線路沿い物件のメリット・デメリットを理解する
線路沿い物件を高く売るためには、メリットとデメリットを理解したうえで、適切な工夫をする必要があります。
上手にデメリットを解消できる工夫をしてアピールできれば、売却できる可能性が高くなるでしょう。
線路沿い物件のメリット2つ
線路沿い物件には、以下の2つのメリットがあります。
- 特定の人からの人気が高い
- 日当たりが良い
2つとも線路沿い物件ならではの特徴からくるメリットといえるでしょう。
特定の人からの人気が高い
線路沿い物件のメリットとして、限られてはいますが、特定の人から人気があることが挙げられます。
線路沿い物件では、基本的に電車の音がしている時間が多いため、大きな音を出すようなところには向いています。
たとえば、ピアノ教室や音楽スタジオ、ダンス教室などは大きな音がでるため苦情の原因となりやすいですが、線路沿い物件であれば、さほど問題にならないでしょう。
また、一部ではありますが、鉄道ファンにも人気があります。
電車が好きな人にとっては、自宅からいつでも見ることが可能なため、優良な物件といえるでしょう。
ただし、一般の人との割合と比べるとどうしても少なくなるのが実情です。
日当たりが良い
日当たりが良いことも線路沿い物件のメリットといえます。
線路沿い物件は、当然一面は線路に面しており、開けているため、日当たりがいいケースが多いです。
また、線路沿いは周辺に高い建物が少ない傾向にあるため、開放感があり、風通しがいい物件も多いでしょう。
線路の周辺は、電車が安全に運行するためにある程度視界が確保されており、一定のスペースが設けられているからです。
線路沿い物件のデメリット6つ
線路沿い物件はデメリットが多く、代表的なものは以下の6つです。
- 売却の時に安くなりやすい
- 電車の騒音や振動がある
- 電気代が高くなる
- 鉄粉や砂埃が舞うため洗濯物を外に干せない
- プライバシーの問題がある
- 体調不良になる可能性がある
線路沿い物件が売れづらい理由になるため、それぞれ詳しく解説します。
売却の時に安くなりやすい
線路沿い物件は、売却する際に金額が安くなりやすいことが最大のデメリットといっても過言ではありません。
一般的に線路沿い物件は電車の音が気になる人が多く、人気がないため売却相場よりも安くする必要があります。
また、線路沿い物件は、値下げ交渉されやすい傾向にあります。
購入希望者が多ければ、値下げ交渉に応じる必要はありませんが、買い手の候補が少ないため、必然的に交渉に応じる必要があるのです。
値下げ交渉を想定して、売り出し価格をあらかじめ上げておくこともできますが、あまりに相場とあっていない場合は、交渉すらされないため注意しましょう。
電車の騒音や振動がある
線路沿い物件は、電車の騒音や振動があることも大きなデメリットといえます。
地域や周辺環境、線路の本数などによって異なりますが、一般的な線路沿いの部屋では、以下のような騒音があります。
電車が通っているとき | 窓を開けているとき | 65~75デシベル |
---|---|---|
窓を閉めているとき | 55~65デシベル | |
電車が通っていないとき | 窓を開けているとき | 35~45デシベル |
窓を閉めているとき | 30~40デシベル |
デシベルとは、音の大きさを表す単位ですが、あまりピンとこないため、以下の旭川市環境部環境指導課が公表している「音の大きさのめやす」、埼玉県深谷市が公表している「騒音の大きさの目安」と比較してみましょう。
音の大きさ | おおよその目安 |
100デシベル | 電車の通るときのガード下 |
90デシベル | 大声による独唱 工場の中 |
80デシベル | 飛行機の機内 パチンコ店内 |
70デシベル | 掃除機の音 高速走行中の自動車内 |
60デシベル | 普通の会話 走行中の自動車内 |
50デシベル | 家庭用エアコンの室外機(直近) |
40デシベル | 昼間の静かな住宅地 図書館の中 |
30デシベル | 深夜の郊外 鉛筆での執筆音 |
参照元:旭川市役所|音の大きさのめやす
参照元:埼玉県深谷市|騒音の大きさの目安
窓を閉めて電車が通っているときは、55〜65デシベルで普通の会話や走行中の自動車内と同レベルです。
一般的には50デシベルを超えると人はうるさいと感じるといわれているため、55〜65デシベルでは騒音と捉えられるでしょう。
また、物件によっては電車が通過する際の振動も加わるため、住宅として考えるとデメリットといわざるを得ません。
電気代が高くなる
線路沿い物件は、電気代が高くなるデメリットもあります。
上記のように窓を開けると電車の音がうるさいため、風通しがいい物件であっても窓を開けることが難しいでしょう。
たとえば通常の物件であれば、窓を開けておけば室温的に問題のない季節であっても、線路沿い物件は窓を開けられないため、温度調節はエアコンに頼るしかありません。
年間を通して、エアコンを稼働させる期間が長くなるため、必然的に電気代が高くついてしまうでしょう。
鉄粉や砂埃が舞うため洗濯物を外に干せない
洗濯物を外に干せないことも線路沿い物件のデメリットの1つです。
線路沿い物件では電車の通過時に鉄粉や砂埃が舞うため、洗濯物を外に干していると付着してしまいます。
長時間干している場合は、再度洗濯する必要があり、鉄粉や砂埃は洗濯機の故障の原因ともなります。
最近ではドラム式洗濯機や浴室乾燥機で洗濯物を乾燥させる人も増えていますが、電気代がかかり、また、天気のいい日は外で洗濯物を干したい人は一定数いるでしょう。
洗濯物を外に干したい派の人は、線路沿い物件は選択肢に入らないといえます。
プライバシーの問題がある
線路沿い物件は、電車の乗客からの視線が気になることもデメリットとして挙げられます。
一般的に、線路沿い物件では線路側に部屋やバルコニーがあるケースが多いため、通過する電車の中から人に見られてしまいます。
昼間でも常にカーテンをする必要があり、バルコニーでのんびりなんてことも難しいでしょう。
夜は電気をつけると薄いカーテンだとシルエットが目立ってしまうため、プライバシーのことを考慮すると厚手のカーテンにする必要もあります。
プライバシーが気になる人も、線路沿い物件を選ばないでしょう。
体調不良になる可能性がある
線路沿い物件に住むと体調不良になる可能性があることもデメリットとなります。
たとえば、電車通過時の騒音や振動、鉄粉や砂埃などが原因でストレスになり、自律神経が乱れて体調不良になる人もいます。
音や振動の感じ方は人それぞれですが、あわない人にとっては知らないうちにストレスとなり、さらに毎日のことになるため、積み重なって体調不良になってしまうのでしょう。
一般的に音が気になりやすい人は、線路沿い物件は避ける傾向にあります。
線路沿い物件を高く売却するための工夫5つ
線路沿い物件のデメリットを解消できれば、高く売却できる可能性が高くなります。
線路沿い物件を高く売却するための工夫は以下の5つです。
- 吸気口に防音対策をする
- 二重サッシにする
- 防音カーテンにする
- サンルームにする
- 地盤改良工事をする
デメリットを解消するために、どのような対策をすればいいか具体的に解説します。
吸気口に防音対策をする
線路沿い物件を高く売却するための工夫として、吸気口に防音対策をすることが挙げられます。
吸気口は、外とつながっているため、外部からの音が入ってきやすいので、対策すれば騒音の軽減が可能です。
具体的には、防音スリーブと呼ばれる吸音材を吸気口のパイプ(スリーブ)の中に入れることによって、騒音を軽減します。
防音スリーブは、パイプの太さによって異なりますが、1,000円程度の金額でインターネットでも購入できます。
素材自体に滑り止めの効果があるためずれることがなく、パイプに差し込むだけで取付できる手軽な防音対策といえるでしょう。
二重サッシにする
二重サッシにすることも線路沿い物件の防音対策になります。
二重サッシとは、現状の窓にさらにもう1つ窓を追加することで、二重窓や内窓ともいいます。
線路沿い物件でも二重サッシにすることで騒音が軽減され、遮音性能の高いサッシにすれば、さらなる防音効果が期待できるでしょう。
二重サッシにする工事費用は、窓の大きさや性能によって異なりますが、5〜25万円ぐらいが相場です。
また、二重サッシには防音効果だけでなく、断熱効果や結露防止といった効果もあるため、居住者にとってのメリットは大きいでしょう。
ただし、二重サッシは上げ下げ窓、内倒し窓には設置できず、新しい窓を設置するだけの窓枠が必要になります。
防音カーテンにする
線路沿い物件は、防音カーテンを活用することでも防音対策できます。
防音カーテンとは、空気の振動を減らすことで音を防ぐカーテンのことで、遮音タイプと吸音タイプの2種類があります。
防音カーテンの費用は、窓の大きさやカーテンの生地によって大きく異なりますが、以下のような市販されている中でも遮音性能が高いカーテンは一般的なサイズ(100×178)で60,720円(税込)です。
同じサイズの普通のカーテンは安ければ2,000〜3,000円で購入できるため、かなりの価格差といえるでしょう。
ただし、費用対効果が高いものとはいえないため、二重サッシができない窓の防音対策としてであれば、一考の価値はあります。
サンルームにする
ベランダをサンルームにすることも線路沿い物件を高く売却するための工夫の1つです。
サンルームとは、天井や壁がガラス張りで、外部にせり出したスペースのことです。
サンルームであれば、線路沿い物件でも鉄粉や砂埃を回避して、洗濯物を太陽光で乾かせます。
ベランダをサンルームにする工事費用は、広さや使用する材質などによって異なりますが、30〜100万円が目安です。
ただし、ベランダをサンルームにすると定着性・外気遮断性の条件を満たし、家屋の一部とみなされるため、固定資産税の課税対象に含まれます。
固定資産税が高くなってしまうため、設置したときのメリットとのバランスを考慮する必要があるでしょう。
また、ベランダをサンルームにすると家屋の一部とみなされるため、建ぺい率や容積率に注意する必要があります。
建ぺい率とは敷地面積に対する建築面積の割合のことで、容積率は敷地面積に対する延床面積の割合のことです。
サンルームを設置することによって、建築基準法や都市計画法で定められた建ぺい率と容積率をオーバーすると違法建築物になってしまうのです。
入居者にとっては、サンルームがあるメリットは大きいですが、物件の所有者にとっては設置するリスクが大きいため、慎重に検討することをおすすめします。
なお、建ぺい率や容積率については、以下の記事で詳しく解説しています。
地盤改良工事をする
線路沿い物件を高く売却するための工夫として、地盤改良工事をすることも選択肢の1つです。
物件の敷地の地盤調査を行い、軟弱な地盤である場合は地盤改良工事をすれば、振動を軽減できる可能性があります。
通常、地盤改良は建物の基礎部分の真下を改良します。
しかし、建物が建っている状態では、一般的な工法は難しくなるため、薬品注入工法で地盤改良します。
薬品注入工法とは、注入管を用いて、土を固結させる薬液を地盤の中に注入して地盤を改良する工法です。
薬品注入工法による地盤改良の費用は、物件の状態や規模、地盤の軟弱具合によっても異なりますが、30坪程度の通常の住宅で200万円以上かかります。
他の線路沿い物件を高く売却するための工夫よりも高額な費用がかかるため、振動を軽減するメリットとのバランスを考慮する必要があるでしょう。
線路沿い物件を売却する時は告知義務がある
線路沿い物件を売却する場合は、物件特有の注意事項を買主に伝える告知義務があります。
告知義務は、「心理的瑕疵」「物理的瑕疵」「環境的瑕疵」「法的瑕疵」の4つに分類され、買主が契約を決断するにあたり、意思決定を左右する重大なものが該当します。
線路沿い物件における電車の騒音や振動の程度、鉄粉や砂埃の被害などは環境的瑕疵にあたるため、買主に説明する必要があるのです。
仮に上記のような告知事項を故意に説明せずに契約した場合で、あとから発覚したときは、契約不適合責任を問われる可能性があります。
売買契約書に記載がない瑕疵が発覚した場合に買主に負う責任のこと
損害賠償請求をされたり、契約を解除されたりといったリスクがあるため、線路沿い物件を売却する場合は、忘れずに告知しましょう。
なお、不動産の告知事項については、以下の記事で詳しく解説しています。
線路沿い物件を売却する方法
線路沿い物件を売却するには、以下の2つの方法があります。
- 不動産仲介業者へ売却する
- 訳あり不動産の専門買取業者へ売却する
不動産仲介業者へ売却する
線路沿い物件を売却するには、不動産仲介業者へ依頼する方法があります。
不動産仲介業者へ依頼する場合は、市場から一般の買い手を探すことになります。
しかし、一般の買い手は、デメリットによって線路沿い物件を敬遠し、さらに告知義務があるため、売却することは難しいでしょう。
実際に弊社が行ったアンケート調査(下図参照)によると、「物件の内覧時にもっと注意すればよかったこと」について、静かさ・防音対策と回答した人が一番多くなっています。
線路沿い物件などの特徴がある建物は、一般の買い手が敬遠するため、不動産仲介業者に売却を依頼する場合は、売れ残る可能性があることは覚悟する必要があるでしょう。
なお、仲介と買取の違いについては、以下の記事でも詳しく解説していますので、参考にしてください。
訳あり不動産の専門買取業者へ売却する
線路沿い物件などのような訳あり不動産は、専門の買取業者に売却を依頼しましょう。
専門の買取業者であれば、そのままの状態で買い取ってくれるため、余計な費用がかかりません。
また、専門の買取業者に売却するときは、契約不適合責任を免責できます。
契約不適合責任はそもそも一般消費者を守るためのものなので、不動産のプロである専門の買取業者は、免責して契約することが可能なのです。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)は、一般の買い手から敬遠される線路沿い物件であっても契約不適合責任を免責して積極的に買い取っている買取業者です。
訳あり不動産を専門に取り扱う弊社であれば、不動産仲介業者で売却できない物件をスピーディーに、高額で買い取っています。
その結果、多くのお客様から感謝のお言葉をいただいております(下記Googleの口コミ参照)。
また、弊社はお客様から高い評価をいただいているだけでなく、「上場している不動産買取業者」として、社会的信用も得られていると自負しています。
査定依頼をいただいても、無理な営業は行いませんので、ぜひ一度弊社の無料買取査定をご利用ください。
一括査定サイトはおすすめしない
不動産一括査定サイトとは、物件の情報を一度入力すると、複数の不動産会社から査定してもらえるサービスです。
少ない労力で査定価格を比較でき、一見便利なサービスですが、複数の不動産会社から対応しきれないほど大量の電話がかかってくる可能性があります。
また、不動産一括サイトでは査定を依頼する不動産会社を選べないものもあるため、名前を聞いたこともない業者から電話がかかってくることもあるでしょう。
物件やエリアにマッチングした不動産会社から連絡が来るわけではないので、不動産一括査定サイトはおすすめできるサービスとはいえません。
まとめ
今回は、線路沿い物件について詳しく解説しました。
線路沿い物件のデメリットを上手に解消できる対策を行えば、高く売却できる可能性はありますが、時間と費用がかかります。
できるだけ早く線路沿い物件を売りたい場合は、専門の買取業者に売却しましょう。
専門の買取業者であれば、線路沿い物件をそのままの状態で1週間〜1ヶ月ほどで現金化できます。
なお、弊社アルバリンクは線路沿い物件などの訳あり不動産を積極的に買い取っている業者で、「フジテレビ」を始めとする各メディアにも取り上げられた実績があります。
線路沿い物件を手放したくてお困りの方は、査定のみ、相談のみのお問い合わせでも受け付けておりますので、お気軽にご相談ください。