ただ、僕は思うんです。
大家(貸す側)が一番の被害者じゃね?
って。
考えてもみてください。ほとんどのケースで大家はまったく関係ないのに、所有している物件がいきなり事故物件になってしまうなんてホント災難以外の何者でもありません。
不動産業の宿命とはいえ大家さんカワイソス。
みなさんも知っての通り、僕は優しさ成分マシマシバファリン。なのでそんな大家さんを放っておけるはずがありません。
守りたい、その笑顔
ということで!
今回も再び大島てる氏にお時間をいただき、
- 所有している物件が事故物件になってしまったときの対処法
- 事故物件を貸したり、売ったりするときのコツ
などを伺ってきました。
いくら気をつけていても、事故物件になるかどうかは運次第。もしそうなったときどうするか?大家さん必見の内容です。
※事故物件情報共有サイト「大島てる(おおしまてる)」とは?
住民が自殺、殺人、火災死などで死亡した、いわゆる「事故物件」の情報を提供するサイト。なお、サイトの運営代表者とサイト運営会社の名前も同じく「大島てる」である。
所有している物件が事故物件になってしまった場合、清掃はどうすればいいの?
警察に通報、その後ご遺体の対応をしてもらうのは前提として、その先の清掃はやはり専門の清掃業者に頼むのがいいんでしょうか?
もちろん、ご遺体の腐敗が進んでいた場合などは専門の業者に依頼する必要があるでしょう。むしろ、普通の清掃業者には断られる可能性もあります。
ただ、絶対に専門の清掃業者に依頼すべきかというと、必ずしもそうとは限りません。
というのも、事件の凄惨度と清掃の難易度は比例しないケースが多々あるからです。
具体的にはどういうことでしょうか?
例えば、以下の2つの事故物件があったとします。
(1)5人が首を締められて殺された部屋
(2)1人が自然死して1ヶ月後に発見された部屋
事件の凄惨度でいえば明らかに(1)の方が上です。ただ、絞殺直後だと部屋に汚れはほぼ残りません。場合によっては掃除自体が必要ないこともあるでしょう。
逆に(2)は凄惨度は高くないものの、腐敗がかなり進行していることが予想されるため、清掃の難易度はかなり高くなるでしょう。
言われてみればたしかに……。
依頼する場合、やはり業者さんに対しても事故物件の掃除であることを告知する義務はあるんでしょうか?
いえ、ありません。
そのため、清掃業者の中には事故物件と知らずに清掃しているケースもあります。
これは清掃業者の方に聞いた話ですが、とある部屋を事故物件と知らずに清掃していると、次に入居する予定の方とバッタリ会って
「そのあたりで首吊ってたらしいから、ちゃんと掃除しといて〜」
と言われたことがあったそうです。
次の住民のメンタルがゴリラ
事故物件であることを隠していたらどうなる?最悪の場合逮捕も……
絶対にダメという前提での質問ですが、もし事故物件であることを隠して契約して、あとからそれがバレたらどうなるんでしょうか?
結局はお金の問題になるでしょう。
具体的にいうと、
- 退去する場合、引越し費用を大家側で負担する
- 家賃を下げる
などの対応を迫られるかと思います。
なお、令和元年には茨城県つくば市で事故物件を無事故と偽って販売した男が逮捕された事例があるので告知は必ずしてください。
告知スル、ゼッタイ
防げ、住民の質低下!家賃を下げずに事故物件を貸し出す5つの方法
大家側としては、
「事故物件になったからといって家賃を下げると、それに伴い住民の質も低下するのでは……」
という不安が出てくると思います。
「家賃を下げる以外の方法で事故物件をうまく貸し出すコツ」があれば教えていただきたいです。
さすがにそんなうまい話はないでしょうか?
大きく分けて5つあります。
つよい(確信)
まず1番オススメなのが「フリーレント※」です。
フリーレントだと家賃はそのままなので住民の質は維持されるでしょうし、万が一近隣の住民に家賃を知られても「あそこの部屋だけ安くてズルい」とはなりません。
※フリーレント
一定期間家賃のかからない物件のこと。「フリーレント1ヶ月」なら1ヶ月分の家賃が無料となる。ただ、管理費や共益費などは別途徴収されることが多い。
これはいい手段
次にオススメなのが「家賃ではなく、その他の部分で金銭的なサービスをする」です。
具体的には、敷金、礼金、更新料などを無料にしたり、割引きしたりといった形で貸し出します。
なるほど。
家賃に比べると敷金・礼金とかってそこまでみんな見てるわけじゃないですもんね。これも周りの住民にカドが立たなさそう。
3つ目は「入居条件を緩和する」です。
例えば、ペットや楽器OKにする、という具合です。
むむむ。これは一歩間違えたら家賃を下げるよりも住民の質低下する恐れがありそうな……。
大家のバランス感覚、さじ加減が重要になってきそうな方法ですね。
4つ目は「賃貸以外の方法で稼ぐ」です。
レンタル収納スペースにしたり、コインパーキングにしたり、ハウススタジオにしたり、民泊にしたりとさまざまな方法があります。
これなら告知義務が発生しません。
これはなかなか思い切った方法。
割と初期費用はかかりそうですが回収できたら大きいですね。
5つ目は最終手段ですが、「その物件(部屋)を封鎖する」です。
利益を諦める一方で、それ以上の損失を避ける方法です。実際に私もこうした物件をいくつか知っています。
「開かずの間」爆誕
事故物件は売れるのか?大島てる流「事故物件の売り方のコツ」
貸し出しではなく「事故物件を売りに出す場合のコツ」があれば教えていただけますか?
「とにかくすぐに手放したい!」というのであれば、清掃からリフォーム、売却まで業者に丸投げするのもひとつの選択肢です。
ただ、価格は需要と供給のバランスによって決まります。タイミング次第では価格は安くなってしまう可能性が高いでしょう。
私としては、清掃やリフォームを済ませた上で、売り急がずタイミングを待つことが大切だということをお伝えしたいです。
例えば、一戸建ての事故物件の場合だと、更地にしたあと仲介業者に希望価格を伝え、それを呑んでくれる相手が現れるまで辛抱強く待つのがいいかと。
鳴かぬなら 鳴くまで待とう ホトトギス ですね。
申し訳ありません
まとめ
中編となる今回は「事故物件の貸し方、売り方のコツ」についてお話をお聞きしました。
もし、あなたやあなたの周りの方が事故物件を抱えることになってしまったら、
- 事件の凄惨度と清掃の難易度は比例しないことも多いため、清掃はケースバイケース
- 清掃業者に対しては事故物件であることの告知義務はない
- 最悪の場合逮捕される恐れもあるため、告知義務は絶対に守る
- 貸すときは家賃を下げる以外にも「フリーレント」「家賃以外の費用軽減」「入居条件の緩和」などいくつか選択肢がある
- 売るときはなるべく自分で動き、辛抱強くタイミングを待つ
といったことを心がけながら動いてみましょう。
次回はいよいよ最後となる後編。
日本一の事故物件情報共有サイト「大島てる」運営の裏側に迫ります!