近所に管理されていない空き家があると、さまざまな困り事が発生します。
そこで今回は近所に空き家がある、または過去にあった500人を対象に「近所の空き家で困った経験」についてアンケート調査を実施しました。
空き家が近くにあることで近隣住民が感じる不便や不安について聞いています。
- 調査対象:近所に空き家がある(あった)人
- 調査期間:2026年4月2日~5日
- 調査機関:自社調査
- 調査方法:インターネットによる任意回答
- 有効回答数:500人(女性351人/男性149人)
- 回答者の年代:20代 18.2%/30代 30.6%/40代 28.2%/50代 18.2%/60代以上 4.8%
近所の空き家で困った経験1位は「植物が敷地からはみ出す」

「近所の空き家で困った経験」を聞いたところ、1位は「植物が敷地からはみ出す(21.8%)」でした。
2位「景観が悪くなった(19.6%)」、3位「虫が発生した(19.0%)」、4位「倒壊の不安がある(18.0%)」、5位「動物が住み着いた(16.6%)」が続きます。
日常生活の快適性や衛生面、防災、防犯、治安などに関する困り事が多く寄せられました。
実際に被害や迷惑を被ったケースもあれば、何も起こってはいないものの強い不安を感じているケースも。
空き家による実害がなかったとしても、困っている人は多いとわかります。
1位 植物が敷地からはみ出す
- 草木が生い茂り、路上や自身の敷地内まで侵入してきたこと(30代 男性)
- 我が家の向かいが現在空き家です。落ち葉が道路に落ちたり、植えてある木の枝が電線まで届いていたりして、危なくないのかなと気になることがあります(40代 女性)
- 空き家の庭に植えている木が大きくなって道路に大きくはみ出し、車で通行すると枝が車体にあたるほどになっていた(50代 女性)
1位は「植物が敷地からはみ出す」です。
管理が行き届いていない空き家では、剪定や草むしりが疎かになって、庭木や雑草が想像以上のスピードで成長します。
とくに夏は雑草が茂りやすく、空き家の敷地を超えて隣家や道路にまで広がってしまうことも少なくありません。
結果として「道路を通行しにくくなる」「隣家の住人が落ち葉を掃除することになる」といった困り事が発生しているとわかりました。
また「電線に接触しそう」など停電につながりかねない体験談も寄せられています。
空き家の植物が日常的な負担だけではなく、不安にもつながっていることがわかります。
2位 景観が悪くなった
- 人気がない家屋はあるだけで周辺の雰囲気が悪くなるもので、空き家の前を通る際は毎回気分を害しています(20代 男性)
- 外観が廃墟のようになっており、単純に景観が悪い(30代 男性)
- 空き家のある一角だけ雰囲気が暗くて怖い(40代 女性)
2位は「景観が悪くなった」でした。
定期的な維持管理が行われない空き家では、外壁の劣化や庭の荒れが進みます。
また空き家だと思うとゴミを投げ入れたりする人もいて、敷地内が汚くなってしまっているというコメントも寄せられました。
上記のように「人の気配がない、荒れ果てた家」があることで、地域の景観が悪くなってしまうのですね。
直接的な被害がなかったとしても、空き家が近隣住民に不快感や恐怖を与える存在になってしまいます。
3位 虫が発生した
- 自宅の前にあった空き家で、中がどうなってるかは知りませんが、虫が大量発生していました(20代 男性)
- 庭や玄関の雑草や草木が何年も放置されていて、蜂の巣が大量発生。ファミリー層が多い地域なので未就学児や児童も多く、大変危険(30代 女性)
- 近所の空き家で庭の草木が伸び放題になり、虫が増えて困りました。とくに夏場は蚊や蜂が多くなり、庭や玄関先での作業がしにくくなりました(60代以上 男性)
「虫が発生した」が3位でした。
1位の事例にあったように、空き家では庭に管理が疎かになり、草木が繁りやすくなります。
また人がおらず、防虫剤などが焚かれることもないため、虫が繁殖しやすくなってしまうのですね。
とくに夏場は蚊が増え、近隣の家屋まで影響を受けている事例も寄せられました。
蜂など危険な虫が繁殖することもあり、とくに「お子さんのいる人」「屋外で作業をする人」にとっては大きな心配事となっています。
4位 倒壊の不安がある
- 風が強い地域なので、暴風により瓦が飛んだりガレージの屋根が剥がれないか心配だった(20代 女性)
- 建物が倒壊しかけていたので、瓦礫が崩れ落ちないか心配だった(30代 男性)
- 屋根が崩れかけていて、近くを歩行時に瓦が落ちてこないか不安だった(40代 女性)
「倒壊の不安がある」が4位に入りました。
人が住まなくなった建物は、修繕や点検の頻度が減るため、老朽化が進みやすくなるとされています。
外から見て「屋根や外壁が劣化しているな」と感じられる場合には、悪天候時や災害時の倒壊が心配になりますね。
実際に崩落することはなくても、近くを通るときには心配になります。
また「実際に建物が崩落して危ないと感じた」という体験談もありました。
5位 動物が住み着いた
- 野良猫が住み着いて繁殖してしまったようで、夜中まで猫同士の喧嘩の鳴き声がうるさくて眠れなくなりました(20代 女性)
- 一番困っているのは、近所の空き家に住み着いている野良猫。自宅敷地内を歩き回られてフンの被害があるし、夜間は高い声で鳴くので寝付くまでに時間がかかる(30代 男性)
- 近所の空き家にネズミが住み着き、住み着いたネズミが共同のゴミ捨て場を荒らす。衛生的によくないし、被害が拡大しそう(40代 女性)
5位は「動物が住み着いた」でした。
空き家は人の出入りがないため、野生動物や野良猫が住み着いてしまうこともあります。
具体的には野良猫のほか、ネズミ、ハクビシン、アライグマ、イタチなどが挙げられました。
動物が住み着くことによって「夜中まで続く鳴き声や物音」「フン害などの衛生的な問題」が発生します。
空き家に住み着いた動物が、近隣の住宅にまで侵入している事例も寄せられました。
6位 防犯上の不安がある
- 子どもの通学路なので、不審者が隠れていないか不安(20代 女性)
- 誰も出入りしていないはずなのに家の戸が知らないうちに開いていたり、見慣れない車が前に停まっていたりして、不審者が侵入しているのではないかという怖さがあります(30代 女性)
- 不審者のたまり場にならないか不安に感じていた(60代以上 男性)
「防犯上の不安がある」が6位でした。
具体的には「空き家での空き巣」「不審者の侵入や住み着き」「放火」などへの不安が挙げられています。
空き家は人の出入りがあっても気づかれにくいことから、不審者にとって利用しやすい場所とされます。
そのため犯罪に利用されたり、犯罪被害に遭うことを心配する人も多いのですね。
「今のところは何も起きていないが、安心できない」「何となく怖い」という不安が、困り事となっています。
7位 ゴミが飛んでくる
- 放置されていた「バケツ」「ジョウロ」「プランター」が、強風で道路に散乱していた(40代 女性)
- とても古い木造の家で、台風時にトタン屋根は道路まで飛び、木々もどんどん外へ飛んでいっていました。子どもの登下校経路なので、とても危ないといつも冷や冷やしていました(40代 女性)
- 風の強いときに少し崩れて、ゴミが飛んできてしまった(50代 男性)
「ゴミが飛んでくる」が7位に入りました。
台風などの強風時に、「屋根や外壁の一部」や「放置された家財」が飛んできて困った人も多くなっています。
飛んできたものとしては「屋根や瓦」「外壁の一部」「園芸用品」などが挙げられました。
自宅に向かって飛んでこなくても、道路に散乱すると通行の妨げになります。
また大きなものや目に入ってしまうようなものが飛んでくると、とても危険です。
近所の空き家問題に対して取った行動は「何もしていない」

「近所の空き家問題に対して取った行動」を聞いたところ、圧倒的1位は半数以上の人から票を集めた「何もしていない(58.8%)」でした。
実際に行動を起こしたなかで最も多かったのは、「自治体に相談した(17.8%)」です。
- 何もしていません。田舎なので、市に相談したら「誰が言った」などがバレてしまって住みづらくなる可能性があります(30代 女性)
- 近所の人と話し合い、自治会を通して市役所に相談しました。個人で所有者に直接言うのは難しかったので、まずは行政に状況を伝えて、対応してもらえるか確認しました(40代 女性)
- 自治会に相談したうえで市役所の空き家相談窓口に連絡したところ、所有者へ連絡がいったようです。後日草刈りだけは行われました(40代 男性)
- 所有者がときどき空気の入れ替えに来ていたので声をかけ、スズメバチの巣ができていることを伝えました。後日駆除されていました(40代 女性)
- 不良のたまり場になっていたので、警察に連絡を入れ巡回してもらうことにした(50代 男性)
空き家問題に対しては「困っていても積極的には動かない・動けない」という人が多くなっています。
何もしない理由としては、「トラブルが怖い」「所有者の連絡先がわからない」「誰に相談したらいいのかわからない」などが挙げられました。
問題意識があっても、行動に移す際にはハードルがあるのですね。
一方で行動を起こす場合は、自治体・町内会・警察など、所有者本人ではなく第三者に相談するケースが多くなっています。
所有者の連絡先がわからなくても、第三者経由で連絡をつけられる可能性があるからです。
また自治体や町内会に相談して「地域住民が困っている」という形にすることで、個人対個人のトラブルも防ぎやすくなると考えられます。
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空き家所有者に望むことは「定期的なメンテナンス」

「空き家所有者に望むこと」の1位は「定期的なメンテナンス(53.6%)」、2位は「空き家の更地化(46.4%)」でした。
空き家所有者に対しては、まず「空き家を放置せず、周囲に迷惑をかけることにないようにきちんと管理してほしい」という声が多くなっています。
また「更地化や売却で問題そのものを解消してほしいけれど、できないならせめてメンテナンスしてほしい」という声も多くなりました。
本心では根本的な解決を望みつつも、現実的には定期的な管理を求めている人も多いとわかります。
1位 定期的なメンテナンス
- 家屋に住んでいなくても、建物の点検管理と雑草などの掃除は必ずしてほしいと思います(30代 男性)
- 定期的に草刈りなどをして、近所に迷惑がかからないよう管理してほしいです(40代 男性)
- 完全に使わないのであれば、地域の防犯や景観に配慮して最低限の管理を続けてほしいと思います。放置せず、周囲が安心して暮らせるよう責任をもって対応してもらいたいです(50代 女性)
1位は「定期的なメンテナンス」です。
「近所の空き家で困った経験ランキング」の上位には、日々の手入れ不足から生じているものも多くありました。
そのため、草木の手入れや建物の修繕など、定期的なメンテナンスを求める人が多くなっています。
空き家があってもきちんと手入れされていれば、近隣住民の困り事は減らせるのですね。
「自分で手入れできないなら、業者に依頼するなどして対処してほしい」という声も寄せられています。
2位 空き家の更地化
- 長年使われていなくて蔦まみれだし、見通しも悪いから、いらないなら更地にしてほしい(20代 女性)
- とにかく早く取り壊してほしいです。ボロボロの家を放置していても売れないし、誰かが住めるわけでもないし、いいことがひとつもありません。倒壊したり火事になったりして最も困るのは所有者なのだから、責任をもって早く更地にするべきです(30代 女性)
- 更地にしてもらうのが一番安心できます(40代 男性)
2位は「空き家の更地化」でした。
問題の根本的な解消を求めて、更地化を希望する人も多くなっています。
老朽化した建物は「倒壊」や「屋根・外壁の飛散」といったリスクを抱えやすくなりますが、建物がなくなればリスクもなくなります。
建物があることで、不審者の住み着きや放火などのリスクも高まるため、更地化することで防犯上のリスクも減らせると期待できますね。
ただ建物の解体にはまとまった費用がかかります。
そのため一部には「更地化してほしいけど、予算が厳しいのは理解できる」という声もありました。
3位 空き家の売却
- 空き家バンクなどで販売をしてほしい(20代 女性)
- 元々を知っているので、ボロボロになっていくのを見ていくのも辛い。もう使わないのなら、処分なり売却なり考えて行動に移してほしい(40代 女性)
- 早めに売却し次の活用方法を模索するなど(50代 男性)
「空き家の売却」が3位でした。
「使わないなら売ってほしい」「管理できないなら、手放してほしい」という声が多くなっています。
売却すれば、次の所有者が住むなり駐車場化するなりで活用してくれるという期待があるからですね。
使われないまま、十分な管理もされずに放置される状態への問題意識が読み取れます。
所有者が維持・活用できないのであれば、別の人へ引き渡してほしいという考えです。
4位 空き家の入居者探し
- 早めに誰か住んでほしい(30代 男性)
- 物騒な世の中なので、空き家のままにするくらいなら賃貸にするとか、人が住んだほうが安心だなと思いました(40代 女性)
- 賃貸に出すか、親戚の人に住んでもらいたい(50代 男性)
「空き家の入居者探し」が4位に入りました。
「空き家に誰か住んでほしい」「空き家のままにしないでほしい」という考えです。
具体的な方法としては「所有者や親戚が住んでほしい」「賃貸に出してほしい」などがあります。
空き家に誰かが住むことで、換気や掃除といった日々の手入れが自然にできるからですね。
また空き家でなくなることで、防犯上のリスクも少なくなると期待できます。
5位 周辺住民への配慮
- 今はもう空き地になっているので問題ないですが、当時は「一旦話だけでも聞きたい」と思っていました(20代 男性)
- せめて周りに害が及ばないように、策を講じてほしい(40代 男性)
- 町内会長とかに連絡先は伝えておくべき(50代 女性)
5位は「周辺住民への配慮」でした。
空き家の所有者が遠方に住んでいる場合には、どうしても周辺住民とのコミュニケーションが少なくなりがちです。
しかし空き家を管理するにあたり、近くに住んでいる住民への配慮は欠かせません。
具体的には「連絡先を教えてほしい」「今後の方針を教えてほしい」などが挙がりました。
近隣住民が抱く、「所有者の顔や考えがわからない不安」「困り事に対応してもらえるかわからない不安」を軽減したいという意識が読み取れます。
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まとめ
空き家に対する困り事は、「日常生活の送りにくさ」「景観の悪化」「防犯や防災面の不安」など多岐にわたっています。
実際に被害を受けていなくても、何か起こるかもしれないという不安が大きなストレスとなっていることも特徴です。
一方でトラブルを警戒したり対処法がわからなかったりして、問題を感じながらも行動に移せない人も多くいました。
空き家所有者の側から考えてみると、「現時点でクレームなどが入っていなくても、周辺住民は迷惑を被っている可能性がある」とも言えます。
空き家は地域全体の暮らしに影響を及ぼす存在であり、十分な管理が行われていない場合には不安の種に。
「こまめに手入れする」「管理ができないなら手放すことも検討する」など、状況に合わせて管理や活用を進めていくことが求められています。
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