自分名義の家に無償で兄弟が住む行為は「使用貸借」に該当
自分名義の家に兄弟が無償で住む場合、それは民法上の「使用貸借」という契約に該当します。
使用貸借とは、借りた物を無償で使い、その後返すという契約です。
親族間のような特別な関係性において、賃料が発生しない場合に多く見られます。
しかし、使用貸借は、当事者間で明確な取り決めがないことが多く、後々トラブルに発展する可能性があります。
たとえば、家の修繕費用をどちらが負担するのか、いつまでに退去してもらう必要があるのかなどが曖昧になりがちです。
親しい間柄であっても、将来的なトラブルを避けるためには、使用貸借契約の内容を明確にした契約書を作成しておくことが重要です。
使用期間や修繕費用の負担などを具体的に定めることで、お互いの権利と義務が明確となり、良好な関係を保てるでしょう。
自分名義の家に兄弟が住む4つのリスク
兄弟に自分名義の家を貸していることで起こりうるリスクは4つあります。
返してもらえない可能性がある
自分名義の家に兄弟を無償で住まわせる「使用貸借」契約は、貸主からの一方的な都合で簡単に解除することが難しいというリスクがあります。
たとえ家の所有者が「家を返してほしい」と思っても、借りている兄弟にその意思がなければ、立ち退きを求めることが非常に困難になるケースがあります。
これは、民法上の使用貸借の性質によるものです。
当事者が使用貸借の期間を定めなかった場合において、使用及び収益の目的を定めたときは、使用貸借は、借主がその目的に従い使用及び収益を終えることによって終了する。
さらに、もし所有者が亡くなった場合でも、使用貸借契約は相続人に引き継がれるため、あなたの子供たちが兄弟との間で家の明け渡しを巡るトラブルに巻き込まれてしまう最悪の事態も起こり得ます。
リスクを回避し、将来スムーズに家を返してもらうためには、事前に使用期間を具体的に定めた契約書をきちんと作成しておくことが非常に重要です。
時効取得される恐れがある
自分の不動産であっても、兄弟が長年にわたってその家に「自分のものだという意思をもって居住し続けた場合」、所有権を奪われてしまう可能性があります。
これは民法第162条に規定されている「時効取得」の制度で、他人の不動産を20年間、平穏かつ公然と専有した場合、その不動産の所有権を取得できると定められています。
時効取得を避けるためには、兄弟の居住が「無償で貸しているだけである」と第三者に明確に示すことが重要です。
契約書を作成し、使用貸借であることを記録として残しておくことで、時効取得を防ぐことができます。
時効取得については、以下の記事で詳しく解説しています。

売却できない
自分名義の家に兄弟が住んでいる場合、その家を自由に売却することができないという大きな制約が生じます。
なぜなら、買主は通常、誰も住んでいない自由に使える状態の物件を求めるからです。
兄弟が住んでいる状態では、買主は購入後に立ち退き交渉を行う必要が生じ、そのような手間やリスクを避けたいと考えるのが一般的です。
兄弟が住んでいる家を売却するためには、まず兄弟に家から出て行ってもらう必要があります。
しかし、前述の通り、使用貸借契約においては貸主側からの一方的な解除が難しいため、兄弟との間で円満な話し合いによる合意形成が求められます。
もし、兄弟が立ち退きに同意しない場合、法的な手続きが必要になる可能性もあり、時間や費用がかかるだけでなく、兄弟関係にも亀裂が生じかねません。
また、立ち退きに応じてもらうためには、立ち退き料の支払いを検討する必要も出てくる場合があります。
「自分名義の家に兄弟が住んでいる」という状況は、いざ売却したいときに大きな障壁となります。
「将来的に売却する可能性も視野に入れている」のであれば、最初から無償で住まわせるのではなく、賃貸借契約を結ぶ、あるいは明確な期限付きの使用貸借契約とするなど、売却時のリスクを考慮した対応を検討するべきでしょう。
「自分名義の家に兄弟が住んでいて売却できない」場合は、アルバリンクまでご相談ください。
弊社は弁護士と連携している専門の買取業者であり、法的なトラブルを解決したうえで買い取ることが可能です。
立ち退き交渉も含めて弊社にお任せいただけますので、まずはお気軽にお問い合わせください。
>>【兄弟が住む自分名義の家を高額売却!】無料の買取査定を依頼
なお、立ち退き交渉の流れについては、以下の記事で詳しく解説しています。

経費として計上できない
もし、自分名義のアパートや戸建ての一部を兄弟に無償で貸している場合、その部分に関して発生する管理費・修繕費・固定資産税等は経費として計上できません。
所得税の計算において、不動産賃貸にかかる経費は、基本的に収入と直接関係のある支出のみが対象となります。
無償貸与している部分にかかる費用は、自宅と同じ扱いとなり、節税効果が見込めないというデメリットがあるのです。
これを避けるためには、相場に近い金額で賃貸借契約を締結し、実際に賃料を受け取る運用に切り替えるのが有効です。
自分名義の家に兄弟が住むときに起こり得るトラブル対策3選
自分名義の不動産に兄弟が無償で住んでいる場合、親族間の信頼関係があるとはいえ、将来的なトラブルが発生するリスクは否めません。
とくに、所有権や契約上の権利が曖昧なまま放置していると、返還トラブルや時効取得、売却不能など深刻な問題に発展することもあります。
そこで重要なのが、事前に法的な対策を講じておくことです。
ここでは、自分名義の家に兄弟が住んでいるときに起こる可能性のあるトラブルを未然に防ぐための対策を3つご紹介します。
契約書を作成する
自分名義の家に兄弟が無償で住んでいる場合、将来的なトラブルを避けるために契約書の作成は非常に重要です。
口約束だけでは、認識の齟齬が生じやすく、いざという時の法的根拠にもなりません。
契約書を作成することで、使用期間、修繕費用の負担、退去条件などを明確に定めることができます。
無償での貸し出しである「使用貸借契約」であることを明記するのはもちろん、将来的に返却を求める可能性があるならば、明確な期間を設定した契約とすることが望ましいでしょう。
また、賃貸借契約を結ぶという選択肢もあります。
その際には、契約期間が定められている「定期借家契約」にすることで、期間満了後の明け渡しをスムーズに行うことが可能です。
さらに、契約書に即決和解条項を盛り込んでおくと、紛争が生じた際に裁判を経ずに解決できる可能性が高まります。
訴訟を起こす前に簡易裁判所に和解の申立てを行い、当事者双方が合意した内容を裁判所が確認し、和解調書に記載することで、判決と同等の効力を有する条項のこと
親しい間柄であっても、書面による契約は、お互いの権利と義務を明確にし、良好な関係を維持するために不可欠な手段といえるでしょう。
なお、家を貸すときの契約形態や注意点については以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。

弁護士に相談する
自分名義の家に兄弟が住む状況で、居住を巡ってトラブルが発生した場合、できる限り早く弁護士に相談することが大切です。
感情的な対立が激化したり、法的な権利関係が複雑になったりすると、当事者間での解決は困難になることが少なくありません。
弁護士は、法的な専門知識に基づき、個々の状況を冷静に分析し、トラブルを解決するための適切なアドバイスを提供してくれます。
使用貸借契約や立ち退きに関する法的な解釈、取るべき手続き、交渉の進め方など、具体的な解決策を示してくれるでしょう。
早期に弁護士に相談することで、事態が深刻化するのを防ぎ、法的なリスクを最小限に抑えることができます。
また、専門家の客観的な視点からのアドバイスは、感情的な負担を軽減し、冷静な判断をする助けとなります。
円満な解決を目指すためには、躊躇せずに弁護士に相談することが重要です。
なお、自分名義の家に住む兄弟が家賃を支払ってくれないとお悩みの方は、以下の記事をご参照ください。

専門の買取業者に売却する
自分名義の家に兄弟が住んでいる場合、その家を売却するには、まず兄弟に立ち退いてもらう必要があります。
そのため、一般的な不動産業者に相談しても、買主が見つかりにくく、売却を断られるケースも少なくありません。
しかし、専門の買取業者は、このような立ち退きが必要な物件や、法的なトラブルを抱える物件でも、積極的な買い取りが可能です。
専門の買取業者は、立ち退き交渉に関する専門知識や経験を持っており、弁護士などの専門家と連携しながら、スムーズな解決を図ることができます。
また、買取業者が直接買い取るため、仲介業者に買主を探してもらう場合に比べて、売却までの期間を大幅に短縮できるメリットもあります。
もし、「兄弟が住んでいて売却が進まない」とお悩みの場合は、専門の買取業者に相談することで、現状を打開し、スムーズな売却へと繋げられるでしょう。
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、全国の訳あり物件を積極的に買い取っている専門の買取業者です。
買い取った物件の活用ノウハウを豊富に持ち合わせているだけでなく、弁護士とも連携しているため、立ち退きトラブルのある家でも適正価格で買い取ることが可能です。
フジテレビの「newsイット!」をはじめ、多くのメディアにも「訳あり物件専門の買取業者」として紹介された実績もあります。
「自分名義の家を売りたいのに兄弟が出て行ってくれなくて困っている」とお悩みの方は、まずは一度お気軽にご相談ください。
>>【兄弟が住む自分名義の家を高額売却!】無料の買取査定を依頼
まとめ
自分名義の家に兄弟を無償で住まわせる行為は、「使用貸借」という扱いになり、返却を求めにくくなる可能性や、時効取得、売却時の制約、税金面での不利など、さまざまなリスクが伴います。
これらのトラブルを未然に防ぐためには、親しい間柄であっても、契約書を作成し、使用期間や条件を明確にすることが重要です。
既にトラブルが発生している場合は、早期に弁護士に相談し、法的なアドバイスを受けることが賢明な選択といえるでしょう。
また、売却を検討しているものの、兄弟が居住しているために困難な場合は、専門の買取業者に相談することも有効な手段です。
専門業者は、複雑な状況にも対応できるノウハウを持っており、スムーズな売却をサポートしてくれます。
自分名義の家に兄弟が住んでいて売却にお困りの際は、アルバリンクまでご相談ください。
弊社は弁護士と連携しており、法的な問題を解決しながら立ち退き交渉を含めた買取が可能です。
安易な無償提供はリスクを伴うため、適切な契約締結と、状況に応じた専門家への相談が、将来的なトラブル回避とスムーズな問題解決に繋がります。
まずは、無料査定からお気軽にお問合せください。