農地の種類によって売買価格は変動する
じつは農地の価格は、以下のどちらのエリアに所在しているかによって大きく異なります。
- 農業振興地域
- 純農業地域と都市的農業地域
地域によって農地の資産価値は変わってくるので、それぞれのエリアの概要と売買価格の違いを押さえておきましょう。
ここでは、売買価格に影響を与える農地の種類について解説します。
農業振興地域
農業振興地域とは、農業を発展させるために都道府県が指定しているエリアのことです。その中でも、市町村が約10年にわたって農用地として利用すべき土地として設定した区域を「農用地区域」といいます。
農用地区域に設定される要件は、以下の5つです。
- 10ha以上の集団的農用地
- 農業生産基盤整備事業の対象地
- 農道、用排水路等の土地改良施設用地
- 2ha以上の農業用施設用地
- その他農業振興を図るために必要な土地
参照元:農林水産省「農業振興地域制度の概要」
農業振興地域が設定されているのは、日本の食糧自給率が低下しているためです。農地から宅地への転用、耕作放棄などによって日本の農地面積が年々減少する中、優良な農地を確保して農業の発展を促そうとしているわけです。
そのため、農用区域内にある農地は原則宅地など他の用途への転用が認められることはありません。買い手が農業従事者に限られることから売却しにくく、次にご紹介する「純農業地域と都市的農業地域」内にある農地よりも価格は安くなる傾向にあります。
純農業地域と都市的農業地域
純農業地域とは、都市計画法によって市街化区域と市街化調整区域との区分がなされていない市町村における農用地区域の農地を指します。都市部から遠く離れた農村をイメージすると分かりやすいでしょう。
それに対して、市街化区域と市街化調整区域との線引きが行われている市町村において、市街化調整区域内に位置する農用地区域の農地が都市的農業地域です。都市部周辺から農村部までが該当します。
純農業地域と比較すると、市街地周辺に近い都市的農業地域では宅地への転用が認められやすい傾向にあります。そのため、農地価格は純農業地域よりも都市的農業地域のほうが高い点が特徴です。
また地域によって異なるものの、基本的には畑よりも田んぼのほうが価格が高い点も特徴のひとつです。
なお、一般的な土地の場合には交通アクセスのよさや周辺環境などが価格に大きな影響を及ぼしますが、農地の場合には以下の条件を満たすほど売買価格が高くなる傾向にあります。
- 日当たりがよい
- 年間雨量が多い
- 土の状態がよい
- 排水路の整備状況がよい
- 周辺道路が整備されていてトラクターなどが利用しやすい・
農地の売買価格を調べる方法
農地価格の計算方法には、以下の2種類があります。
- 宅地比準方式
- 倍率方式
宅地比準方式は宅地としての開発ができる農地価格の算出時に用いられる計算方法で、計算式は以下の通りです。
宅地であるとした場合の1㎡あたりの価格は路線価のことで、国税庁のサイト「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」で確認可能です。路線価が設定されていないエリアでは、該当の農地にもっとも近く、形状などが似ている宅地の評価額をもとに計算します。
1㎡あたりの造成費は整地や土盛りなどに費用な金額のことで、路線価同様、上記サイトで確認可能です。たとえば、東京都の場合は以下のように定められています。
工事費目 | 金額 |
---|---|
整地費 | 1㎡800円 |
伐採・抜根費 | 1㎡1000円 |
地盤改良費 | 1㎡1,800円 |
土盛り費 | 1㎥7,400円 |
土留め費 | 1㎡7万7,900円 |
一方、宅地比準方式が適用される農地以外のエリアでは倍率方式が用いられます。倍率方式による計算式は以下の通りです。
固定資産税評価額は各市町村が個別に定めている不動産の基準価格のことで、固定資産税などを算出する際に用います。毎年度の初めに市町村から送付されてくる固定資産税納税通知書か、市町村窓口で固定資産課税台帳を閲覧することで確認可能です。
また、評価倍率とは路線価が定められていない地域の土地を評価すべく、固定資産税評価額に乗じる一定の倍率を指します。評価倍率は国税庁のサイト「財産評価基準書路線価図・評価倍率表」で確認可能です。
農地価格の目安は宅地比準方式・倍率方式のいずれかを用いることで求められますが、計算方法は複雑であり、不動産に詳しい方が算出するのは難しいといわざるを得ません。
そのため、所有している農地がどのくらいの価格で売れるのかを知りたい場合には、不動産業者に査定を依頼して算出してもらうことをおすすめします。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)でも農地の無料査定を行っております。所有している農地の売却価格の目安を知りたい方はぜひお気軽にお問い合わせください。
全国平均の農地売買価格
一般社団法人全国農業会議所の「田畑売買価格等に関する調査結果」によると、近5年における全国の農地価格の推移は以下の通りです。なお、価格は1,000㎡あたりのものです。
年 | 純農業地域 | 純農業地域 | ||
---|---|---|---|---|
中田価格 | 中畑価格 | 中田価格 | 中畑価格 | |
平成30年 | 118万2,000円 | 87万2,000円 | 317万6,000円 | 304万7,000円 |
令和元年 | 116万5,000円 | 86万1,000円 | 308万7,000円 | 295万1,000円 |
令和2年 | 113万3,000円 | 83万8,000円 | 305万8,000円 | 293万4,000円 |
令和3年 | 111万2,000円 | 82万5,000円 | 295万7,000円 | 284万6,000円 |
令和4年 | 108万3,000円 | 80万2,000円 | 287万9,000円 | 275万4,000円 |
じつは全国の農地価格は、純農業地域で28年連続、都市的農業地域で30年連続下落しているのが現状です。農地価格が下落している理由については、後述の「農地の価格は年々下落している」の項目で詳しく解説します。
続いて都道府県別の農地の平均価格を見ていきましょう。
都道府県別の平均売買価格
同じく一般社団法人全国農業会議所の「田畑売買価格等に関する調査結果」によると、ブロック別の純農業地域の農地平均価格(令和4年)と前年からの増減率は以下の通りです。
ブロック | 中田 | 中畑 | ||
---|---|---|---|---|
平均価格 | 下落率 | 平均価格 | 下落率 | |
北海道 | 24万円 | -0.8% | 11万6,000円 | -0.4% |
東北 | 50万6,000円 | -2.3% | 30万4,000円 | -1.6% |
関東 | 139万8,000円 | -0.5% | 152万1,000円 | -0.5% |
東海 | 204万6,000円 | -3.3% | 181万9,000円 | -3.1% |
北信越 | 128万3,000円 | -1.5% | 88万2,000円 | -1.1% |
近畿 | 181万円 | -0.3% | 130万円 | -0.1% |
中国 | 67万7,000円 | -0.4% | 40万1,000円 | -0.4% |
四国 | 164万2,000円 | -1.1% | 92万円 | -1.3% |
九州 | 77万8,000円 | -1.7% | 54万3,000円 | -1.7% |
沖縄 | 86万2,000円 | -0.7% | 123万6,000円 | -2.7% |
上記表を見ると、全国どのブロックにおいても農地価格が下落している様子が見て取れるでしょう。とくに下落率の幅が大きかったのは、東海地方と東北地方です。
農地の価格が下落している理由は次の項目で詳しく解説しますが、年々農地価格が下がっている状況を踏まえると、農地の売却を検討しているのであれば相場が下がる前に早めに行動することが重要といえるでしょう。
農地の価格は年々下落している
前述のように、全国の農地価格は約30年にわたって下落を続けています。その理由として考えられるのは、以下の2つです。
- 農業を始めようという人が少なくなっているため
- 生産緑地の「2022年問題」により供給過多になっている
ここでは、農地価格が下落している2つの理由について解説します。
農業を始めようという人が少なくなっているため
農地価格が下落しているひとつ目の理由は、農業の担い手・働き手が減少しているためです。
農林水産省の「農業労働力に関する統計」によると、平成27年に175万7,000人にいた農業従事者数は、令和4年には約30%減の122万6,000人となっています。新規就農者も平成27年の6万5,000人に対して、令和4年には4万5,800人にまで減少しています。そのほか、少子高齢化に伴って後継者問題に悩む農業従事者も少なくありません。
これから農業を始めたいと考えている方の割合が少ない点は、農地の買い手が減少していることを意味します。農地を売りたいと考える方よりも農地を買いたいと考える方が少ないと、農地が余るので市場価格は当然下がります。
一般社団法人全国農業会議所の「田畑売買価格等に関する調査結果」でも、農地の価格が下がっている理由の第1位は「農地の買い手が少ない」でした。農業への先行きの不安から農業従事者数は減っていくと予測されており、今後も農地価格が下落を続けていく可能性は高いといえるでしょう。
生産緑地の「2022年問題」により供給過多になっている
生産緑地とは1992年の改正生産緑地法によって指定を受けた市街化区域内の農地のことで、30年の営農を条件として固定資産税の軽減措置を受けられるメリットがあります。2022年には生産緑地の指定が一斉に解除されることから、土地が供給過多となって地価の下落を引き起こすのではないかと話題を集めました。これを「生産緑地の2022年問題」といいます。
実際には国が税制優遇措置の10年間の延長という「特定生産緑地制度」を実施したこともあり、生産緑地の所有者の89.3%が生産緑地の期間延長を選択しています(国土交通省「特定生産緑地の指定状況」による)。
ただし約1割の方が指定の解除を望んでおり、一部の生産緑地が市場に流通しているのも事実です。その結果、ただでさえ買い手の少ない農地が供給過多に陥り、価格の下落を引き起こしているのが現状です。
農地の売却は専門の不動産業者に相談しましょう
ここまで解説してきたように、農業従事者の数が減少の一途をたどっている中、農地の需要も年々低くなってきています。農地を売却したいと考えても、一般の個人の方には売却できない可能性は高いでしょう。農地を宅地に転用すれば売却できる確率は上がりますが、必ずしも転用許可が下りるわけではない点に注意が必要です。
しかし、このように一般の方には売却しにくい農地であっても、農地を専門としている不動産買取業者に依頼すれば問題なく買い取ってもらえます。専門の不動産買取業者には農地を宅地へ転用して活用するノウハウがあるためです。どのような農地であっても収益化できることから、適正な価格で買い取ってもらえる点も特徴です。
農地を専門の不動産買取業者に売却するメリットには、主に以下の3つがあります。
- 仲介手数料なし
- スピーディに決済完了
- 契約不適合責任なし
一般の不動産仲介業者を通じて農地を売却する際には、成功報酬として仲介手数料を支払わなければなりません。仲介手数料の上限額の計算式は以下の通りです。
たとえば農地を500万円で売却した際には、以下の仲介手数料が発生するということです。
仲介手数料=(500万円×3%+6万円)×10%=23万1,000円
しかし不動産買取の場合には仲介手数料が発生しないため、より手元に残る金額を増やせます。
また、不動産仲介業者に依頼する際には、一般の買い手が見つからない限り農地を売却できません。農地のように需要の少ない不動産では数年にもわたって売れ残るリスクもあります。
その点、専門の不動産買取業者に買い取ってもらう場合には数日~数週間で現金化が可能なため、短期間で農地を確実に手放すことが可能です。
売主の契約不適合責任を免責にできる点も、不動産買取を利用するメリットのひとつです。
契約不適合責任とは引き渡した目的物に対して売主が買主に負うべき責任のことで、もし契約書には記載されていなかった不具合や欠陥などが引き渡し後に見つかった場合、買い手から損害賠償などを請求される恐れがあります。たとえば、地中から瓦礫などの埋設物が見つかるなどのケースです。
しかし専門の不動産買取業者に農地を買い取ってもらうと、売主の契約不適合責任を免責にできます。専門の不動産買取業者は不具合や欠陥を見抜いたうえで農地を買い取るためです。
ただし、契約不適合責任の免責はあくまでも売主と買い手の同意があって初めて成立するものであり、中には売主の契約不適合責任を免責にはしてくれない不動産買取業者も存在する点に注意が必要です。
なお、弊社AlbaLinkでは全国の農地を売主の契約不適合責任を免責にした状態で高額買取いたします。農地売却後のトラブルを避けたい方は、ぜひ弊社にお任せください。
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まとめ
農地価格は、所有している農地が農業振興地域か、あるいは純農業地域・都市的農業地域に属しているかによって大きく異なります。農地から宅地への転用ができない農業振興地域よりも、宅地への転用が比較的しやすい都市的農業地域のほうが農地価格は高い傾向にあります。
ただし、農業の担い手の数が少なくなっていることもあり、農地価格は年々減少しているのが現状です。今後も農地価格の相場は減少の一途をたどることが予測されるため、農地を売却したいのであれば相場が下がる前に早めの行動を取ることが大切です。
しかし、需要の少ない農地を一般の方へ売却するのは困難といわざるを得ません。そのため農地をなるべく短期間で手放したいのであれば、農地を専門としている不動産買取業者に売却することをおすすめします。
弊社AlbaLinkは、農地の買取を専門としている不動産買取業者です。農地を活用して収益を上げるノウハウにも長けているため、適正価格で買取させていただきます。また、スピーディーにで農地を買取いたしますので、とにかく早く農地を現金化したい方はぜひ弊社へご相談ください。