親が亡くなったときに不安なこと1位は「相続・金銭面の手続き」
親御さんがご健在の方500人に「親が亡くなったときに不安なこと」を聞いたところ、回答は以下のようになりました。
1位になったのは「相続・金銭面の手続き(230人)」です。
2位「不動産の処分・管理(158人)」、3位「自分のメンタル(75人)」、4位「お葬式の挙げ方・費用(71人)」、5位「家の片づけ・遺品整理(67人)」と続きます。
「相続・金銭面の話し合い・処理」を挙げた人が圧倒的に多くなりました。
やはり財産や金銭面の心配をする人が多いとわかります。
「不動産の処分」「死亡時の事務手続き」も含め、複雑そうなものは「親が亡くなって精神的なダメージもあるなか、自分にきちんとできるかな」と不安になりますよね。
頼れる兄弟姉妹がいない場合には、「自分ひとりで動かなくてはいけない」というプレッシャーも大きくなります。
では具体的な回答を紹介します。
1位 相続・金銭面の手続き
- 相続について、兄弟が多いのでどんな感じになるのかと思う(23歳 男性)
- 親が住んでいる家と土地が亡くなった曾祖父名義で、同じ敷地内に親戚宅も建っているために、土地の分割などの話し合いが必要になりそうで不安(39歳 女性)
- 親の持ち家(貸している)と今同居している家(夫と父の名義)があるので、相続税がいくらかかるのか不安(52歳 女性)
1位は「相続・金銭面の手続き」でした。
「親族間でモメそう」「相続税が高かったらどうしよう」というコメントが多数。
「話し合い」と「税金」について不安になっている人が多いとわかります。
例えば相続財産(遺産)が家のみの場合、「複数の相続人でどうわけるか」という話し合いが難航することも考えられますね。
また不動産を相続した場合も相続税は現金で納付する必要があるので、「現金を用意できないかも」と不安になる人もいます。
2位 不動産の処分・管理
- 家の処分。田舎で不便な場所にあり、建物も古くなっているので売れないと思うから(34歳 女性)
- 地方に住んでいるので、家の処分に困ると思う。不便な場所で古い家なのでわざわざリフォームして住もうとは思わない(50歳 男性)
「不動産の処分・管理」が2位。
「実家をどう扱ったらいいかわからない」という声が多数。
地元以外に生活拠点がある場合、親の死をきっかけとして実家に戻るのは難しいですよね。
自分では実家や土地を管理できないから売りたくても、「郊外にあり古いから売れない」という状態だと困ってしまうでしょう。
3位 自分のメンタル
- 心のよりどころがなくなること(25歳 男性)
- 独身のため、家族がいなくなる(37歳 女性)
- 精神的に、親の死を乗り越えられるか心配です(42歳 女性)
3位は「自分のメンタル」でした。
「親と仲がいい」「親が唯一の身内」という人の場合、親が亡くなったときの喪失感は大きいでしょう。
「相談できる人がいなくなること」に不安を感じる人も多くなりました。
成人して社会人や親になっても、やはり親の存在は大きいですよね。
4位 お葬式の挙げ方・費用
- 長男なので、葬儀が不安(25歳 男性)
- お葬式をする際に、誰に声をかけるか(36歳 女性)
- 希望する葬儀の形式を聞けていない(48歳 男性)
4位は「お葬式の挙げ方・費用」でした。
葬儀の手配は一生のうちに何度もすることではないので、「どう段取りしたらいいのだろう」と不安になりますよね。
とくに近年では葬儀の挙げ方も多様化しています。
そのため「家族だけでしたいのか」「近所の人や同僚なども呼びたいのか」など、親の希望がわからないと困ってしまうでしょう。
住んでいる場所によっては地域独自のしきたりもあるでしょうから、慣れていない子ども世代は戸惑うかもしれません。
5位 家の片づけ・遺品整理
- 母親の嫁入り道具である桐ダンスなどの処分方法(38歳 男性)
- 家にため込んだ家具や洋服の処分(42歳 女性)
- 住居の片づけです。賃貸住宅に住んでいるので、原状回復を決められた期間内に行わなければならないことが心配です(51歳 女性)
5位は「家の片づけ・遺品整理」。
捨てられない性分の親なら、モノが多すぎて「どうやって片付ければいいのだろう」と途方に暮れてしまうこともあるでしょう。
親が生きているうちから「実家に残っている自分のものは処分する」などの方法で、少しずつ片付けていくのもおすすめ。
また最近では遺品整理サービスや、親の生前に行う「生前整理サービス」などもあります。
一度でも遺品整理を経験した方は終活をされる方が多いです。遺品整理を行うことで、ほったらかしの押し入れ等がお部屋のスペースを潰していたことに気付き、この際だからとご自身も終活・生前整理を行います。
終活・生前整理とは、生きている間に家財を整理(処分、売却、相続)すること。メリットは、価値のあるもの、大事にしているものを確かな価値のまま相続、売却できることです。
生前整理を行ったことで心にもゆとりができる、またお部屋の有効スペースが広くなる、そして傷んでいる箇所も目につくようになります。
それにより、この際だから家を売り小さなマンションに引っ越そうか、となる方は多いですね。
動機については、両親の老後に向けて、子供が親とヘルパーさん間の日々の介助をしやすくする為に生前整理をされる方も多いです。
【監修者】遺品整理の半額屋
6位 お墓・仏壇の扱い
- 先祖のお墓がいくつにもわかれており、土葬もある状態です。跡継ぎもいないのでどうしたらいいのかわからず、放置するわけにもいかず不安です(36歳 女性)
- お墓をどうしたいのかが気になる(41歳 女性)
- もともとその土地の人間ではないので、お墓がない(58歳 男性)
6位は「お墓・仏壇の扱い」。
「まだお墓がないので費用が気になる」「管理の仕方がわからない」「どのお墓に入るつもりなのかわからない」などの回答が寄せられています。
墓参りの習慣がない人だと「どこに墓があるのかわからない」「墓にいれるのに、どう手続きしたらいいかわからない」というケースもあるでしょう。
また自身が独身などの事情から、「墓じまいを考えたい」という人もいました。
なおお墓がない場合には、散骨や送骨(合祀墓への埋葬)での供養ができます。
7位 死亡時の事務手続き
- 市役所での手続きなど。親の年齢さえもあやふやで、意外と知らないことが多くて不安(23歳 女性)
- 「市役所への届出」「銀行口座の解約」「携帯電話の解約」などの各種手続き(33歳 男性)
- 亡くなってからすべき「市役所への届け出」や「保険・銀行の手続き」などが、自分にちゃんとできるのかどうかです(51歳 女性)
7位は「死亡時の事務手続き」。
親が亡くなると、「死亡届の提出」「預貯金の払い戻しや名義変更」などの各種手続きが必要になります。
携帯電話や定期購入サービスなどの解約も必要となります。
手続きの種類がかなり多いため、「もれなくできるかな」と不安になる人も多いようです。
また「親が口座をもっている銀行や証券会社」「クレジットカード会社」などを把握していないと、手続きができません。
そのため「各種の連絡先を聞いていないので不安」という人もいました。
8位 残された家族のケア
- 学生の妹がいるので、今後の資金面に不安がある(25歳 男性)
- もし母が先に亡くなった場合、仕事一筋で家事などやったことのない父がどうやって生活するのか、とても心配です(37歳 女性)
- 残された親の面倒を誰がみるのか(53歳 女性)
8位は「残された家族のケア」。
「残された親を誰が世話するのか」などの声が寄せられています。
夫婦仲がよい場合には、残された親の「心のケア」も必要になりそうですね。
また経済的に自立していない兄弟姉妹などがいる場合、「残された家族への経済的援助」も課題になります。
9位 自分の将来・生活
- 実家暮らしなので、世帯主が亡くなった場合は生活費と住む場所について不安(22歳 女性)
- 経済面で援助がなくなる。子どもの世話を任せられなくなる(37歳 男性)
- 自分が独身で兄弟もおらず現在親と同居しているので、親が亡くなったあとの暮らしが一番不安です(43歳 男性)
9位は「自分の将来・生活」。
親から生活・経済面での援助を受けている人が多いことのあらわれでしょう。
「自分の収入だけでは生活が立ち行かない」という切実な声もありました。
共働きやシングルで子どもを育てている場合、親から得られる子育て面のサポートも大きいものがあります。
おじいちゃん・おばあちゃんが亡くなったときの、自分の子どもへの影響も心配ですよね。
10位 死亡時の連絡先
- 亡くなったことを連絡する友人や親戚(30歳 女性)
- 親の親族・友人などの連絡先がわからない(36歳 女性)
- 親の友達に、どのように親の死を伝えるか(52歳 男性)
10位は「死亡時の連絡先」。
「親が亡くなったことを誰に伝えたらいいのか」「誰まで連絡したらいいのか」に悩んでいる人もいました。
「連絡する親族の目安は3親等まで」と言われます。
知人や同僚については、どこまで知らせるべきか家族では判断が難しいので、本人に意思を確認しておくのがおすすめです。
終活について親と話したことがない人は約7割
親御さんがご健在の方500人に「終活について親と話したことがあるか」と聞いたところ、回答は以下のようになりました。
「ない」と回答した人が68.6%と7割近くにのぼりました。
親が健在である人を対象にしているアンケートですので、「まだ親が元気だから、若いから」と考えている人が多いのかもしれません。
親が亡くなった場合の漠然とした心配事はあるものの、まだ「自分ごと」「現実のこと」として捉えていない人も多いのでしょう。
また「話したい」「そろそろ話さないといけない」と思いながらも、話すチャンスがなかったり親の機嫌を損ねるのが不安だったりして、話せない人も多いと推測できます。
終活について親と話さない理由は「親がまだ元気だから」
終活について親と話したことがないと回答した343人に「話さない理由」を聞いたところ、回答は以下のようになりました。
1位になったのは「親がまだ元気(33.5%)」です。
2位「機会がない(19.8%)」、3位「話しにくい(15.5%)」、4位「親が嫌がる・嫌がりそう(13.1%)」と続きます。
「親がまだ元気」がダントツ。
親が健在で、親も子どもも「終活はまだ先のこと」と考えているケースが多いとわかります。
また「話したい」とは思っているものの、「機会がない」「話しにくい」「親が嫌がる・嫌がりそう」という理由で話せていない人も多くなりました。
全体的には「話したいけど話せない」という人のほうが多そうです。
では具体的な回答を紹介します。
1位 親がまだ元気
- まだ若いので親が死んでしまうと思えず、終活の話はしたことがないです(28歳 女性)
- まだ元気なため、もう少し弱ってきたら話そうかと思っている(37歳 男性)
- 父も母も70代だが、病気することもなく元気なので。両親の姿を見ても、まだ「死」が連想できない(48歳 女性)
1位は「親がまだ元気」でした。
まだ親が亡くなるとは思えないという意見が多数。
「親が現役で働いている」「病気をしていない」「祖父母が存命」といった状況ですと、「近い将来に親が亡くなる」ことが想像できない人も多いでしょう。
ただ周りを見てみると、「友人の親がまだ若いのに病気で亡くなった」といった話を聞くこともあるはず。
また終活は、判断力が鈍っていない元気なうちから始めたほうがいいともいわれます。
「いつかは終活を」と考えているなら、親が元気なうちに少しだけでも話しておくといいかもしれません。
2位 機会がない
- タイミングがない(29歳 女性)
- 大事なことなのでしっかりと話し合いたいが、まとまった時間が取れない(32歳 男性)
- 離れて暮らしていて、改めて話す機会がない(44歳 女性)
「機会がない」が2位。
終活の話をするきっかけづくりに悩んでいる人も多いようです。
例えば親と一緒にテレビを見ているときに終活についてのニュースが流れていれば、会話のきっかけになるでしょう。
しかし「親と離れて暮らしている」「親と仲が悪く、あまり話をしない」という人の場合、終活の話を仕向けるタイミングがなかなかとれません。
3位 話しにくい
- 最近孫ができて幸せそうな親を見ていると、終活の話はできないです(26歳 女性)
- 不動産の話はするが、直接終活の話をするのは不謹慎な気がする(40歳 男性)
- 老い先短い90歳の親に、死んだときの話をするのは可哀想に思える(60歳 女性)
3位は「話しにくい」でした。
死について考えるのは、誰しも気が進まないものですよね。
そのため、終活や死の話題をタブー視しており、「話しにくい」「言い出しにくい」と感じる人も多くなりました。
「親が言い出さないうちは、子どもからは言えない」という声も。
ただタイミングをはかっているうちに親の判断力が急激に鈍り、葬儀や介護についての希望を聞けないままになってしまうケースもあります。
気が進まない方もいるでしょうが、終活を「残された時間を大切に過ごすために必要なこと」と前向きに捉えてみてはいかがでしょうか。
4位 親が嫌がる・嫌がりそう
- 親が「死ぬときのことを考えたくない」と話しているから(21歳 男性)
- 私からは聞くのですが、親が怒るのでなかなか話ができません(49歳 男性)
- 親自身が死について語ることを「縁起が悪い」とタブー視しており、終活を話題にしたら機嫌が悪くなります(53歳 女性)
4位は「親が嫌がる・嫌がりそう」でした。
終活の話をしたときに「早く死ねと言う意味か」などと怒られると、話しづらくなってしまいますよね。
中には「親が泣きそう」という声もありました。
親本人に、終活の必要性やメリットを理解してもらえないと、なかなか話し合いは進まなさそうです。
5位 親の死を想像したくない
- 悲しい気持ちになり、話すことに抵抗がある(24歳 女性)
- 親が亡くなることを想像したくないからです(36歳 男性)
- 「まだ現実を見たくない、元気でいつまでも長生きしてほしい」という気持ちが強く、現時点では終活のことを話す気持ちになれません(42歳 女性)
5位は「親の死を想像したくない」。
親への愛情が深く、「親が死ぬことを想像するだけで悲しい」という人も多数。
ネガティブな感情にならないよう、子ども側が終活の話題を避けているケースもあるとわかりました。
また「自分が無職なので、親の死後に生活がどうなるか不安。だから目を背けていたい」という声も寄せられています。
6位 真剣な雰囲気にならない
- 親が冗談交じりに「年を取ったら頼む」と言うので「分かったよ」と答えるだけで、「具体的にどうするのか」はわかりません。いつも冗談で済ませているから、本当の気持ちがわかりません(35歳 女性)
- 具体的には話したことがない。楽しい話はするが、深刻な話はさけることが多いので(36歳 男性)
- まじめな話し合いにならないから(42歳 女性)
6位は「真剣な雰囲気にならない」。
カジュアルな雰囲気で老後について話すことはあっても、「相続や家の処分など、具体的な話はしたことがない」という家庭も多いようです。
死について真剣に考えることが怖いからか、「いつも冗談交じりになってしまう」という声もありました。
冗談交じりでも本気ならいいのですが、親の死亡時に子どもが「冗談まじりで言っていた言葉のまま進めていいのか?」「軽く話しただけで記憶があいまい」と悩む可能性もありますね。
7位 まだ実感がわかない
- 今まで親の死を考えたことがなかったから(19歳 男性)
- 「親がいなくなるかもしれない」という実感が持てないから(22歳 女性)
- 現実的に考えられていないから(38歳 男性)
7位は「まだ実感がわかない」。
40代以下の比較的若い人からの回答が多くなりました。
「親がまだ元気」だから、実感が湧かないのかもしれません。
ただ実感がなくても、誰にでも死は確実に訪れます。
「友人の親が亡くなった」「テレビや雑誌で終活について見聞きした」というタイミングで、親と話してみるのもいいかもしれません。
まとめ
親が亡くなったときの不安としては、手続きの煩雑な「相続」「不動産の処分」などが多く挙げられました。
死亡時の各種手続きをスムーズに進めるためには、「資産」「各種連絡先」「親の希望」などの把握が欠かせません。
終活で上記のことがらを整理しておけば、親の死亡後に残された家族がやるべき「具体的なタスク」が把握しやすくなり、親子ともども不安が軽くなるはずです。
ただ不安を抱えつつも、「話しにくい」「まだ早い」といった理由で、終活についてはまだ親と話し合っていない人が多数。
しかし「まだ早いと思っているうちに親が認知症になり、話し合いが困難になってしまった」という例もあります。
話しにくい話題ではありますが、きっかけを見つけて話し合ってみることをおすすめします。
終活に消極的な親に対しては、まず「終活が前向きなものであること」「お互いにとって役立つものであること」を理解してもらいましょう。