借地人に底地からの立ち退きを迫るには正当事由が必要!立ち退き料の相場は?

底地
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借地人に土地(底地)を貸している場合、その土地を利用して建物を建てられるのは借地人のみです。

しかしなかには「自分が住む家を建てたい」「家の建築を考えている子どもに底地を貸したい」などの理由で、借地人に土地を明け渡してほしいと考えている方もいるのではないでしょうか。

ただし、原則として地主側に正当事由がない場合は借地人に立ち退きを要求できません

底地を利用する正当な理由があり、かつ立ち退き料を支払えば借地人に立ち退いてもらうことも可能ですが、立ち退き料を支払ったところで必ずしも立ち退きの正当性が認められるわけではない点には注意が必要です。

一方、借地人が借地を利用する正当事由があると裁判所に判断された場合は、立ち退き料が高額になることがある点も押さえておかなければならないでしょう。

基本的に借地人との立ち退き交渉は困難といわざるを得ません。

もし底地を利用する何らかの事情があり、借地人に土地を立ち退いてもらう必要性があるのであれば、弁護士などの専門家や底地・借地の取り扱いに精通した不動産会社に間に入ってもらうことをおすすめします。

専門家に交渉を任せれば、トラブルを起こすことなく円満な解決が期待できるでしょう。

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監修者
株式会社AlbaLink代表取締役の河田憲二と申します。訳あり物件や売りにくい不動産の買取再販業を営んでおります。サービスサイトとして、「訳あり物件買取PRO」を運営しています。訳あり物件買取PROの責任者として、執筆・編集・監修のすべてに携わっています。

地主都合で借地人に立ち退きを迫る場合は正当事由が必要

地主側の都合で借地人に立ち退きを要求するケースとしては、おもに以下の事情が考えられます。

  • 底地をほかの用途に使用したい
  • ほかの底地と合筆して土地の面積を広げたい
  • 底地を再開発したい

しかし地主から借地人に立ち退きを迫る場合は「正当事由」が必須です。

ここでは、どのような理由であれば正当性があると認められるのかについて解説します。

借地借家法で定められた正当事由

底地の賃貸にあたり、地主と借地人の間で借地契約が交わされます。

借地借家法によって契約期間は30年以上と定められており、基本的に契約は自動更新です。地主側に契約更新を拒絶する「正当事由」があると認められない限り、借地人に立ち退きを強制できません。

参照元:e-Gov法令検索「借地借家法第三条」「借地借家法第六条」

ただし、地主側に底地を使用する事情があるなどと裁判所に判断された場合は、借地人の立ち退きを認める判決が下されることもあります。

正当事由があるかどうかは、以下の4つの観点から判断されます。

  1. 地主が土地の使用を必要とする事情がある
  2. 借地契約に関する従前の経過
  3. 土地の利用状況
  4. 地主が立ち退き条件として立ち退き料の支払いを申し出ている

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

1. 地主が土地の使用を必要とする事情がある

4つのポイントのうち、もっとも重要なのは土地を利用する必要性があるかどうかです。

「すでに一帯で再開発計画が進んでおり、借地人に土地を明け渡してもらう必要がある」「地主がほかに不動産を所有しておらず、自分が居住する家を建てるなど底地を利用する具体的な計画がある」などの場合は、比較的地主側の正当性が認められやすい傾向にあります。

2. 借地に関する従前の経過

借地に関する従前の経過とは、「地代がしっかりと支払われ続けてきたか」「支払いの延滞や滞納などはないか」「契約更新料の授受はあったか」など、これまでの借地契約の内容を考慮するものです。

「借地人の経済状況が苦しいために土地を貸してあげていた」「契約時から現在までの地代が周辺と比較すると安い」「借地契約を交わす際に権利金を受け取っていない」などの事情がある場合は、地主側に正当事由があると判断されやすくなります。

3. 土地の利用状況

土地の利用状況は、借地が具体的にどのように活用されているのか、周辺の土地と比較して適切な使われ方がなされているかを判断するものです。

たとえば「借地人が建物を居住用ではなく事業用として使用している」「借地人が建てた家が建築基準法に違反している」「周辺に大型のマンションが林立しているにもかかわらず、平屋が建っているなど土地が有効活用されていない」などの場合は、地主側の正当性が認められることがあります。

4. 地主が立ち退き条件として立ち退き料の支払いを申し出ている

原則として、地主側の都合で借地人に立ち退きを求める場合は立ち退き料の支払いが必要です。ただし高額な立ち退き料を支払ったとしても、それだけで地主側の正当性が認められるわけではありません。

あくまでも上記1~3の事情を総合的に考慮したうえで、立ち退き請求に正当性があるかどうかが判断されるのです。

借地人に立ち退きを迫れるのは契約更新のタイミングのみ

たとえ地主であっても、いつでも借地人に立ち退きを要求できるわけではありません

契約期間の途中でも借地人の承諾を得られれば借地を明け渡してもらうことは可能ですが、合意を得られない場合は借地契約更新のタイミングでなければ裁判をおこなっても立ち退きは認められない点に注意が必要です。

借地人に立ち退きを求める場合は、契約期間満了の6か月前~1年前に立ち退き交渉をする形が一般的です。交渉をスムーズにおこなうためにも、事前に弁護士や不動産会社に相談することをおすすめします。

立ち退き料の支払いを申し出たとしても借地人に立ち退きを迫るのが難しいケース

地主が借地人に立ち退き料の支払いを申し出たとしても、地主側に底地を利用する正当事由がなく、かつ以下のようなケースでは借地人に立ち退きを求めるのは難しい傾向にあります。

  • 借地人側に転居が困難な理由がある
  • 借地人が借地利用を継続する必要性がある

それぞれについて見ていきましょう。

借地人側に転居が困難な理由がある

借地人が底地に自宅を建てて住んでいて、借地人に収入がない、もしくは借地人が病気やケガで療養が必要などの理由で転居が困難な場合、立ち退きに伴う借地人側の不利益が大きいと裁判所に判断されて立ち退きが認められないケースがあります

実際、地主が自宅を建てるために借地人に立ち退きを求めたケースにおいて、裁判所は地主側にはほかに不動産があること、無職で病気を患っている借地人には転居が困難であるという理由で立ち退き料の有無にかかわらず立ち退きは強制できないとする判決を下しています(平成23年3月11日東京地方裁判所判決)。

借地人が借地利用を継続する必要性がある

借地人が底地に店舗を建てて長年にわたって事業を営んでいて、かつ地主側に底地を利用する必要性が低い場合もやはり借地人の立ち退きを求めるのは困難です。

たとえば地主が再開発のために借地人に立ち退きを求めた事例では、裁判所は地主側に再開発計画の具体性がなく正当性を認められないこと、一方の借地人側は長年にわたって同地で店舗を営業していて借地利用を継続する必要性が高いことから、立ち退き料の有無にかかわらず強制的な立ち退きはできないとする判決を下しています(平成23年5月25日東京地方裁判所判決)

地主側に正当事由がなくても借地人に立ち退きを迫れるケース

地主が借地人に立ち退きを要求するには原則として正当事由が必要ですが、以下のケースでは地主側に正当事由がなくても借地人に立ち退きを求めることが可能です。

  • 借地人に地代滞納などの契約違反がある場合
  • 定期借地契約の場合
  • 底地を駐車場などに利用している場合

それぞれの事例について解説します。

借地人に地代滞納などの契約違反がある場合

借地契約は地主と借地人の信頼関係で成り立っています。

そのため借地人が地代を数か月滞納しているなどの契約違反行為がある場合、地主は賃貸借契約を解除するとともに土地の明け渡しを請求できます

この場合は立ち退き料の支払いも不要です。

定期借地契約の場合

定期借地契約は普通借地契約とは異なり、当初定められた契約期間の満了をもって借地契約が終了します。契約の更新もありません。

そのため借地人と定期借地契約を締結している場合は、契約期間の満了に伴い、立ち退きを求めることが可能です。立ち退き料も支払う必要はありません。

なお一般定期借地契約の場合、借地人は建物を取り壊したうえで土地を返還する義務を負いますが、建物譲渡特約付借地権の場合は地主が借地人の建物を買い取る必要があります。

参照元:e-Gov法令検索「借地借家法 第二十二条」

借地人が底地を駐車場などに利用している場合

借地人が底地を駐車場など建物以外の用途に使用している場合は借地借家法が適用されないため、正当な理由がなくても立ち退きを要求できます。

この場合も立ち退き料は不要です。

地主が借地人に立ち退きを要求した場合の立ち退き料の相場

地主側の都合で借地人に底地の明け渡しを求める場合は、立ち退き料を支払わなければなりません。

立ち退き料に関する明確な規定はありませんが、判例では借地権価格をもとに算出されることが多い傾向にあります。

それでは、いったいどのようにして立ち退き料は求められるのでしょうか。ここでは、立ち退き料の相場について解説します。

住居として利用している底地の立ち退き料は借地権価格をもとに算出

借地人が底地を住居としている場合の立ち退き料は、借地権価格から地主の正当事由に応じて金額が増減される形が一般的です。

借地権価格の求め方は以下のとおりです。

借地権価格=更地価格×借地権割合

借地権割合は該当の土地に対する借地権の割合を示したもので、地域ごとに30~90%の範囲で定められています。

参照元:国税庁「財産評価基準書 路線価図・評価倍率表」

たとえば更地価格が3,000万円、借地権割合が70%の土地の借地権価格は「3,000万円×70%=2,100万円」です。

裁判では、こうして求めた金額に「地主が借地を利用する必要性」と「立ち退きに伴う借地人の負担の大きさ」を考慮したうえで、借地権価格の何割を立ち退き料とするかを決めることがほとんどです。

具体的には、以下の計算式で求めます。

立ち退き料=借地権価格×(100%-正当事由の充足割合)
充足割合
地主と借地人それぞれの正当事由を比較したうえで、どの程度の割合を満たすかを数値化したもの。

たとえば借地人に家賃の滞納などの契約違反行為が認められる場合は90%程度になるとされるので、このときの地主が支払うべき立ち退き料は「2,100万円×(100%-90%)=210万円」程度と予測されます。

一方、地主側に正当事由がなく、借地人側に借地を利用する継続性が高いがほかに住居を探すことは可能と判断される場合の充足割合は10%程度となり、地主が支払うべき立ち退き料が「2,100万円×(100%-10%)=1,890万円」と高額になる可能性もあります。

ただし立ち退き料の金額には法的な定めはなく、あくまでも地主と借地人との話し合いによって決められるものです。

交渉がまとまらない場合は裁判で決着をつける必要がありますが、裁判をおこなうと時間や費用がかかってしまいます。弁護士や不動産会社に相談に乗ってもらいながら交渉を進めることをおすすめします。

専門家に依頼すれば、借地人が納得のいく金額や交渉の進め方についてのアドバイスをもらえます。

事業用として利用している底地の立ち退き料は営業補償が考慮される

なかには借地人が住居ではなく店舗として底地を利用しているケースもあるでしょう。

この場合は立ち退きに伴う営業休止期間中に想定される収益や移転費用、移転後の一定期間の売り上げ補償などが加味されます

ただし、この場合も営業補償の期間や金額についての明確な規定があるわけではないので、地主と借地人とで話し合って決める必要があります。

交渉をスムーズに進めるためにも、やはり弁護士や不動産会社を間に挟むとよいでしょう。

借地人へ支払う立ち退き料が高額になってしまうケース

借地人に支払うべき立ち退き料には一定の相場があるわけではないため、ケースによって金額は異なります。しかし、地主よりも借地人側に土地を利用する正当性があると判断された場合は、立ち退き料も高額になってしまう可能性があるため、注意が必要です。

ここでは、借地人へ支払う立ち退き料がどういったケースにおいて高額となってしまうのかについて解説します。

借地人が底地を利用する必要性がある

前述のように、地主が借地人に立ち退きを請求するには正当事由が必要です。

しかし地主よりも借地人のほうが土地を利用する必要性があり、立ち退きによって大きな不利益を被ると判断された場合は立ち退き料が高額にのぼる可能性があります

たとえば地主が商業施設に底地を貸すために借地人に立ち退きを求めた判例では、借地人はほかに不動産を所有していないことから土地の利用を継続する必要性は高いものの、引っ越し先を見つけることは可能として5,000万円(借地権価格は5,500万円)の立ち退き料の支払いを地主側に命じています(東京地方裁判所平成25年3月14日判決)。

借地人が更新料を支払った事実がある

更新料は借地契約の更新時に借地人が地主に支払う金額で、更地価格の3~5%が相場といわれています。

たとえば更地価格が3,000万円の場合、更新料は90~150万円です。

更新料は一般的に地代の前払いと見なされることから、立ち退きに伴い、借地人から借地契約の残りの期間に応じた更新料の一部の返還を求められることがあります。

この場合は立ち退き料に加えて更新料の一部を借地人に支払わなければなりません。

借地人から建物を買い取るように要求される

地主都合の立ち退きの場合、借地人は建物を時価で買い取るよう地主に要求できます。

(建物買取請求権)
第十三条 借地権の存続期間が満了した場合において、契約の更新がないときは、借地権者は、借地権設定者に対し、建物その他借地権者が権原により土地に附属させた物を時価で買い取るべきことを請求することができる。

引用元:e-Gov法令検索「借地借家法第十三条」

借地人が建物買取請求権を行使した場合、地主はこれを拒否できません。そのためこのケースでは立ち退き料に加えて建物の買取費用を上乗せして支払う必要があります。

立ち退き料がなかった場合は地主に贈与税が課される

話し合いによって借地人が立ち退き料を不要と判断した場合は立ち退き料を支払う必要はありません。

ただし、この場合は税務上、借地人が地主に借地権を贈与したと見なされるため、借地権価格に応じた贈与税が地主に課されてしまう点には注意が必要です。

贈与税率は以下のとおりです。

基礎控除後の課税価格 税率 控除額
200万円以下 10% 0円
300万円以下 15% 10万円
400万円以下 20% 25万円
600万円以下 30% 65万円
1,000万円以下 40% 125万円
1,500万円以下 45% 175万円
3,000万円以下 50% 250万円
3,000万円超 55% 400万円

たとえば更地価格が3,000万円、借地権割合が70%の借地権を贈与された場合の贈与税は次のように求めます。

借地権価格=3,000万円×70%=2,100万円
基礎控除後の課税価格=2,100万円-110万円=1,990万円
贈与税額=1,990万円×50%-250万円=745万円

ケースによっては立ち退き料を支払ったほうが結果的に金額が抑えられる可能性があります。立ち退き交渉の仕方によって立ち退き料は大きく異なるため、立ち退き交渉にあたっては個人間で話し合うのではなく、弁護士などの専門家や不動産会社などに依頼したうえで進めることをおすすめします。

参照元:国税庁「No.4408 贈与税の計算と税率(暦年課税)」

まとめ

地主側の事情によって借地人に底地からの立ち退きを要求する場合は、正当事由のほかに立ち退き料の支払いが必要です。

ただし、たとえ立ち退き料を支払ったとしても「借地人側に転居が困難な理由がある」「借地人が借地利用を継続する必要性がある」と判断された場合は借地人に立ち退きを求めるのは難しいでしょう。

また、立ち退き料には一定の相場はなく、交渉によって金額が大きく異なります。借地人との間にトラブルを起こすことなく立ち退き交渉をスムーズに進めたい場合は、弁護士などの専門家や不動産トラブルに長けた不動産会社に相談することをおすすめします。

弊社は立ち退き問題に精通した弁護士などの専門家と提携しており、立ち退き交渉を円満に解決するためのノウハウも豊富に有しております。

借地人の立ち退き交渉についてのお悩み事を抱えている場合は、ぜひお気軽にご相談ください。

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