地盤沈下による家の傾きを放置するリスク3選
家の傾きが進行すると、住まいに様々な悪影響を及ぼします。
放置すれば生活の不便にとどまらず、売却時の大きな損失にも繋がりかねません。
ここでは、地盤沈下による家の傾きを放置することで起こり得る代表的な3つのリスクを解説します。
今後の売却や修繕を見据えて、適切な対応の必要性を把握しておきましょう。
なお、家の傾きの影響について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてお読みください。

生活環境の悪化・資産価値の低下を招く
家の傾きを放置すると、まず日常生活に支障が出てきます。
たとえば「窓が開けづらい」「ドアがしっかり閉まらない」「隙間風が入って寒い」といったトラブルが起こり、住まいの快適性が大きく損なわれてしまいます。
こうした不具合は、日々のストレスになるだけでなく、住宅全体の印象を悪くする原因にもなりかねません。
さらに、建物の傾きが6/1000(1000mmあたり6mm)を超えると、「瑕疵」と見なされるのが一般的です。
土地や建物が通常備えるべき品質や性能、契約内容に適合しない「欠陥」や「不具合」のこと
不動産としての評価が下がり、売却時には減額や修繕交渉を受けるリスクが高まるでしょう。
原因が地盤沈下である以上、傾きは今後さらに進行する可能性もあります。
住まいの資産価値を守るためにも、ホームインスペクション(住宅診断)などの専門業者による調査を行い、必要に応じて地盤改良や修正工事といった対応を早めに検討しましょう。
住宅の専門家(ホームインスペクター)が第三者の立場で建物の劣化状況や欠陥の有無を調査し、改修すべき箇所・時期・費用などをアドバイスする専門業務
倒壊リスクが高まる
地盤沈下によって建物が傾くと、荷重が一部に集中し、構造バランスが崩れます。
その状態で地震や強風を受けると、柱や梁などの構造部材が損傷し、建物が倒壊するリスクが高まるのです。
参照元:J-STAGE「2011年東北地方太平洋沖地震で液状化被害を受けた浦安市の地盤特性」
実際に、千葉県浦安市の埋立地では、2011年の東日本大震災における液状化現象の影響で多数の住宅が地盤ごと沈下・傾斜し、居住が困難になるほどの損傷を受けました。
対策としては、鋼管杭の圧入やウレタン樹脂の注入によるジャッキアップ工法などがあり、状況に応じて適切な施工方法を選ぶことが重要です。
安全な住環境を維持するためには、早期の点検と対処が欠かせません。
健康被害をもたらす
建物の傾きは、見た目や使い勝手の問題にとどまらず、居住者の健康にも影響を及ぼす可能性があります。
わずかな傾斜でも、長時間その空間で過ごすことで体に負担がかかり、健康被害につながるおそれがあるのです。
実際に、傾いた家で生活を続けた結果、以下のような不調を訴えるケースもあります。
- めまい
- 頭痛
- 吐き気
これは、床の傾きにより体が無意識にバランスを取ろうとすることで、筋肉や神経に余計な負担がかかるためと考えられています。
とくに小さなお子様や高齢者は、平衡感覚や体の調整機能が弱いため、傾いた環境の影響を受けやすいです。
参照元:日本建築学会「復興・復旧支援WG「液状化被害の基礎知識」」
実際、床の傾きが約0.74度を超えると、健康被害の発生確率は50%を上回るとされています。
さらに、0.29度程度のわずかな傾きでも、不調を訴える人がいるという報告もあり、傾斜の影響は決して軽視できません。
地盤沈下によって住宅が傾いている場合、体調不良の原因が住環境にある可能性は十分に考えられます。
健康への影響を最小限に抑えるためにも、放置せずに早めの修正対応を検討することが大切です。
地盤沈下による家の傾きを調べる2つの方法
家の傾きが疑われる場合、早めに状況を把握して適切な対策を講じることが重要です。
地盤沈下によるや傾斜は、放置すれば住宅の安全性や資産価値に深刻な影響を与える可能性があります。
ここでは、家の傾きを調べる2つの方法をご紹介します。
売却・修繕・住み続けるためにも、家の傾きの現状を確認しましょう。
自分で状況を把握する
家の傾きを感じたら、まずは自分でできる範囲で状況をチェックすることが大切です。
特別な道具や技術がなくても、日常の中で簡単に住宅の傾きを確認する方法があります。
以下は、一般家庭でも取り組みやすい代表的なセルフチェックの方法です。
| チェック方法 | 内容・ポイント |
|---|---|
| ビー玉・ゴルフボール | 床に置いて自然に転がるかどうかを確認。 転がる場合は傾きの可能性あり。 |
| スマートフォンの水平器アプリ | 無料で利用可能なアプリを使って、床や棚が水平かどうかを測定。 |
| 市販の水準器(レベル) | ホームセンターなどで購入できる道具。 より正確な測定が可能。 |
| ドアや窓の開閉状態 | 開け閉めが重い、引っかかるなどの違和感は傾斜のサイン。 |
| 壁や床のひび割れ・隙間 | 地盤沈下や構造の歪みの兆候として現れることがある。 |
傾きの程度が大きい、または症状が複数見られる場合には、不同沈下や地盤沈下の影響が進行しているかもしれません。
放置すれば健康被害や倒壊のリスクにつながることもあるため、早めに専門業者への相談を検討しましょう。
ホームインスペクションを依頼する
傾きが疑われる場合は、専門家にホームインスペクション(住宅診断)を依頼するのが確実です。
とくに地盤沈下が原因と考えられる場合、建物の基礎や構造全体にわたる詳細な点検が必要です。
ホームインスペクションでは、住宅の状態を客観的に診断し、必要に応じて地盤や修正工事に関する提案を受けられるというメリットがあります。
以下は、ホームインスペクションを依頼した場合のおおまかな流れです。
- 相談・問い合わせ
ホームインスペクションを行っている建築士事務所や診断専門会社に相談する - 事前ヒアリング・日程調整
建物の築年数や気になる症状を伝え、訪問日時を決定する - 現地調査の実施
水平器やレーザー機器を使用して傾斜を測定し、床下や基礎のひび割れ・沈下・腐食の有無などを確認する - 診断結果の報告
調査データをもとに、現在の状態やリスク、必要な対応について説明を受ける - 追加調査・対策の提案(必要に応じて)
状況に応じて地盤調査が行われ、必要であればジャッキアップ工法や薬液注入による修正工事、地盤改良工事などの対応策が提示される
調査費用は内容によって異なりますが、無料で相談できる業者も増えてます。
放置すれば工期や費用が増大するリスクがあるため、早めの診断・対応が住まいの安全性と資産価値を守るうえで不可欠です。
カンタン1分査定
放置は厳禁!地盤沈下で傾いた家でできる2つの対処法
地盤沈下によって住宅が傾いた場合、そのまま放置しておくのは非常に危険です。
生活への悪影響や倒壊リスクが高まるだけでなく、資産価値の大幅な低下にもつながります。
ここでは、地盤沈下で傾いた家にできる現実的な2つの対処法について詳しく解説します。
修繕して住み続ける
地盤沈下によって家が傾いてしまった場合でも、状況に合った工法で修繕すれば、住み続けることは可能です。
ただし、選ぶ工法によって費用や工期は大きく異なるため、事前に内容を把握しておきましょう。
地盤沈下で傾いた家を修繕する方法と費用相場
地盤沈下で住宅が傾いてしまった場合でも、状況に応じた修繕工法を選べば、住み続けることは可能です。
ただし、選ぶ工法によって費用や工期は大きく異なるため、まずは修繕方法と相場の目安を把握しておきましょう。
| 修繕・是正工法 | 費用相場の目安 | 工期の目安 | 備考 |
|---|---|---|---|
| 土台上げ工法 | 約200〜300万円 | 約2〜3週間 | 傾きが比較的小さい場合に対応可能。 |
| 硬質ウレタン注入工法 | 約350〜600万円 | 約1〜3週間 | 地盤を内部から補強しながら傾きを修正。 |
| 薬液注入工法 | 約300〜600万円 | 約1〜2週間 | 地盤改良効果もあり、再沈下リスクを抑える。 |
| 耐圧版工法 | 約500〜700万円 | 約2〜5週間 | 大きな傾きにも対応可能。 |
| 鋼管圧入工法 | 約600〜1,000万円 | 約3週間〜2ヶ月 | 地盤沈下が進んだ場合にも有効な工法。 |
| 全体的な水平修正 | 約200〜1,000万円 | — | 工法や傾斜の程度により価格帯が広い。 |
| 部分的な沈下修正 | 約50〜300万円 | — | 軽度の傾きや沈下のみに対応。 |
どの工法が適しているか判断するには、地盤の状態や傾きの原因を正確に把握することが不可欠です。
まずはホームインスペクションや地盤調査に対応した専門業者に相談し、現地調査と見積もりを依頼しましょう。
家の傾きを直す費用について詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。

自然災害による地盤沈下の場合は補助金が使えることも
地震や液状化現象などの自然災害によって地盤沈下が発生した場合、国や自治体の補助金制度が活用できるケースがあります。
被害の程度や自治体の制度によって内容は異なりますが、修繕費用の軽減につながるでしょう。
以下は、代表的な補助制度の一例です。
| 制度名 | 対象地域 | 対象工事 | 補助内容 |
|---|---|---|---|
| 被災者生活再建支援制度 | 全国 | 住宅の再建・修繕 | 最大300万円の支援金(基礎的支援金+加算支援金) |
| 氷見市宅地液状化等復旧支援事業費補助金 | 富山県氷見市 | 宅地の傾斜修正、地盤改良、基礎の傾斜修復 | 工事費の2/3以内、上限約766万円 |
| 被災宅地等復旧支援事業 | 石川県能登町ほか | 宅地の復旧・傾斜修正・地盤改良 | 最大958.3万円(対象工事に応じて変動) |
ただし、補助金の内容や条件は自治体によって異なり、すべてのケースで適用されるとは限りません。
申請には罹災証明書や工事見積書などの提出が必要になるため、制度の詳細や申請方法については、お住まいの自治体や専門業者に確認しましょう。
家の傾きの補助金について詳しく知りたい方は、以下の記事をご参照ください。

修繕費用を抑えたいなら地震保険の適用可否も確認
地震による地盤沈下や液状化現象で住宅が損傷した場合、地震保険によって修理費用の一部が補償されることがあります。
補償対象や支払額は契約内容や損害の程度によって異なるため、事前に保険会社や保険約款で確認することが大切です。
一方、補助金や地震保険が使えない場合、修繕には数百万円〜1,000万円以上かかるケースも少なくありません。
このような場合、無理に修繕して住み続けるよりも、「売却して住み替え」を選んだ方が負担を抑えられることもあります。
弊社アルバリンクは、訳あり物件専門の不動産買取業者です。
地盤沈下で傾いた家でも、そのままの状態で積極的にお買取りいたします。
仲介と違い、内見対応や修繕の手間が不要なうえ、売却後のトラブルリスクもありません。
もし「傾いた家の修繕費が高すぎて難しい」「いっそ家を手放したい」とお考えなら、弊社までお気軽にご相談ください。
>>【傾いた家でもそのままスピード売却!】無料査定を依頼する
売却して住み替える
地盤沈下で傾いた家は、「修繕して住み続ける」だけでなく、「売却して住み替える」という選択肢も視野に入ります。
とはいえ、一般的な不動産と異なり、傾きのある住宅には売却時の注意点も多いため、適切な方法を見極めることが大切です。
ここからは、傾いた家を売却する際に知っておきたいポイントをご紹介します。
なお、地盤沈下した家を売却する方法を詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてお読みください。

傾いた家を仲介で売却するのは難しい
傾きのある住宅を仲介で売却しようとする場合、建物の傾きが「瑕疵(欠陥)」と見なされるため、売却価格が大きく下がるのが一般的です。
傾いた家でも買取ならスムーズに売却できる
仲介では売却が難しい傾いた家でも、不動産買取であれば、修繕不要でそのまま売却可能です。
不動産会社が一般の購入希望者を探すのではなく、売主から直接物件を買い取る方法
買主探しや価格交渉の手間がなく、スピーディーに現金化できるのが大きなメリットです。
専門の不動産買取業者であれば、傾いた家の取り扱いに慣れており、現状のままでも柔軟に対応してもらえるケースが多数あります。
買取の主なメリットは以下の通りです。
- 修繕不要でそのまま売却可能
- 買主探し・内見対応が不要
- 価格交渉のストレスがない
- 売却後の契約トラブル(契約不適合責任)リスクが低い
- 現金化までのスピードが早い
とくに「高額な修繕費は避けたい」「できるだけ早く手放したい」といった方に、向いている売却方法といえるでしょう。
弊社アルバリンクは、傾いた家や地盤沈下した住宅の買取に特化した不動産買取業者です。
全国どこでも査定は無料で、現地調査から契約、引き渡しまでワンストップで対応いたします。
家の傾きをもたらす地盤沈下の原因
住宅が傾いたときは、ただ修繕するだけでは不十分です。
原因によって対応方法は大きく異なるため、まずは根本から状況を把握することが重要です。
以下に、地盤沈下の代表的な原因をまとめました。
| 原因 | 内容 | 住宅への影響 |
|---|---|---|
| 地下水の過剰な汲み上げ | 地下水を採取しすぎると地盤内の水圧が低下し、粘土層などが収縮して地盤が沈下する現象 | 基礎の沈下や不同沈下を招き、建物全体の傾斜へつながる可能性がある |
| 軟弱地盤・盛土の影響 | 盛土の締固めが不十分だったり、軟弱な沖積層の上に住宅を建てた場合、土自体が収縮・沈下しやすくなる | 土地全体が不均一に沈下し、不同沈下や構造のゆがみを誘発する |
| 地震・液状化現象 | 大地震などで地盤が揺れ、液状化が発生すると地盤が急激に沈下することがある | 一部または広範囲で地盤が低下し、建物が傾く原因になる |
| 工事・施工の影響 | 近隣工事や重機の振動、埋戻し土の締固め不足などが原因で局所的な沈下が発生する場合がある | 局所的な不同沈下として住宅に傾きやひび割れを発生させる |
傾いた家で暮らし続けるなら、原因に合った工法を選び、健康被害や倒壊リスクを抑えるための修繕が不可欠です。
ただし、工事内容によっては費用が数百万円〜場合によっては1,000万円以上になることもあり、家計への負担は小さくありません。
修繕にかかる費用が高額で負担に感じるなら、思い切って家を売却し、そのお金で住み替えるという選択肢もあります。
傾いた家を無理に直して住み続けるより、資産価値が下がる前に売却し、安全で快適な住まいに移る方が合理的な判断といえるでしょう。
弊社アルバリンクは、傾いた家や地盤沈下のある住宅の買取に特化した不動産買取業者です。
査定は全国対応で無料、修繕前の物件でもそのまま買取が可能です。
他社で売却が難しいとされた物件でも柔軟に対応し、早期の現金化・住み替えをサポートします。
「地盤沈下で傾いた家の修繕費用が心配」「まずは査定額だけ知りたい」という方も、お気軽にご相談ください。
>>【傾いた家でもそのままスピード売却!】無料査定を依頼する
まとめ
地盤沈下による家の傾きは、資産価値の低下や健康被害、倒壊リスクなど深刻な問題につながるため、放置は禁物です。
放置せずに対応するには、「修繕して住み続ける」か「売却して住み替える」か、いずれかの選択が必要になります。
ただし、修繕には高額な費用がかかるため、経済的な負担は少なくありません。
それだけの費用をかけても、安心して暮らせる環境が取り戻せるとは限らないのも現実です。
将来への不安を早めに解消したい方には、思い切って売却して新しい住まいに移るという選択肢もあります。
とくに、傾いた家は通常の仲介では売れにくいため、専門の買取業者に依頼するのが確実です。
弊社アルバリンクは、地盤沈下による傾きやその他の訳あり物件の買取に特化した不動産買取業者です。
これまでにも傾いた家や地盤沈下による物件を多数取り扱ってきた実績があり、状況に応じて柔軟に対応できるのが強みです。
修繕は不要で、査定から契約、現金化まですべてのプロセスをスピーディーかつ丁寧に対応しておりますので、安心してご依頼いただけます。
「こんなに傾いた家でも、本当に売れるの?」と感じている方も、まずはアルバリンクにご相談ください。
安心して次の一歩を踏み出すための力になります。
株式会社AlbaLinkは東証グロース市場に上場している不動産会社です。







