に応じてアレンジし、定期的に見直すこと」「手に取りやすい場所に置いておくこと」がポイントです。
5位 家族との連絡手段を決める
- 家族の安否を一番知りたいから(20代 女性)
- すぐに無料でできることだから。万が一に備えて不安を少しでも取り除くため(20代 女性)
- 子どもが遠い小学校に通っている(50代 男性)
5位は「家族との連絡手段を決める」でした。
災害は、家族みんなが一緒にいるときに起こるとは限りません。
また、配偶者が単身赴任、実家が遠いなど、常日頃から家族と離れて住んでいる人も多いでしょう。
そのため家族との連絡手段をあらかじめ決めておくことは大切です。
6位 簡易・携帯トイレの準備
- 自宅が壊れなければ自宅避難したいから(30代 女性)
- 災害時に「足りない」といわれるものだから(40代 女性)
- トイレが使えなくなったときに困りますし、生きる上で欠かせないものなので(50代 男性)
「簡易トイレの準備」が6位でした。
ニュースで「災害時はトイレが大変」という声を聞き、トイレの重要性に気づいた人も多いのではないでしょうか。
災害時は、断水や停電、排水設備の破損などで、トイレが使えなくなることも多々あります。
そのため「携帯トイレ」「防臭できる袋」「凝固剤」などを用意している人も多くなりました。
7位 懐中電灯・ランタンの準備
- 停電した際に使えるように(20代 女性)
- あると安心だから(30代 女性)
- 閉じ込められたときに見つけてもらいやすくするため(50代 女性)
「懐中電灯・ランタンの準備」が7位にランクインしました。
夜間帯に停電すると、部屋・屋外が真っ暗になり移動が危険です。
また真っ暗で明かりがないと不安感が強くなってしまいます。
スマホのライト機能も使えますが、連絡や情報収集用にできるだけスマホのバッテリーは温存したいですよね。
ろうそくは倒れて火災につながる可能性があるので、できれば懐中電灯を用意しておくのがおすすめです。
同率7位 充電器・蓄電池など電源の確保
- 電気の確保(ポータブルバッテリー、ソーラーパネル)。胆振東部地震を経験しているので、電気が使えないと非常に不便だと感じ用意している(20代 女性)
- 停電しても大丈夫なように発電機を備えている。停電しても、電気が使えるとできることが多いから(40代 女性)
- モバイルバッテリーをいくつか充電している。とりあえず電源は必要だと考えているため(50代 男性)
同率7位は「充電器・蓄電池など電源の確保」でした。
停電すると「照明が使えず不安」「テレビやスマホで情報収集できない」といった事態に陥ります。
そのため、モバイルバッテリーや蓄電池、発電機などを準備している人も多くなりました。
9位 高いところにものを置かない
- 地震で荷物が落ち、足の裏を怪我したら危険(20代 女性)
- 地震で落下すると危険なため。破損や怪我防止のため(30代 女性)
「高いところにものを置かない」が9位です。
タンスや置き型クローゼットの上に物を載せている人も多いかもしれません。
しかし高いところにあるものが地震の揺れで落下すると危険です。
とくに割れものや重いものは、高いところに置かないようにしましょう。
「そもそも背の高い家具を置かないようにしている」という人もいました。
10位 日用品の備蓄
- 避難所でなかなか手に入らないと思うから(30代 女性)
- 使用期限がないので管理も大変ではないから(40代 女性)
10位は「日用品の備蓄」でした。
日用品の内容は、トイレットペーパー、ティッシュペーパー、子どものおむつなど。
女性なら生理用品も多めにもっておきたいですね。
常備薬や「歯磨き・洗面用品」「水不要のシャンプー」もあると安心です。
地震・津波などの災害に今後自宅で備えたいこと1位も「水・食料の備蓄」
続いて、地震・津波などの災害のために「現在は備えていないが今後自宅で備えたいこと」を聞きました。
その結果、圧倒的1位は「現在備えていること」でも1位となった「水・食料の備蓄(183人)」でした。
かなり差が開いて、2位は「充電器・蓄電池など電源の確保(75人)」、3位「防災リュック・グッズの用意(63人)」となっています。
全体的には「備えていることランキング」と同じ項目が多くランクインしています。
「避難所・避難経路の確認」「家族との連絡手段を決める」などが順位を落としたのは、「すでに実施済みで、やる必要がない」と考えている人が多いからかもしれません。
1位 水・食料の備蓄
- 子ども用のご飯をもっと揃えたい(20代 女性)
- 食べ物や飲み物をあまり準備していないので、防災用かつ好みの食べ物を備えておきたいと思っています。ニュースを見て「食べ物の不自由はストレスが高そうだな」と考え直しているところです(30代 女性)
- 食料や水について一応備えているが、もう少し検討したい(40代 男性)
1位は「水・食料の備蓄」でした。
「あまり準備できていないから」という人もいれば、「準備はしているけど、内容や量を見直したい」という人もいました。
非常食は「長期保存できること」「簡単に栄養をとれること」が大切です。
ただ、効率だけを意識すると味気ない内容になってしまう可能性も。
非常時のストレスを和らげてくれるような「好みの味」「食べ慣れたもの」「温かい汁物」を備蓄しておくのも大切でしょう。
2位 充電器・蓄電池など電源の確保
- 小さなソーラーパネルを買いたい(20代 女性)
- ポータブル蓄電池を購入して備えておきたい(30代 女性)
- 小型発電機を購入しようか検討しているところです(40代 男性)
2位は「充電器・蓄電池など電源の確保」でした。
停電時への備えとして、蓄電池や発電機の購入を考えている人も多数いました。
「太陽光発電システムと蓄電池」は用意するのにまとまった費用がかかりますし、住んでいる場所によっては導入が難しいこともあるでしょう。
一方キャンプ用のポータブル電源なら、数万円~20万円程度で購入できるものがあります。
また電源確保を兼ねて「電気自動車への買い替え」を考えている人もいました。
3位 防災リュック・グッズの用意
- 防災グッズがまだ不十分な部分もあるので、徹底して揃えたい(20代 女性)
- 非常持ち出し袋の準備(40代 女性)
- 最低限必要な持ち出し荷物をまとめておく(50代 男性)
3位は「防災リュック・グッズの用意」です。
「持ち出し用の荷物をまとめておきたい」という人も多いようです。
ただリュックに「あれもこれも」と詰め込むと、持ち出すときに苦労するケースも。
そのため、最低限のものをまとめた防災ポーチを用意しようとしている人もいました。
またリュック・ポーチの中身や置き場所については、定期的に見直すのがおすすめです。
4位 家具の固定
- 家具の固定。一部は固定済みだが、まだ不安定な箇所があるため(20代 女性)
- 家具の固定をしたいと思いつつしてないので、時間を見つけてやりたい(30代 女性)
- 家具が倒れないようにしたい(50代 男性)
4位は「家具の固定」でした。
家具を固定しておきたいと思いつつ、まだ作業が終わっていない人も多いようです。
「賃貸なので金具タイプは使いにくい」という人もいるかもしれません。
ただ管理会社や大家さんによっては、事前に相談することで固定金具の使用をOKしてくれることもあるようです。
どうしても金具が使えない場合は、「突っ張り棒」「耐震マット」「壁に吸着させるタイプ」などを検討してみましょう。
5位 簡易・携帯トイレの準備
- トイレ用の吸着剤をもっと用意して、長期間の断水にも耐えられるようにする(20代 女性)
- 能登の地震でトイレが大変だと知ったので、災害時に使えるトイレの購入(40代 男性)
- トイレ関係の準備が不十分です(60代 女性)
5位は「簡易・携帯トイレの準備」でした。
日常生活で「トイレが使えない大変さ」を想像するのは難しく、後回しになっている人も多いのではないでしょうか。
ちなみに簡易トイレは「便座ありのトイレ」、携帯トイレは「便座なしのトイレ」を指します。
「防災リュックに入れやすいコンパクトタイプ」など様々な商品があるので、「子どもが使いやすいか」「持ち出しやすいか」「丈夫か」などを比較して選ぶのがおすすめです。
6位 避難所・避難経路の確認
- ペットと同行避難ができるところの確認(30代 女性)
- 避難場所が遠くて行きづらいので、他に避難できる場所があるか知っておきたい(40代 女性)
- 避難場所への経路をいくつか考えておくこと(50代 女性)
「避難所・避難経路の確認」が6位でした。
「自宅から行きやすい避難所」「近くの避難所より、さらに安全だと思われる避難所」を検討しておきたいという声が寄せられました。
また避難経路がひとつだけだと、災害時に「倒木や壊れたブロック塀で通れなくなる」などの可能性があります。
避難所までの経路は、複数下見しておくといいですね。
7位 家族との連絡手段を決める
- 家族や親戚などと、連絡手段を事前に話し合っておくこと(20代 女性)
- 家族同士の連絡方法など、決めていないことを決めておきたい(30代 女性)
「家族との連絡手段を決める」が7位にランクインしました。
災害時、被災地では電話がつながりにくくなることも。
事前に「電話がつながらなくなったら、災害用伝言ダイヤルに伝言を残そう」と家族みんなで共有しておけば、スムーズな安否確認につながります。
ただ「災害用伝言ダイヤル」「災害用伝言版」の名前は知っていても、利用方法がわからない人も多いのではないでしょうか。
「災害用伝言ダイヤル」「災害用伝言版」は体験利用もできますので、家族みんなで一度体験しておくのがおすすめです。
8位 日用品の備蓄
- 生理用品や下着の補充(30代 女性)
- 普段コンタクトをしているので、自分の度数に合ったコンタクトと保存液はもう少し予備を準備しておこうと思う(30代 女性)
- トイレットペーパーなどはローリングストックをするつもりができていないこともよくあるので、しっかりローリングストックしたい(30代 女性)
8位は「日用品の備蓄」でした。
女性からは「生理用品を備蓄しておきたい」という声が目立ちました。
また小さな子どもがいる世帯では、おむつなど子ども関連の消耗品も準備しておきたいですね。
9位 防寒具・暑さ対策グッズの用意
- 寒さをしのげるもの(20代 男性)
- 冬に暖をとるもの、夏に涼を得るものの確保。とくに涼しくするものは必須(30代 女性)
- 寒さや暑さ対策も大切だと思うので、揃えようと思っています(40代 女性)
「防寒具・暑さ対策グッズの用意」が9位です。
アンケートを実施したのが冬ですので、防寒具として「ストーブ」「カイロ」「毛布」を用意したいという人が目立ちました。
ただ災害して停電したときにはエアコンが使えないので、夏の災害用に「暑さ対策」「熱中症予防」も重要。
できることとしては「保冷グッズの用意」「蓄電池と扇風機の購入」などが考えられます。
10位 防災関連の情報収集
- 何を備えればいいかがまずわからないので、調べることから始めたい(20代 男性)
- ハザードマップの確認(30代 女性)
10位は「防災関連の情報収集」でした。
例えば「ハザードマップの確認」「最低限必要な防災グッズや備蓄品を調べる」といった情報収集から始めてみてはいかがでしょうか。
災害時に役立つアプリを調べ、災害時に開放される無料Wi-Fi「ファイブゼロJAPAN」について知っておくのもおすすめです。
まとめ
「地震・津波に対して備えていること」も「今後備えたいこと」も「水・食料の備蓄」が1位でした。
また「電源の確保」「トイレの備え」についての関心も高いことがわかりました。
地震に対して備えていない人からは「お金がかかる」という意見もありましたが、食料や日用品のローリングストックなら、負担感少なく備えられます。
「防災アプリのダウンロード」「ハザードマップの確認」「地震が起きたときにとるべき行動のチェック」など、お金をかけずにできる備えもあります。
また最近では、災害時も日常時も使える「フェーズフリー」な商品も注目されていますので、上手に活用してみてはいかがでしょうか。
今備えを進めている人も、「防災リュックの定期的な見直し」「家族と災害時の行動について定期的に話し合う」などの取り組みをおすすめします。