共有持分のみを不動産から切り離して売却できる
冒頭でもお伝えした通り、あなた「共有持分」のみであれば、他の共有者の同意なしに不動産から切り離して売却できます。
では、ここからはまず、共有持分の売却が自由に行えることの法的根拠を、順を追って解説していきます。
そもそも「共有持分」とは
共有持分とは、1つの不動産を複数人で共有しているときに、おのおのが不動産に対して持つ権利のことです。
共有持分には、共有者一人ひとりの権利が完全ではなく「割合的」であるという特徴があります。
例えば、夫婦で購入資金を半分ずつ出し合ってマイホームを購入した場合、該当の不動産については夫に「2分の1」、妻に「2分の1」という割合的な権利が認められます(この割合を持分割合という)。
ただ、ここで注意しなければならないのが、「持分が1/2だから、物件を半分しか使えない」というわけでは無い点です。
ややこしいですが、上記の例だと、夫も妻も不動産の全体に対して1/2の権利を持っており、それぞれが「持分の多い少ないに応じて不動産全体を使用」できます。
参照元:民法第249条
共有者が単独で、不動産全体にできる行為と制限される行為については、次項で解説していきます。
共有不動産は全員の共有物として売却が制限される
共有名義になっている不動産は、「共有者全員の共有物」です。
複数人で共有している不動産であるにも関わらず、共有者のうちの1人が好き勝手に売ったり、貸したり、工事で手を加えたりすれば、他の共有者からしたら堪ったものではありません。
このことから、上述した通り、共有者の一人ひとりが不動産全体に対してできる行為は、持分割合の多い少ないによって制限されています。
共有不動産に対する共有者の行為制限は以下の通りです。
行為の種類 | 具体例 | 行為に必要な持分割合 |
---|---|---|
変更行為 (民法第251条) |
|
共有者全員の合意(100%) |
管理行為 (民法第252条) |
|
共有持分の過半数の合意 (50%以上) |
保存行為 (民法第252条但書) |
|
各共有者が単独で可能 |
なお、共有不動産に対する行為に制限がかけられていることが、共有トラブルの最大の理由です。
行為制限によって発生する共有者同士のトラブルや、共有不動産のデメリットは以下の記事で詳しく解説しています。

共有持分は個人の所有物として同意なしに売却できる
上記の通り、共有名義になっている不動産は「共有者全員の共有物」です。
これに対して、共有者各自の共有持分は完全な「各自の所有物」です。
そのため、共有持分だけであれば、他の共有者から合意を得る必要なしに、各自が好きなタイミングで売却できます。
共有持分の3つの売却先とおすすめのシチュエーション
以下で共有持分を売却するための3つの方法や、それぞれのメリットやデメリットをご紹介します。
売却先は以下の3つです。
他の共有者に売る
他の共有者であれば、あなたの共有持分のみでも買い取ってくれる可能性があります。
共有持分を全て買い取ってしまえば、買主が単独名義の不動産として自由に活用できるようになるからです。
例えば、不動産を夫婦が2人で共有しているとします。このままでは、夫も妻も単独では不動産を自由に活用することができません。
ですが、夫が妻の共有持分を買い取ってしまえば、不動産は夫の単独名義となり、自由に活用できるようになります。
共有持分の売却相場
他の共有者へ共有持分を売却する際の相場は、「本来の市場価格×売主の持分割合」となります。
市場価格5,000万円の不動産を、あなたと共有者Aの2人で「2分の1」ずつ共有している。
この場合、あなたの共有持分をAに売却する際の相場は「2,500万円」となります(5,000万円×1/2)。
売却相場の理由は次項で解説していきます。
メリット
他の共有者に売却する最大のメリットは、共有持分を本来の市場価格通りに売却できる可能性があることです(上述)。
通常、第三者に共有持分を売却する場合、売却価格は市場価格よりも安価になってしまいます。
共有持分を買い取る側からすると、権利トラブルが起こりやすい共有名義へ新たに加わらなければならないリスクが有る上に、不動産を自由に活用できるわけでもなく、需要がほとんどないからです。
一方で、他の共有者に対して共有持分を売却するのであれば、買主側にも「不動産を自由に活用できる」という利点があるため、需要の低い共有持分も本来の市場価格通りに売却できる傾向があります。
仮に、相手方の共有者に「物件に住み続けたい」や「家賃収入がないと生活できない」といったように不動産を手放したくない特別の事情があれば、市場価格よりも強気の価格設定をしても買取に応じるかもしれません。
その他にも、他の共有者に共有持分を売却するメリットは以下が挙げられます。
- 共有者同士の関係が良好であれば、価格や日程の調整がスムーズにできる
- 買手を探す手間が省ける
- 他人との持分売買に比べて、共有者間売買なら契約や決済などを簡素化できる
デメリット
共有持分を他の共有者に売却するデメリットは、相手方の共有者を説得できなければ、そもそも持分の売買が行えないという点です。
なお、相手方の共有者に経済的余力がない場合も、共有持分を売却できません。
共有持分の売買は、一般的な不動産売買とは異なり、住宅ローンを組むことができず買主が購入資金を自力で工面しなければならないからです。
もし、共有者の同意と経済力の2つをクリアして、いざ売買交渉に入ったとしても、今度は「共有者間で適正な取引価格を巡って争いに発展しやすい」という問題が生じます。
基本的に、共有者同士で持分を売買する際は、買主と売主の間に不動産業者を通しません。
そのため、共有持分の取引価格は共有者同士で決めなければならず、双方の意見がぶつかれば争いに発展してしまいます。
共有者間の持分売買を円滑に行う交渉術は、以下の記事で解説しておりますので、参考にしてください。

こんな人におすすめ
- 他の共有者と関係が良好で、売買交渉の余地がある人
- 他の共有者と関係が良好で、売買交渉の余地がある人
- 他の共有者に不動産を手放したくない特別の事情がある人(物件上に住んでいる等)
一般の第三者へ売る
あなたの共有持分を、一般の第三者に売却するという選択肢もあります。
まず前提として、無関係の個人や不動産屋が共有持分のみを買い取ることは殆どありません。
共有名義になっている不動産は、共有者同士の権利トラブルや、税金・維持管理などの費用トラブルが生じやすい上に、持分だけでは不動産を自由に活用できず使い道すらないからです。
ですが、一部の不動産投資家であれば、不動産の共有持分のみを投資目的で買い取る場合があります。
ただ、注意しなければならないのが、不動産投資家はあくまで自身の収益が最優先であり、安全に取引を行ってはくれないという点です。
詳しくは後ほど解説します。
共有持分の売却相場
一般の第三者へ共有持分を売却する際の売却価格は、基本的に本来の市場価値よりも安価になります。
上記の通り、一般の個人や不動産屋にとって需要の低い共有持分を、仮に欲しがる投資家などが現れたとしても、本来価値ほどの価格設定にはならないからです。
メリット
一般の第三者へ共有持分を売却するメリットは、不動産投資家など持分を欲しがる知り合いがあなたにいれば、買手探しの手間を省けることです。
ただ、一般の個人や不動産屋が共有持分のみを買い取ってくれるのはごく稀なため、第三者への持分売却は現実的では無いでしょう。
その上、一般の第三者へ持分を売却するのは非常に大きなデメリットがあるため、おすすめできません。デメリットは次項で解説します。
デメリット
一般の第三者へ共有持分を売却するデメリットは、そもそも共有持分のみを欲しがる一般の個人や不動産屋が稀であるため、買手探しが非常に困難であるという点です。
不動産投資家などの知り合いがいなければ、不動産仲介会社に相談して共有持分の買手を探してもらうことになりますが、何年待てば買手が見つかるかというのは正直予想もできません。
もし、共有持分を買い取ってくれる一部の不動産投資家が現れたとしても、他の共有者との関係を著しく悪化させられて、結果的に契約・決済が不可能な状況に陥る恐れがあります。
まず、不動産投資家の収益としては、持分をより高値で他の共有者へ横流しするか、他の共有者から持分を全て買い取って単独名義の不動産として再販売するかで発生する売却益です。
先述の通り、不動産投資家は宅建免許なんか持っていませんし、自身の収益第一で安全に取引を行おうという意識が希薄な傾向があります。
そのため、一部の不動産投資家はあなたと売買契約を結ぶ前に、収益を得られる裏付けを取るために他の共有者へ安易に交渉を持ちかけてしまう恐れがあります。
安易な交渉で、他の共有者とトラブルが生じてしまうと、「やっぱり買取はナシで」と急にハシゴを外してくるでしょう。
そうなれば、あなたに残されるのは、怒り狂った共有者とより状況の悪化した不動産だけです。
要するに、一般の第三者に対する共有持分の売却は、デメリットが非常に大きくおすすめできません。
こんな人におすすめ
上述した通り、他の共有者とトラブルが生じて、売却が頓挫するおそれがあるため、基本的には一般の第三者への持分売却はおすすめできません。
共有持分買取業者へ売る
「共有持分を売りたいと思ったら、現実的には他の共有者に話を持ちかけるしか無いのか…」
「共有者同士で関係性が悪く、交渉の余地がない場合はどうすれば良いのだろう…」
このように思った方もいるかも知れませんが、安心して下さい。
共有持分を専門に取り扱う買取業者であれば、他の共有者に安易な交渉を持ちかけてトラブルを起こすことなく、安全に共有持分を買い取ってくれます。
共有持分買取業者は、宅建業法に則ってあなたの共有持分を買い取った後、時間をかけて他の共有者と信頼関係を構築して、不動産を再活用する専門家です。
そのため、共有不動産のリスクをすべて承知の上で、事業としての持分買い取りが可能であり、わざわざトラブルを起こして社会的信用を失墜させるリスクを取る必要がありません。
共有持分の売却相場
共有持分買取業者に共有持分を売却した際の相場は、「不動産全体の市場価格×売主の持分割合×1/2」となります。
市場価格6,000万円の不動産に対し、あなたが「3分の1」の共有持分を持っています。
この場合、あなたの共有持分を共有持分買取業者に売却する際の相場は「1,000万円」となります(6,000万円×1/3×1/2)。
つまり、本来の市場価値の半額程度になってしまいます。理由はデメリットのところで解説していきます。
メリット
共有持分買取業者に共有持分を売却するメリットはズバリ、他の共有者と一切関わること無く、安全に共有名義から抜け出せることです。
先程、「共有持分のみを不動産から切り離して売却できる」で解説した通り、あなたの共有持分はあなたの完全な所有物であるため、売却するのに他の共有者の合意は必要ありません。
よって、買取業者の担当者に「決済後、この日までは他の共有者に連絡を入れないでください」と相談すれば、余計なトラブル無く共有名義から抜け出すことが可能です。
ただし、一部ですが、買取前に他の共有者への接触を行う買取業者もいるので、売却先となる業者選びは慎重に行うことが肝心です。
信頼できる共有持分買取業者の選び方は、この記事の 「信頼できる共有持分買取業者の選び方」 で解説しておりますので、ぜひ参考にして下さい。
なお、共有持分買取業者なら、「最短数日で共有持分を現金化できる」というメリットもあります。
わざわざ買手を探す必要は無いので、売主と買取業者の金額感さえ合えば、決済まで数日で終わらせることが可能だからです。
弊社でも、査定のご依頼から最短3日で、共有持分の買取を行っております。
もちろん、業者選びの際は複数社を比較検討して慎重に行う必要がありますが、ウチはどこよりも売主ファーストで真摯に対応させて頂きますので、判断材料の1つに入れていただければ嬉しいです。
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デメリット
共有持分買取業者へ共有持分を売却するデメリットは、前述した通り、共有持分の買取価格が本来の市場相場よりも安価になってしまう点です。
共有持分買取業者は数年単位でじっくり他の共有者との信頼を得て、安全に不動産を再販売・再活用します。
再販売・再活用までの間にも、固定資産税や経営コストがかかりますし、権利関係を修復できず、半永久的に不動産が塩漬けになってしまうリスクもあります。
そのため、共有持分買取業者はこれらのコストやリスクを見越した金額で買取を行わなければ採算が取れなくなるので、市場価格よりも安価で共有持分を買い取ります。
もし、「金額感に妥協しても共有トラブルや不動産の管理の手間から開放されたい」という人は、共有持分買取業者へ一度相談してみるようおすすめします。
共有持分買取業者に共有持分を売却する際の買取相場は後ほど解説します。
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こんな人におすすめ
共有持分買取業者への持分売却は、以下のような人におすすめです。
- 今後一切他の共有者と関わりたくない人
- 不動産の売却や活用に向けて他の共有者と足並みが揃わない人
- 他の共有者と連絡がとれない人
- 他の共有者とのトラブルを避けたい、知らせずにこっそり売ってしまいたい人
- 持分を手間なく簡単に売りたい人
- 早期にまとまった現金がほしい人
共有持分買取業者へ持分を高値&安全に売れるテクニック
先程解説した通り、共有持分買取業者に共有持分を売却する唯一のデメリットは、売却価格の相場が市場相場より安価になってしまうことです。
ですが、努力次第では買取業者への売却相場よりも高値で共有持分を売却できる可能性があります。
さて、ここからは共有持分専門の買取業者の目線で、あなたの共有持分をより高値で売却できるテクニックを解説していきます。
なお、共有持分買取業者に相場以上の金額で持分を売却するテクニックは以下の記事で、詳しく解説しているので、参考にしてください。

では、見ていきましょう。
抵当権が残っていないか確認する
共有持分を売却する前には、不動産に抵当権が残っていないか確認しましょう。
金融機関が融資の際に、建物や土地を担保に設定する権利
不動産に抵当権が残されている状態では、共有持分の買取が不可能になる場合があるからです。
抵当権の有無は登記事項証明書の「権利部(乙区)」で確認することができます(画像のように下線が引かれていれば、抵当権は抹消済み)。
登記事項証明書に抵当権が設定されていた場合は、金融機関に問い合わせて「ローンを完済しているかどうか」を確認しましょう。
ローンの完済後であれば、決済と同時に抵当権の抹消登記を行うことで、通常通り共有持分の買取が可能です。
逆に、ローンの残債が残っている場合は、共有持分の買取は難しくなるでしょう。
ただ、残債務額がわずかである場合などは、共有持分を買い取れる場合もあるので一度ご相談ください。
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不動産の市場相場を調べておく
共有持分をできるだけ高く売却するには、事前に不動産全体の市場相場を調べておくようおすすめします。
相談先の買取業者から、共有持分を安値で買い叩かれてしまう不利益を防ぎやすくなるからです。
自分で不動産の市場相場を調べる場合、金額の正確さは重要ではありません。
それよりも、自分で調べた大体の金額を、「相談先業者の営業マンが確かな根拠に基づいて査定額を提示しているのか」を見極めるための材料にしましょう。
例えば、「類似物件から調べたところ、共有持分の市場相場は〇〇円程度と見ていましたが、御社の査定額との差額分の根拠を教えていただけませんか。」と営業マンに聞いてみましょう。
誠実な会社・営業マンであれば、再活用までのコスト面など確かな数字をもとに、査定額の根拠を教えてくれるはずです。
具体的な、共有不動産の市場相場を確認する方法は、「不動産ポータルサイトを確認すること」です。
あなたが所有している共有不動産の「立地」、「築年数」、「床面積」、「間取り」などの条件に近い物件が、実際にいくらで売りに出されているのかを確認してみましょう。
物件の掲載数が多ければ多いほど家賃相場の概算を出しやすくなりますので、膨大な物件掲載数を誇る大手の不動産ポータルサイトを確認するようおすすめします。
不動産ポータルサイトの国内最大手3社は以下のとおりです。
他の共有者との関係は良好な方が良い
他の共有者との関係が良好な方が、持分を高値で買い取ってもらえる可能性があります。
買取業者は共有持分を買い取った後に、他の共有者と慎重に交渉を行いますが、状況次第では交渉が難航してしまうこともあります。
仮に、共有者同士の関係が良好で交渉がスムーズに進めば、買取業者は余計な手間がかからず利益を得られるため、買取価格も高くなるでしょう。
ですが、すでに共有者同士の関係が悪化してしまっている場合はどうしようもないので、関係の再構築を業者に丸投げしてしまったほうが楽です。
一部の共有者と共に共有持分を売却する
「不動産を現金化したい」「面倒な管理から離れたい」という共有者が他にいるのであれば、共有持分をあわせて売りましょう。
例えば、共有者ABC3人の共有状態で、「Aが売却に反対しているので、BCが一緒に売り出す」のような場合です。
共有持分を揃えて売り出したほうが、買取業者にとって以下のメリットがあるので、査定額もより高値になる傾向があります。
- 共有持分の割合が大きいほど、買取業者が不動産の活用に対してできる行為が増える
- 買取後の共有者の人数が減るほど、再活用にかかる手間が減る
信頼できる共有持分買取業者を選ぶ
査定金額も当然重要ですが、会社や人の雰囲気をみるのも大切なポイントです。
信頼できる会社や営業マンが見つかれば、「早く売りたい!」「決済完了まで他の共有者に連絡しないで!」といったあなたの希望に全力で寄り添ってくれるはずだからです。
あなたの希望に対して真摯に対応してくれない営業マンでは、決済前に他の共有者と接触を図って、トラブルを引き起こした上に「やっぱり買えません」と突然手のひらを返してくるかも知れません。
この記事の「信頼できる共有持分買取業者の選び方」 を参考に、安心して持分売却を任せることのできる業者選びを行って下さい。
【売却先別】共有持分売却の手順
共有持分を売却する際は、まず共有者全員の持分割合を確認しておきましょう。それぞれの持分割合は、法務局で不動産の「登記事項証明書」を取得することで確認できます。
その上で、これから解説する手順で売却手続きを進めてください。
3つの売却先別に手順を解説していきます。
他の共有者へ売る場合
まずは、相手方の共有者に交渉を持ちかけます。
売却価格や引き渡し時期などに合意ができたら、司法書士に売買契約書を作成してもらいましょう。
ただ、司法書士は契約書面は作成できますが、重要事項説明書を作成することは出来ません。
そのため、共有者同士であっても、不動産取引なので正確に行いたい、という場合は不動産屋を間に通して重要事項説明を行ってもらいましょう。
相手方の共有者と売買契約を結んだ後は、決済を済ませて担当の司法書士が所有権の移転登記を行えば売却手続きが完了します。
売却にかかる期間は、相手方の共有者との交渉をどれだけスムーズに進められるかによって変動し、1か月で済む場合もあれば半年以上かかる可能性もあります。
一般の第三者へ売る場合
一般の第三者に共有持分を売却する場合、買手探しや売買契約のサポートを不動産仲介会社に依頼します。
不動産仲介会社を選ぶ際は、複数社に査定依頼を出し、一番信頼できる担当営業マンにお願いしてください。
依頼先の仲介会社が決まれば、後は担当の指示に従うだけで、基本的には売却完了までスムーズに行うことが可能です。
ただ、共有持分のみを売却する場合は、売却にかかる期間は予想すらできません。そもそも、買手を見つけることが困難だからです。
共有持分買取業者へ売る場合
共有持分買取業者へ共有持分を売却する場合は、以下の手順で売却を進めましょう。
- 相談
- 査定依頼
- 売買契約
- 決済・登記
売却までにかかる期間は、最短で数日から1ヶ月程度です。
弊社では、最短でご相談から3日での買取が可能です。なるべく早期に共有名義から抜け出したいという方は気兼ねなくご相談ください。
確定申告と税金の納付(共通)
共有持分の売却によって利益が生じたら、確定申告を行い、譲渡所得税を納めなければなりません。
不動産売却時に得た利益にかかる所得税と住民税の総称
居住用不動産の譲渡には3,000万円控除を適用できますが、控除を適用するにも確定申告しなければなりません。
また譲渡損失が出た場合の損益通算や繰越控除を適用するにも、やはり確定申告が必要です。
売却した年の翌年2月16日から3月15日までの間に税務署へ申告書を提出しましょう。
譲渡所得税について不明点があれば、売却相談の際に併せてご相談ください。
共有持分の売却に伴うトラブルと注意点
共有持分を売却する際には以下の点にに注意しましょう。
不動産仲介を利用して他の共有持分権者との関係悪化
不動産仲介会社を利用して、一般の第三者に共有持分を売却する場合、他の共有者とトラブルに発展して、結果的に売却が頓挫してしまう恐れがあります。
共有持分を購入する一般の第三者は、殆どが収益目的の投資家であり、自身の利益を確定させるために、契約前であろうと他の共有者へ交渉を始めて、トラブルを引き起こします。
そうなれば、買手となるはずの不動産投資家は「やっぱり買えません」とハシゴをはずしてくるでしょうし、仲介会社の担当も責任を取ってはくれません。
そのため、不動産仲介を利用して共有持分を売却することで、結果的に持分の売却も頓挫し、より状況が悪化した不動産だけが手元に残ってしまうリスクがあります。
よって、共有持分の売却を安易に不動産仲介会社へ依頼するのは危険です。
相場より安くなってしまう
共有持分を欲しい人はいないので、どうしても売却価額は低くなります。
買取業者にしろ、投資家にしろ、ビジネスで行っているのでその点は事前に知っておいた方が良いでしょう。
何年かけても、とにかく1円でも高く売りたい場合、他の共有者に根気強く交渉していくしかりません。
最終的には他の共有者にバレてしまう
仲介会社であれば、売却前に知られてしまうのでトラブルがさらに大きくなるとお伝えしました。
共有持分買取業者へ売却なら、他の共有持分権者に事前に連絡することはないでしょう。
(一部の業者は勝手に連絡するので注意が必要です。)
ただし、売却後は業者から他の共有持分権者へ連絡します。
購入後に交渉がスタートするからです。
いずれは知られてしまいます。ずっと秘密にしておけるわけではありません。
共有トラブルは買取業者と弁護士のどちらに相談するべきか
弁護士も共有名義の不動産にまつわる様々なトラブルについて相談に乗ってくれますが、当然、共有持分買取業者と対応できる範囲が大きく異なります。
共有持分買取業者と弁護士の相談範囲は以下の通り。
相談先 | 対応範囲 |
---|---|
共有持分買取業者 |
|
弁護士 | 依頼主の代理人として、共有者間の紛争を解決 |
弁護士はあなたの代理人として他の共有者と交渉し、紛争解決に向けて様々なサポートをしてくれます。
ですが、弁護士が出てきたことによって、他の共有者も更にヒートアップして、トラブルが更に激化してしまう恐れがあります。
もし、トラブルが激化したとしても、弁護士はあなたの共有持分を買い取って、共有トラブルの渦中から助け出してはくれません。
「解決できませんでした、着手金のみの支払いで十分です。」と言われてしまえば、あなたに残るのは怒り狂った共有者と着手金分の損失だけです。
共有者同士のトラブルが手のつけようがないほど激化してしまうと、時すでに遅しで、その後、共有持分買取業者へ相談しても買取を断られてしまう可能性が極めて高くなります。
そのため、共有不動産の活用にどうしても譲れない思いがあって、「裁判でもなんでもしてやる」という方でなければ、弁護士ではなく、買取業者に相談して手間なく共有名義から抜け出してしまうのが賢明です。
なお、共有トラブルを弁護士に相談したほうが良い場合については以下の記事で詳しく解説しています。

信頼できる共有持分買取業者の選び方
共有持分買取業者を選ぶ際は、必ず複数社へ査定依頼をして、比較検討しましょう。
1社だけでは、査定額にしろ、依頼先の企業や営業マンが信頼できるかどうかも判断することが出来ないからです。
もし、ブローカーまがいの買取業者に売却を依頼してしまえば、結果的に損するのは売主であるあなたにほかなりません。
具体的には、以下の基準を元に依頼先の買取業者を選びましょう。
買取実績が豊富か
買取実績の豊富な共有持分買取業者を選びましょう。
これまでに多数の相談を受け、共有トラブルを解決してきたという経験があり、その分信頼できるからです。
その上、買取実績に豊富な買取業者であるほど、あなたの持分を高値で買い取ってもらえる可能性が高まります。
共有不動産は様々なトラブルが付き物なため、一般の不動産屋はもちろん、経験の少ない共有持分買取業者でもリスクを恐れた安値の査定を出しがちです。
一方で、実績が豊富で共有不動産の扱いに慣れている買取業者であれば、必要以上にリスクを恐れる必要はなく、その分査定額も高値になる傾向があります。
査定額に根拠はあるか
明確な根拠のない査定額を提示してくる営業マンを信用するのは、非常に危険な行為です。
一部の悪質な買取業者は、本来出すつもりのない金額を提示して、売主を釣り上げようとする悪意ある業者も存在するからです。
もし、悪意ある買取業者にお願いしてしまうと、いざ売買契約を結ぶときに、「再度確認したら瑕疵(欠損や故障)が見つかりまして、この金額では買い取れません。」と査定額を捻じ曲げられて、無理やり契約書にサインさせられてしまうかも知れません。
買取業者を選ぶ際は、必ず担当営業マンが、過去のデータや数字に基づいた査定額の根拠を説明してくれるかどうか、を確認しましょう。
営業マンがあなたの話を親身に聞いてくれるか
売主であるあなたの話を親身になって聞いてくれない営業マンに、任せてはいけません。
売却先として話を進めれば、その後の段取りは殆ど、担当の営業マンに一任することになります。
その時、「早く売りたい」や「他の共有者には連絡しないでほしい」といった、あなたの希望条件を営業マンが汲み取ってくれなければ、あなたが不利益を被ることになります。
段取りをのんきに進められた挙げ句、売買契約を結ぶ前に他の共有者へ連絡を入れてしまえば最悪です。
つまり、共有持分の売却をあなたの希望通りに進めるためには、あなたの話をしっかりと聞き出してくれる営業マンを選ばなければいけません。