相続した未登記建物の放置は厳禁!必要な手続きを司法書士が易しく解説

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「親の財産を調査していたら登記がされていない不動産が見つかったけど、どうすればいいの?」

ひと昔前は登記手続きも今よりルーズな部分が多く、相続により未登記が発覚するケースは決して珍しくありません。

断言しますが、相続した建物を決して未登記のままで放置してはいけません。

未登記建物を登記しなければ、物件を売却できないばかりか、相続人が10万円以下の過料に処されるおそれがあるからです。

ご安心ください。もちろん、この記事では未登記建物の相続が発生した際に、相続人であるあなたがどう対応すれば良いのか、わかりやすく解説します。

  • 未登記建物を放置してはいけない理由
  • 未登記建物を相続する手順
  • 未登記建物の相続にかかる費用

ちなみに、相続後に未登記建物を活用する気がないのであれば、売却を考えるでしょう。ただ、未登記のままでは、一般個人の買手を見つけることはほぼ不可能です。

よって売主負担で登記手続きの手間や費用を負担し、売り出さなければなりません。相続や登記手続きが面倒であったり、他の相続人と話をまとめられなかったりする方は、専門の不動産買取業者に相談するのが賢明です。

法的な問題を抱えた不動産を専門に取り扱う不動産買取業者なら、未登記建物を未登記のままで買い取ってもらえます。

弊社でも、未登記建物を始めとする訳あり物件を積極的に買い取っております。ご連絡を心よりお待ちしております。

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そもそも未登記建物とは

「未登記建物」と「相続登記未了建物」という二つの言葉が混同されてしまうことがありますが、未登記建物とは、登記簿自体がまだ起こされていない(=一番最初にするべき「表題登記」すらされていない)状態です。

建物登記簿の全体的な仕組みは下記のようになっています。

  • 表題部(建物の物理的現況)
  • 権利部 甲区(所有権や差押えなどの権利)
  • 権利部 乙区(抵当権や根抵当権、賃借権など主に担保権や利用権)

「未登記建物」は表題部すら存在しないのに対し、「相続登記未了建物」は、表題部や甲区が存在するものの、権利部の甲区がいまだに親や祖父母などの名義になっている状態のことであり、両者は全く意味が異なります。

建物が登記されているかの確認方法

では、建物が表題登記されているか(未登記建物ではないか)をどのように確認したらよいのか、その方法を解説します。

未登記建物の最も簡単な確認方法は、「固定資産税通知書」「公課証明書」「不動産課税台帳」などの公的書類を取得することです。これら公的書類は、市区町村役場の「資産税課」で取得できます。

ただし、固定資産税通知書などは、所有者本人もしくは委任状を持つ代理人しか原則として取得できず、相続人が取得する場合は戸籍などで所有者の相続人であることを示す必要があります。

登記済みの建物であれば物件欄を見ると、建物の所在する土地とともに「家屋番号」が振られているのが通常ですが、未登記建物には所在土地の地番は入っていても家屋番号が入っていません。

登記がされていないわけですから当然「表題登記の登記済証、所有権保存登記の権利証も存在しない」ということになります。

また、公的書類を確認する方法の他に、土地の管轄法務局まで出向いて「この土地上に登記された建物が存在するかどうか調べてほしい」と依頼することも可能です。

上記のように建物全体が登記されていないケースもありますが、建物の登記自体は存在するものの、後から増築した部分が反映されていないこともよくあります。

例えば、床面積100㎡で登記されているが、増築して実態は130㎡になっている。増築部分が反映されていないため、建物表題部の登記は昔のままの100㎡になっているといったパターンです。

建物の種類や床面積が異なる場合、表題部の変更をしなくても「相続登記」することが可能ですが、実態を登記簿に反映させるために「表題部の変更登記」を済ませておくのが得策です。

相続時に未登記を放置してはならない

相続の際に未登記建物を発見した場合、そのまま放置してはなりません。

そもそも建物を新築、取得した者には表題登記をする法的義務があり、登記手続きを怠れば過料に処されるおそれがあります。

一つずつ見ていきましょう。

相続人には表題登記申請義務がある

未登記建物を相続した相続人には表題登記を申請する義務があります。

建物を建築したのが親や祖父母であっても、先代が表題登記申請義務を果たしていないのであれば相続人が申請義務を承継しているからです。

不動産登記法第47条(建物の表題登記の申請)
新築した建物又は区分建物以外の表題登記がない建物の所有権を取得した者は、その所有権の取得の日から一月以内に、表題登記を申請しなければならない。(以下省略)

引用元:不動産登記法第47条

なお、相続人が表題登記を行う場合には二つの方法があります。

被相続人(亡くなった人)の名義で表題登記を行う

ひとまず被相続人の名義で表題登記を入れ、その後相続人名義で所有権保存登記を行います。

死者の名義で表題登記をすることに意味があるのか疑問に思う人もいるでしょうが、遺産分割協議(※)が調っていない状況でも、ひとまず被相続人の名義で登記を済ませれば、登記義務を全うできます。

遺産分割協議
被相続人の遺産について法定相続人(民法で定められた範囲の相続人)全員で分配方法を話し合うこと。

その後で遺産分割協議により誰の名義にするかを決定した後、相続すると決まった相続人の名義で所有権保存登記を行えばよいのです。

相続人の名義で表題登記を行う

遺産分割協議がすでに調っているのであれば、いきなり相続人(不動産を受け継ぐ人)の名義で表題登記を行います。

遺産分割協議で相続人名義にするのであれば極力、複数人での共有名義を避け、誰か一人の単独名義にすることをおすすめします。

共有にするとその後の不動産の管理や処分に共有者間の協議が必要になる場合が多くなり、なかなか各共有者の思い通りにできなくなるからです。

表題登記申請義務に違反すれば過料に処される

上記のとおり表題登記を申請することは「義務」となっており、怠れば10万円以下の過料に処されることになっています(不動産登記法第164条)。

ただ、過料が科されるケースというのはさほど多くないのが実態です。

未登記のままでは売れない

表題登記すらない状態の建物は、理論的に売買契約は結べても、買主がダイレクトに表題登記を行うことができないため、まずは登記簿を起こさなければ売買できません。

新築建物を購入した場合は買主から表題登記を行うのが一般的ですが、その場合はあくまでも建物の業者等から「所有権を取得した者」として表題登記の申請権限を持つからです。

買主が表題登記を申請するには、建築確認を取った売主からの「譲渡証明書」を登記申請の際に添付するのが実務です。

しかし、すでに相続されている建物であれば建築した被相続人から買主が直接買い受けたわけではないため、譲渡証明書を発行することができず、そのため買主からの表題登記申請ができないのです。

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放置すると将来の相続人にも影響が

未登記のまま放置した場合、自分たちが死亡した後の相続人にも悪影響を及ぼすことがあります。

年数が経てば経つほど建物を建築した当時の資料が散逸する可能性が高くなるため、誰が建築したのかが不明となり、表題登記の申請義務者がわからなくなります。

事実上、固定資産税を負担していた人が相続人である可能性は高いのですが、必ずしもそうではないこともあります。

何らかのいきさつで法定相続人以外の占有者が固定資産税を払っている状態になっていることもあり、そうなると「本当の所有者は誰なのか?」という最も基本的なところから根拠を探さなくてはならなくなります。

そして、何代も放置すればネズミ算式に人数が増えていて、最終的に誰が承継するべきかを決めること自体が非常に困難になります。

話し合いがまとまらなければ、建物の価値は下がっているのに弁護士を入れて登記のためだけに何百万も費用をかけなければならなくなるリスクもあります。

そのため、とにかく未登記に気付いたらすみやかに登記する方向に動く、というのが原則です。

相続後に未登記建物を解体するなら表題登記は不要

未登記だった建物を相続後に解体するのであれば、わざわざ表題登記を起こす必要はありません。

放置された未登記建物がすでに数十年経過など老朽化しているケースも少なくなく、相続のタイミングで取壊しをする方がよいこともあります。

家屋滅失届を自治体に提出しなければならない

未登記建物を解体した場合、「家屋滅失届」を自治体の「資産税課」など固定資産税を課税する部門に提出します。

たとえ、未登記の建物であっても、役所側は航空写真や現地調査など何らかの形で建物の存在を把握して固定資産税を課税していることがほとんどです。

市区町村が独自に調査するのは、所有者があえて登記しないことによって固定資産税を免れることを防ぐためです。

よって、取り壊した場合にはこの家屋滅失届を出さなくてはずっと固定資産税が課税され続けてしまう状態になるため、忘れず提出するようにしましょう。

未登記建物を相続する手順

未登記建物を相続する手順を説明します。

建物表題登記を自分で申請できるように書いてあるサイトもありますが、一般の人が自分で申請するのは事実上困難です。

現地調査や測量、図面作成といった、知識を持たないと難しい作業がある上に、本人申請だと法務局による現地調査が入るなど面倒なことになる可能性が高いため、専門家である土地家屋調査士に依頼しましょう。

財産調査

確認済証などがとじ込まれたファイルや建物が存在する土地の公図や地積測量図、建物の存在する土地の全部事項証明書(登記簿謄本)などを土地家屋調査士に渡し、状況を調査してもらいます。

上記の通り未登記の建物であっても相続財産になり、相続人から表題登記の申請が可能ですが、古い建物だと一番大変なのが「当時の確認済証などが紛失しており所有者がわからない」ことです。

表題登記の際に「所有権証明書」として確認済証などが必要となりますが、もし見つからない場合には成人2人からの「上申書」を添付するなど、実務的にはイレギュラーな対応が必要となる場合があります。

資料による調査の後、現場での写真撮影や場合によっては測量を行うこともあります。

遺産分割協議

遺産分割協議とは、法定相続人(民法で指定された相続人)全員の間で「遺産のうち不動産は長男、預貯金は次男」などのように配分を決めることです。

遺産分割協議は、たとえ法定相続人の中で行方不明だったり認知症の人がいてもその人を除いて行うことは許されません。

行方不明者がいれば「不在者の財産管理人」を、認知症の人がいれば「成年後見人」を家庭裁判所に選任してもらい、選任された人に本人を代理してもらう必要があります。

遺産分割協議が完了したら、登記や預貯金解約などの場面で使用するため協議内容を書面にします(遺産分割協議書)。

遺産分割協議書の書き方

遺産分割協議書の書き方のポイントを説明します。

被相続人の最後の本籍、最後の住所、相続開始日(死亡日)、遺産分割協議書作成日付、遺産の内容、誰に何を相続させるかなどを記載します。

特に、遺産の内容を特定する際には「誰が読んでも明確にわかりやすく疑義が生じないように記載する」ことが大切です。

遺産分割協議書に不動産を記載する際は「登記された不動産」であれば、登記簿そのままに「所在、家屋番号、種類、構造、床面積」を記載します。

しかし未登記物件の場合、遺産分割協議書には「固定資産税評価証明書に記載された建物の現況や床面積」を記載することになります。

遺産分割協議書には法定相続人全員の実印押印、そして印鑑証明書(協議時点での住所が載っていれば特に期限なし)の添付が必要です。

表題登記

上記の通り、表題登記は土地家屋調査士が専門家として本人を代理することが可能です。

通常の表題登記に必要な書類は以下の通りです。

  • 建物図面
  • 各階平面図
  • 住民票
  • 所有権証明書(確認済証、検査済証など)
  • 土地家屋調査士への委任状

相続人から申請する場合、相続を証する書類として下記が加わります。

  • 被相続人の除籍謄本
  • 相続人全員の戸籍謄本
  • 戸籍の附票
  • 遺産分割協議書(印鑑証明書つき)

確認済証など、本人が所持する書類は土地家屋調査士にそのまま渡します。

戸籍等は士業なら職権で代理取得が可能ですし、委任状は土地家屋調査士の事務所側で作成してもらえます。

所有権保存登記

所有権保存登記は、表題登記の次に来る「甲区」の最初に入る「所有権に関する登記」です。

甲区と乙区、つまり権利に関する登記は司法書士が専門家として本人を代理することが可能です。

  • 住民票
  • 司法書士への委任状

相続人から申請する場合の相続を証する書類は表題登記の場合と同様です。

委任状は司法書士の事務所側で作成してもらえます。

未登記建物の相続にかかる費用

未登記建物の相続時に発生する費用は、合計でおおよそ20~30万円です。内訳をご説明します。

土地家屋調査士の報酬

表題登記でおおよそ10万円くらいが相場ですが、床面積、建物の形状によって通常より価格が上がることもあります。

現在は報酬が自由に設定できることになっているため、各事務所によって設定金額は異なりますが、以前存在した土地家屋調査士会による報酬基準表を目安として設定している事務所が多くなっています。

よって、相場はありますが、事前に見積もりを取ってみることをおすすめします。

司法書士の報酬

所有権保存登記でおおよそ2万円~5万円くらいが相場ですが、こちらも表題登記と同様に、建物の床面積や種類により異なる場合があります。

現在は報酬が自由に設定できること、旧報酬基準に従っている事務所が多いことは土地家屋調査士と同様です。

やはり事前の見積もりを取ることがおすすめですが、土地家屋調査士を決めた時点でそちらと提携している司法書士事務所を紹介されることが多いでしょう。

両士業が連携している方が全体として手続きがスムーズに進行するため、特に急いでいる案件の場合は提携している事務所に依頼することがおすすめです。

登録免許税

表題登記には登録免許税は課せられません。

所有権保存登記は、原則として固定資産税評価額の1000分の4ですが、家屋の使用目的等による軽減措置、軽減要件の細かい定めがありますので依頼先の司法書士の見積もりを確認しましょう。

なお、固定資産税については上記の通り、未登記建物でも役所が航空写真などで存在を把握した上で課税していることがほとんどです。

よって、過去の固定資産税未払い分があるのではないかという心配をする必要はほぼないでしょう。

相続後に活用しない未登記建物は専門の買取業者へ

未登記建物を相続しても活用しないというケースでは、なるべくすみやかに買取業者へ買い取ってもらうのがベストです。

現在、空き家が社会問題となっていますが、複数いる子供が全員地元から離れて自分の家を新築しているため実家を誰も使う予定がない、という家庭は非常に多いものです。

家屋は誰も住まなくなると急速に老朽化するため、何年も放置してから売却するくらいならなるべく早く決断する方がよいことは言うまでもありません。

一般への売却だと時間がかかるケースであっても、積極的に物件買取を行っている不動産業者に対してなら大幅に早く売却手続きが完了します。

特に、土地家屋調査士や司法書士などの関連士業と提携している不動産業者であれば、自分で士業事務所を探す手間もありませんのでなおさらスムーズです。

とにかくすみやかに遺産分割協議を終了させること、そして売却できるかどうかに不安があってもひとまず不動産業者に相談してみることをおすすめします。

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まとめ

この記事では、遺産の中に未登記建物がある場合に、相続人が取るべき対処法をご説明しました。

繰り返しにはなりますが、相続した建物を決して未登記のままで放置してはいけません。

未登記建物を登記しなければ、物件を売却できないばかりか、相続人が10万円以下の過料に処されるおそれがあります。

必ず、土地家屋調査士や司法書士に手続きを委任して、未登記を解消しましょう。

なお、特に活用する予定がなく、売却する前提で未登記建物を相続するという人もいるでしょう。

未登記建物を売却するのであれば、法的に問題を抱えた不動産を取り扱う不動産買取業者に直接売却するのが賢明な判断です。

原則売主負担で行わなければならない未登記建物の登記手続きを、不動産買取業者が全面的にサポートしてくれるからです。

当サイトを運営する「株式会社Albalink」は、未登記であったり、相続人同士で揉めていたりするような不動産でも積極的に買い取っています。

完全無料で査定を承っておりますので、本当に売れるのか知りたいという人は、気兼ねなくご連絡ください。

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相続した未登記建物についてよくある質問

建物表題登記を自分で申請できるように書いてあるサイトもありますが、一般の人が自分で申請するのは事実上困難です。 現地調査や測量、図面作成といった、知識を持たないと難しい作業がある上に、本人申請だと法務局による現地調査が入るなど面倒なことになる可能性が高いため、専門家である土地家屋調査士に依頼しましょう。
相続の際に未登記建物を発見した場合、そのまま放置してはなりません。 そもそも建物を新築、取得した者には表題登記をする法的義務があり、登記手続きを怠れば過料に処されるおそれがあります。 詳しくは、相続時に未登記を放置してはならないをご覧ください。
未登記建物の相続時に発生する費用は、合計でおおよそ20~30万円です。 詳しくは、未登記建物の相続にかかる費用をご覧ください。
監修者
西岡容子司法書士

西岡容子司法書士

プロフィールページへ
熊本にて夫婦で司法書士西岡合同事務所(平成18年4月開設)を営む。
10年以上の実務経験で、不動産関連登記の経験も豊富。現場での経験を活かしてユーザーのためになる確かな記事を執筆中。

日本司法書士会連合会

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