あなたは、事故物件でも条件がいいなら住んでみたいと思いますか。
「住んでもいい事故物件」と「どうしても無理な事故物件」があるという人も多いかもしれません。
優先する条件や許容範囲は人それぞれです。
そこで今回は全国の男女500人を対象に「住んでみたい事故物件」と「絶対に住みたくない事故物件」についてアンケートを実施しました。
- 調査対象:全国の男女
- 調査期間:2025年9月30日~10月4日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:500人(女性331人/男性169人)
- 回答者の年代:10代 1.6%/20代 25.4%/30代 33.6%/40代 21.6%/50代以上 17.8%
住んでみたい事故物件は「家賃が安い」
全国の男女500人に住んでみたい事故物件を聞いたところ、1位は「家賃が安い(54.2%)した。
2位「事件性がない(34.6%)」、3位「内外装がきれいになっている(18.2%)」が続きます。
現在の物件の状態や、どんな利点があるかを重視する人が多いとわかりました。
過去の出来事そのものよりも、現在の状態が整っていて、自分の暮らしに支障がないと判断できれば、事故物件でも前向きに受け入れられるとわかります。
一方で「事件性がない」「発見が早かった」「人が亡くなっていない」など、事故物件の内容や程度を重視している人も少なくありません。
また「病死などの自然死で、家賃の価格が安い物件」「家賃が安くて、殺人などの重い内容ではない」など、実利と事故物件の内容の両方を挙げた人も。
家賃の安さといった実利があることは、事故物件の内容が許容範囲であると判断された場合に、入居を決定づける大きな要因となると読み取れます。
1位 家賃が安い
- 家賃が相場の半分以下なら住んでみたいと思います。安いなら、多少の精神的な負担は我慢できそうなので(20代 女性)
- タワマンのような「通常価格だと住めないような物件」が破格的に安ければ、住んでみたい(30代 女性)
- 昔事故物件に住んでいてとくに何もなかったから。安さ重視(40代 男性)
1位は「家賃が安い」でした。
家賃が安いことは、経済的なメリットとなります。
事故物件に多少の拒否感はあっても、経済的なメリットがかなり大きければ、事故物件に住んでみたい、住んでもいいと思える人も多くなっています。
事故物件に対する心理的な抵抗よりも、生活コストを抑えたいという現実的な欲求や実利が勝つのですね。
通常なら手が届かないような立地やグレードの物件に安く入居できることで、むしろ「魅力的だ」「積極的に検討したい」と思う人もいます。
2位 事件性がない
- 自殺や他殺は清掃が大変なだけでなく心理的にも不安が多いものの、体調不良などの不慮の死はお祓いしたらなんとかなりそうだから(20代 女性)
- 殺人などの凶悪犯罪が行われた物件ではなく高齢者や病気による孤独死なら、日本社会が招いた問題なので、納得できる(40代 男性)
- 家主が家で孤独死をされた。一人暮らしの老人ならあり得ることなので、とくに不安なし(50代以上 男性)
2位は「事件性がない」でした。
事故物件になった理由を見極めて、入居を検討するかどうか決める人もいます。
「殺人や放火は嫌だけど、孤独死や病死なら大丈夫」という人も多いとわかりました。
少子高齢化の進む現在ですから、高齢者の孤独死や病死については「よくあること」「怖くない」と捉えている人も多いとわかります。
3位 内外装がきれいになっている
- 部屋がきれいであれば気にならないため(20代 男性)
- もともと幽霊や怪奇現象は心のもちようだと思っているので、一見して事故物件に見えなければ気にならないです(30代 男性)
- きれいなら雰囲気もいいし、快適さを感じられそうだからです(40代 女性)
3位は「内外装がきれいになっている」でした。
視覚や嗅覚の面で事件の痕跡を感じないのであれば、安心して気持ちよく住めると考える人もいます。
事件事故由来の傷や汚れがなく、見た目がきれいに整っていれば、事故物件であることを意識せずに過ごしやすいからです。
そのため事故物件に対しては、徹底的な清掃や消毒、目に見える部分のリフォームを求める人も多くなりました。
4位 立地がいい
- 駅に近くて人が賑やかだと、心霊現象などが起きにくいと思ったから(30代 男性)
- 自宅にいる時間が短いため、周辺環境が良く、かつ家賃が安ければ住める(30代 女性)
- 駅から近くて買い物など便利であれば住みます。気にならないし、便利なので(50代以上 男性)
「立地がいい」が4位です。
事故物件を避ける人も多いので、オーナーが入居者を確保するために家賃を低く設定するケースも多々あります。
結果として、立地がいいわりに家賃が安いという事故物件も出てくるため、「利便性がいいなら住みたい」という人も多くなりました。
また駅チカや商業施設の近くなど賑やかな場所であれば、事故物件に住む怖さが薄らぐと考えている人も。
仕事や外出で家にいる時間が短く、事故物件うんぬんよりも便利さ重視だという人もいました。
事故物件を気にしない人にとっては、立地のいい物件を安く借りられる合理的な選択ができると言えます。
5位 発見までの期間が短い
- 自然死などで発見が早かった事故物件。死体の腐敗が進んでいなかったら、体液などの汚れが気にならなくて済むから(20代 男性)
- 死後早く発見された物件なら、家族に看取られながら病死したのと変わらない。それならお得なほうがいい(30代 女性)
- 亡くなった人が、比較的早く発見された物件。発見が早ければ、部屋への影響が少なそうだから(40代 女性)
「発見までの期間が短い」が5位に入りました。
物件で人が亡くなった場合に、発見までの期間が短かければ許容できるという人もいます。
遺体の発見が早ければ、臭いや汚れなどの物理的影響が少ないと考えられるからです。
人が死んだことそのものよりも、人の死が部屋に残した影響の大きさを重視する考え方です。
6位 人が亡くなっていない
- 人が死んでない事故や火事。事件の犯人が捕まっていてしばらく出てこない物件。人が亡くなっていなければ、怖くはないから(20代 女性)
- 人が死んだのは気になるが、「犯罪者が住んでいた」ぐらいなら、家賃の安さを取る(30代 男性)
- 傷害事件があったものの、当事者は死んでいないという物件。死亡した人がいないのであれば、あまり気にならないから(50代以上 女性)
6位は「人が亡くなっていない」でした。
事件事故があった部屋でも、人が亡くなっていないなら問題ないという人もいます。
入居者の死がなければ心霊現象などへの不安にはつながらず、怖いとは感じにくいからですね。
不審死・自然死を問わず、人の死があったかどうかが忌避感の根源となっているケースも多いことが伺えます。
7位 心霊現象が起きない
- 心霊現象がないなら、不利益がなさそうだから(20代 男性)
- とにかく怪奇現象と霊が怖いので、なければ普通に住める。出ないとわかっていれば怖くない(20代 女性)
- 心霊現象が起こらないことの証明があれば、何も問題ない(50代以上 女性)
「心霊現象が起きない」が7位です。
世の中には、霊感があったり、心霊現象を怖いと感じたりする人も多くいます。
上記のような人であれば、心霊現象が起こらないなら事故物件でも住んでみたいと思えるとわかりました。
心霊現象が起こらないと思える条件としては、「人が亡くなっていない」「供養が終わっている」「霊媒師から大丈夫だとお墨付きがある」などあります。
絶対に住みたくない事故物件は「殺人事件があった」
絶対に住みたくない事故物件の圧倒的1位は「殺人事件があった(55.0%)」で、半数以上からの回答を得ました。
2位「住人が自殺した(21.4%)」も2割以上の人が挙げています。
全体的に、事故物件になった理由によって、拒否感を抱きやすいとわかりました。
とくに殺人事件や自殺など、人の死に事件性や悲惨さがあるケースには、拒否感を抱く人が多くなっています。
また「事件事故の痕跡が残っている」「発見まで時間がかかった」など、物件の清潔さや快適さなど、生活面への直接的な影響も危惧されていました。
1位 殺人事件があった
- 殺人があった物件。霊現象も怖いが、リセールする際にも影響してくると思う。「ネットで調べれば出てくるような事件」が起きた物件は避けたい(30代 女性)
- 強盗や殺人事件のあった物件。現実的に防犯面が危険そうで嫌(40代 男性)
- 近所で噂になると嫌だから(50代以上 女性)
1位は「殺人事件があった」でした。
外部からの侵入者により殺人事件が起きた物件だと、セキュリティ面の問題があり、自分も何か事件に巻き込まれるのではないかという不安があります。
また、物件の中で無念にも殺されてしまった人がいるわけなので、心霊現象についての不安も。
殺人事件があった物件に対する周囲の評判という面でも、デメリットを感じている人が多くなりました。
心理面でもリセールバリューの低下といった実利面でも、デメリットが想定されるとわかります。
2位 住人が自殺した
- 良くない感情にひっぱられそうだから(20代 女性)
- 怨念が感じられそうで、さすがに嫌(40代 男性)
- 自殺が続く物件もあると聞く。「空気の循環が悪い」「湿気が多すぎる」など、精神に影響する要素が家にある場合があると考えるため(50代以上 男性)
2位は「住人が自殺した」でした。
自殺に至るまでには、生きることを諦めるほどの苦しみや悩みがあったと考えられます。
そのため住人が自殺した物件については、「他者の苦しみや絶望を感じそう」「辛い思いや世の中への恨みといった怨念が部屋に残っているのでは」という不安を抱く人も多くなっています。
精神的な負担が大きくなるので、住みたくないと思うのですね。
3位 火災があった
- 火事で焼けた部分と焼けていない場所がチグハグで違和感があり、雨漏れや床に悪影響を与えていると思うから(20代 男性)
- 火事物件はいくらリノベーションをしていても、部屋そのものの耐久性が低くなっていそうで、不安がある(40代 男性)
- 火事後の匂いなど、気になることが多いから(50代以上 女性)
3位は「火災があった」でした。
火災が発生した物件では、目に見えない損傷や臭いへの懸念から躊躇する人が多くなっています。
例えば「柱の強度が落ちているのではないか」「壁や天井に細かいすすが残っているのではないか」「配管が熱で劣化しているのではないか」などです。
表面上はリフォームできれいになっていても、「構造物や設備に劣化が残っているのでは」という不安はなかなか払しょくできません。
心理的な嫌悪よりも、物理的瑕疵への不安が中心です。
4位 事件事故の痕跡が残っている
- 事故の形跡が少しでも見て取れる物件。気持ちよく住めないと思うから(20代 女性)
- 室内に遺体の臭いや痕跡が少しでも残っている物件なら、かなり居心地が悪いので絶対に住みたくないです。不安と緊張がすごくて、安心して眠れないです(30代 男性)
- 事故当時の跡や臭いなどがまだ残っている部屋は辛いです。日常生活で事故物件だと思い出してしまうので(50代以上 女性)
「事件事故の痕跡が残っている」が4位です。
事件事故の痕跡が消えていない物件については、拒否感をもつ人も多数。
痕跡とは例えば、壁や床のシミ、壁紙に染みついた臭い、残置物などです。
痕跡があると、視覚・嗅覚などを通じて「事故物件に住んでいる」と思い出してしまい、リラックスしにくくなります。
5位 理由問わず人が亡くなった
- 死亡者があった物件。孤独死や事故、事件など理由は問わない。自宅は休まる場所であって欲しいから。心理的な事故物件だと「ここで亡くなっていたのか」など余計なことを考えて、気落ちしてしまいそう(20代 女性)
- やはり人が亡くなった物件には住みたくないです。理由はいろいろあると思いますが、躊躇してしまいます。霊などを信じることはありませんが、人が亡くなった場所にずっといるのは精神的に辛いからです(30代 男性)
- あまり気持ちの良いものではないから。なんとなく悪影響を受けそうだから(50代以上 男性)
「理由問わず人が亡くなった」が5位に入りました。
「人が亡くなった物件に住むと、死んだ人のことを考えてしまって落ち着かない」という意見も多くなりました。
人が亡くなったときの状況を考えるのは、気持ちのいいものではありません。
心霊現象を信じない人であっても、「人が亡くなった物件に、自分が住んでいる」という事実によって、落ち込みや不安を感じるケースがあるとわかりました。
6位 心霊現象が起こる
- 心霊現象自体は気にならないが、あまりにも頻繁だと不便そう。例えば電気がチカチカしたら見づらくなって不快だし、テレビが勝手についたら消すのが面倒になりそう(20代 女性)
- 心理面や健康状態に悪影響がありそうだから(40代 女性)
- 心霊関係のことにより、精神的だけでなく、身体的にもダメージを負うのは絶対に嫌だから(50代以上 男性)
6位は「心霊現象が起こる」でした。
事故物件で起こる「電気がチカチカする」「家の中で不審な音がする」といった現象に対し、強い拒否感をもつ人もいます。
実際には、上記のような現象は心霊現象だとは限りません。
ただ、心霊現象かもと思うだけで、強い不安に襲われたり、不安からなかなか寝付けなくなったりすることはあり得ます。
そのため心霊現象による心や身体への影響を心配している人も多くなりました。
7位 発見まで時間がかかった
- 自宅で孤独死して長期間発見されなかった場合。遺体の腐敗が進んでいたと考えられるので、体液が床に染みついていそうだと思う(30代 女性)
- 腐食が進行していると、虫が湧いたり、床に染み込んでいることが多い。きれいに見えても、住んでいると不都合が出てきそうだから(40代 女性)
- 清掃などがしっかりされていたとしても、長期間ご遺体がほったらかしにされていた場合は生理的に無理だと思います(50代以上 男性)
「発見まで時間がかかった」が7位です。
自然死などで住人が亡くなったあと、遺体の発見まで時間がかかった物件については、衛生面への不安を挙げた人が多くなりました。
「遺体の腐敗による臭いの発生」「床や壁への体液の染み込み」「害虫の発生」といった現象が、生理的に無理という状態を引き起こすのですね。
特殊清掃や全面リフォームが完了していても、「取り切れているのかという疑念から、拒否感につながりやすくなっています。
カンタン1分査定
事故物件に住む?住まない?「絶対に住まない」は2割以下
「事故物件に住むか住まないか」を聞いたところ、最も多かったのは「できれば避けたいが場合による(55.8%)」という回答でした。
また「条件次第で住む(24.4%)」も24%を超え、少数ですが「こだわらない(1.8%)」という人も。
「絶対に住まない(18.2%)」は2割以下であり、多くの人が事故物件について忌避感や「ちょっとひっかかる」という気持ちをもちながらも、入居の可能性は残しています。
実際にアンケートでは「嫌だけど、安いなら譲歩できる」「事故物件は嫌だが、リアルな金銭事情には代えられない」という声も。
事故物件には、エリアや平米数の相場よりも、家賃が安くなりやすいメリットがあるため、心理的なハードルを実利が上回る場合には、入居を検討する人もいるとわかります。
まとめ
事故物件に対しては、事故の内容が許容範囲で、家賃が安いなどの実利があるなら検討したいという人もいました。
事故の内容については、「人の死が起きていないこと」「人が亡くなっていたとしても、悲劇的ではないこと」を挙げた人が多くなっています。
また実利面では「家賃の安さ」「部屋や建物がきれい」「立地などの条件がいい」が多く挙がりました。
心理的な安心感と現実的な利便性・安全性のバランスが、事故物件に入居するかを検討するうえで、大きく影響していることが読み取れます。