住宅のタイプは、家づくりの際に多くの人が悩むポイントのひとつ。
和風住宅と洋風住宅では、見た目だけでなく住み心地も大きく異なります。
今回は全国の男女500人に、実際に住んでいる和風住宅と洋風住宅のメリット・デメリットを調査しました。
- 調査対象:全国の男女
- 調査期間:2025年7月26日~27日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:500人(女性355人/男性145人)
- 回答者の年代:20代 20.4%/30代 34.0%/40代 25.4%/50代 15.2%/60代以上 5.0%
洋風住宅に住んでいる人が63.8%
全国の男女500人に「現在住んでいる住宅のタイプ」を聞いたところ、最も多かったのは、フローリング中心の「洋風住宅(63.8%)」でした。
次いでフローリングと畳が混合した「和洋折衷住宅」に住んでいる人が23.0%。
畳中心の「和風住宅」に住んでいる人は13.2%と最も少なくなりました。
洋風住宅が主流となっており、多くの人がフローリング中心の住まいを選んでいることがわかりました。
和の要素を取り入れたい場合も和洋折衷にすることが多く、純粋な和風住宅は少数派です。
和風住宅のメリット1位は「落ち着く」
和風住宅に住んでいる66人に聞いた「和風住宅のメリット」の圧倒的1位は「落ち着く(42.4%)」でした。
2位「寝転びやすい(19.7%)」、3位「雰囲気が好き(13.6%)」が続きます。
アンケート回答を見ると、和風住宅については「精神的な快適さ」や「空間の心地良さ」が評価されているとわかります。
住まいに癒しや和の趣を求める層にとっては、メリットが大きいとわかりました。
1位 落ち着く
- 和室が気持ちを落ち着かせるのにいい(20代 女性)
- 大きな家で和室なので、心穏やかにゆったりと過ごせます(30代 女性)
- 畳があるとなんとなく落ち着く(40代 男性)
1位は「落ち着く」でした。
和風住宅は「落ち着く」「癒される」と感じる人が多くなっています。
和風住宅で落ち着くと感じる理由としては、「畳の感触がフローリングに比べてソフト」「実家が和風住宅で、慣れている」などがありました。
大きな和風住宅だと、襖を取り払った状態の広間や、和室から縁側と庭へ続く開放感のある空間などもあり、広々した場所で暮らせることによるリラックス効果もあると考えられます。
2位 寝転びやすい
- もともとおばあちゃんが住んでいたので和室が多く、小さい子どもがゴロゴロできる(30代 女性)
- 和室で畳なので、休日などは畳の上で少し寝転んでうとうとするのが好きです(40代 男性)
- 和室だと、ベッドやソファがなくてもすぐに寝っ転がれる(50代 男性)
2位は「寝転びやすい」でした。
和風住宅の床材である畳は、フローリングにはないクッション性があります。
畳の上に直接座ったり寝たりしてもストレスを感じにくいので、和室はベッドやソファがなくても、直接畳の上で休息できる環境です。
少し疲れて横になりたいとき、すぐにゴロンとできる環境が、1位の「落ち着く」という感情につながっていることも考えられます。
3位 雰囲気が好き
- 和室の窓には障子があり、風流です(40代 女性)
- ご先祖が建ててくれた家なので、古民家の雰囲気があること(50代 男性)
3位は「雰囲気が好き」となっています。
和風住宅が備えている和の雰囲気や美的感覚が気に入っているという人もいます。
和風住宅は日本の伝統的な素材やデザインを活かし、自然との調和を大切にする住宅です。
そのため和風住宅で暮らすことで、日常的に日本ならではの風流さや趣を味わえます。
例えば「凝った障子紙や襖紙」「彫刻を施した欄間(通風や採光のために設けられる開口部)」などは、とてもきれいです。
4位 広々と使える
- 広々とした和室でくつろげる(20代 女性)
- 襖をとると大空間ができる(40代 女性)
4位は「広々と使える」でした。
和風住宅は和室を襖や障子で仕切る間取りになっていることが多いです。
そのため襖や障子を開閉することで、空間の広さを自在に調整できます。
コメントにあるように、襖をとると大きな空間ができるので、普段は個室をして使っているいくつかの空間をつなげて、広間として使うことも可能。
日常でも「夜は寝室、昼はつなげて子どもたちが走り回れる空間に」といった使い方ができます。
反対に、普段は広間として、お客さんが泊まるときは襖で仕切って寝室にするという使い方もできます。
5位 畳の香りが良い
- 畳のい草の香りが好き(40代 女性)
- 畳は匂いがいい(40代 男性)
「畳の香りが良い」が5位です。
一般的に、畳は「い草」という植物で作られます。
い草の香りには森林浴と同じようなリラックス効果があるとされているため、い草の香りに癒されて満足している人がいるのも納得です。
嗅覚を通じて落ち着きや癒しを得られる点も、和風住宅の魅力だとわかりました。
和風住宅のデメリット1位は「断熱性能が低い」
和風住宅の「デメリット」とした最も多かった回答は「断熱性能が低い(30.3%)」でした。
2位「隙間が多い(21.2%)」も多くなっています。
和風住宅については、住宅性能の面で不満を感じている人が多いとわかりました。
「断熱性能の低さ」「隙間の多さ」は寒さや暑さへの対処に直結することから、住み心地に大きな影響を与えていることが読み取れます。
1位 断熱性能が低い
- 冬場は冷える。冷暖房の効きが悪い(20代 女性)
- 木造であり、夏は暑く、冬は寒い(30代 男性)
- 寒さ暑さにかなり弱く、冬は外よりも寒く、夏も外より暑いです(30代 女性)
1位は「断熱性能が低い」でした。
伝統的な和風住宅は一般的に、高温多湿な日本の夏を少しでも風通し良く涼しく過ごせることを重視した作りになっています。
開口部が大きいなど開放的な作りになっているため、「冬は寒い」とコメントした人が多くなりました。
また夏も、外より暑い、冷房がなかなか効かないという例があるとわかります。
住環境が外気温に左右されやすいことで、ストレスを感じている人も多くなりました。
ただ最近の「和モダン住宅」などでは、和風のデザインに断熱の技術を取り入れることも行われています。
2位 隙間が多い
- 木が収縮するため、隙間がある(40代 女性)
- 古いので隙間風などが多い(40代 男性)
- 壁に隙間があること(50代 女性)
2位は「隙間が多い」でした。
とくに、築年数が経った古い和風住宅にお住まいの人から多く寄せられたコメントです。
和風住宅では築年数の経過により、木材が収縮したり土壁がひび割れたりすることがあります。
隙間ができると風が入ってきて冷暖房効率の低下につながるのはもちろん、外部の音が入りやすくなったり、虫が侵入してきたりすることも。
そのため住宅の隙間は、日常的なストレスと直結します。
3位 虫がよく出る
- シロアリが多い(20代 男性)
- 虫が湧きやすいのか、よく見かける時期があります。さすがにそのときは気持ち悪いです(30代 女性)
- ダニが発生しやすい(50代 男性)
3位は「虫がよく出る」となっています。
自然素材を多く使う和風住宅では、建材や室内の建具に虫がついてしまうこともあります。
また人の皮脂や食べかすが付着した畳では、ダニが繁殖することも。
さらに築年数が古くなり隙間のできた住宅だと、外部から虫が入ってくるリスクも高まってしまいます。
虫は見るだけでもストレスになりかねませんし、ダニなどかゆみの原因になる虫もいます。
4位 畳のメンテナンスが面倒
- 畳の貼り替えとか、メンテナンスが大変(40代 女性)
- 畳の交換にお金がかるし、掃除がしにくい(40代 男性)
- 畳が傷んでしまったときのメンテナンスが大変(40代 女性)
4位は「畳のメンテナンスが面倒」でした。
和風住宅のメリットとしても挙げられていた畳ですが、メンテナンスが面倒という点ではデメリットにもなってしまうことがわかります。
畳は日常生活の湿気や日焼けでダメージを受けて劣化していくので、手入れと定期的な張り替えが必要となります。
手入れが手間で、張り替えに費用がかかる点もデメリットだと認識されているとわかりました。
なお畳については「跡になるので、重い家具を置きにくい」などのデメリットも寄せられています。
5位 間取りが使いにくい
- 押入れがあるので、部屋のレイアウトが難しい(30代 女性)
- 廊下がなく、和室がつながっているので、子どもが大きくなったときに間取りが微妙かなと思っています(30代 女性)
- 無駄な廊下がある。床の間はいらない(50代 女性)
「間取りが使いにくい」が5位です。
古い和風住宅では、床の間や仏間など、現代的な生活ではあまり使わない空間が設けられていることも。
自分のライフスタイルに合っていない間取りのため、使いにくい、あるいは無駄と感じている人もいました。
また襖だけで仕切る間取りになっている場合には、間取りの柔軟性が高い一方で、プライバシーを確保するのには心もとない面も。
そのため「子どもが大きくなってそれぞれに個室がほしくなってきたら、使いにくいかも」と危惧している人もいました。
洋風住宅のメリット1位は「掃除が楽」
洋風住宅に住んでいる319人に「洋風住宅のメリット」を聞いたところ、ダントツは「掃除が楽(42.0%)」でした。
2位「雰囲気がおしゃれ(10.7%)」、3位「使いやすい生活動線(7.5%)」が続きます。
洋風住宅については、効率的に暮らせる点が評価されているとわかりました。
「掃除が楽」「使いやすい生活動線」など、日々のメンテナンスや室内での移動における負担の少なさが、メリットとして捉えられています。
1位 掃除が楽
- フローリングなので、日常的な掃除はフローリングワイパーやロボット掃除機で済ませられる(20代 女性)
- 床に飲み物などをこぼしても掃除しやすい(40代 男性)
1位は「掃除が楽」でした。
洋風住宅で掃除が楽になる理由は、床材がフローリングであることです。
フローリングは畳と異なり、水分を吸収しにくいので、飲み物をこぼしてもすぐに拭き取れます。
また日常的な掃除も、フローリングワイパーなどで手軽に可能です。
清潔さを保つために日々必要となる労力が少ないことが評価されていました。
2位 雰囲気がおしゃれ
- デザイン性が高く、おしゃれな外観・内装を楽しめること(20代 女性)
- 現代風な雰囲気(30代 男性)
- 築年数の割に古臭さを感じさせない、モダンなデザイン(60代以上 男性)
2位は「雰囲気がおしゃれ」でした。
洋風住宅からは、今っぽさや洗練された雰囲気を感じられていることがわかります。
和風住宅については「古臭い」という声があった一方で、洋風住宅については築年数が経っても古臭く見えないという声も。
もちろん、デザイン性に優れている和風住宅や古く見えてしまう洋風住宅も多くありますが、傾向としては洋風住宅をおしゃれだと感じている人が多いのですね。
また「おしゃれな家具や照明と合わせやすい」という声もあり、建物だけではなくインテリアとの相性を考えている人もいました。
3位 使いやすい生活動線
- 高齢になったとき1階のみで生活が可能。廊下を少なくして極力居室を広くとった間取り(30代 女性)
- 機能的で無駄のない生活ができる(40代 男性)
- 生活動線に無駄がない。「リビング」「キッチン」「洗面」を一周できるデザインで、どの方向からも行き来ができて便利(40代 女性)
3位は「使いやすい生活動線」となっています。
洋風住宅の間取りが使いやすいと感じている人も多くなりました。
例えば、回遊できる間取りや、廊下がほとんどない間取りなどですね。
もちろん和風住宅で工夫すれば使いやすい間取りは可能ですが、いわゆる伝統的な日本家屋だと、廊下が多く回遊型の間取りは難しい面もあります。
4位 リビングでくつろげる
- リビングが程よい広さで、日当たりも良く快適(30代 女性)
- LDKが広く開放感もあって、友人を集めてパーティができる(30代 男性)
- リビングが大きいので、大人数でくつろげます(40代 男性)
4位は「リビングでくつろげる」でした。
洋風住宅で中心になる場所は、やはりリビングです。
洋風住宅ではリビングダイニングを日当たりの良い場所に広くとることが多く、リビングとリビングからつながるダイニングキッチンは、家族が集まる空間となります。
また洋風住宅のリビングは当然のことながらフローリングなので、ソファやダイニングテーブルなどを気兼ねなく設置でき、リラックスできる雰囲気づくりがしやすいメリットです。
5位 バリアフリーになっている
- 階段が、子どももお年寄りも昇り降りしやすい緩やかな作り(30代 女性)
- バリアフリーが基本になっているところ(30代 女性)
「バリアフリーになっている」が5位です。
新しい洋風住宅だと、バリアフリー設計になっていることも多いです。
例えば「室内に段差が少ない」「手すりを付けやすい」「階段が緩やか」などですね。
基本的に畳がないので、板間と畳の間の間に段差ができることもありません。
洋風住宅のデメリット1位は「冬に寒い」
洋風住宅のデメリットの1位は「冬に寒い(12.5%)」、2位は「夏に暑い(11.3%)」でした。
以下、3位「湿気がこもりやすい(6.0%)」、4位「気軽に寝転べない(5.6%)」、5位「和室がない(4.7%)」の結果です。
和風住宅に比べると断熱性は高いとされる洋風住宅ですが、「冬に寒い」「夏に暑い」といった断熱・気密性に対する課題がトップに。
一方で気密性が高いゆえに、「湿気がこもりやすい」といった声も寄せられています。
また「気軽に寝転べない」といった不満から、洋風住宅に住みながら、畳など和の要素を恋しく思っている人もいることが伺えました。
1位 冬に寒い
- 冬はフローリングが冷たく、到底素足では歩けないこと(20代 女性)
- フローリングは、冬は冷たく感じます(40代 女性)
- 床暖房がないので、冬場の朝夕はとくに、下から寒さが伝わってきます(40代 男性)
1位は「冬に寒い」でした。
洋風住宅で主流のフローリングは、合板(薄い板を接着剤で貼り付けたもの)でできています。
合板は畳に比べて床下の寒さを伝えやすいため、冬場のフローリングからは、外の冷たさが直接足裏に伝わってしまいます。
そのため床暖房が設置されていない洋風住宅では、足元が冷えるという悩みが多くなりました。
冷えに悩む人も多いため、フローリングの冷たさは、大きな不満の要素になっていると考えられます。
2位 夏に暑い
- 和風ではなく箱型に近いため、夏の日差しがよく入ってくること(40代 男性)
- 機密性が高いので、夏の朝は、リビングが温室みたいに暑くなっている(40代 女性)
- 空気の循環が良くないので夏はあまり涼しくない。エアコン必須(60代以上 男性)
2位は「夏に暑い」でした。
断熱性の高い洋風住宅では、家の中の熱が逃げにくいというデメリットがあります。
リビングは南向きに作られることが多いため、日中に日差しをたっぷり取り込んでしまうと、室内の温度は上がりやすくなります。
またシンプルな箱型の洋風住宅だと、軒(屋根のでっぱり部分)やひさしがなく、日差しを遮れないことも。
そのため「エアコンがなければ快適に過ごせない」「暑すぎる」と感じる人も多くなりました。
3位 湿気がこもりやすい
- 日本の気候に合わない構造や素材が使われていること。高温多湿な夏や梅雨の時期に、カビや結露が発生しやすい(20代 女性)
- フローリングに布団を敷いてるが、冬場は布団とフローリングの間に結露が発生し、布団が濡れてしまう(40代 男性)
- マンションなので、結露が多く、カビが生えやすいと思います。カーテンにもカビがつくので、今年になって、新しくカーテンを買い換えました(50代 女性)
3位は「湿気がこもりやすい」となっています。
従来の和風住宅は夏を過ごしやすくするために、「風通しを良くする構造」「湿気を吸収する素材」を使って、湿気対策を重視していました。
しかし断熱性や気密性を高めた洋風住宅では、湿気の逃げ場が少ないため、湿気がこもりやすくなっているとわかりました。
例えば布団をフローリングの上に直接敷くようなライフスタイルでは、床と布団の間に湿気がたまりやすくなり、カビ被害をもたらしています。
上記のことから「洋風住宅の構造や建材が、日本の気候に合っていないのでは」と感じている人もいました。
4位 気軽に寝転べない
- フローリングだけなので、ゴロンと簡単に寝そべるスペースがないことと(30代 女性)
- フローリングの床は硬いので、カーペットなどを敷かないと寝転べない(30代 男性)
- 床に寝転がってくつろぐことが難しい。今はヨガマットにごろ寝している(40代 女性)
4位は「気軽に寝転べない」でした。
洋風住宅の多くはフローリングの床で統一されています。
フローリングは畳に比べて硬く冷たいので、直接座ったり寝転んだりすると身体が痛くなることも。
そのため、寝転ぶのにラグやカーペットが必要で面倒と感じている人もいました。
「ラグを敷けばいい」と思う人もいるでしょうが、敷いたラグを掃除したり洗濯したりするのが手間になるという声も寄せられています。
5位 和室がない
- もともと日本風の家が好みなので、和室が恋しくなる(30代 女性)
- 畳も好き。和室があれぱ客間として使えたので、ひと部屋くらいはほしかった(40代 女性)
「和室がない」が5位です。
和室がないことに不満を抱く背景としては、「畳が好き」「寝転びたい」「便利に使えるから」などが挙げられています。
和室のない家に住むことで、和室の良さを実感した人も多いことがわかりました。
まとめ
アンケートからは、日本では洋風住宅が主流になっていることがわかりました。
洋風住宅にメンテナンス性の良さなどのメリットを感じている人が多い一方で、気密性が高いことによる暑さや湿気の問題を感じている人もいました。
一方メンテナンスが手間だったり断熱性が弱かったりして少数派の和風住宅ですが、寝転びやすく落ち着けるというメリットがあります。
洋風住宅に住んでいるものの畳を恋しく思っている人もいたので、洋風住宅を建てるにしても、「LDKの一角に気軽に寝転べる畳コーナー」など和の要素を入れることも検討してみるといいかもしれません。