再建築不可物件を相続すると起こり得る3つのリスク
再建築不可物件とは、今ある建物を壊した場合に、新しく家を建てられない物件のことを指します。
建物が再建築不可となる理由はいくつかあります。
主な要因となるのは、建築基準法第43条の「土地の幅員4m以上の道路に2m以上接していないといけない」といった接道義務を満たしていないケースです。
参照元:建築基準法第43条
十分な道幅が確保されていない土地は、消防車や救急車といった緊急車両が通れません。
消化活動や救助活動の妨げになるエリアであるため、建物の新設が禁止されているのです。
では、再建築不可物件を安易に相続する3つのリスクを見ていきましょう。
家屋が倒壊した際に二度と建築ができない
再建築不可物件は、いまの家屋が倒壊して更地になると新しく家を建てられません。
これは自然災害によって倒壊した場合も同様です。
地震や水害などによって復旧できないレベルの損傷が発生すると、建て替えができないので更地にするしかありません。
再建築不可である更地の活用方法は、畑や家庭菜園、駐車場といった限定された用途に限られます。
自ら保有し続けるか、売りに出すかの2択となりますが、土地の使い勝手の悪さから買い手が付きにくいのが実情です。
なかなか売れない
再建築不可物件は、一般の不動産市場ではなかなか売れない実情があります。
そもそも一般的に家を購入する人は、一度買った家に永遠に住むことを前提に物件選びをしています。
そのため、もし中古物件を買うのであれば、補強が必要な箇所にリフォームを行い、ライフスタイルに合った間取りにするためにリノベーションを施します。
購入したマイホームを子ども世代まで残したいと考える人もいるでしょう。
しかし、再建築不可物件は建て替えができません。
リフォームやリノベーションも手を加えられる範囲が決められているので、せっかく買った家が長持ちするという保証がないのです。
また、家を購入する人の多くは住宅ローンを利用するという点も懸念されます。
住宅ローンでは、不動産を担保に出すのが一般的です。担保とは、なんらかの事情で利用者が返済できなくなった場合に、金融機関が担保を売却することで、融資額を補うものです。
つまり不動産の価値が融資額を上回っている必要があるのですが、再建築不可物件は、活用方法の制限があることから、総じて担保評価が低い傾向にあります。
住宅ローンが組めないと買い手がキャッシュで家を購入することになるため、購入機会を逃す原因となるでしょう。
リフォーム費用が高額になる
再建築不可物件は、接道義務を満たしていないことからわかるように、大型車が通れない道路のスペースであることがほとんどです。
リフォームをするために必要な重機が入らないのであれば、リフォーム自体を業者側に断られる可能性があります。
仮に依頼できたとしても、機械で進める作業を職人の手作業で行うわけですから、当然費用は高額になります。
リフォームの内容によっては、新築物件の購入と変わらない工事費用になるでしょう。
相続前に再建築不可物件だと判明した際の対処法
再建築不可物件の相続は、物件の特殊性から、所有者が活用の指針を前もって決めておく必要があります。
では、相続前に再建築不可物件だと判明した際にはどのように対処したら良いのでしょうか?
以下で、解説していきます。
相続放棄する
相続放棄とは、亡くなった人の財産または負債を相続する権利を放棄することです。相続放棄することで、本来受け継ぐはずだった再建築不可物件を手放せます。
ただし、不動産だけを限定して放棄することはできません。
相続放棄をすると、相続人ではなくなるため、故人のプラスの財産もあわせて相続ができなくなるのです。
また、相続放棄をしてもすぐに再建築不可物件を手放せるわけではなく、管理者が見つかるまでの期間は管理責任が残ります。
法定相続人のなかで管理者が見つからなければ、家庭裁判所に向かい、「相続財産管理人」の選任が必要です。相続財産管理人の選任には、すべての手続きが終了するまで、おおむね1年以上はかかります。
すぐに管理義務から解放されるわけではないので注意しましょう。
相続後にリフォームして活用する
相続後にリフォームをして、相続人の誰かが住む、あるいは賃貸として人に貸すといった活用方法もあります。
ただし、再建築不可物件は大規模な改修工事が行えないため、建物の老朽化がすでに進行している場合はおすすめできません。
再建築不可物件がリフォームを行えるのは、建築確認申請が不要な範囲に限られており、以下の範囲内に収める必要があります。
- 壁、柱、床、はり、屋根、階段など主要構造部の1/2以内の修繕と模様替え
- 防火・準防火地域外での10平方メートル以内の増改築と移転
建物のなかでもっとも大切なのは、基礎の部分です。
基礎は、数十年という長い期間、建物を支え続ける役割があります。基礎がしっかりしていれば家は長持ちします。
しかし、再建築不可物件では、基礎の改修工事は行えません。
再建築可能にして売却する
再建築不可物件は、ほとんどのケースでは建築基準法の定める接道義務に違反していることが原因で建て替えを制限されています。
つまり、接道要件を満たす状態にすれば、建て直しができるようになるので、建物を再建築可能にして売却するという対策もとれます。
たとえば、
- 隣地を買い取って公道と接する面積を2m以上確保する
- 但し書き規定の申請で建築の許可をもらう
などです。
建築基準法上の道路に接していなくても、基準に適合し、安全が確保できれば建築できるという例外的な規定のことです。
要件が厳しく、すべての人が行えるわけではありませんが、該当する人は検討の余地があるでしょう。
詳しくは以下の記事で解説しておりますので、参照ください。

再建築不可物件の専門買取業者に「現状のまま」売却する
専門の買取業者へ、現状のままで売却する方法がもっとも実現性の高い対策でしょう。
不動産売買には、「仲介」と「買取」の2つの業者があります。
仲介は、売主の仲介業務のみを手伝う業者で、不動産買取は、物件を買い取る業者です。
両者の概要は以下のとおりです。
仲介 | 買取 | |
買主となる対象 | 一般の個人 | 買取業者 |
売却までの期間 | 買主が見つかり次第 | 1週間〜1ヶ月 |
売却の価格 | 相場価格程度 | 相場価格の7〜8割程度 |
売主の販売活動 | あり | なし |
修繕にかかる費用 | 売主が負担 | 業者が負担 |
仲介業者は相場価格で売却できるので、少しでも高値で売りたい人には向きますが、あくまで「相場価格で売れるほどの価値がある家」に限られます。
買取業者は、相場価格の7〜8割程度の売値にはなりますが、比較的売れにくい物件も、そのままの状態で買取可能です。
ただし、再建築不可物件のような特殊性のある物件を売却する場合は、買取業者のなかでも「再建築不可物件専門の買取業者」に相談することが重要です。
というのも、一般的な買取業者と専門の買取業者では物件の活用方法が異なります。
一般的な買取業者はノーマルな家を安く買い取り、リフォーム・リノベーションを施し、高く転売することを目的にしています。
さまざまな制限のある再建築不可物件は、買い取っても活用方法がわからないので、格安で買い取るか、買い取りを断るケースがほとんどです。
一方、専門の買取業者であれば、再建築不可物件でもほぼ確実に買い取れます。
専門の買取業者は、活用ノウハウを多くもっているため、再建築不可物件のような売れにくい物件も、適正な金額をつけて買い取れるのです。
弊社(株式会社Albalink)でも、再建築不可物件の買取を積極的に行っております。
年間2,000件のご相談に対応している実績から、全力で金額をご提示させていただきます。お気軽にお問い合わせください。
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再建築不可物件を相続する際の手続きの流れ
ここまでは、相続前に再建築不可物件だと判明した際の対処法について解説しました。
次章では「相続する」と決めた際の、手続きの流れについて紹介します。
遺産の種類と相続人の人数を確定させる
まずは、遺産の種類を明らかにし、相続人の人数を確定しておきましょう。
ここを決めておかないと、後々になって、相続税の修正申告や遺産分割会議のやり直しなど、新たな手間が発生してしまう可能性があるからです。
故人の財産は、利用していた金融機関を特定し、残高証明書の発行を依頼しましょう。残高証明書では、預貯金や利用状況を確認できます。
そのほか、故人の家宛の郵便物やメールなどを調べて、すべての財産をリストアップしましょう。
次に、相続人の人数を確定します。
民法上、亡くなった人の財産を相続できる人の範囲や優先順位は定められており、範囲内にいる人を「法定相続人」と言います。
法定相続人になれる人物と、相続できる権利の優先順位は、以下のとおりです。
第1順位 | 配偶者と子ども |
第2順位 | 配偶者と親 |
第3順位 | 配偶者と兄弟姉妹 |
上位の順位者がいる場合、下位の順位者は相続人になることはできません。
亡くなった人に「配偶者」と「子ども3人」がいる例を挙げると、4人のみが相続人となり、故人の両親や兄弟姉妹は相続人ではなくなります。
相続人のなかで、誰も相続放棄をしないのであれば、このまま相続人の人数は4人で確定します。
遺産分割協議を行い誰が相続するのか決める
遺産分割会議とは、相続人同士で遺産の分け方について話し合うことです。
遺言書がない場合、あるいは遺言書に遺産の配分が記載されていない場合は、遺産分割会議で相続人同士が自由に配分を決められます。
この際に注意したいのは、しっかりと分配方法を決めておくことです。
遺産分割の方法には、以下の4種類があります。
現物分割 | 相続財産をそのままの形で分配する |
換価分割 | 相続財産を売却して現金で分配する |
代償分割 | 相続財産をもらった人が、差額を現金で支払う |
共有分割 | 相続財産を共同で所有する |
上記のうち、不動産相続でトラブルになりやすいのは「共有分割」です。
共有名義にした不動産は、誰か1人の意見では売却も活用方法も決められません。売却する場合には全員の同意が必要となるため、意見がまとまらず、売りたいときに売れない、といった可能性が出てきます。
不動産は、単独名義にした方がトラブルを避けやすいでしょう。
相続登記を行う
相続登記は自分でも行えますが、司法書士に依頼するのがベターでしょう。
自分で相続登記をすると、費用を抑えられるといった点では最大のメリットがあります。しかし、遺産分割協議書や登記申請書の作成、各種証明書の提出など、労力と時間を大いに要するからです。
また、書類の訂正などがあると、不動産の所在地を管轄している法務局まで足を運ぶ必要があります。
司法書士であれば、5〜8万円程度での費用で相続登記を依頼できます。
手間をかけたくない方は、司法書士に依頼するとスムーズに相続登記が行えるでしょう。
相続税の申告・納付を済ませる
相続税の申告期限は、「被相続人が亡くなったことを知った日の翌日から10ヶ月以内」です。
上記の期間内に、故人の住所地の税務署に、相続人それぞれが納付を済ませる必要があります。
相続税の納付は、税務署の窓口以外では、郵送・e-Tax・金融機関・コンビニ・クレジットカードなどの方法でも納付可能です。
申告期限を過ぎると、延滞税や無申告加算税などが加算されるので、すみやかに納付を済ませておきましょう。
相続財産が再建築不可物件かどうか調べる方法
ここまでは、相続財産が再建築不可物件である前提で解説してきました。
しかし、もし再建築可能な物件だったのであれば、活用の幅は広げられます。
再建築不可物件なのかどうかを調べる方法について、見ていきましょう。
役所の建築課に確認する
再建築可能かどうかを調べる1つ目の方法は、最寄りの市役所の建築課に確認することです。
確認に必要な書類は、以下の4つです。
- 登記事項証明書
- 公図
- 地積測量図
- 建物図面
上記の書類は全て、法務局で取得可能です。
必要書類を役所の建築課に持っていき、再建築不可物件かどうかを確認してもらいましょう。
不動産業者に確認する
再建築不可物件の取り扱いに長けている不動産会社に聞く方法でもわかります。
実績については、公式サイトで確認できます。
専門の不動産会社に尋ねるとその後のアドバイスもしてもらえるため、参考になるでしょう。
まとめ
今回の記事では、再建築不可物件を相続するリスクや対処法、相続手続きの流れについて解説しました。
「実家が再建築不可物件だけど、活用する予定がない」「相続したけど、やはり手放したい」
こういったお悩みをお持ちの方は、弊社をはじめとする、専門の不動産買取業者にご相談ください。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、再建築不可物件など、全国の訳あり物件に特化した専門の買取業者です。
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