不動産の相続放棄はすべての財産を引き継げなくなる
相続放棄すると、不動産だけでなくすべての財産を放棄しなければなりません。
相続放棄は、親の借金を肩代わりしなくてすむメリットがありますが、現金や不動産などのプラスの財産も引き継げなくなります。
そのため、プラスの財産と相殺しても借金が残る場合を除き、相続放棄による不動産の処分はおすすめできません。
相続放棄は、親が抱えている財産の内容を相続前に確認したうえで判断しましょう。
なお、相続放棄する場合は、相続の事実を知ったとき(親が亡くなった日等)から3か月以内に家庭裁判所に申し出をする必要があります。
参照元:相続の放棄の申述|裁判所
相続放棄した後の不動産
相続放棄した後の不動産の扱いは、他の相続人がいるかどうかにより異なります。
自分以外の他の相続人が遺産を相続する場合、相続放棄した人を除いて遺産分割協議が行われ、遺産が分割されます。
このとき、遺産分割協議にて決定した不動産を相続する人が、不動産の管理・処分をします。
一方、相続人全員が相続放棄した場合は、以下の手順で手続きが進みます。
- 相続財産清算人の選任
- 相続財産清算人による不動産の売却
- 債権者への弁済
- 売却代金の国庫帰属
相続財産清算人とは、相続放棄した相続人に代わって遺産の管理・処分をする人です。家庭裁判所に申し立てをすることで選任されます。
遺産の処分においては法的な手続きが多いため、相続財産清算人は弁護士から選任されることがほとんどです。
選任された相続財産清算人は不動産の売却をした後に、債権者に借金を返済します。
借金を返済して財産が残ったとき、特別縁故者(内縁の配偶者など故人と親しい関係にあった人)がいる場合を除き、国庫に帰属されます。
土地と建物の名義が違う場合の相続放棄【4つのケース】
土地と建物の名義が違う場合の相続放棄には、以下の4つのケースが考えられます。
- 土地は親名義・建物は子ども名義(土地を相続放棄)
- 土地は子ども名義・建物は親名義(建物を相続放棄)
- 土地は親名義・建物は第三者名義(土地を相続放棄)
- 土地は第三者名義・建物は親名義(建物を相続放棄)
実際に相続放棄する際は、不動産の権利関係が複雑なため、弁護士や司法書士など法律知識のある専門家に相談しましょう。
土地は親名義・建物は子ども名義(土地を相続放棄)
土地を相続放棄すると、土地の所有権は親から第三者、もしくは他の相続人に移転します。
このとき、以下の2つの選択肢が生じます。
- 建物を壊す
- 土地を借りる
土地の所有者から明け渡しを求められた場合、建物を取り壊し、要求に応じなければなりません。
土地が売却されると、他人の土地を不当に占拠している状態になるため、明け渡しへの対抗ができないためです。
なお、所有者と賃貸借契約を結ぶことができる場合は、土地を借りることで今までどおりに建物を使えます。
上記の状況を避けるには、親が亡くなる前に土地を購入し、土地・建物の両方を自分の名義にしておく必要があります。
土地は子ども名義・建物は親名義(建物を相続放棄)
親名義の建物を相続放棄すると、建物は第三者に売却されます。
ただし、売却する際は借地権付き建物として売りに出す必要があります。
建物のみを売却できたとしても、買い手は土地を使用する権利を取得できないからです。
建物の買い手は、土地の所有者に立ち退きを要求された際、対抗できる手段がありません。
したがって、借地権付き建物として売却しない限りは、建物の売却は難しいでしょう。
もし、借地として他人に貸し出したくない場合は、あらかじめ親名義の建物を購入し、自分の名義に変更する必要があります。
なお、他の相続人が建物を相続する場合も同様に土地の賃貸借契約、もしくは使用貸借契約(不動産を無償での貸し付ける契約)の締結が必要です。
土地は親名義・建物は第三者名義(土地を相続放棄)
前述したとおり土地を相続放棄すると、土地の所有権は親から第三者、もしくは、他の相続人に移転します。
このとき、新たな土地所有者から立ち退き要求されたとしても、借地人は要求を拒むことができます。
土地を借りている建物の所有者は、建物登記している場合は第三者に土地を使用する権利を主張できるからです。
第十条
借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。
したがって、借地人は引き続き同じ土地を使用することができます。
土地を相続放棄しても、親から土地を借りている人に迷惑をかけることはないでしょう。
土地は第三者名義・建物は親名義(建物を相続放棄)
相続人全員が相続放棄した場合、建物は地主または第三者に売却されます。
このとき、借地上の建物の扱いについては、選任された相続財産清算人と地主との間で交渉した後に処分されます。
自分以外の相続人が遺産相続する場合、借地上の建物の管理・処分は相続した人が引き継ぎます。
通常は借地権の譲渡は地主の承諾が必要ですが、相続の場合は不要です。
地主に相続が発生したことを通知すれば問題ありません。
土地と建物の名義が違う場合は不動産会社に相談
故人の遺産のうち、プラスの財産より借金のほうが多い場合を除き、相続放棄にメリットはありません。
もし、親が借金を抱えているわけでもなく、いらない不動産だけを手放したいと考えているなら、訳あり不動産を専門に扱う不動産会社に相談しましょう。
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まとめ
この記事では、土地と建物の名義が違う場合に相続放棄した際どうなるのかについて解説しました。
土地と建物の名義が違う場合の相続放棄のケースには、以下の4つが挙げられます。
- 土地は親名義・建物は子ども名義(土地を相続放棄)
- 土地は子ども名義・建物は親名義(建物を相続放棄)
- 土地は親名義・建物は第三者名義(土地を相続放棄)
- 土地は第三者名義・建物は親名義(建物を相続放棄)
いずれの場合も、不動産の権利関係が複雑なため、弁護士や司法書士などの不動産関係の法律の専門家に相談しましょう。
なお、相続放棄は親に多額の借金がある場合を除き、不動産を手放す手段としてはおすすめできません。
相続放棄すると、借金に加えて現金や不動産、株式などのプラスの財産も手放さなければならないからです。
相続予定の使い道のない土地・建物を処分する手段を検討中の方は、訳ありの不動産を専門に扱う不動産会社に処分の相談をしましょう。
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