結婚時や相続時に、不動産を夫婦や兄弟姉妹で共有名義にするケースは少なくありません。
しかし平等で合理的な選択に思えても、実は思わぬトラブルにつながることがあります。
今回は共有名義の不動産を所有した経験のある107人を対象に、「共有名義の不動産で困ったこと」について聞きました。
「困ったときの相談先」や「トラブルを防ぐための対策」についても調査しています。
- 調査対象:共有名義の不動産を所有した経験がある人
- 調査期間:2026年6月2日~12日
- 調査機関:自社調査
- 調査法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:107人(女性60人/男性47人)
- 回答者の年代:20代 16.8%/30代 29.0%/40代 25.2%/50代 18.7%/60代以上 10.3%
共有名義の不動産で困ったこと1位は「所有者間の方針相違」

「共有名義の不動産で困ったこと」の1位は「所有者間の方針相違(43.9%)」でした。
2位「離婚時の取り扱い(20.6%)」、3位「維持管理費の負担割合(18.7%)」を挙げた人も20%前後います。
以下、4位「手続きの煩雑さ(4.7%)」、5位「所有者との連絡(3.7%)」でした。
「所有者間の方針相違」「維持管理費の負担割合」など、所有者間で意見や方針が一致しないことで起こる困りごとが多くなっています。
共有名義では重要な判断を単独で進められないからですね。
また方針が決まっても、実際の手続きも自分だけではできないので、作業が煩雑になりがちです。
1位 所有者間の方針相違
- 共有者同士で不動産の売却時期や価格について意見が合わず、話し合いに時間がかかったこと(20代 女性)
- 兄弟間で売却に対する意見の相違がありました。売却する段取りになっても、更地にするのか古家付きで売るのかで揉めました(30代 女性)
- 兄弟で実家を相続して共有名義にしました。売却したい私と、思い出のために残したい兄弟との間で意見が割れて、揉めました(40代 男性)
1位は「所有者間の方針相違」でした。
具体的には「売却するかしないか」や「いつどうやって売却するか」など、売却に関する意思決定でトラブルになった例が多く寄せられています。
不動産は大きな資産ですし、実家であれば「思い出の詰まった実家だから残したい」といった感情も絡みます。
そのため意見が対立しやすく、調整するのに労力や時間がかかってストレスになってしまうことも少なくありません。
2位 離婚時の取り扱い
- 離婚に伴う共有名義マンションの処理で、現在進行中で困っています(30代 女性)
- 現在離婚の調整中で、土地と建物は共有名義であるため、どのように処理するか決めかねている。ローンは自身名義だが、仕事を失ったため支払い続けるのは難しく、より条件がややこしい(40代 男性)
- 離婚時にマンションを売ったが、マイナスだったため分担で揉めた(50代 女性)
2位は「離婚時の取り扱い」でした。
住宅購入時にペアローンを組むと、不動産は夫婦の共有名義になります。
ペアローンを組むことで借り入れ可能額が増える一方で、離婚時の取り扱いに困ったという声も多く聞かれました。
「売るのか、どちらかが残って住むのか」をまず決める必要がありますし、持ち続ける場合には住まない人が負担しているローンの扱いが難しくなります。
売るにしても利益やマイナス分の配分で揉めかねません。
お互い感情的になりやすい状況でもあるので、冷静な話し合いが難しいケースも考えられます。
3位 維持管理費の負担割合
- 「固定資産税」「修理代」「火災保険」「草刈り費用」などを、誰がどれだけ負担するかで対立した(20代 男性)
- 老朽化が進んだ部分の修理が必要になったときに、誰がどこまで負担するのか話し合いがまとまらず、作業が遅れてしまいました(40代 女性)
- 毎年、固定資産税をどちらが払うかで揉めている(50代 女性)
「維持管理費の負担割合」が3位となりました。
不動産を所有していると、固定資産税や修繕費などのコストがかかります。
共有名義だと上記の維持管理費の分担で揉めることもあるとわかりました。
「不動産を利用している割合で決める」「持分割合で決める」「家を残したいと主張する人が払えばいい」など、さまざまな考え方があるからです。
負担割合で揉めた結果、必要な修理が後回しにされるケースもあり、建物の劣化や破損が進みかねない状態になることもわかりました。
毎年揉めているという声もあって、維持費に関する意見の相違が、継続的なストレスになっている様子もうかがえます。
4位 手続きの煩雑さ
- 夫婦で共有名義の不動産を持っています。固定資産税がそれぞれに請求されてくるが、一つの財布から払うのに請求書はバラバラに届くので支払いが面倒(30代 女性)
- e-Taxで確定申告しようとすると、青色申告決算書が共有に対応していないためか、費用を共有分に応じて按分しようとしても、やり方がわからなかった(50代 女性)
- 売却時の事務処理が面倒(60代以上 女性)
「手続きの煩雑さ」が4位でした。
共有名義になっている不動産では、契約や納税などに関する手続きを複数人で進めることになります。
単独名義ならひとりでできることもみんなでやるので、手続きや作業が複雑になりやすいのはデメリットです。
またシステムや書式が共有名義に対応しきれておらず、複雑になる例もあるとわかりました。
所有者同士の感情的なぶつかりがなくても、共有名義ならではの手続きの煩雑さが日常的な負担としてストレスになっていることがわかります。
5位 所有者との連絡
- 売却や賃貸に出す際に共有者と連絡が取りづらく、手続きが進まなかったことです(20代 女性)
- 共有で持っている親戚と連絡が取れず、名義変更するときに困った(50代 女性)
「所有者との連絡」が5位です。
共有名義の不動産では、自分以外の共有者との連絡に悩む場面もあります。
他の所有者となかなか連絡が取れないと、話し合いやさまざまな手続きが進みません。
一般的には、兄弟姉妹や元夫婦など比較的近しい関係の人と共有名義人になります。
しかし「もともと共有名義だった不動産の共有持分だけを相続した」などの場合には、あまり関わったことのない親戚と不動産を共有することも考えられます。
また所有者が増えるほど、連絡は面倒です。
共有名義の不動産で困ったときの相談先は「不動産会社」

「共有名義の不動産で困ったときの相談先」として最も多かったのは、「不動産会社(26.2%)」。
2位「家族(24.3%)」、3位「司法書士(21.5%)」が続きます。
- 最初は兄弟同士で話し合っていましたが、なかなかまとまらなかったため、不動産会社と司法書士に相談しました。第三者に入ってもらったことで、名義や売却時の流れについて冷静に整理できました(50代 女性)
- 離婚協議や裁判に伴い、弁護士に相談しました(30代 女性)
- インターネットの質問サイトで相談しました(40代 男性)
- 家族内で話し合いましたが解決しなかったため、不動産会社に相談して市場価格や売却の流れを確認しました。その後、名義変更や手続きの必要性が出てきた段階で司法書士にも相談し、法的な部分を整理してもらいました(50代 女性)
- 最初は家族同士で話し合い、その後に不動産会社へ売却の相場を相談しました。手続き面では司法書士にも確認しました(40代 男性)
不動産会社、司法書士、弁護士といった専門家が多くランクインしました。
法律や不動産取引などの専門知識が必要な場面も多いため、専門家に相談したい人が多いのだと考えられます。
また「当事者間の話し合いが進展しないので、専門家に相談する」など状況に応じて相談先を変える人もいました。
家族での話し合いがまとまってから、具体的な手続きのために専門家を頼るといったケースもあります。
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共有名義の不動産トラブルを防ぐ対策は「共有名義にしない」

「共有名義の不動産トラブルを防ぐ対策」を聞いたところ、1位は「共有名義にしない(35.5%)」でした。
僅差の2位は「書面で取り決める(32.7%)」となっています。
以下、3位「早めにプロに相談する(21.5%)」、4位「関係者と話し合う(7.5%)」、5位「事前に情報収集する(4.7%)」でした。
「共有名義にしない」「書面で取り決める」「事前に情報収集する」など、リスク軽減を重視する人が多くなっています。
問題が起きたときに動くのではなく、問題発生そのものを抑える考え方です。
また「専門家への相談」を挙げた人も多く、問題が発生したときや発生しそうなときには、早めに専門家に相談することも重要だと認識されています。
1位 共有名義にしない
- 安易に「とりあえず均等に共有名義にしておく」という選択をせず、相続が発生した最初の段階で、特定の1人が単独名義で引き継ぐ代わりに他の相続人に現金を支払う「代償分割」などをすべきでした(20代 女性)
- そもそも共有名義を避けるべきであった。固定観念からか「男性がローンを組むもの」と思っていたが、元夫のみだと勤務年数が足りず組めなかった。妻の私のみだと組めたのに、選ばなかった。私のみの名義にしておけば、離婚後元夫には出ていってもらうだけで済んだのに(30代 女性)
- 最初から共有名義にしないこと。誰か1人の名義にするか、相続時にすぐ売却して現金で分ける方法にするべきでした(40代 男性)
1位は「共有名義にしない」でした。
そもそも共有名義にしなければ、共有名義ゆえのトラブルは起こりようがありません。
具体的には「ペアローンを組まない」「相続時は単独名義で相続」「家を売却して現金を分ける」などです。
ただし代償分割や単独名義にする場合は、不動産を相続する人としない人の公平性で揉めることもあります。
2位 書面で取り決める
- 今振り返ると、購入前に「もし離婚や売却が必要になった場合はどうするか」を夫婦で具体的に話し合い、持分割合や住宅ローンの負担について書面に残しておけば良かったと思います(30代 女性)
- 共有にする前に、「売却」「賃貸」「管理費負担」のルールを書面で決めておけば良かったと思います(40代 男性)
- 共有名義にする前に、費用負担や売却時の方針を書面で明確に決めておくべきだったと強く感じました(50代 女性)
2位は「書面で取り決める」でした。
共有名義で起こるトラブルの多くは、所有者間の考え方が違っていて、ルールもあいまいであることから生まれます。
「どっちの意見にも、一理ある」という状況でルールがないと、話し合いが平行線になりかねません。
しかし「将来の売却方針」「維持管理費はどう負担するか」といったルールを書面で残しておけば、感情論による対立を抑えやすくなります。
そのためペアローンを組むときや共有名義で相続するときには、事前の取り決めをしておくことが重要だと考える人が多くなりました。
3位 早めにプロに相談する
- 早めにプロに相談することです。わからないことが多いので、プロに相談するのがおすすめです(20代 女性)
- 離婚が決まった時点で、弁護士などにすぐ相談することです(50代 男性)
- それぞれの配偶者が意見を強く主張したため、難航しました。先に相続人である兄弟だけで弁護士と相談して大筋を決め、あとから関係者で修正の話し合いをするという形をとればスムーズにいったと思います(60代以上 女性)
「早めにプロに相談する」が3位となりました。
共有名義の不動産は、権利関係や手続きが単独名義の不動産よりも複雑になります。
わからないことも多いため、早めにプロに相談するのが得策です。
「共有名義の不動産で困ったときの相談先」を聞いた際には、「不動産会社や司法書士に相談することで、話し合いが進んだ」と回答した人も多くなりました。
プロに相談すれば、適切な選択肢や注意点を把握でき、冷静にもなれるので、関係者同士の対立を避けやすくなると期待できます。
まずは司法書士などと提携している不動産会社に相談し、専門家につないでもらう方法もあります。
4位 関係者と話し合う
- 定期的に共有者同士で話し合う機会を設けるべきだった(20代 女性)
- 他の家族の意見を聞いておくこと(30代 女性)
- 兄弟間の将来計画の共有(50代 女性)
「関係者と話し合う」が4位でした。
共有名義の不動産には複数の所有者がいて、何をするにしても全員の同意が必要です。
そのため、情報共有や認識合わせのための話し合いをしておくべきだと考える人も多くなりました。
所有者それぞれに異なる経済状況があり、不動産に対する考え方も異なるからです。
生活や考え方は変わるものなので、一度ではなく定期的に話し合う機会を設けることの重要性を実感している人もいました。
5位 事前に情報収集する
- 細かいことかもしれないが、固定資産税の請求書がバラバラに届くと知りたかった(30代 女性)
- 共有名義のメリットだけでなくデメリットについても、専門家に相談して十分理解しておくべきだったと感じました(30代 女性)
- 共同名義のリスクについて知っておくこと(60代以上 女性)
「事前に情報収集する」が5位です。
具体的には「事前に共有名義のデメリットや注意点を知っておきたかった」という人が多くなりました。
例えば、固定資産税の払い方や、共有者全員の同意が必要になる場面などを事前に理解していれば、後から感じるストレスを減らせます。
事前にリスクやデメリットを理解していれば、「そもそも共有名義を選ばない」という選択もしやすくなると考えられます。
また、リスクに備えて事前に方針を決めておくといった準備もしやすくなりますね。
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まとめ
共有名義の不動産に関する困りごとの多くは、「所有者同士の意見の違い」「費用負担をめぐる不公平感」などを原因として起こっています。
とくに意見相違が解消できないと売却、賃貸などの身動きがとれなくなるので、ストレスになりやすいと考えられます。
問題が発生した際には専門家に相談する人が多く、共有名義ならではの複雑さに対応するためには、プロのサポートが重要であると示唆されました。
共有名義にはメリットもありますが、大変さもあります。
実際に共有名義の物件を所有した経験から、共有名義にはしないほうがいいと感じた人も多くなっています。
共有名義での不動産所有を検討している人は、目先の事情だけで判断するのではなく、デメリットやリスクも考慮したうえで慎重に判断することが重要です。
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