【工事別】造成工事の費用の目安
造成工事をする際に行う工事の種類は以下のとおりです。
- 整地
- 伐採・抜根
- 地盤改良
- 土盛
- 土止
ここでは、それぞれの工事ごとにどのくらい費用がかかるのか国税庁が公開しているデータを参考に紹介します。
整地
整地とは、土地を重機を使って平らにして、転圧して踏み固める作業のことです。
宅地として利用されていない土地は、でこぼこや傾斜があります。
建物を建てられるようにするためには、土地を平らにしなければなりません。
整地には、単に土地を平らにする方法のほかに、砂利を敷き詰める方法や舗装する方法もあります。
整地の費用目安は以下のとおりです。
地域 | 費用の目安 |
---|---|
北海道 | 700円/㎡ |
東京 | 800円/㎡ |
愛知 | 800円/㎡ |
大阪 | 700円/㎡ |
福岡 | 700円/㎡ |
伐採・抜根
伐採・抜根は、土地に生えている草木を除去する作業のことです。
建物の建築をするためには、土地に生えている草木を除去しなければなりません。
また、樹木の伐採後、シロアリ発生の原因にもなる樹木の根を除去する作業が必要です。
伐採・抜根の費用目安は以下のとおりです。
地域 | 費用の目安 |
---|---|
北海道 | 1,000円/㎡ |
東京 | 1,000円/㎡ |
愛知 | 1,000円/㎡ |
大阪 | 1,000円/㎡ |
福岡 | 1,000円/㎡ |
地盤改良
地盤が弱い土地に対しては、地盤改良の工事が必要です。
田畑として利用されていた土地は、水分が含まれているため、地盤が弱い傾向にあります。
また、盛土(平坦な土地にするため土を入れること)がされている土地も地盤が弱い土地の1つです。
上記のような土地は、地盤改良の工事をしないと、地盤沈下や液状化の恐れがあります。
地盤改良の具体的な方法として、薬剤で地盤を固める方法や地中に柱を打ち込む方法が挙げられます。
地盤改良の費用目安は以下のとおりです。
地域 | 費用の目安 |
---|---|
北海道 | 2,300円/㎡ |
東京 | 2,000円/㎡ |
愛知 | 2,000円/㎡ |
大阪 | 1,900円/㎡ |
福岡 | 2,000円/㎡ |
土盛
土盛とは、土地に高低差があるとき、高さを調整するためにする工事のことです。
低い土地に土を入れることを盛土、高い土地から土を除去することを切土といいます。
土盛をした場所は地盤が軟弱なケースがほとんどなので、地盤改良工事が必要になります。
土盛の費用目安は以下のとおりです。
地域 | 費用の目安 |
---|---|
北海道 | 7,100円/㎥ |
東京 | 7,500円/㎥ |
愛知 | 7,700円/㎥ |
大阪 | 7,200円/㎥ |
福岡 | 7,300円/㎥ |
土止
土止は、隣接地に土砂の流出や隣接地からの流入を防ぐための工事のことです。
盛土・切土をするだけでは、土砂が崩れてしまうため、それを阻止するための措置が必要です。
具体的には、擁壁と呼ばれる壁状の構造物を設置します。
土止の費用目安は以下のとおりです。
地域 | 費用の目安 |
---|---|
北海道 | 87,400円/㎡ |
東京 | 82,000円/㎡ |
愛知 | 81,500円/㎡ |
大阪 | 76,600円/㎡ |
福岡 | 72,400円/㎡ |
土止の費用は、他の造成工事の費用より高く、工事が必要な場合は費用が高額になるでしょう。
もし、造成工事をした後に土地の売却をしようと考えているなら、一度土地の売買取引が豊富な不動産会社に相談してみましょう。
造成工事をすることなく、手放せる可能性があります。
造成工事の追加費用の目安
前述した造成工事の費用以外に工事内容によっては、以下の費用の加算される可能性があります。
- 残土処分
- 整地
残土処分
切土とはじめ造成工事で余分な土が発生した場合、その土の処分が必要になります。
残土処分費の費用目安は、以下のとおりです。
トラック | 費用の目安 |
---|---|
2t | 9,000円 |
3t | 10,000円 |
4t | 12,000円 |
5t | 13,000円 |
7t | 17,000円 |
処分費用は、残土の運搬に使うトラックのサイズで決まります。
小さいトラックで残土処分する場合、効率が悪くなるため、費用が高くなります。
整地(舗装する場合)
前述した整地費用の目安は、単に土地を平らにした場合の費用です。
砕いた石を敷き詰めたり(砕石舗装)、アスファルト・コンクリートで舗装したりする場合、さらに費用がかかります。
上記の方法で整地した場合の費用の目安は以下のとおりです。
砕石舗装 | 1,300~1,500円/㎡ |
---|---|
アスファルト舗装 | 3,000~8,000円/㎡ |
コンクリート舗装 | 6,000~10,000円/㎡ |
【具体例】造成工事の費用の目安
ここまで、造成工事の費用を工事別に紹介しました。
実際に土地の造成工事をする際、どのくらい費用がかかるのでしょうか。
ここでは、「平坦地」と「傾斜地」の2パターンにおける造成工事の費用を、東京都の費用目安を用いて算出していきます。
平坦地の場合
以下の平坦地の宅地造成をする際にかかる費用を計算してみましょう。
整地する土地の面積は400㎡なので、整地費用は以下のとおりです。
400㎡(土地面積)×800円(1㎡あたりの整地費)=320,000円
また、土盛と土止にかかる費用は以下のとおりです。
400㎡(土地面積)×1m(高さ)×800円(1㎥あたりの土盛費)=3,000,000円
60m(擁壁面の長さ)×1m(高さ)×82,000円(1㎥あたりの土盛費)=4,920,000円
上記を合計した宅地造成費は以下のようになります。
320,000円+3,000,000円+4,920,000円=8,240,000円
傾斜地の場合
傾斜地の宅地造成費を計算する際は、以下の金額を参照して求めます。
傾斜度 | 金額 |
---|---|
3度超 5度以下 | 21,700円/㎡ |
5度超 10度以下 | 26,100円/㎡ |
10度超 15度以下 | 40,900円/㎡ |
15度超 20度以下 | 57,800円/㎡ |
20度超 25度以下 | 63,900円/㎡ |
25度超 30度以下 | 68,900円/㎡ |
上記金額には、整地、土盛、土止にかかる費用がすべて含まれています。
伐採・抜根の費用は含まれていないため、加算が必要です。
以下の傾斜地の宅地造成をする際にかかる費用を計算してみましょう。
土地面積480㎡、全面積について伐採・抜根が必要な場合
上記の場合、宅地造成費は以下のとおりです。
26,100円×480㎡(土地面積)=12,528,000円
伐採・抜根費
1,000円(1㎥あたりの伐採・抜根費)×480㎡(土地面積)=480,000円
宅地造成費
12,528,000円+480,000円=13,008,000円
上記の結果から分かるように、造成工事は100万円以上もの費用がかかります。
土地面積が広い場合、必要な造成工事の種類が多い場合は1,000万円以上の費用がかかるかもしれません。
土地売却を検討する際は、本当に造成工事をしたうえで売却活動をすべきか土地の売買経験が豊富な不動産会社に相談をおすすめします。
造成工事の費用を抑える3つの方法
造成工事の費用を抑える方法は以下のとおりです。
- 造成工事が少ない土地を購入
- 1月1日までに住宅を完成させる
- 相見積りをとる
前述したとおり、造成工事には多額の資金が必要になります。
費用を抑える方法を把握することで、金銭的な負担の軽減につながります。
造成工事が少ない土地を購入
土地を購入する予定の人は、造成工事の工数が少ない土地を選びましょう。
安い土地は宅地として活用できないことをはじめ何かしら原因があります。
土地の安さだけに惹かれて購入してしまうと、造成工事の工数がかかり、通常の宅地を購入した場合より高くなる可能性があります。
造成工事が少ない土地の特徴は以下のとおりです。
- 隣接地や道路との高低差がほとんどない
- 雑草や木が生えていない
- 傾斜地ではない
- 田畑や川の近くの土地ではない
土地の値段が高くても、上記の特徴を持つ土地を購入したほうが、造成工事の費用や手間が省けます。
実際に土地を選ぶ際は、不動産会社に相談しながら購入する土地を決めましょう。
1月1日までに住宅を完成させる
土地を購入して住宅を建てる予定の人は、できる限り1月1日までに住宅を完成させましょう。
住宅を建てる場合、土地に対して課される固定資産税については、「住宅用地の特例」を適用できます。
適用する場合、以下のとおり土地面積200㎡以下の部分は、税額が1/6まで減額可能です。
区分 | 固定生産税 |
---|---|
200㎡までの部分 | 税額が1/6に軽減 |
200㎡超えた部分 | 税額が1/3に軽減 |
参照元:東京都主税局
上記特例を適用するには、毎年1月1日時点で住宅が建っていることが条件です。
税金の負担軽減をすることで、造成工事を含めた住宅建築の費用負担を軽減できます。
造成工事・建築工事をする際は、業者と相談したうえで「1月1日」までに建物が完成させられるようにスケジュール調整しましょう。
相見積りをとる
造成工事をする場合、複数業者に相見積りを取りましょう。
3,4社の業者から見積りをとることで、工事の費用相場を見極められます。
また、見積内容を見比べて、より安い業者へ依頼可能です。
ただし、他社と比べて安すぎる見積を出す業者は、手抜き工事をされるリスクがあります。
手抜き工事をされた場合、盛土した箇所の地盤沈下や擁壁のひび割れなどが起こることがあります。
他社と価格が大幅にかけ離れていない業者の中から、安い業者に依頼しましょう。
なお、土地売却が前提の造成工事を検討している場合は、工事をせずに専門の不動産買取業者に売却することも視野に入れましょう。
価値がないようにみえる土地でも、有効活用するノウハウがあるため、売却に応じてくれる可能性が高いといえます。
造成工事をせずに土地売却をする際は、他社から断られるような訳ありの土地でも取り扱う不動産会社に問い合わせしましょう。
造成工事の業者を選ぶ4つのポイント
相見積りを取ることは、造成工事の費用負担を抑える手段の1つです。
しかし、費用が安い業者は、手抜き工事をする可能性もあります。
上記のリスクを回避するには、どのように業者選定すべきなのでしょうか。
ここでは、業者選定をする際の基準を4つ紹介します。
- 詳細な見積りを出してくれるか
- 実績は豊富か
- 対応はスピーディーか
- アフターフォローは充実しているか
詳細な見積りを出してくれるか
造成工事を依頼する業者を選ぶ際は、詳細な見積りを出してくれる業者にしましょう。
造成工事は土地の状態や周囲の状況によって大きく費用が変わります。
現地にて詳細な調査をせずに見積を出す業者は、ずさんな業者の可能性があるでしょう。
なお、見積りを比較する際は、単に「造成費」といった記載ではなく、詳細な工事内容とその費用まで記載している業者のほうがより信頼できます。
造成工事を依頼する業者は、現地調査を行い、詳細な見積りを出す業者にしましょう。
また、見積書の内訳があいまいな場合、具体的な工事内容について質問することも大切です。
実績は豊富か
業者の選定基準の1つとして、実績の豊富さも重要です。
造成工事の実績が豊富な業者は、工事に関するノウハウが豊富に蓄積されていることを意味します。
豊富なノウハウがある業者なら、造成工事後に不具合が生じる可能性が低いでしょう。
なお、業者の施工実績を見比べる際は、自分の土地と似たような土地の施工実績が豊富かどうかで判断しましょう。
実績の豊富さは、その業者の技術力を裏付けるため、安心して任せられるはずです。
対応はスピーディーか
対応の早さも業者の選定基準の1つです。
対応の早さは、工事業者の対応力を判断するための1つの基準となります。
見積りや質問への回答が遅い場合、工事の進め方やトラブル発生時の対応の質が良くない可能性があります。
なお、対応の早さを判断するときは、連絡に対する返信が早いかどうかで判断するといいでしょう。
対応の早い業者は、万が一の事態が生じた場合、素早い対応が期待できます。
また、早さだけでなく、質の高い対応をしてくれる業者ならより信頼できるでしょう。
アフターフォローは充実しているか
アフターフォローの充実さも業者を選ぶ際の基準にしましょう。
造成工事後に不具合が生じる可能性はゼロではありません。
もし、トラブルが起きた場合、補修をしてくれる業者はサービスが手厚いといえます。
アフターフォローの具体例として、保証期間の設定、保証期間内の無償補修などが挙げられます。
造成業者を選ぶ際は、どの程度のアフターフォローがあるかどうかも確認しましょう。
まとめ
この記事では、造成工事にかかる費用の目安と工事費を安く抑える方法を紹介しました。
造成工事の費用は、必要な工事の種類によって大きく費用が変動します。
とくに、土盛・土止が必要な場合、費用が高額になる可能性があります。
費用を抑えるためには、できる限り造成工事が少なくて済む土地の購入や相見積りによる業者の選定が必要です。
なお、土地の売却を考えている場合、不動産買取業者に買い取ってもらうのも1つの手段です。
アルバリンクは土地の買取も積極的に行っている不動産買取業者です。
他社が断るような土地でも査定、買取の対応をいたします。
造成工事をしてから土地を売ろうかどうか迷っている人は、一度ご相談ください。
造成工事にお金をかけなくても売却でき、利益が得られる可能性があります。