農地から宅地への転用(農地転用)にかかる期間は最低でも6週間
農地の宅地転用とは、農地を住宅地などに用途変更して売却することです。
手順は①農地転用手続きをする、②農地を宅地へ造成する、③農地の地目を宅地へ変更する、の流れです。
農地を宅地へ転用するには農地法に基づく許可が必要で、許可前に売却すると無効となるため注意が必要です。
状況にもよりますが、転用手続き自体は約6週間で完了します。
ただし、農地を宅地として利用するための工事が必要になるケースがほとんどです。
一般的には、次の工事が行われます。
| 工事内容 | 期間の目安 |
|---|---|
| 宅地造成(農地を整形し、住宅を建てるための作業) | 約1~3週間 |
| 地盤改良(地盤を補強する工事※必要に応じて) | 約3日~1週間 |
| 排水・インフラ設備工事(雨水、生活排水、電気、ガスなどの引き込み) | 約5日~10日 |
上記の工事を合わせると、通常1~2ヶ月かかります。
なお、農地転用の手続きにかかる期間は以下のとおりです。
- 市街化区域内:10日以内
- 市街化区域外(30a以下):25日以内
- 市街化区域外(30a超):35日以内
参照元:埼玉県
上記の内容のとおり、市街化区域以外の農地を転用する場合、6週間程度かかります。
宅地造成工事や農地転用の手続きにかかる期間はあくまでも目安です。
実際に建物を建てられるようになるまでには、数か月以上もの時間がかかるでしょう。
農地に住宅を建てたい場合、上記の事前準備が必要になることを考慮しましょう。
農地から宅地にするための3ステップ
ここからは、農地から宅地へ転用するために必要な手続き・工事の流れを紹介していきます。
農地を宅地として利用するためには、以下の手順で手続き・工事を進めていきます。
農地転用手続き
農地から宅地に転用する場合、「農地転用」の手続きが必要です。
農地法4条によると、農地から宅地をはじめ農地以外の用途で使用する場合は農業委員会の許可が必要と定められています。
宅地への転用目的で農地を売却する場合も同様の手続きが必要です(農地法5条)。
ただし、市街化区域内の農地を転用する場合は、農業委員会に届出するのみで、許可は不要です。
参照元:農地法|e-Gov法令検索
農地転用の手続きは、以下の手順で進めていきます。
- 農業委員会(後述)への事前相談
- 必要書類の準備・提出
- 農業委員会の現地調査・実情調査
- 転用許可書の受け取り(詳細後述)
参照元:名取市
農業委員会というのは、簡単にいうと、農地の売買や転用を審査する専門機関です。
各市区町村に農業委員会の窓口が設けられており、農地がある市区町村の窓口(ない場合は農業担当部署)に必要書類を提出する必要があります。
窓口は、市役所や区役所、町村役場の本庁舎内もしくは分庁舎にある場合がほとんどです。
インターネットで「〇〇市 農業委員会」と検索してホームページにアクセスし、所在地や電話番号、メールアドレスなどを確認してください。
基本的には電話での相談となりますが、予約を行い窓口で直接相談することも可能です。
自治体によってはメールでの問い合わせにも対応していますが、対応が遅れることがあるので、急ぎの場合は電話が望ましいでしょう。
農業委員会の現地調査・実情調査は、主に申請内容と現地の内容に相違がないか、周辺環境に問題がないかを確認するために行われるものです。
現地調査・実情調査での確認項目は以下のとおりです。
- 利用状況(本当に農地か?耕作中・荒地・駐車場ではないか?)
- 所在地、位置
- 面積、形状
- 周囲環境や近隣住民への影響
- 境界の明確さ
- 法令上の問題の有無
- 立地基準(農地の種類)
- 一般基準(事業の確実性など転用の可否)
参照元:和歌山県
審査を経て許可決定となった場合、転用の許可書は、申請した農業委員会の窓口で約1週間後に受け取れます。
許可書の引き渡しについての事前連絡があるかどうかは、自治体によって異なります。
電話連絡がある場合もありますが、何も連絡がないケースもあるため、自治体に事前連絡をお願いしておくか、自分で確認するなどの対応が必要です。
なお、許可書の受け取りには以下の持ち物が必要です。
- 身分証明書
- 委任状(代理人が受領する場合)
参照元:神奈川県相模原市
自治体によっては郵送での受け取りにも対応しており、希望する場合は申請時に返送用封筒を提出します。
もし、手続きに不安がある場合は、行政書士に農地転用手続きを代行してもらうことも可能です。
宅地造成
田んぼや畑などの農地は、道路との高低差があるうえ、通常の宅地と比べて地盤が弱いことがほとんどです。
そのため、農地を宅地にする際は、上記の状況を解消するために宅地造成が必要になります。
農地や山林などを住宅地として利用できるようにするため、地盤の改良工事をはじめ土地の形状や性質を変える工事のこと
一般的には、宅地造成では以下の作業が行われます。
整地
不要物や柔らかい表土を撤去し、地面を平らに整える作業です。
重機で踏み固めて土地の凹凸を埋めます。
草木の伐採・伐根
地面に生えている草木などの障害物を撤去し、建物が建てられる状態にする作業です。
盛土・切土
傾斜のある地面の高低差を調整する作業です。地面が道路より下がっている場合は「盛土」で土を足し、高く盛り上がっている場合は「切土」で削ります。
地盤改良
土地の地盤を強化するため、住宅の基礎部分に杭やセメントを用いて支持層を設け、建物を支える工事です。
必ずしも必要ではありませんが、土地の地盤が弱い場合に行います。
なお、周囲に家がない場合は水道・電気などのインフラが整っていないケースも多く、整備が必要です。
宅地造成にかかる期間は、地盤改良や高低差をなくす土盛など大規模な工事が必要な場合、1~2か月程度かかるケースもあります。
宅地造成には、整地費(800円/㎡~)、伐採・伐根費(1,000円/㎡~)などの費用がかかります。
(費用について詳しくは「農地から宅地への転用(農地転用)にかかる費用」で解説します。)
造成工事の業者を選ぶ基準の一つとなるのが、造成工事の費用です。
優良な業者は、事前に詳細な見積りを提示してくれます。
費用目安よりも高額な費用を支払うリスクを回避するためにも、必ず相見積もりを取り、「相場よりも高額でないか」「見積もり自体が曖昧ではないか」を確認しましょう。
以下の記事では、造成工事の費用について詳しく解説しているので、こちらも参考にしてください。

地目変更
宅地造成後に家を建てたら、地目変更します。
土地の用途を変えた際に、必要な手続き
地目変更は、変更があった日(建物を建てた日)から1か月以内に手続きしなければなりません(不登法37条)。
もし、期間内に手続きをしなかった場合、10万円以下の罰金が科されます。(不登法164条)
参照元:不動産登記法|e-Gov法令検索
地目変更の手続きの流れは、以下のとおりです。
- 法務局に必要書類を提出
- 法務局による現地調査
- 登記完了証の受け取り
地目変更は、申請から10日前後で完了します。
農地から宅地にする際は、「農地転用」と「地目変更」の2つの手続きが必要なため、忘れずにしましょう。
なお、地目変更の手続きを土地家屋調査士に依頼すると、書類準備や申請手続きなどの手間が省けます。
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農地から宅地への転用(農地転用)に必要な書類
農地から宅地へ転用する際は、前述したとおり「農地転用」と「地目変更」の2つの手続きが必要です。
ここでは、上記2つの手続きの際に必要な書類を紹介します。
農地転用手続き
市街化区域での農地転用の手続きで必要な書類は主に以下のとおりです。
- 農地転用届出書
- 土地の登記事項証明書
- 公図の写し
- 現地案内図(都市計画図、住宅地図など)
農地転用届出書と都市計画図は各自治体の窓口で手に入れられます。
土地の登記事項証明書と公図の写しは、法務局で取得可能です。
場合によっては、上記以外に別途書類が必要になります。
必要書類は自治体によって変わるため、詳しい内容は各自治体の農業委員会に問い合わせしましょう。
地目変更
地目変更の手続きで必要な書類は以下のとおりです。
- 土地地目変更登記申請書
- 農地転用の許可書あるいは届出書受理書
また、ケースに応じて以下の書類も必要になります。
- 農地所有者の住民票(登記の住所と現住所が異なる場合)
- 除籍謄本(農地所有者が亡くなっている場合)
土地地目変更登記申請書は記載例とともに、法務局のホームページに掲載されています。
なお、農地転用の許可書等は、農地転用の手続きを完了した際に受け取れます。
必要書類について疑問点がある際は、土地の取引ノウハウのある不動産会社に相談するのも手段の1つです。
農地を手放すことを検討している人は、売却も視野に入れて不動産会社に問い合わせしてみましょう。
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農地から宅地への転用(農地転用)にかかる費用
ここでは、「農地転用手続き」「宅地造成」「地目変更」の各ステップでかかる費用を紹介していきます。
農地転用手続き
農地転用の手続きの際にかかる費用として、必要書類の収集があります。
主な必要書類をそろえるための費用は以下のとおりで、合計1,000~2,000円必要です。
- 土地の登記事項証明書:480~600円/1通
- 公図の写し:450円
- 都市計画図:200~1,000円
市街化区域の農地を宅地に転用する場合は、基本は上記書類のみ必要です。
ただし、上記以外の書類が必要になった際は、さらに費用が生じます。
なお、行政書士に手続きを代行してもらう場合、別途報酬として3~10万円程度が発生します。
宅地造成
農地を宅地造成する際の費用は以下のとおりです。
| 工事費目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 整地費 | 800円/㎡ |
| 伐採・伐根費 | 1,000円/㎡ |
| 地盤改良費 | 2,000円/㎡ |
| 土盛費 | 7,500円/㎥ |
| 土止費 | 82,000円/㎡ |
たとえば、面積400㎡、間口と奥行それぞれ20mの土地に土盛り1m、道路面を除いた3面を土止めする場合、費用は824万円かかります。
なお、インフラ整備が必要な場合、以下の費用も生じます。
| 工事費目 | 金額の目安 |
|---|---|
| 上水道の引き込み | 50~150万円 |
| 浄化槽の設置(下水道未整備地域) | 50~150万円 |
| 下水道の引き込み | 0~100万円 |
宅地造成をして農地を宅地にする場合、多額の資金が必要になる恐れがあります。
地目変更
自分で地目変更する場合、費用はかかりません。
ただし、場合によっては、書類発行にかかる費用が発生します。
地目変更の手続き代行を土地家屋調査士に依頼した場合、1つの土地あたり5万円前後が費用の目安です。
土地が複数ある際は、1つあたり2~3万円程度加算されます。
なお、土地の取引ノウハウのある不動産会社に相談すれば、宅地に転用しなくても農地を手放せる可能性があります。
農地を宅地に転用して売ることを考えている人は、一度相談してみましょう。
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農地から宅地へ転用(農地転用)する際の4つの注意点
最後に、農地から宅地へ転用する際に注意すべき点を4つ紹介します。
接道義務を満たすか
農地から宅地にする際、該当の土地が接道義務を満たすかどうか確認が必要です。
接道義務とは、建物を建てる敷地が「道路」に2m以上接していなければならない決まりのことです。
なお、ここでいう「道路」とは、建築基準法で定義される道(原則幅員4m以上の道)を指します。
参照元:建築基準法|e-Gov法令検索

したがって、農地を宅地にして家を建てる際は、「道路」に面した農地であるか確認が必要です。
「道路」に面していない農地の場合、転用しても家を建てられません。
農地から宅地への転用を検討する際は、該当の土地が接道するかどうかを自治体へ事前に確認しましょう。
宅地にできない農地がある
農地によっては、宅地にできないケースがあります。
農地には以下の区分があり、区分によっては原則転用できないものもあります。
- 農振農用地区域内農地
- 甲種農地
- 第1種農地
- 第2種農地
- 第3種農地
上記の中で、「農振農用地区域内農地」「甲種農地」「第1種農地」は、生産力が高いとみなされている農地のため、原則転用が許可されません。
一方、「駅から300m以内」「家が立ち並んでいる地域」など市街化の見込みがある区域に所在する農地である「第3種農地」は、原則転用が許可されます。
なお、「第2種農地」は、一定の条件を満たしている場合に限り、転用が許可されます。
参照元:熊谷市
農地から宅地に転用する場合は、自治体に該当の農地がどの区分か事前に確認しましょう。
固定資産税の負担が増える
農地から宅地に転用すると、固定資産税の負担が増えます。
農地と宅地では、土地の評価が異なり、農地は宅地より安く評価される傾向にあります。
農地の固定資産税は農地の区分によって変わり、目安は以下のとおりです。
| 区分 | 区分の詳細 | 税額の目安 |
|---|---|---|
| 一般農地 | 市街化区域外にある農地 | 1,000円/10a |
| 生産緑地地区農地 | 「生産緑地地区」に指定された 市街化区域内にある農地 | 数千円/10a |
| 一般市街化区域農地 | 市街化区域内にある農地 | 数万円/10a |
| 特定市街化区域農地 | 3大都市圏の特定の 市街化区域内にある農地 | 数十万円/10a |
「一般市街化区域農地」「特定市街化区域農地」は、「宅地並評価」という宅地と同様の方法で税額を算出されます。
ただし、宅地の場合と比較して、税額が1/3に軽減される特例措置が適用可能です。
また、「一般農地」「生産緑地地区農地」は、「農地評価」という方法で税額を算出しており「一般市街化区域農地」「特定市街化区域農地」の税額より低く抑えられています。
宅地にする場合、農地の区分によっては固定資産税額の負担が大きく増える可能性があります。
農地の固定資産税の算出方法について、詳しく知りたい人は以下の記事も参考にしてください。

無許可転用は罰則の対象
農地から宅地に転用する場合は、必ず自治体から許可を取ったうえで転用しましょう。
無許可での転用は、農地法の第4条、第5条の規定違反です。
もし、許可を取らずに転用した場合、3年以下の懲役または300万円以下の罰金に処されます。(農地法64条)。
参照元:農地法|e-Gov法令検索
さらに、転用の状況によっては以下の措置が取られます。
- 売買契約:無効
- 宅地への転用:原状回復・工事停止命令
- 転用目的の売買契約:無効、原状回復・工事停止命令
農地転用の手続きをせずに宅地に転用した場合、罰則が科されるうえ、原状回復に多額の資金を負担させられることになるでしょう。
農地の処分を前提とした農地転用を考えている場合、土地取引のノウハウが豊富な不動産会社に相談すれば、的確なアドバイスがもらえます。
農地を手放したいと考えている人は、土地の取引実績が豊富な不動産会社に問い合わせてみましょう。
まとめ
この記事では、農地から宅地へ転用する際にかかる期間と各手続きでの必要書類、費用を紹介しました。
農地から宅地へ転用する際、手続き自体は約6週間で終わります。
ただし、建物を建てるための宅地造成を行う期間も含めると、数か月程度かかります。
また、手続きのための書類作成をはじめ農地から宅地へ転用するための下準備期間を含めると、さらに時間がかかってしまうでしょう。
もし、宅地への転用が農地の処分目的なら、土地取引のノウハウがある不動産会社に相談するのがおすすめです。
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