地震の際に自宅が安全だと思う人は66.4%
全国の男女500人に「地震の際に自宅が安全だと思うか」を聞いたところ、「とても安全」「まあ安全」と回答した人が合わせて66.4%でした。
自宅の耐震性や安全性に自信をもっている人が多数派だとなっています。
「とても安全」と答えた人からは、「家具を固定している」「地震に強い工法のハウスメーカーで建てた」などの回答が寄せられています。
地震対策をしていることが、安心感につながっているとわかります。
一方「全く安全ではない」と答えた人からは、「できる対策はしているものの、家が古い」「立地に不安がある」などの回答が寄せられました。
同じような工法の家だったとしても、築年数やエリアによって安心感は変わってくると推測できます。
現在行っている自宅の地震対策1位は「家具の固定」
「現在行っている自宅の地震対策」の圧倒的1位は「家具の固定(62.4%)」で、6割以上の人から回答を得ました。
2位「戸棚のロック(14.6%)」、3位「高所に重い物を置かない(12.6%)」が続きます。
家具の固定や配置の工夫など、低コストでできる対策が上位にランクイン。
一方「高耐震の家を建てる」「耐震リフォーム」などはまとまった費用がかかるので、実践している人は少なめです。
1位 家具の固定
- 本棚に突っ張り棒をつけて倒れないようにしている。パソコンやモニターに、転倒防止シールを貼り付けている(20代 女性)
- 突っ張り棒で、棚が倒れてこないようにする。テレビ下にゴムの吸着板をつけて、揺れを吸収し倒れないようにする(30代 女性)
- 大きな家具はL字型の金具で壁に固定しています(50代 男性)
1位は「家具の固定」でした。
多く挙げられたアイテムは「突っ張り棒」と「耐震マット」です。
食器棚など背の高い家具には突っ張り棒、テレビやモニターなどの重い家具家電にはマットが適しています。
金具やワイヤーでの固定も有効ですが、壁に穴を開けてしまうため、賃貸物件だと避ける人も多いでしょう。
「賃貸だとできることが限られている。日本は地震が多いので、賃貸でももっと対策できるようにしてほしい」という声もありました。
2位 戸棚のロック
- 食器棚の扉に自動ロックがかかるようになっている(20代 女性)
- あまり使用頻度の高くない棚の扉は、常時ひもで結んでいる(30代 女性)
- 食器棚の扉に耐震ロックをつけている(40代 男性)
2位は「戸棚のロック」です。
地震の揺れで食器棚や本棚が開いて中の物が飛び出さないように対策している人も多くなりました。
揺れを検知して自動でロックしてくれる製品も売られていて、「非常時以外にいちいちロックをかけたり外したりするのは面倒」という人でも、ストレスなく使えます。
家にあるフックやひもで代用している人もいますし、自動耐震ロックが内蔵されている食器棚を使っている人もいます。
3位 高所に重い物を置かない
- 高いところに物を置かないように、模様替えをしました(10代 女性)
- 割れ物はキッチン収納の下段に収納し、上段にはプラ製品を収納している(20代 男性)
- 重い物を下に置き、軽い物を上にしている(50代 女性)
3位は「高所に重い物を置かない」でした。
戸棚の上段や冷蔵庫の上に重い物や割れ物があると、揺れで落ちてきたときに危険です。
そのため高いところに重い物や落ちると危険な物は置かないよう、収納方法を工夫している人が多くなっています。
また一人暮らしなどで部屋が狭いと物を積み上げてしまいがちですが、「できるだけ積み上げないようにしている」という声もありました。
4位 背の高い家具を置かない
- 低い食器棚にした(20代 男性)
- 倒れてきて危ないような高さのある家具は置かず、クローゼットに収納している(30代 女性)
- 背の高い家具類は極力処分した(40代 女性)
4位は「背の高い家具を置かない」となりました。
本棚や食器棚など背の高い家具が倒れると、人が下敷きになったり避難経路が塞がれたりして危険です。
固定していても、固定方法が甘かったり揺れが想定より大きかったりすると、倒れてしまう可能性があります。
そのため背の高い家具を買わないようにして、リスクを減らしている人も多くなりました。
以前は背の高い家具を使っていたものの、地震対策として処分したり買い替えたりした人もいます。
5位 家具の配置を工夫
- 大きい家具はドアや脱出口を塞がないように配置している(20代 女性)
- 寝室には腰の位置より高い家具を置かない。玄関までの避難ルートに、倒れてくる物は置かない(40代 女性)
- 寝る場所に大きなタンス類は置かない(50代 男性)
「家具の配置を工夫」が5位。
具体的には「寝室に大きな家具を置かない」「避難経路に大きな家具を置かない」という声が多くなっています。
寝ているときに大きな家具が倒れてきたらなかなか逃げられませんし、避難経路が塞がれると危険が増すからですね。
「背の高い家具や大きな家具を買い替えるのは、お金がかかる」「大きな家具の収納力が必要」という人でも実践しやすい対策です。
6位 高耐震の家を選んだ
- 耐震性を考えて建てている(20代 男性)
- 免震対策のしてあるマンションに住んでいる(30代 女性)
- 注文住宅を建てるときに耐震バンパーを導入した(40代 男性)
「高耐震の家を選んだ」が6位。
戸建てを建てるときに耐震性に定評があるハウスメーカーを選んだ人もいましたし、免震構造ありのマンションを選んだ人もいました。
建物の耐震性は「耐震等級」で示されます。
建築基準法レベルだと耐震等級1ですが、耐震等級3(建築基準法の1.5倍)を達成しているハウスメーカーもあります。
家自体の強さを信頼できると、安心感がありますね。
7位 耐震リフォームをした
- リフォーム時に耐震工事をした(20代 女性)
- 耐震補強のリフォームを行いました(30代 男性)
- 耐震診断を受け、補助金をもらって耐震補強をした(50代 男性)
「耐震リフォームをした」が7位。
耐震性に不安があったため、耐震リフォームを施して安心感を得た人もいます。
古い家でも耐震リフォームは可能ですし、建て方によっては大規模な補修が必要にならないケースもあります。
かかる費用はリフォームの内容や規模によりさまざまです。
自治体の補助金を利用して耐震補強したという体験談もあり、リフォームにあたり自己負担をできるだけ減らすよう工夫した人もいることがわかりました。
地震の際に自宅で感じる不安は「自宅の損壊」
「地震の際に自宅で感じる不安」として最も多かった回答は「自宅の損壊(32.6%)」でした。
2位「地盤の強さ(20.6%)」も多くの人から回答を得ました。
3位「家具の転倒(14.2%)」、4位「立地によるリスク(12.2%)」が続きます。
建物自体に不安要素がある人が1位だったものの、地盤や立地など自宅がある場所についての不安を抱えている人もいるとわかりました。
災害のリスクを考慮して家を選ぶ際には、「建物そのものの強さ」と「リスクの低いエリア」のどちらも大切だと言えます。
また家具の固定や戸棚ロックなどの対策を施していても、家具の転倒や物の散乱を心配している人も多くなっています。
つまり「現在の対策が十分なのか」と不安なのでしょう。
1位 自宅の損壊
- 東日本大震災の被災地に住んでおり、震災も含めて震度6の地震に3度見舞われました。地震の影響で若干床が傾いているように感じているので、次に大きな地震が来たら怖いです(30代 女性)
- 建物が木造で古いので、地震が来たら一気にぐしゃっと潰れそうなこと(40代 女性)
- 巨大地震となると想像できないので、耐震構造でも安心できない(50代 男性)
1位は「自宅の損壊」でした。
とくに、古い家や現行の耐震基準を満たしていない家に住んでいる人から、不安の声が寄せられました。
耐震補強をしたり耐震基準を満たしたりしていても、「想像できないくらい大きな地震が来たら、耐えられるかわからない」と感じている人もいます。
集合住宅でも「木造アパートなので心配」「マンションの一階なので潰れないか不安」などの声がありました。
自宅に損傷が残ると「建て替える」「補修する」「住み替える」などの選択を迫られ、地震保険が下りても自己負担は発生します。
2位 地盤の強さ
- 液状化に不安があります(20代 男性)
- 以前の地震などで地盤が緩んでいると思うので、次大きな地震が来たときすごく不安です(30代 女性)
- 耐震対策はしてありますが、地盤があまり強くないので不安です(50代 女性)
2位は「地盤の強さ」です。
地盤が緩いと揺れが大きくなり、建物の被害も大きくなるとされています。
また地震により緩い地盤が液状化すると、家が傾いたり倒れたり、地下にある配管が破損したりします。
そのため、家自体は耐震構造でも、地盤が弱いと不安が残る人も多いようです。
地盤が緩い土地は、川、海、水田といった水源の近くに多いとされています。
3位 家具の転倒
- 賃貸で、家具を壁に固定できないのが不安(20代 女性)
- リビングの屋根が床と並行ではない間取りのため、リビングの家具に地震対策棒などの対策を施せないこと(30代 女性)
- 背の高い家具が多いので、固定はしてあるが少し不安です(50代 男性)
3位は「家具の転倒」でした。
家具が倒れると人にあたってケガをしたり、避難しにくくなったり、中の物が散乱したりします。
対策できていないので不安という人もいましたし、対策しているけれど本当に大丈夫なのか不安という人もいます。
また、家具を固定しておくべきという意識があっても、家具や家電が多かったり間取りやデザインの都合だったりで、すべての家具家電には対策を施せない人もいるとわかりました。
4位 立地によるリスク
- 山に近い住居なので、地震時に土砂崩れや倒木の影響がないか心配です(30代 男性)
- 海の前なので、大きな津波が来たら危ないなと思います(40代 女性)
- 断層の近くに建っていること(50代 女性)
4位は「立地によるリスク」となりました。
具体的には、川や海、崖、断層などの近くに住んでいて、不安を感じている人が多数。
川や海が近いと、地盤の緩さも心配です。
戸建てであれマンションであれ、持ち家を買うとリスクを感じても引っ越しのハードルは高くなります。
そのため今後家を選ぶ場合は、ハザードマップなどで災害リスクを十分に調べておく必要があるとわかります。
5位 家財が壊れる
- フィギュアや小物をコレクションしている棚は何も対策していないので、大きな地震が来たらすべて倒れて壊れてしまうかもしれない(20代 女性)
- 美術品をたくさん飾っているため、揺れて落ちて壊れる不安があります(30代 男性)
- 建物自体はかなり頑丈に建ててあるのでそれほど不安がありません。しかし家の中で観葉植物が倒れたり、飲み物の瓶が倒れたりしないか少し不安です(50代 男性)
「家財が壊れる」が5位。
価値の高い家財や思い入れのある物が壊れてしまうと、ダメージが大きいもの。
またガラス製品や陶器が壊れて床に散らばると、歩きにくくなったり怪我したりする可能性がありますし、後片付けも大変です。
食器などが散乱するのを防ぐための対策としては、食器棚の耐震ロックがあります。
6位 避難経路が使えない
- アパートの2階に住んでいるので、階段が崩れて使えなくなってしまったときの脱出法が心配(20代 女性)
- マンションに住んでいますが、下の階の住人がベランダに棚を置いていて、避難はしごが出せない状態になっています。地震で火事が起きたときや、避難階段が使えなくなってしまったときに、どうやって下の階に移動したらいいのかと不安です(30代 女性)
- 戸数の多い集合住宅なので、避難時に逃げ口が混雑して混乱が起きないか心配(40代 女性)
「避難経路が使えない」が6位。
地震直後、集合住宅ではエレベーターが使えなくなることがあります。
そのため階段や避難はしごを使うことになりますが、高層階は移動が大変です。
また、混雑や階段の損傷で階段を使えなくなることへの不安を感じている人も多くなっています。
マンションの避難経路に不安があり、マンションの管理組合に相談しているものの、対策が進んでおらず不安を募らせている人もいました。
7位 ドアが開かなくなる
「ドアが開かなくなる」が7位。
地震の揺れで家が歪んだり傾いたりすると、玄関ドアや窓の枠が変形して開かなくなり、外に出られなくなってしまう可能性があります。
そのため「揺れを感じたら、玄関ドアや大きな窓を開けて逃げ道を確保しなさい」と言われます。
とくに古い家や過去に地震を経験している家では、建付けが悪くなっていて、地震時にドアが歪みやすくなっているケースもあります。
まとめ
自宅が地震に対して安全と感じているかどうかに関わらず、自宅の地震対策に取り組んでいる人が多いとわかりました。
ただし家そのものの対策はできていても、地盤や立地に不安を抱えている人も多数。
集合住宅では「高層階だと避難しにくいかも」「1階だと潰れないか不安」というコメントもあり、階数も不安材料になるとわかりました。
反対に「対策しているし立地もいいので、不安はない」というコメントもありました。
地震に対してある程度安心できるためには、家そのものと立地の条件が揃うことが重要だとわかります。