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地代の値上げ交渉があった場合、借地人はどうすればいい?知っておきたいポイント解説

地代の値上げ交渉があった場合、借地人はどうすればいい?知っておきたいポイント解説 底地

地主から地代の値上げ交渉があった場合、あなたならどうしますか?

アベノミクスの影響で地価が上昇したとは言え、その一方でコロナ禍で雇用や収入の先行きが不透明となる中で、地主に言われるがままに値上げに同意というわけにはいかないという方が多いのではないでしょうか。

現状、国内はデフレ下にありますが、ここ数年はアベノミクスや東京オリンピック開催などの影響で、都市部を中心に地価が上昇してきました。

こういった背景を受けて、都心部を中心に、地主が値上げを要求してくる可能性も考えられます。

その場合、地主との交渉・相談ということになりますが、どのように話し合いを進めれば良いのでしょうか?

地代の値上げ交渉があったらどうする?

地主との交渉が妥結に至らなかった場合は、裁判?その間の地代の支払いはどうするの?など確認しておきたいポイントは無数にあると言えます。

当記事を読んでいただくと、地主から値上げ交渉があった場合に取るべき方法・知っておくべき知識を理解していただくことができます。

借地借家法で規定されている地代値上げ請求の条件とは?

地主が借地人に対して地代の値上げを行うための要件は、借地借家法で以下のように定められており、借地人の同意を得て行う必要があります。

<借地借家法第11条第1項>
「土地に対する租税その他の公課の増減により、土地の価格の上昇若しくは低下その他の経済事情の変動により、又は近傍類似の土地の地代等に比較して不相当となったとき」

条文の内容をまとめると以下の①〜③に集約されます。

①土地の租税・公課が増加した場合(主に固定資産と都市計画税)
②地価の上昇などの経済情勢の変動が起こった場合
③近隣類似の土地の地代と比較して不相当な場合

基本的には不動産を取り巻く環境に依存する内容となっています。

国内でも都市部は地価が値上がりしていますので、場合によっては地代の値上げを迫られる可能性もあると言えるでしょう。

地代値上げ請求の条件

では、実際に地代の値上げ要求があった場合の具体的な方策について考えてみたいと思います。

地代の値上げを要求されたらまずすべきこと

①賃貸借契約書の確認

地主から地代の値上げを要求された際、まず最初に賃貸借契約書で地代の値上げについて記載されている箇所の有無を確認しましょう。

記載があった場合は、その内容に沿って地主との交渉・相談を行う必要があります。内容によっては交渉・相談の余地がない場合もあります。

記載が無かった場合も、借地借家法では一定の条件の下、借地人の同意を得て値上げを行う権利が認められています。

なお、賃貸借契約の中で「地代等を増額しない特約」が定められているケースもありますが、場合によっては契約を定めた時点から一定期間が経過すると、地代の増額を要求することが可能となりますので注意が必要です。

②地主とのコミュニケーション

地代の引き上げ自体は法律で認められたものですが、要求があったから必ず従わなければならないということではありません。拒否することも可能です。

まずは地主とコミュニケーションをとることが重要です。

地代を増額する理由、増額幅など、借地人として確認しておくべきポイントはしっかり押さえるようにしましょう。

土地に対する税制の変更、周辺地価や賃料帯の推移、世の中的な物価の上昇などを事前に把握しておくと話し合いはスムーズになります。

周辺の地価や賃料の推移などは不動産ポータルサイトで検索したり、不動産ポータルサイト内で情報を公開していたりもしますので、活用すると便利です。

その一方で、借地人ご自身の経済状況もあるかと思います。

ここ何年も国内はデフレ下で賃金が上がらない状況が続いています。

新地代が高いと感じる場合は、地主に相談・交渉してみてもいいでしょう。
地代の値上げは双方の合意があってこそ成立するものです。

地代の値上げを要求されたら

地主と交渉する際のポイント・テクニック

では、実際に地主と交渉する際のポイント・テクニックを考えてみたいと思います。

①値上げの根拠について確認する

借地人としては、喜んで地代の値上げに応じるということは稀だと思いますので、値上げを踏みとどまってもらうための交渉・相談になることがほとんどでしょう。

その場合、まず地主が値上げしたいと考える根拠・判断基準について提示してもらうようにしましょう。

可能であれば、その際に参考にしたデータや資料などを見せてもらうとなお良いです。

②感情的にならない、落ち着いて話をする

増額幅によっては、値上げを拒否するか、もしくは転居・退居を選択するかの二択となってしまう場合もあるかと思います。
そうなると、ついつい感情的になってしまい、交渉がこじれる原因となります。

値上げの妥当性への反論、自身の経済状況の説明などはできるだけ客観的に、そして落ち着いて順序立てて説明してこそ相手に伝わるものです。

できる限り冷静に、柔らかい態度で望むことが重要です。

感情的にならない

③選択肢を広げる(第3の道の模索)

値上げ拒否もしくは転居という二択だけではなく、選択肢の幅を広げるという意味で第三の道を模索することが重要です。

例えば値上げ幅を縮小してもらう、値上げ開始時期を後ろ倒ししてもらう、値上げと引き換えに更新料を免除してもらうなども選択肢に入れて、お互いん妥協して痛み分けするという形に持ち込むことも一つの考え方です。

その際、アピールしたいのは未来志向です。

地主からすれば長期的に安定して地代収入を得たいと考えているはずですが、地代の値上げ交渉によって結果的に退居・長期空き家というようなことになってしまえば、元も子もありません。

現住居が気に入っているのであれば「現住居に満足しているので地代の値上げがなければ長期居住したいと思っているのですが・・・」といった一言を添えるのも有効です。

交渉不成立の場合の地代は支払う必要がある?ない?

交渉・相談で話がまとまらなかった場合、地主から転居・退居を要請されることがあるかもしれません。

また、交渉が妥結しないまま、新地代が適用開始日を迎えてしまうこともあるでしょう。

しかし、このようなケースでも値上がり前の家賃を払い続けていれば転居・退居をする必要はありません。話し合いがこじれてしまってもその物件に住んでいる間は従来の家賃を支払いましょう。

交渉が妥結しなかったからと言って、家賃を支払わないと家賃滞納となってしまい、そのことを理由に賃貸借契約を解除されてしまう可能性があります。

交渉不成立の場合、旧地代額での地代の支払いを地主が拒否したらどうする?

交渉がまとまらないまま、新地代の適用日を迎えた場合、値上げ前の金額の地代の受け取りを拒否されるケースも考えられます。

その場合は、法務局の「供託」という制度を利用するようにしましょう。

供託とは、法務局(地方法務局やその支局など)などの法務大臣が指定する出張所である「供託所」に地代を預けることで、地代などを支払ったこととみなす制度のことを言います。

今回のような地代の受取拒否や、地主が行方不明で地代を支払えないケースなどは、そのままにしておくと地代の滞納とみなされ、借地権や賃貸契約が解除されることにもつながります。

そのようなことを防ぐために、一旦「供託所」に供託し、その後の適切な処理の完了を待つことができます。

なお、和解に至った場合は、この供託金の還付を受けることができます。

手続きには実印・印鑑証明・住民票などが必要となりますので、申請書類とともに供託所に提出し、還付を受けましょう。

地代との交渉が決裂したら、民事調停の申立を行う

地代値上げ交渉の流れ

地代の交渉が決裂した場合、調停または訴訟によって決着させることになります。

①民事調停の申立て

地代の増減額に関する請求を行う場合、まず最初に調停の申立てを行う必要があります。

調停の申立をせずに訴訟を起こした場合は、裁判所が調停に変更して受理します。

②調停委員会の裁定

調停は、地主と借地人の間に裁判所が入り、裁判官1名と調停委員2名(主に弁護士や不動産鑑定士)を選定した調停委員会が裁定を行います。
それぞれの専門的見地から助言・説得を行います。

調停委員会は、地主と借地人双方の意見を聞き、提出された資料などを元に調停案が示されます。

具体的な地代の金額を示し、地主と借地人の双方がその金額で合意するかしないかの決断を求めます。
調停案の内容について、交渉したり反論したりする余地は原則ありません。

調停案に交渉の余地なし

申立てから調停案の受諾までは、案件にも寄りますが、1年程度かかります。

調停の過程では、1ヶ月〜2ヶ月ごとに話し合いの場を設け、地主と借地人の双方の意見や資料がすべて出揃うまでに話し合いを3〜4回行い、調停案に折り合いをつけるのに1〜2回かかりますので、概ね1年ぐらいかかることがほとんどです。

調停機関は概ね1年

調停委員会の調停に成立の見込みがない場合、裁判所は調停委員の意見を聞き、当事者双方の意見や事情を鑑みて、その職権で当事者双方の申立ての趣旨に反しない範疇で、裁定を下すことがあります。

この裁判所の告知に対しても、当事者は告知から2週間内に異議申し立てをすることができ、適法な異議申し立てであれば裁判所の決定は効力を失います。異議申立てが適法でない場合は申立ては却下となり、異議がない場合は、和解成立となります。

調停は約1年ほどの時間はかかるものの、ここで合意が得られないと訴訟に発展しますので、早期解決を望むのであれば裁定和解を受けることが望ましいです。

調停でも解決しない場合は、訴訟によって裁判所の判断を仰ぐ

調停においても両者が合意できなかった場合は、訴訟を提起し、裁判所によって地代等増減額請求の成否を判断してもらうことになります。

地主の請求が認められれば、地代の値上げ請求をした時点から当日までの増額が認められることとなり、借地人は未払い分の差額を支払わなければなりません。

地主の請求が却下された場合は、地代の増額請求はできないこととなります。

借地借家法では、地代の増額を正当とする裁判が確定するまでは、相当と認める額の地代等を支払うこととしています。

加えて、裁判が確定した場合においてすでに支払った地代の額に不足がある場合、その不足額に年1割の利息を付加して支払うように規定しています。

ちなみに、借地権者が起こした地代の減額訴訟においても、裁判が確定した段階で地主が支払いを受けた超過額に年1割の利息を付して返還することを規定しています。

まとめ

ここまで、地主から地代の値上げ交渉があった場合に、借地人はどうすればよいかについて、知っておくべき知識を中心にご紹介してきました。

基本的には、交渉や相談でうまく合意させることが重要だということをご理解いただけたかと思います。

調停や裁判にかかる費用と時間、見返りとして得られるものを考えると費用対効果が見合わないというケースが多いのではないでしょうか。

仮に地代の値上げを阻止することができたとしても、地主との関係が悪化して転居・退居せざるをえないということになってしまえば意味はありません。

とはいえ、法律・不動産のプロではない当事者同士でうまく着地させるのはとても難しいことです。

交渉・相談がうまく行かない・行きそうもないという場合は、弁護士などのプロの力を利活用することをオススメします。

どの弁護士に相談すればよいか分からない、伝手がないという方は不動産会社に相談してみるのも一つの方法です。

地主と借地人間の争点を整理し、誰に何をどのようにすればいいかについて、過去に担当した事例などを元にアドバイスをしてもらえるはずです。

また、弁護士の紹介を受けられることもあるかもしれません。

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