不動産が共有名義になるシーンは2つ
まずは、不動産がどのようなときに共有名義になるのか見ていきましょう。
一般的に考えられるケースは次の2つです。
共同出資して新規購入
複数人で資金を出し合って不動産を購入する際は、共同出資した方同士での共有名義となるのが一般的です。
例えば、結婚や出産を機に夫婦共同で資金を出し合って、新居を購入することもあれば、親子共同で資金を出し合い、親子二世帯住宅を購入するケースもあるでしょう。後述しますが、1人での購入が難しい高額な不動産も、複数人で資金を出し合えば、手が届くようになるからです。
ただし、冒頭でもお伝えした通り、不動産を共有名義で購入すると後々共有者間でのトラブルにつながりやすいので、基本的にはおすすめできません。
複数人で遺産相続
遺産相続時にも、不動産が共有名義になるケースがあります。
ありがちなのが「遺産分割協議」を行ったけど相続人同士の話し合いがまとまらず、とりあえず法定相続分通りで共有名義として相続登記をした、というケースです。
相続人(遺産を受け継ぐ人)全員で遺産の分け方を話し合うこと
民法上の基準として定められている、各法定相続人が遺産を受け継ぐ取り分
このように、共有名義で不動産を相続してしまうと、多大なるデメリットを抱えることになるので、遺産分割協議で1人の相続人の単独名義にすることを強くおすすめします。
不動産を共有名義にするメリット
冒頭で述べたように、不動産を共有名義にすることには多大なるデメリットが存在します。
ですが、不動産の共有名義には少なからずメリットと呼べる点がありますので早速解説していきます。
高額な住宅ローンを組める
共有名義として住宅ローンを契約すると、ローン契約者それぞれの収入を合算してローン審査に臨めるため、単独名義に比べて高額なローンを組むことができます。
具体例をもとに解説していきます。
夫婦で新居の購入を検討している具体例
- 共働きの夫婦(夫の年収500万円、妻の年収300万円)
- 住宅ローンの返済負担率(年収における借入額の上限)は最も一般的な「30%」
- 住宅ローンの金利は「年利1.5%」として計算
- 返済期間は「35年」として計算
このとき、夫単独名義では借入可能額が「約4800万円」であるのに対して、夫婦共有名義にすれば借入可能額は「約7600万円」まで伸ばすことができます。
夫婦や親子の力を合わせることで、1人では手の届かないような夢のマイホームを手に入れられるというのは確かに魅力的です。
住宅ローン控除を共有者の人数分適用できる
共有名義として連帯債務やペアローンを利用すると、ローン契約それぞれに「住宅ローン控除」が適用できるため、毎年支払う税金(所得税と住民税)を安く抑えられます。
住宅ローンを利用して新居を購入した際に「年末時点でのローン残高の1%」の金額分、10年間あるいは13年間、所得税や住民税から控除される制度
ただ、共有者それぞれに住宅ローン控除を適用することで節税になるかどうかは、あなたや他の共有者の年収によって異なります。節税効果が見込めるかどうかは、住宅購入を依頼する不動産会社や住宅ローンを契約する金融機関の担当者に確認しましょう。
不動産売却時に「3,000の特別控除」を共有者の人数分適用できる
共有名義になっている不動産を売却する際は「3,000万円の特別控除」を共有者の人数分適用できます。
そのため、共有名義なら不動産を売却する際の税金(譲渡所得税)を節税、もしくは全て払わなくて良い可能性があります。
居住用財産(不動産)を譲渡(売却)して得た譲渡所得から3,000万円を控除する特例
3,000万円の特別控除の要件は「国税庁HP」をご確認ください。
遺産分割協議の際に相続人同士で納得しやすい
法定相続分に揃えて共有名義で相続登記を行うことで、相続人同士で納得感が得られやすいというメリットがあります。法定相続分とは、「民法上定められている遺産の取り分の目安」であり、一見して公平感があるからです。
このことから、遺産分割協議がまとまらない場合に、仕方なく共有名義で相続(登記)してしまうケースがあります。ですが、次項から紹介する途方もない共有名義のデメリットを考えれば、絶対に共有名義を避けるべきです。
不動産を共有名義にするデメリット
共有名義のメリットは説明してきた通り、殆どが不動産の新規購入から一定期間に限り有益なものです。
一方で、これからご紹介する共有名義のデメリットは、あなたが共有名義の不動産を持ち続ける限り一生ついてまわります。
そればかりか、将来自分の子供や孫にまでも、世代を越えてトラブルを引き起こしてしまう潜在的なデメリットも伴います。
これからご紹介する共有名義のデメリットをしっかりと把握した上で、不動産を共有名義で取得するべきかどうか判断してください。
自由に売却できない
共有名義になっている不動産を、共有者のうちの1人が自由に売却することはできません。共有不動産を売却するためには、共有者全員から合意を得る必要があるからです。
法的根拠となるのは民法第251条(令和5年4月1日に改正法が施行)です。
第251条
各共有者は、他の共有者の同意を得なければ、共有物に変更(その形状又は効用の著しい変更を伴わないものを除く。次項において同じ。)を加えることができない。
例えば、不動産を「A9割、B1割」で不動産を共有しているとします。
この場合、不動産を売却する際に9割の持分を持っているAさんの意見が優遇されることはないという点に注意が必要です。1割であろうと持分を所有しているBさんがいるのであれば、不動産全体を売却するために、AさんはBさんに対して合意を得る必要があります。
自由に貸し出せない
共有名義になっている不動産を共有者のうちの1人が自由に他の第三者へ貸し出すことは制限されます。共有不動産を賃貸に出すためには、共有者の共有持分の過半数から合意を得る必要があるからです。
法的根拠となるのは、民法第252条(令和5年4月1日に改正法が施行)です。
第252条
共有物の管理に関する事項(次条第1項に規定する共有物の管理者の選任及び解任を含み、共有物に前条第1項に規定する変更を加えるものを除く。次項において同じ。) は、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。
仮に兄弟3人で「3分の1ずつ」の共有名義になっているとしましょう。この共有不動産を第三者に貸し出したいと考えた場合、少なくとも兄弟2人の合意がなければ賃貸利用はできません。
また、借地借家法の適用のある建物普通賃貸借は、「変更」行為に該当する場合があります。
したがって、例えば、兄弟3人が3分の1ずつの共有名義となっている居住用マンションを入居者に賃貸する場合には、兄弟全員の同意が必要となる場合があります。
自由にリフォームできない
共有名義になっている不動産に、共有者のうちの1人が独断でリフォーム工事を施すことは制限されます。上記した共有不動産の賃貸利用と同様に、軽微でないリフォーム工事にも共有者の共有持分の過半数から合意を得る必要があるからです。
ここで言う「軽微でないリフォーム工事」とは、不動産の価値を高める目的で行う修繕や増改築を指します。つまり、共有者間で意見が合わなければ、不動産が老朽化した際に適切な修繕が行えずに、不動産の価値がどんどんと低下してしまいます。
他の共有者の使用を妨げられない
上述した通り、共有不動産に対して共有者が行える行為は制限されています。ですが、不動産を使用するだけなら各共有者が持分割合の多い少ないに関わらず自由に行えると定められています(民法第249条)。
このことから、共有名義になっている不動産上に、特定の共有者が居座って占拠していたとしても、「他の共有者を無理やり追い出して占拠した」といった特別な事情が無い限り、原則としてその占拠者を追い出すことができません。
第249条
各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
もちろん、占拠者以外の共有者にも不動産を使用する権利がありますから、対価として賃料を請求することは可能です。ただ、物件の占拠者が賃料の支払いに簡単に応じるとは限らず、最終的には裁判まで発展してしまうケースも少なくありません。
持分割合に応じて費用を負担しなければならない
共有名義で不動産を持ち続けている限り、各共有者は固定資産税や維持管理費などの費用負担を拒否できません。共有不動産にかかる固定資産税や維持管理費は、共有者全員がそれぞれの持分割合に応じて負担するよう法律で定められているからです。
実際には、支払いの度に共有者全員がお金を出し合うのではなく、共有者のうちの1人が費用を全額立て替え、後に他の共有者へ持分割合に応じた金額を請求することがほとんどです。
このとき、費用を立て替えた人は「求償権(弁済者が金銭の返還を求める権利)」に基づき、他の共有者に過去10年間まで遡って費用を請求することが可能です。
つまり、現時点で物件を使用しておらず、固定資産税や維持管理費も他の共有者が全額支払っている場合でも、不動産を取得してから今までの費用をいきなり請求されるおそれがあります。
離婚時の財産分与でトラブルに発展する
共働き世帯も多い昨今は、夫婦で力をあわせて共有名義でマイホームを購入するケースが増えています。
ですが、夫婦の3組に1組が離婚する今の日本では、「力を合わせて一緒に返済していこう」と誓い合った夫婦であっても数年、十数年後に別れてしまうこともあるのが事実です。そんなとき、共有名義がさまざまな問題を引き起こします。
そもそも、婚姻中に購入した不動産は単独名義であったとしても、離婚による「財産分与(夫婦の財産を公平に分配すること)」の際にトラブルの原因となります。
夫「購入資金はほとんど自分が出したのだから自分が物件に残るべきだ」
妻「離婚後も子供を育てなくちゃいけない自分が物件に残るべきだ」
このように意見の対立を生むからです。
これに加え、不動産が共有名義であった場合は「離婚後も夫婦共有の住宅ローンが残る」という、新たな問題が発生します。
仮に、夫が物件から出ていき、数年後夫に債務者としての責任感が薄れ、返済を滞納し続けたとします。この場合、不動産全体が競売にかけられるため、突然妻と子供が家を追い出されることにもなりかねません。
夫婦共有名義で新居を購入される際は、このような離婚時の問題を把握した上で、慎重に検討して下さい。
将来自分の子供や孫がトラブルに巻き込まれる
共有名義の不動産を放置していると、将来自分の子供や孫がトラブルに巻き込まれる可能性があります。共有者のうちの1人が亡くなり、持分が複数の相続人へ受け継がれていくたびに、共有者が際限なく増え続けて合意形成が困難になるからです。
例えば、度重なる相続で共有者が大人数になりすぎて、もはや他の共有者の顔も名前もわからないと言ったケースもあります。このような共有関係に、あなたの子供や孫が加わったとすると、不動産を売却しようにも人探しから始めなくてはならず、合意形成は困難を極めるでしょう。
つまり、共有名義で不動産を所有しているだけで、自分亡き後に残される家族に対して禍根を残すことにもなりかねません。
結論、共有名義にはデメリットのほうが大きい
共有名義のメリットとデメリットについて解説してきました。
ここまでの内容を総合的に判断すると、明らかに共有名義にはデメリットのほうが大きいと感じた人も多いのではないでしょうか。
ではここからは、「共有名義を避けるためにはどのように行動するべきなのか」について、状況ごとに解説していきます。
新規購入時は単独名義で購入可能な住宅を検討する
住宅を新たに購入する際は、できる限り単独名義(1人の収入)で購入可能な住宅を探しましょう。最初から単独名義で不動産を購入すれば、上述した共有名義のデメリットは当然回避できるからです。
逆に、共有名義での住宅ローン契約は、いわば無理やり借入枠を広げる行為にすぎず、共有者同士で協力しあえなくなったさいに、返済が不可能になるリスクを伴います。
まず、夫婦共有名義の場合であれば離婚時でしょう。
今まで夫婦2人で払っていたローンを、片方のみの収入で返済するのは現実的には厳しく、返済が滞れば不動産が競売にかけられたり、競売を避けるために任意売却せざるを得なくなったりします。
次に、親子共有名義の場合は親の死亡時です。
住宅購入当初のライフプランより早期に親が亡くなれば、親の収入を返済に充当できなくなるため、同じく競売や任意売却となる恐れがあります。
購入資金がどうしても足りない場合は慎重に検討
生活環境の変化に伴って、早急に新居を購入しなければならない場合もあるでしょう。
このときにどうしても一人の収入だけで足りないようであれば、配偶者や親などと共同出資して共有名義にせざるを得ません。
やむを得ず共有名義で不動産を購入する場合には、上述したデメリットをしっかりを把握した上で、慎重に検討するようおすすめします。
相続時は遺産分割協議で共有名義を避ける
上述した通り、遺産相続時に不動産を共有名義にするメリットは殆どありません。
そればかりか、不動産の新規購入時は夫婦や親子など、共有者はせいぜい2人なのに対し、遺産相続時は世代を経るごとに共有者の数も3人、4人と膨れ上がる恐れがあります。
共有者の数は増えれば増えただけ、不動産の管理や売却のための合意形成が困難化するので、危険であると言えます。
そのため、不動産を相続する際は相続人同士で遺産分割協議を行い、「不動産を売却して現金化する」か「特定の相続人の単独名義にする」などの方法で相続を行いましょう。
「遺産相続時に不動産が共有名義になることを防ぐ方法」について、以下の記事で詳細に解説しています。気になる方は参考にしてください。

遺産分割を済ませないと共有名義とみなされる
相続人間の意見をまとめられない…
単純に協議がめんどくさい…
このような理由から、親族の死亡により相続が発生しているにもかかわらず、遺産分割(協議に基づく相続登記)を放置しているケースがあります。
この際注意しなければならないのが、遺産分割を完了させない限り「不動産が法定相続分通りで相続人間の共有名義とみなされる」という点です。
不動産が相続人同士の共有名義とみなされることで、発生するリスクは次のとおりです。
- 相続不動産を売却できない
- 遺産分割(相続登記)を済ませておかないと、相続不動産を売却する際に支障が生じる場合があります。相続登記がなされていない状態では、買主側からすると売主が本当に不動産の所有者であるかどうか判断できないからです。
- 不動産の管理責任が相続人全員に生じる
- 遺産分割を済ませない限り、不動産の管理責任は相続人全員に生じます(民法第918条)。そのため、相続不動産が地震や台風などで倒壊し、第三者へ危害を加えた場合、相続人全員に損害賠償請求がなされるおそれがあります。
上記に加えて、遺産分割が完了していない状態で相続人のうちの1人が死亡すると、更に状態はややこしくなります。
仮に、Aが死亡し、Aの子供BCが相続人になったとしましょう。このとき、遺産分割を行わずにそのままBが死亡してしまうと、Bの相続権はBの配偶者や子供などに受け継がれます。つまり、遺産分割を放置していると、世代を経るごとに相続人の数が膨大になってしまい、結果的に遺産分割協議をまとめることが困難になります。
このことからも、不動産が単独名義になるように遺産分割協議をまとめて、なるべく早期に相続登記を終わらせておくようにしましょう。
すでに共有名義になっている場合はすぐに共有状態を解消
ここまでご紹介してきたとおり、不動産の共有名義には多大なデメリットがあります。
よって、すでに共有名義として不動産をお持ちの方は、なるべく早期に共有状態を解消するべきです。
未だ共有者間でトラブルが起きていないとしても、一度争いが発生してしまうと、共有状態の解消に向けて思い通りに行動することができなくなってしまいます。
ですので、くれぐれも「自分たちは大丈夫」と軽視せずに、可能な限り早期に共有状態の解消を検討しましょう。
もちろん、すでに他の共有者とトラブルが発生している場合でも、あなた単独で行える共有状態の解消方法があります。次項で、共有状態の解消方法を網羅して解説していきます。
共有名義を解消する全手法
上述したとおり、共有名義には様々なトラブルが有るため、すでに不動産が共有名義になっている場合は、なるべく早期に共有状態を解消しましょう。
というわけで、ここからは共有状態を解消する全手法を網羅して解説していきます。
以下の記事で、共有状態の解消についてより詳細に解説しておりますので、気になる方は参考にしてください。

共有者全員の合意のもと不動産全体を売却する
共有者全員の合意のもと共有不動産全体を売却して、売却代金を持分割合に応じて分配することで共有状態を解消することが可能です。
例えば、市場価格5,000万円のアパートを共有者A、Bで「2分の1ずつ」共有しているとしましょう。上記例で、不動産全体を市場価格通りの5,000万円で売却した場合、A、Bに「2,500万円ずつ」を分配することで共有状態を解消します。
共有名義とはいえ不動産全体での通常の売却なので、一般の不動産仲介会社に依頼して相場通りの金額で売却を目指すようおすすめします。
メリット
- 市場相場通りの金額で不動産を売りに出せる
- 共有名義とはいえ共有持分を100%揃えた、不動産全体としての売却なので、一般の不動産市場で取引される相場通りの金額で売却を狙うことが可能です。
- 共有者間で公平感がある
- 共有者全員の手元に持分割合に応じた現金が残るため、比較的公平感のある共有状態の解消方法と言えます。
デメリット
- 他の共有者全員を説得しなければ行えない
- 前述の通り共有不動産を全体として売却するためには、共有者全員の合意が必要であるため、説得できなければこの方法で共有状態を解消することはできません。
こんな人におすすめ
- 不動産全体の売却に向けて、他の共有者と足並みを揃えられる人
- 売却金額に妥協せず市場相場通りの金額感で不動産の売却を狙いたい人
土地を分筆する
共有名義の土地を「分筆登記」によって物理的に切り分けることで、各共有者が単独で所有する複数の土地となり、共有状態を解消できます。
1つ(1筆)の土地を、複数の土地に切り分ける登記手続き
具体例をもとに解説します。
土地分筆の具体例
- 合計面積100㎡の共有地A
- 夫婦で共有名義の土地を「2分の1」ずつ共有
このとき、共有地Aを「50㎡の土地X」と「50㎡の土地Y」に切り分け、それぞれ夫と妻で単独所有します。
ただ、建物は物理的に切り分けられないため、共有不動産に建物が含まれている場合は分筆登記による共有状態の解消はできません。
土地の分筆登記については以下の記事で詳しく解説しております。

メリット
- 共有者全員が別々の用途で自由に土地を活用できる
- 分筆登記で切り分けたそれぞれの土地は各共有者の単独名義の土地となるため、それぞれが自由に活用することが可能です。
デメリット
- 土地の価値が低下する可能性がある
- 分筆登記によって狭くなりすぎる、いびつな形状になる、などの場合、土地の使い勝手が悪くなることから、結果的に土地の価値が低下してしまうケースがあります。
- 土地上に建物を建てられなくなる可能性がある
- 建築基準法上、道路に2メートル以上接していない土地の上には原則として建物を建てることができません。よって、分筆登記で切り分けたことにより、道路と接しない土地が発生すれば、その土地は新築を立てて居住する等の用途で活用することが不可能になります。
こんな人におすすめ
- 共有名義の土地上に建物が建っていない人
- 建築基準法上の制限を受けずに分筆できる土地を持っている人
他の共有者に持分を買い取ってもらう
あなた自身の共有持分を他の共有者に買取ってもらうことで、あなただけが共有状態から抜け出すことが可能です。
売主であるあなたは、まとまった現金を手に入れつつ共有状態から抜け出すことが可能ですし、買主となる共有者も不動産が単独名義になれば1人で自由に活用可能なため、双方にメリットがあります。
当然、持分の売却にあたって「なるべく高価で買い取ってもらいたい」はずです。
以下の記事で、共有者間の持分売買で使える交渉テクニックをまとめてありますので、参考にしてください。

メリット
- 売却価格などの交渉を自由に行える
- 共有者同士での売買交渉であれば、他人との売買に比べて売却代金や日程などを自由に交渉することが可能です。
- 相手の希望次第では一般相場に近い金額で持分を買い取ってもらえる
- 相手方の共有者に「不動産をこう活用したいから手放したくない」といった強い希望があるのであれば、市場相場通りで強気の価格交渉を持ちかけても、納得してもらえる可能性があります。
デメリット
- 買主となる共有者に資力が必要
- 相手方に経済的な余力がなければ当然、他の共有者に持分を買い取ってもらうことができません。
こんな人におすすめ
- 不動産を活用することよりも、共有状態から抜け出したい人
- 他の共有者に不動産の活用に関する強い希望がある人
他の共有者から持分を買い取る
他の共有者全員から持分を買い取ってしまえば、対象の不動産はあなたの単独名義になるため、結果として共有状態を解消することが可能です。
よって、不動産を手放さず、かつ共有状態を解消したいという方はまず、他の共有者に対して持分を買い取らせて貰う方法を検討するべきです。
なお、他の共有者からなるべく安価で共有持分を買い取る交渉テクニックは、以下の記事を参考にしてください。

メリット
- 単独名義になれば不動産を自由に活用できる
- 他の共有者全員から持分を買い取り、不動産を単独名義とすることができれば、1人で自由に活用できるようになります。
デメリット
- 購入代金を支払えるだけの資力が必要
- あなたが他の共有者から持分を買い取れるだけの金銭を用意できなければ、この方法で共有状態の解消は行えません。
- 共有者間で取引価格に折り合いがつきにくい
- 共有持分の取引価格は共有者同士の話し合いで決めるため、適正な取引価格がなかなかまとまらないケースがあります。
こんな人におすすめ
- 金銭を支払ってでも不動産を自由に活用したい人
- 他の共有者から持分を買い取れるだけの経済的余力のある人
共有物分割請求訴訟を起こす
他の共有者といくら話し合っても共有状態の解消に応じない場合は、裁判(共有物分割請求訴訟)を起こすという方法もあります。共有物分割請求訴訟を起こせば、裁判所から下される強制力のある判決によって、共有状態を解消してもらうことが可能です。
共有物分割請求訴訟については、以下の記事で詳しく解説しておりますので参考にしてください。

メリット
- 共有者同士で意見が対立している場合でも共有状態を解消できる
- 上記の通り、共有物分割請求訴訟では裁判所が強制力のある判決を下すため、共有者間の意見に関係なく共有状態を解消することが可能です。
- 共有状態の解消方法に納得感が得られやすい
- 国家資格をもった不動産鑑定士の適正な鑑定額に基づいて、裁判所が中立な立場から判決を下すため、共有状態の解消方法に共有者間で納得が得られやすいと言うメリットがあります。
デメリット
- あなたが望む結果になるとは限らない
- 共有状態の解消方法に関しては、裁判所が中立的な立場から最も合理的な方法を決めるため、あなたが望んでいた結果に必ずしもなるとは限りません。判決内容によっては、不動産が競売にかけられ市場相場よりも安価で競落されてしまうため、共有者全員が損をする場合もあります。
- 高額な弁護士費用がかかる
- 専門知識を持たない一般の個人が単独で裁判手続きをすすめるのは非常に困難であり、基本的には弁護士に相談することになります。そのため、原告(訴訟を申し立てる人)側は「50万円~100万円」程度と高額な弁護士費用を支払わなければなりません。
- 共有状態の解消まで長期間を要する
- 裁判手続に最低で半年、長ければ数年単位で時間がかかるため、すぐに共有状態を解消することはできません。
こんな人におすすめ
- 不動産の活用に関して譲れない思いがある人
- 他の共有者と修復不可能なほど関係が悪化していて、裁判を起こしても構わない人
あなた自身の共有持分を第三者へ売却する
他の共有者と一切関わらずに共有状態から抜け出したい…
このような場合には、あなた自身の共有持分を第三者へ売却してしまうのが得策です。あなたの共有持分はあなたの完全な所有物であり、他の共有者から合意を得なくても自由に売却できるからです。
ただし、共有持分のみを買い取ったところで、共有不動産を自由に活用できるわけではないので、一般の個人や不動産屋が共有持分を買い取ることはまずありません。
現実的には、共有持分を専門に取り扱う買取業者へ相談するのが良いでしょう。
共有持分買取業者であれば、共有不動産の権利関係を整理してから再活用する、独自のノウハウを有しており、通常では売却が難しい共有持分のみであっても買い取ってもらえるからです。
共有持分買取業者を選ぶポイントや、おすすめの買取業者は以下の記事で詳細に解説しておりますので、是非参考にしてください。

弊社も共有持分を専門に買取を行っており、お客様の共有状態脱出のお手伝いをさせていただくことが可能です。ご相談だけでも大歓迎ですので、共有名義の不動産で頭を抱えている方は、お気軽にお問い合わせください。
メリット
- 他の共有者と一切関わらずに共有状態から抜け出せる
- あなたの共有持分のみであれば、他の共有者から合意を得なくても自由に売却可能です。そのため、共有持分を専門に扱う買取業者に持分を買い取ってもらえば、他の共有者と一切関わることなく共有状態から抜け出せます。
- まとまった現金が手に入る
- 現状でほとんど活用できておらず、延々と固定資産税を支払い続けているような不動産の持分であったとしても、共有持分買取業者に買い取ってもらえばまとまった現金に換えることが可能です。
- 最短数日で共有状態から抜け出せる
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デメリット
- 買取価格が市場相場よりも安価になってしまう
- 共有持分買取業者はあなたの持分を買い取った後に、数年単位で他の共有者と交渉を行い権利関係を整理してから不動産を再販売・再活用して利益を上げています。このことから、再活用までにかかる事務所の家賃や人件費等を見越した金額で買取を行わなければ費用倒れしてしまうので、市場相場よりも安価での買取となります。
こんな人におすすめ
- 他の共有者と一切関わりたくない人
- すぐにでも共有持分を売却してまとまった現金を手元に用意したい人
- 面倒な手続きを踏まずに共有状態から抜け出したい人
まとめ
この記事では主に、不動産を共有名義にするデメリットについて解説してきました。
繰り返しにはなりますが、共有名義の不動産は多大なるデメリットを孕んでいるため、これから共有名義で不動産を取得することは絶対におすすめできません。
なお、すでに共有名義で不動産をお持ちの方は、共有者間でトラブルが生じて手遅れになる前に、共有状態を解消しておくようおすすめします。
弊社は、共有持分に特化した買取によって、お客様を不動産の共有状態から抜け出すお手伝いをさせていただくことが可能です。
現時点で、共有者間トラブルに見舞われている人も、将来のトラブルを回避した方も、ぜひお気軽にご相談ください。