水路に接する土地は資産価値が低くなる傾向にある
一般の土地と比較すると、水路に接する土地の資産価値は低くなる傾向にあります。水路に接する土地には、以下のようなデメリットが介在しているためです。
- 建築基準法に適合せず、建物が建てられない場合がある
- 地盤沈下しやすい土地の恐れがある
- 水害に遭いやすい土地の恐れがある
ここでは、それぞれのデメリットについて解説します。また、水路は風水にも影響を与えるといわれています。家を建築する際に風水を気にする方は多いため、水路が風水にどのような影響を与えるのかも併せて確認しておきましょう。
建築基準法に適合せず、建物が建てられない場合がある
土地上に建物を建てるには、建築基準法上の幅4m以上の道路に土地が2m以上接している必要があります。これを「接道義務」といいます。
しかし、じつは水路は道路の幅には含まれません。そのため、水路に接する土地の中には接道義務を満たしておらず、建物が建てられない可能性があるものも存在する点に注意が必要です。
接道義務を果たすかどうかの調べ方
一口に水路といっても、以下のケースに該当する場合は道路の幅にカウントされます。
- 水路が暗渠化されており道路と一体となって整備されている
- 自治体の占用許可を得て水路上に橋やコンクリートなどの蓋を設置している
水路が暗渠化されており、道路と一体となって整備されているものは道路として扱われます。
道路などの地下に埋設されている、または蓋がしてあって水面が見えないようになっている水路。
ただし、見た目上は水路の役割を果たしていないものの、水路として扱われる土地もあります。公図上で地番が付されておらず「水」と記載されている箇所は水路に該当するので、自治体の建築課などで確認してみるとよいでしょう。
地盤沈下しやすい土地の恐れがある
水路に接している土地は他の土地に比べると地中に含まれる水分量が多く、軟弱地盤である可能性が高いといえます。
軟弱地盤上に家を建てると建物の重さを支えきれずに地盤沈下を起こす恐れがあるため、建築に際しては地盤改良工事が必須です。地盤改良工事にかかる費用は工法によって異なりますが、100万円以上にのぼるケースもあります。
地盤改良工事費用を負担するのは、建物を建築する買い手です。高額の地盤改良工事費を負担したくないとの思いから、水路に接する土地の購入を敬遠する方は少なくありません。
水害に遭いやすい土地の恐れがある
水害に見舞われる恐れがある点も、水路に接する土地のデメリットです。
水路は取水堰を作って河川から引いた水を溜め、そこから導水するケースが一般的です。そのため台風や豪雨などの自然災害が発生して河川の流量が増大すると、水路から水が溢れ出て家屋が浸水してしまいかねません。
また水路から水が溢れ出たことにより、避難が遅れて甚大な被害をもたらすこともあります。
実際、2020年7月4日未明に熊本県・人吉球磨地方を襲った豪雨では死者・行方不明者が69名出るという甚大な被害がもたらされましたが、その原因のひとつとなったのが用水路からの氾濫であったといわれています。水路から水が溢れ出たことで家の外へ出られなくなってしまい、逃げ場がなくなってしまったのです。
このような被害に見舞われる可能性がある土地を、好んで買いたいと考える方はほぼいません。水路に接する土地を売却したいと考えても、買い手を見つけるのは難しいといえるでしょう。
ちなみに風水にも影響を与える
家を建てるにあたり、風水を気にする方は少なくありません。風水は古代中国で生まれた思想で、土地の形や周辺環境などを複合的に考慮して吉凶を判断するものです。
じつは水路も、土地の吉凶を占ううえで欠かせない要素のひとつです。水の流れは「水龍」に見立てられ、うまく家づくりに取り入れることで金運が上がるといわれています。
とくに水路を流れる水が澄んでいてきれいな場合には、「陽」の気が向上して運気がアップします。一方で、水が汚れている水路は「陰」の気が増すので避けたほうがよいと考えられています。
また、水路の位置が北・西・東にある土地は凶といわれており、家づくりに風水を取り入れる方からは避けられる傾向にあります。
水路に接する土地を売却する際には、流れている水はきれいか、土地に対してどの方角に位置しているかも気にするとよいでしょう。運気が上がる要素を満たしていれば、買い手からの評価が上がって売却につながることもあります。
水路に接する土地の相続税の評価の仕方
ここからは、水路に接する土地の相続税算出時に用いる相続税評価額の計算方法について分かりやすく解説します。
一般的に、土地の相続税評価額は市場で実際に取引される実勢価格の80%ほどとなるケースが一般的です。また、水路に接する土地の場合には基本的に減価処理がなされるので、さらに安価となります。
水路に接する土地を相続した方以外が詳しく見る必要はありませんが、売買時の取引価格も相続税評価額をベースにすることがあるので、一通り確認しておくとよいでしょう。水路に接する土地の評価額が安くなるという点においては、相続時も売買時もおおむね変わりません。
なお、水路に接する土地が接道義務を満たしているかどうかによって評価方法は異なります。接道義務を満たしているケース、満たしていないケースによる相続税評価額の計算方法を見ていきましょう。
接道義務を果たしている場合
前述のように、道路と一体で整備されている水路(暗渠)や自治体から占有許可を得て水路上に橋やコンクリートの蓋などを架けている場合には、水路に接する土地であっても接道義務を満たしていることがあります。
このケースでは、まず土地と道路部分に該当する箇所、水路部分の面積を併せて全体の評価額を算出し、そこから水路部分の評価額を差し引いて水路に接する土地の評価額を求めます。
たとえば、以下の水路に接する土地における相続税評価額を計算してみましょう。
土地の評価額を計算する際には、国が定めている路線価を用います。路線価は道路に面している土地の1㎡あたりの評価額のことで、国税庁が公表している「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」のサイト上で確認可能です。上記のケースでは、路線価を50万円と仮定します。
また上記の事例では土地の奥行が長く使い勝手が悪いため、奥行補正率を適用して相続税評価額の減額補正をする必要があります。
奥行補正率は以下の表の通りです。奥行が長いほど、補正率も大きくなります。
地区区分/奥行距離(m) | ビル街地区 | 高度商業地区 | 繁華街地区 | 普通商業・併用住宅地区 | 普通住宅地区 | 中小工場地区 | 大工場地区 |
---|---|---|---|---|---|---|---|
4m未満 | 0.80 | 0.90 | 0.90 | 0.90 | 0.90 | 0.85 | 0.85 |
4m以上6m未満 | 0.80 | 0.92 | 0.92 | 0.92 | 0.92 | 0.90 | 0.90 |
6m以上8m未満 | 0.84 | 0.94 | 0.95 | 0.95 | 0.95 | 0.93 | 0.93 |
8m以上10m未満 | 0.88 | 0.96 | 0.97 | 0.97 | 0.97 | 0.95 | 0.95 |
10m以上12m未満 | 0.90 | 0.98 | 0.99 | 0.99 | 1.00 | 0.96 | 0.96 |
12m以上14m未満 | 0.91 | 0.99 | 1.00 | 1.00 | 1.00 | 0.97 | 0.97 |
14m以上16m未満 | 0.92 | 1.00 | 1.00 | 1.00 | 1.00 | 0.98 | 0.98 |
16m以上20m未満 | 0.93 | 1.00 | 1.00 | 1.00 | 1.00 | 0.99 | 0.99 |
20m以上24m未満 | 0.94 | 1.00 | 1.00 | 1.00 | 1.00 | 1.00 | 1.00 |
24m以上28m未満 | 0.95 | 1.00 | 1.00 | 1.00 | 0.97 | 1.00 | 1.00 |
28m以上32m未満 | 0.96 | 1.00 | 0.98 | 1.00 | 0.95 | 1.00 | 1.00 |
32m以上36m未満 | 0.97 | 1.00 | 0.96 | 0.97 | 0.93 | 1.00 | 1.00 |
36m以上40m未満 | 0.98 | 1.00 | 0.94 | 0.95 | 0.92 | 1.00 | 1.00 |
40m以上44m未満 | 0.99 | 1.00 | 0.92 | 0.93 | 0.91 | 1.00 | 1.00 |
44m以上48m未満 | 1.00 | 1.00 | 0.90 | 0.91 | 0.90 | 1.00 | 1.00 |
48m以上52m未満 | 1.00 | 0.99 | 0.88 | 0.89 | 0.89 | 1.00 | 1.00 |
52m以上56m未満 | 1.00 | 0.98 | 0.87 | 0.88 | 0.88 | 1.00 | 1.00 |
56m以上60m未満 | 1.00 | 0.97 | 0.86 | 0.87 | 0.87 | 1.00 | 1.00 |
60m以上64m未満 | 1.00 | 0.96 | 0.85 | 0.86 | 0.86 | 0.99 | 1.00 |
64m以上68m未満 | 1.00 | 0.95 | 0.84 | 0.85 | 0.85 | 0.98 | 1.00 |
68m以上72m未満 | 1.00 | 0.94 | 0.83 | 0.84 | 0.84 | 0.97 | 1.00 |
72m以上76m未満 | 1.00 | 0.93 | 0.82 | 0.83 | 0.83 | 0.96 | 1.00 |
76m以上80m未満 | 1.00 | 0.92 | 0.81 | 0.82 | 0.83 | 0.96 | 1.00 |
80m以上84m未満 | 1.00 | 0.90 | 0.80 | 0.81 | 0.82 | 0.93 | 1.00 |
84m以上88m未満 | 1.00 | 0.88 | 0.80 | 0.80 | 0.82 | 0.93 | 1.00 |
88m以上92m未満 | 1.00 | 0.86 | 0.80 | 0.80 | 0.81 | 0.90 | 1.00 |
92m以上96m未満 | 0.99 | 0.84 | 0.80 | 0.80 | 0.81 | 0.90 | 1.00 |
96m以上100m未満 | 0.97 | 0.82 | 0.80 | 0.80 | 0.81 | 0.90 | 1.00 |
100m以上 | 0.95 | 0.80 | 0.80 | 0.80 | 0.80 | 0.90 | 1.00 |
参照元:国税庁「付表1 奥行価格補正率表(昭45直資3-13・平3課評2-4外・平18課評2-27外・平29課評2-46外改正)」
上記の事例(普通住宅地区と設定)では水路を含めた奥行が25mあるので、全体の奥行補正率は0.97です。一方、水路の幅は5mのため、水路の奥行補正率は0.92です。
上記の事例で水路に接する土地における相続税評価額を計算すると、以下の通りです。
「路線価×面積×奥行補正率」の計算式より、
水路を含めた全体の相続税評価額=50万円×50㎡×0.97=2,425万円【水路部分の相続税評価額】
「路線価×面積×奥行補正率」の計算式より、
水路部分の相続税評価額=50万円×10㎡×0.92=460万円【水路に接する土地の相続税評価額】
2,425万円-460万円=1,965万円
接道義務を果たしていない場合
水路に接する土地が接道義務を満たしていない場合は「無道路地」、つまり建物が建てられない土地として評価額を計算する必要があります。
無道路地の評価額を計算する場合、まずは2mの間口で道路に接していると仮定します。その後、無道路地と前面宅地を併せた土地の評価額を計算し、「不整形地補正」「間口狭小補正」「奥行長大補正」などをしたあとで通路部分の価額を差し引いて求めます。
三角形や旗形などいびつな形状をしている土地に関する補正
旗竿地など道路に面している敷地の間口が狭い土地の評価額を求める際に用いる補正
税法に精通していない方が無道路地の相続税評価額を計算するのは難しいといわざるを得ませんが、基本的には実勢価格よりも相当安価になると認識しておくとよいでしょう。接道義務を満たしていない土地には建物が建てられず、利用用途が制限されて売却しにくいためです。通常の土地より評価額が50%ほど安くなるケースも珍しくありません。
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水路に接した土地を売却する方法
水路に接する土地の売却方法は、接道義務を満たしているか、満たしていないかで異なります。所有している土地がどちらに該当するのかを確認し、自分の土地に合った売却方法を選択しましょう。
ここでは、水路に接する土地の売却方法について解説します。
接道義務を満たしている場合
水路に接する土地が接道義務を満たしている場合には建築ができるので、通常の土地と同様に売却が可能です。とくに土地が以下の条件に該当している場合には、一般の不動産仲介業者に売却の仲介を依頼することをおすすめします。たとえ水路に接する土地であっても、買い手は見つかりやすいでしょう。
- 駅から徒歩10分圏内
- 周辺に自然豊かな公園があるなど環境がよい
- 用途制限を受けにくい
- 整形地で活用しやすい
ただし接道義務を満たしていたとしても、駅から遠いなど立地条件が悪く、いびつな計上をしていて建物を建てにくいなどのケースでは、一般の不動産仲介業者に売却の仲介を依頼しても買い手を見つけるのは難しいでしょう。この場合は、次の見出しでご紹介するように専門の不動産買取業者に売却するのがおすすめです。
接道義務を満たしていない場合
水路に接する土地が接道義務を満たしていない場合であっても、水路を管轄する自治体から占用許可を取り、水路上に幅2m以上の橋を架ければ土地と道路を接続できます。そうすれば接道義務を満たすようになるので、通常の土地と同じように売却できるでしょう。
しかし、占用許可を申請する際にはまず自治体への事前相談が必須です。その後、許可申請書を提出し、問題がなければ1週間ほどで許可が下りる流れです。
ただし、占用に際して料金が発生することがあります。さらに許可が下りていざ橋を架ける際には、数百万円もの費用を負担しなければなりません。橋を架けてから水路に接する土地を売却したとしても、橋代を回収できない恐れがあります。買い手が見つからなかった場合には、橋代がそのまま赤字となりかねない点に注意が必要です。
接道義務を満たしていない水路に接する土地を手間や費用をかけずに売却したい場合には、再建築不可物件専門の不動産業者に売却を依頼しましょう。
専門の不動産買取業者には、買い取った物件をリフォームなどで再生してから商品化するノウハウが豊富に蓄積されています。そのため、接道義務を満たしていない土地であっても、数日~数週間ほどで買い取ってもらえる点がメリットです。接道義務を満たすために必要な自治体への申請や架橋などを売主側で行う必要もありません。
弊社AlbaLink(アルバリンク)でも、接道義務を満たしていない水路に接する土地を積極的に買い取っております。水路に接する土地がいくらで買い取ってもらえるのかが知りたいかは、ぜひ無料査定をご利用ください。
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まとめ
水路に接する土地には「地盤が弱い可能性がある」「水害に遭いやすい」などのデメリットがあるため、売却しようとしても一般の買い手を見つけるのは困難です。とくに水路に接する土地が接道義務を満たしていない場合には再建築ができないので、より売却するのは難しいでしょう。
しかし水路に接する土地が再建築不可物件であったとしても、専門の不動産買取業者に依頼すれば適正価格で買い取ってもらえます。売主側で自治体から占有許可を取得し、何百万円もの費用をかけて橋を架けずに済む点は大きなメリットといえるでしょう。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、水路に接する土地をはじめ一般の買い手が見つからない不動産の買取を専門としている不動産買取業者です。水路に接する土地が接道義務を満たしていなかったとしても、スピーディーに買取いたします。水路に接する土地をいますぐに手放したい方は、ぜひ弊社へお気軽にご相談ください。