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敷地設定とは?他人の土地を利用して建築可能にする

敷地設定とは?他人の土地を利用して建築可能にする 再建築不可

建築確認申請を行う場合に、どうしても土地を広げないと確認申請が行えないときには他人地を利用して建築確認申請を行うという方法が存在します。

再建築不可物件を活用する場合にセットバックや間口を広げるなどの方法があります。利用したい土地の賃貸や購入ができれば問題ありませんが、それらが難しい場合に建築確認申請を行う方法として「敷地設定」が存在します。

そこで、敷地設定とはどのような内容かメリットやリスクはあるのかをご紹介していきましょう。

そもそも敷地設定とは?

まずは、キーワードである敷地設定とはどのような内容なのかをご紹介していきます。

他人地を自分の敷地として建築確認申請を行うこと

敷地設定は一言で言ってしまうと「他人の土地を自分の敷地として建築申請を行うこと」です。

敷地設定

建築確認申請は「建築基準法に合致しているかを確認する」という自治体の手続きです。

建築確認は自治体の指定を受けた「指定確認検査」が建蔽率や容積率、北面斜線規制、採光などが確保されているかをチェックします。この建築確認を行わないと「建築確認済証」が交付されず、工事を着工することができません。
建築確認はまず図面や書類にて確認を行い、設計上の問題がないかを確認します。そして工事を行い、工事完了後には担当者が現地で図面通りの建築が行われているかを確認し、問題がなければ「検査済証」が交付されて入居できるようになります。

建築確認で交付される「建築確認済証」は住宅を建築する場合のローン審査にも用いられ、売却の場合にも建築確認済証があると高値で売買されるなど、本来の目的以外にも必要な場面があります。

接道義務

再建築不可物件は、建築基準法第42条・第43条で「法律で認められた道路(法定道路)に接する必要がある」と定義されている「接道義務」を満たしていません。
当然、法律上の瑕疵がある物件に対して建築確認済証が発行されることはありません。

例えば、前面道路が法律で認められた道路(法定道路)の場合でも間口の狭さから再建築が認められない場合があります。旗の竿(ポール)のように狭い間口で道路に接続し、旗の部分にあたる広い土地に建物を建てることができる土地を「旗竿敷地(旗竿地)」といいますが、この竿の部分の幅が2メートル以下の場合、建築基準法第43条の接道義務を満たしていることにならず、再建築は認められません。

この場合は間口の広さを2メートル以上に広げることができれば接道義務を満たすことになり、建築が可能となります。

この場合、竿の部分の土地を広げるために隣接する他人の土地(他人地)を自分の土地として扱い、「間口を広げたこと」にして建築確認申請を行うことは、法律上可能です。
建築基準法には「自分の名義で登記した土地にしか建物を建ててはならない」といった趣旨の条文はなく、借地や占有地でも建築は可能です。

極端な場合は、無断占有の土地を建築確認申請の図面で「自分の土地だ」と主張した申請書が来た場合でも、図面や書類に問題がなければ建築確認済書が交付されます。

これは、建築確認申請が「建物の構造が建築基準法に適合しているか否かを確認する」という建築基準法に則った申請であり「間口の土地は誰の所有物か」「適切な賃貸契約で登記されている土地か」など、土地の所有に関する権利や適合性を確認する申請ではないことに起因します。

このように、他人の土地を自分の敷地として扱うことを「敷地設定」といいます。
敷地設定を行うと再建築不可物件でも再建築が可能となることから、再建築不可物件を活用するための一つの方法ともされています。

敷地設定

関係者との合意が取れれば再建築を可能にできる方法の1つではあるがリスクも…

ご紹介した通り、敷地設定は他人地を自分の敷地として扱い建築確認申請を行う方法です。
確認申請を行う上で地権者の合意や、賃貸契約などの土地の利用に関する文書を提出する必要はないので、建築士や行政書士などの合意が得られれば確認申請を行うことは可能です。

一般的な再建築不可物件の活用方法にはセットバックや隣地の購入・賃貸契約などがありますが、工事や購入、賃貸にかかる費用負担が発生します。
敷地設定を行うと、極端な場合は図面を書き換えるだけで再建築不可物件を活用できる可能性が出てくるので、魅力的な選択肢に映るかもしれません。しかし、敷地設定には大きなリスクが潜んでいます。

敷地設定のリスク

敷地設定は違法?近隣トラブルに注意

敷地設定というのは合法なのでしょうか。それとも違法なのでしょうか。この章では、敷地設置に潜むリスクをご紹介していきましょう。

実際にあったトラブルケース

1、無断の敷地設定で交付された建築確認申請が取消しに
東京都A区の住宅街において道路に接していない物件の所有者Xが、自宅の建て替えの際に建築基準法第43条の接道義務を満たしていないことから、接道している私道を自分の敷地として設計図面を設計者に作成させました。
これを受け取ったA区は設計図面の内容に問題が無いとして確認交付を行い、建築工事が開始されました。

無断で敷地設定

しかし、土地の所有者Yがこれに気づき事実を確認したところ、無許可で自分の土地を他人が勝手に敷地として工事を進めていることが判明しました。YはA区の建築審査会に建築確認の取り消しを求める審査請求を行い、A区は確認を取り消しました。

取消を求め審査請求

すると、建て替えができなくなったX氏が区を相手に提訴しましたが、東京地裁はX氏の訴えを退け、建て替えの計画は頓挫してしまいました。

X氏は当初、Y氏に建て替えの際に土地の敷地利用を依頼したものの、これを拒否されてしまっていたという経緯があります。にも関わらず工事が始まったことを不審に思ったY氏の調べによってこの事実が明らかになりました。

無許可で他人地を使用した場合、このように時間と費用面で大きな損害が出てしまう可能性があることを十分に注意しなければなりません。

 

2、「敷地境界の整備に関する条例」による建築確認申請の不交付
大阪府のB市では無許可の敷地設置を防止するために市の条例で「建築物の敷地境界は、縁石等により明確にしなければならない」と定めました。

B市で再建築不可物件の建て替えを考えていたZ氏は、接道する私道を自分の土地として図面を作成して建築確認申請を行ないました。
B市の建築審査会では図面の内容に問題は無かったものの、私道の境界を明らかにするために敷地部分に縁石を埋め込むことを条件とした修正を指示し、縁石を書き入れて提出した修正図面により建築確認が交付されました。

しかし実際には土地所有者に許可を取っておらず、建築工事が完了した段階でも縁石が埋められることはありませんでした。
工事が完了して完了検査が行われたものの、建築確認で指示された縁石の設置が行われていないため、完了検査の検査済証が交付されませんでした。「敷地境界の整備に関する条例」が無ければ問題は起こらないとして、これを不服としたZ氏はB市を提訴しましたが、この訴えは退けられてしまいました。

市の条例で完成検査が完了しない例

国で定められた法律ではなく、市が独自に定めた条例でもその市内では法律と同じように効力があることは地方自治法でも定められています。
地方自治法第14条では法令に違反しない範囲であれば条例で任意の規制ができるとされています。

他の市町村であれば問題ないとされる事例でも、「敷地境界の整備に関する条例」が制定されている自治体では無許可の敷地設定を行うと建築確認が下りなかったり、今回の事例のように完成検査を通らず建物が使用できないリスクがあります。

地方自治体の条例も効力は同じ

敷地設定を行う際の注意点まとめ

敷地設定を行うことは再建築不可物件を活用する一つの方法ですが、いくつかの注意点があります。敷地設定を行う際の注意点をご紹介しましょう。

土地所有者の同意を得る

最も重要な注意点は土地所有者の同意を得ることです。当然の事に聞こえますが、再建築不可物件で私道を介して接道している場合などに、敷地設定を拒否されるケースも実際に存在しています。

建て替えの計画を進めるタイミングで急に相談するのではなく、入居や相続によって再建築不可物件を手に入れたタイミングから相談しておくことは非常に重要です。

最悪の場合、同意なく敷地設定を行うと刑法第235条の2の「不動産侵奪罪」として刑事罰を受け、10年以下の懲役に処される場合があります。また、土地所有者の同意なく設計図面を作成すると刑法第243条の「未遂罪」によって処罰される可能性があります。

他の近隣トラブルとも共通しますが、やはり日頃からのコミュニケーションが重要です。

契約書や同意書を交わしておく

土地所有者から敷地設定に関する同意が得られた場合には、有償・無償を問わず契約書や同意書を交わしておきましょう。
書面を交わす事で土地所有者が相続等で変更になっても敷地設定ができるように対策しておかないと、所有者が変わった場合に同意が反故にされる可能性があります。

また、敷地設定は建築確認申請では問題ありませんが、銀行の住宅ローンの審査では問題になる場合があり、他人地を勝手に敷地とした場合には住宅ローンの審査に通過しない場合があります。
これは法的根拠というよりは信義則の問題で、他人の土地を勝手に使う人間に大金を貸すことはできないというごく当然の感覚です。

融資を受けられないリスクや相続時のトラブルを考え、敷地設定の同意が得られた場合には契約書や同意書にして残しておくことでリスク対策を行いましょう。

土地所有者の同意が重要

まとめ

ご紹介した通り、敷地設定は再建築不可物件を活用するための有効な方法ですが、土地所有者の同意を得ていないと建築時や完成後に大きなトラブルを抱えることになります。

敷地設定を行う場合にはしっかりと土地所有者の同意を得て行うことを強くおすすめします。

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