ブラック企業だと思う職場の特徴1位は「残業代が出ない」
男女500人に「ブラック企業だと思う職場の特徴」を聞いたところ、回答は以下のようになりました。
1位になったのは「残業代が出ない(196人)」です。
2位「長時間労働・過重労働がある(167人)」、3位「休みが少ない・休みにくい(124人)」、4位「ハラスメントがある(69人)」と続きます。
全体的に「法令順守意識の低さ」「過度な負担」を挙げた人が多くなりました。
上記のような特徴を把握しておくことで、就職活動・転職活動でブラック企業を回避しやすくなります。
では具体的な回答を紹介します。
1位 残業代が出ない
- 残業をしても正当に残業代が支払われず、サービス残業は当たり前(27歳 女性)
- タイムカードを切らせて残業させる(39歳 女性)
- 残業をさせるだけさせて、賃金を支払わない(42歳 男性)
1位は「残業代が出ない」でした。
「残業代の申請ができない」「タイムカードを切ってから残業させられる」などの回答が寄せられています。
残業しているのが管理職でない場合、残業代が出ないのは法律違反です。
また、一定時間の残業を見込み、あらかじめ残業代を給与に含めて支払う「みなし残業」をブラック企業の特徴として挙げた人も複数いました。
みなし残業は適正に運用されていれば違法ではありませんが、敬遠・警戒する人も多いとわかります。
2位 長時間労働・過重労働がある
- 「残業は22時まで」と規定にあるため、「22時までは残れる=働かないといけない」というルールがある(28歳 女性)
- 残業が当たり前(40歳 女性)
- 残業が多く、1日の就業時間や拘束時間が長い(51歳 男性)
「長時間労働・過重労働がある」が2位。
繁忙期やトラブルにより、一時的な残業はどんな企業でも発生するでしょう。
しかし「長時間勤務が当たり前の企業」「定時で帰りにくい雰囲気の企業」には注意が必要です。
長時間労働が続くと、身体的・精神的な不調があらわれる可能性も高まります。
なお残業が常態化する背景としては、「業務量が多い」「業務効率が悪い」「残業する人ほど評価される企業風土」などが考えられます。
3位 休みが少ない・休みにくい
- 有給を取ろうとすると怒られる(22歳 男性)
- 休みが少ない。週休1日もとれないことがある(39歳 女性)
- 休日出勤が当たり前(42歳 女性)
3位は「休みが少ない・休みにくい」でした。
求人票で「年間休日が90日程度」だと、休みが少ない会社といえます。
有給休暇を使えない雰囲気のブラック企業も多いので、就職・転職活動時には有給消化率などをチェックしておくとよいでしょう。
またカレンダー上は休日があっても、休日出勤で消えてしまうという声も。
そのため休日出勤の有無や頻度も確認しておいた方がよさそうですね。
4位 ハラスメントがある
- 当たり前のようにパワハラがあって、怒りで人をコントロールしようとする人が上層部にいる(27歳 女性)
- パワハラをやっている人に、周りが注意できない(30歳 男性)
- パワハラ・モラハラなど、ハラスメントが日常的に行われている印象がある(47歳 女性)
4位は「ハラスメントがある」でした。
「ハラスメントする人がいる」のはもちろん問題なのですが、「ハラスメントを取り締まる制度や雰囲気がない」のも大きな問題です。
「ハラスメントを訴えても黙殺される」という体験談もありました。
ハラスメントの有無を調べるには、口コミなどが参考になるでしょう。
ただ「ネットの情報には嘘もある」「いつ時点の口コミかわからない」という点には注意してください。
5位 給料が少ない
- 労働量と賃金が釣り合っていない(26歳 女性)
- 同業他社と比較して、給与が著しく低い(40歳 女性)
- すぐ給料カットになる(50歳 男性)
5位は「給料が少ない」でした。
「激務・専門職なのに薄給」「相場を下回っている」などの回答が寄せられました。
またボーナスは「基本給」をもとに計算するため、基本給が少ないとボーナスも少なくなります。
求人票で「手当込みの月給」が高く見えても、基本給が少ない場合はブラック企業かもしれません。
6位 トップダウンで意見が通りにくい
- 年功序列で上司が絶対(35歳 女性)
- 社員の意見を受け入れない(37歳 男性)
- ワンマン社長の独裁体制(58歳 男性)
6位は「トップダウンで意見が通りにくい」。
「上司や社長の意見が絶対」「一般社員の意見が反映されない」といった回答が寄せられました。
業務改善したくても意見が受け入れられないと、仕事に対する意欲が失われそうです。
「仕事に対してやる気がある人」「常に改善を目指している人」ほど、「この会社はダメだ」と感じやすいでしょう。
7位 人間関係が悪い
- 人間関係がしんどい(26歳 男性)
- 社内の雰囲気が悪く、社員同士の仲が悪く、嫌味であふれている会社(47歳 女性)
- 職場の雰囲気が悪い。ギスギスした感じで、いつも嫌なオーラが漂っている(57歳 男性)
7位は「人間関係が悪い」。
ブラック企業では過重労働やハラスメントにより、職場内がピリピリした雰囲気になることも多いでしょう。
精神的な余裕をなくす人が増え、人間関係が悪くなりやすいと推測できます。
8位 離職率が高い
- 人がどんどん辞めていく(24歳 女性)
- 常に求人が出ている(50歳 女性)
- 社員の離職率が高く、とりわけ新人が3年以内に離職する率が高い企業です(69歳 男性)
8位は「離職率が高い」。
過度の負担やハラスメントが原因で退職する人が多いことから、ブラック企業は離職率が高くなりがちです。
離職率が高いため、求人広告がよく出ているのもブラック企業の特徴となります。
同じ企業が同じポジションの求人を出し続けている場合は、「ブラックではないか」と疑ってみたほうがよいでしょう。
9位 コンプライアンス意識が低い
- 労働基準法に違反する企業(29歳 男性)
- コンプライアンスが緩い(36歳 男性)
- 法令違反。あるいは違反ではないが適正でもない運営(45歳 女性)
9位は「コンプライアンス意識が低い」。
コンプライアンス意識が低いからこそ「ハラスメントの横行」「サービス残業」などにもつながるのでしょう。
会社が決めたはずの就業規則が守られていないという声も寄せられています。
また「法律やルールが守られていないのに、危機感をもっていないのが問題」という意見もありました。
新卒から同じ会社で働いていると、異常な状況でも普通と思ってしまうケースもありそうです。
10位 勤怠管理がずさん
- 定時があいまい(34歳 女性)
- 出退勤の管理がいい加減(39歳 男性)
- 勤務時間と休憩時間の区分があいまい(41歳 男性)
10位は「勤怠管理がずさん」。
「タイムカードや出退勤時刻を管理するシステムがない」「勤務時間があいまい」などの回答が寄せられています。
勤怠管理がずさんだと、残業代未払いや長時間労働につながりそうですね。
ブラック企業だと感じる職場で働いたことがある人は71.0%
続いて「ブラック企業だと感じる職場で働いた経験があるか」を聞いたところ、回答は以下のようになりました。
「ある」と答えた人が71.0%で7割を超えています。
多くの人が「ブラック企業」で勤務した経験があるとわかりました。
ブラック企業は少数派ではなく、意外と身近にあるのかもしれません。
例えば「上場企業」や「ホワイトな印象の大企業」であっても、上司や部署などによっては「ブラックだな」と感じることがあると推測できます。
ブラック企業だと感じたら「退職」が8割弱
ブラックと感じる企業での勤務経験がある355人に、「職場がブラックだと感じたらどうしますか(どうしましたか)」と聞いたところ、回答は以下のようになりました。
「退職した」と答えた人が77.5%で8割近くという結果に。
「退職を検討した(検討中)」という人も多く、「ブラック企業は離職率が高い」ことがわかります。
ブラック企業がメディアなどで多く取り上げられるようになったことから、「なんだかおかしいと思っていたけど、うちの会社ってブラックなんだ」と気づき、退職を検討した人もいるかもしれません。
また転職が一般的になり、ブラック企業からの退職・転職のハードルが下がっているとも考えられます。
退職した人の理由
- 環境を変えないと身体を壊すため(28歳 男性)
- 給料が少なく「副業なしで生活できない状態はおかしい」と感じて退職しました(35歳 女性)
- 自分にとってメリットがなく、他にいい企業はいくらでもあるから(41歳 男性)
「身体的・精神的にツラかった」「生活が苦しかった」などの理由で退職を選んだ人が多数。
たとえ仕事内容が好きでも、「体力的」「精神的」「経済的」な負担が大きい職場では、長く働き続けるのは難しいでしょう。
また「大切な時間をブラック企業に捧げたくない」など、会社を好きになれないため退職した人も。
理不尽な扱いを受けたり法令違反を見たりすると、会社を嫌いになるのは当然ですね。
退職を検討している人の理由
- 新卒で入ったので「今の環境が当たり前」だと思っていた。しかし他企業で働く友人と話して当たり前ではないことを知り、よりよい環境で仕事をしたいと考え、退職を検討している(27歳 女性)
- 退職を検討したものの、労働基準監督署に連絡して改善したので、ひとまず様子を見ている状態(39歳 男性)
- 退職を検討しているものの、「すぐに次の仕事が見つかるのか」「見つかってもまたブラック企業だったら」と考えるとなかなか実行には移せない(42歳 男性)
「退職した」という人同様、「働き続けるのがツラい」「もっといい環境で仕事したい」などの回答が寄せられています。
退職を検討しつつまだ実行できていない理由としては、「退職を検討している間に状況が改善された」「うまく転職できるか不安」などが挙がりました。
ブラック企業で働いていると、「転職してもまたブラックだったらどうしよう」と不安になるものです。
労働環境の整った企業だけを紹介する転職エージェントもあるので、利用を検討してみてはいかがでしょうか。
退職しない人の理由
- 仕事内容にやりがいを感じているため(29歳 男性)
- 初めて正社員として働けた職場だから。役職もついているので簡単には辞められない(34歳 男性)
- 自分の地位が上がり権限も増えたので、少しずつですがブラックな要素を排除し、働きやすい職場になるよう改善しています(44歳 女性)
退職を選ばなかった人からは「仕事内容は好きだから」「少しずつ改善をはかっているから」といった回答が寄せられました。
改善の兆しが見えているなら、少し我慢してみるのもひとつの方法かもしれません。
ただ「退職すると退職金が減るから」「他の仕事を見つけるのが難しいと思うから」など、ネガティブな理由で現状維持を選んだ人もいました。
「本当は辞めたい」と思いながら働き続けるのはツラいですね。
まとめ
男女500人を対象に「ブラック企業の特徴」を聞いたところ、「コンプライアンス意識の低さ」に起因する原因が多く挙げられました。
また「給料が少ない」「休みが少ない」「離職率が高い」など、比較的チェックしやすい特徴も挙がっています。
ブラック企業かどうか見極めたいなら、求人票では「基本給」「年間休日」「福利厚生」に注目してみてください。
また同じ内容の求人広告が掲載され続けている企業には要注意です。
より詳しく「有給消化率」「実際の残業時間」「産休育休の取得率」などを知りたい場合には、転職エージェントの情報を活用してみましょう。
また入社前に社内見学をさせてもらい、「社員の表情」「職場の雰囲気」を直接見ておくのもおすすめです。