市街化調整区域とは
市街化調整区域は都市計画法第7条第3項で市街化を抑制する地域として定められている地域で、各都道府県が区域を指定しています。
市街化調整区域を設定する目的は、無秩序な都市化によって農地や林野がなくなることを防止するためです。
市街化調整区域の多くは、都市部の市街地から離れた郊外や農地が広がるエリアに存在しています。
市街化調整区域内での開発や建築には多くの規制がありますが、近年は緩和傾向の自治体も増えているようです。
コンビニやガソリンスタンドなど、有益な施設の開発が認められる場合もあります。
市街化区域
市街化調整区域とは反対の意味を持っているのが「市街化区域」です。
市街化区域は、すでに商業施設や住宅街の開発といった市街化が形成されているエリア、もしくは今後10年以内に優先的に促進していく地域を指します。
非線引き区域
市街化調整区域にも市街化区域にも区分されていないのが、「非線引き区域」です。
都市計画に含まれ、将来的には市街化を想定されているエリアで、まだ計画の方向性が決まっていないという区域です。
市街化調整区域は開発や建築が制限される
市街化調整区域は、原則的に開発行為や施設・住宅などの建築ができない区域です。
たとえ土地の所有者であっても、住宅の新築・増築・建て替えなどを自由におこなうことはできません。
市街化調整区域内でも建築が認められているものの一例は、農林業に必要な建物や従事者の住宅や宿舎、都道府県と企業が連携しておこなう事業に関わる建物や施設、病院や社会福祉施設など、既居住者の利益になる建物などが該当します。
市街化区域で建築をするには
市街化調整区域は、住宅の建て方や規模など特定の条件をクリアしていれば建築が認められるケースもあり、条件は自治体によって異なります。
「市街化調整区域だから絶対に住宅が建てられない!」というわけではないのです。
市街化調整区域内に建物を建てるには、都市計画法第43条の許可を得る必要があります。
まずは、土地の所在地を管轄する自治体で、どのような方法で許可を受けられるか相談をしましょう。
都市計画法43条に該当する建物と認められた場合は「開発許可【青森県】」がおり、「建築確認申請」を提出・受理後に建物を建てることができます。
市街化調整区域は市場価値が低い
土地の利用に制限があることから、市街化調整区域の土地は同じエリアの一般的な土地と比較すると、市場での価値は低くなります。
そのため、市街化区域の土地よりも格段に割安で購入ができます。
土地の評価額も低いため、固定資産税の負担も少なくてすみます。
なお、市街化調整区域にある土地には都市計画税は課されません。
都市計画税がかからないエリアについては、以下の記事で詳しく解説しています。
市街化調整区域にある土地が売れない理由
市街化調整区域の土地を売却するとなると、買い手を探すのは難しいのが現実です。
売りにくくなる理由の一つは、お伝えしてきたように建築に制限がある点でしょう。
しかし、そのほかにも売れない理由があるのです。
インフラ整備が整っていないため
そもそも市街化調整区域は住宅用地としては考えられていない地域なので、行政は下水道や電気などのインフラ整備を積極的にはおこないません。
下水道整備がなければ、浄化槽を使うことになります。
このように、建築許可がおりて家を建てられても、不便な生活をしなければならない可能性もあるでしょう。
住宅を建てる土地のインフラが整っていなければ、自己負担で敷設しなければなりません。
そのため余分な施工費がかかり、市街化調整区域内で安い土地を購入しても、市街地の土地よりも割高になってしまうこともあるのです。
周囲に施設がなく生活利便が悪い
市街化区域があるエリアは東京都でいえば多摩エリアの一部のように、郊外で田畑が広がり自然が残っているような地域です。
都市化を抑制しているため、周辺には商業施設などが充実していません。
居住地に生活利便を求めるのが一般的なため、市街化調整区域の土地は住宅地としては敬遠する人が少なくないのです。
住宅ローンが利用できない可能性もある
市街化調整区域の土地を購入する際、住宅ローンが適用にならないこともあります。
土地の担保価値が低いため、金融機関は融資をしない場合もあるからです。
住宅ローンを借りられたとしても担保価値が低い物件は、借入れできる割合が少なくなることも多いのです。
市街化調整区域の土地を購入するのであれば、少なくても物件価格の2割以上の自己資金を準備しておくことをおすすめします。
市街化調整区域にある土地の活用方法
市街化調整区域の土地は建築の制限が多いので、建物を必要とする土地活用は初期費用や手間が必要ですが、建物を建てずにできる活用法なら気軽にできるものもあります。
では具体的な例をみていきましょう。
駐車場として活用する
建物を建てる必要がない駐車場は、市街化調整区域の土地でも施工は可能です。
未舗装のまま区画をロープで区切る方法なら、ロープや固定ペグを購入し自分でおこなうこともできるため施工費用はほとんどかかりません。
しかし、地面が荒れていて整地が必要な場合は業者に依頼が必要です。
掘削や残土処理、砕石をおこなう費用は1㎡当たり1,200円程度になります。
アスファルト舗装をする場合は、1㎡当たり5,000円からが相場です。
どちらにしても初期投資はそれほどかからないのが駐車場経営のメリットです。
まずは周辺の状況をリサーチして、駐車場の需要が見込めるかよく検討してみましょう。
資材置き場にする
木材、薪、鉄鋼など、資材の置き場を必要としている業者に土地を貸し出す方法です。
市街化調整区域の土地活用としては最も手間や費用がかからず、気軽に始めることができます。
土地の所有者は、運営や管理を一切することなく定期的な利益が得られるため、土地をただ眠らせているよりも有益といえます。
資材置き場の賃料は比較的安く設定するのが一般的で大きな収益は期待できませんが、固定資産税分がカバーできるようなら十分検討する価値があります。
太陽光発電を設置する
電線が整備されていいて日照が確保できる土地であれば、ソーラー(太陽光発電)の経営に利用する方法があります。
駐車場のように周辺のニーズや集客に関係なく、安定的な収入と利回りが期待できます。
ただ、ソーラーパネルを設置するための初期投資は数百万円以上と高額です。
そのほか、システムの点検や除草などの維持管理費もかかってきます。
「売電収入がどのくらい見込めるか」「初期費用は何年で回収ができるか」など、慎重な精査は必要です。
農地レンタル
近年、首都圏のファミリー層などに人気がある、「貸し農園」や「体験農場」の開園も市街化調整区域の土地活用の一つです。
レジャーを兼ねて郊外の田畑に出かけ、気軽に野菜や果物の耕作・収穫を楽しみたい人に区画貸しをします。
そのほかにも、入園料をもらい農園体験を提供するスタイルもあります。
ただし、区画貸しをする場合は自治体の承認が必要です。
市街化調整区域の土地売却時のチェックポイント
市街化区域の土地を売却したい場合は、売却前にチェックしておくべき項目があります。
自治体で定めた区域指定を確認する
市街化調整区域の土地でも「区域指定」されている場合は、開発が許可されている土地ということになります。
建築許可申請をおこなえば住宅が建てられます。
区域指定の条件は各自治体によって異なり、「数十メートルの間隔で住宅が40~50棟以上集まっている」「上下水道が整備されている」など、さまざまです。
区域指定されている土地であれば売却はしやすくなります。
土地の「地目」を確認する
売却をする際、土地の「地目」は重要なポイントになります。
一般的な住宅用地の場合、地目は「宅地」となっていますが市街化調整区域の土地は、地目が「田」・「畑」など農地であることが多いのです。
この場合、農業以外で土地の利用をすることができません。
農地を住宅用地として活用するには、農地法に基づいた「転用許可」が必要です。
各市町村の農業委員会へ申請し許可をもらわなければ住宅は建てられないのです。
建て替えができるか確認する
市街化調整区域の線引きがおこなわれたのは1970年頃が多く、線引き前に建築された住宅は、「同じ敷地で、延べ床面積が現状の1.5倍まで」という条件のもと、許可申請不要で建て替えが可能です。
しかし、線引き後に建てられた住宅は、「所有者の相続人・近親者であれば建て替えに許可はいらないが、第三者が購入して建て替える場合は建築許可が必要」といった厳しい制限があります。
売却前にあらかじめ建築年月日を確認しておくようにしましょう。
市街化調整区域の土地のニーズは?
住宅用地を探している人にとっては市街化調整区域の土地はデメリットでしかありませんが、市街化調整区域の土地に利用価値を持っている人もいます。
そうしたニーズのある人たちをターゲットに売却をおこなう方法が賢明でしょう。
農家や農業関係者
農地の場合は、「作物を増やすので農地を広げたい」という個人の農家や、「大規模農業を計画している」「農業施設を建設したい」という農業関係者や企業など、現況のまま使いたい人に売却するのが手っ取り早い方法です。
農産物の加工や貯蔵に必要な施設や建物は、一定の条件をクリアすれば開発許可が得られるので、農産物を扱う業者などもターゲットになるでしょう。
また、農業従事者が住居を建てる場合は開発許可が要らないため、市街価値調整区域の土地でも問題はないのです。
周辺企業の事業主
近隣の企業に需要があるケースも少なくありません。
「業務用の広い駐車スペースが欲しい」「倉庫を建てたい」など、市街化調整区域は割安で土地購入できるため、広い事業用地を求める事業主には最適です。
隣地の所有者
売却したい土地と接している隣地所有者に、土地を売却する意思を伝えてみるのもいいでしょう。
家庭菜園や駐車スペース拡大などの目的で土地を広げたいと考えている例はよくあることです。
タイミングが合えば話もまとまりやすいので、有力な購入候補者となります。
なお、市街化調整区域にある土地を売却する方法は以下の記事でも詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。
売却が難しいときには買取りを検討
市街化調整区域の土地を一般のユーザーに売却するのは、土地の特性上そう簡単ではありません。
一般的な不動産仲介業者に依頼をしても長期間買い手が見つからず、販売価格をどんどん下げられてしまうケースもあります。
市街化調整区域の土地売却に不安を感じたら、専門の買取り業者に買取ってもらう方法を検討しましょう。
業者買取りなら一般の買い手を探す必要がないので、早期に売却ができます。
市街化調整区域の物件を扱う実績が多い買取り業者なら、適正価格で買取ってもらえるので安心です。
まず、専門の業者に物件の相談をしてみることをおすすめします。
弊社AlbaLink(アルバリンク)でも、全国の市街化調整区域にある土地の買取に対応しております。
市街化調整区域にある土地がいくらで売れるのかが知りたい方は、お気軽に無料査定をご活用ください。
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まとめ
市街化調整区域にある土地は、原則的に建物が建てられない、もしくは多くの制限やクリアすべき条件がある少々面倒な物件です。
そのため売却したいと考えても、買い手は見つかりにくい点に注意しましょう。
ただし市街化調整区域にある土地でも、区域指定されていたり、線引き前に建築された住宅があったりする場合には新築が可能なので、より売りやすくなります。
売却前に自分が所有している土地がどのような状態にあるのかは、しっかりと確認しておきたいところです。
なお、市街化調整区域にある土地でも、専門の買取業者に依頼すると短期間で売却が可能です。
専門の買取業者は市街化調整区域にある土地を活用して収益を上げる独自のノウハウを持っているためです。
弊社AlbaLink(アルバリンク)でも、市街化調整区域にある土地を積極的に買い取っております。
過去には、一般の不動産業者が取り扱わない訳あり物件専門の買取業者としてフジテレビの「newsイット!」にも紹介されました。
市街化調整区域にある土地をできる限り早く売却したいとお考えの方は、ぜひ弊社までお気軽にご相談ください。