相続人がいない土地はどうなる?国庫へ帰属する流れや生前にできる対処法

571 相続物件

「相続人がいない土地はいったいどうなるんだろう?」

ある方が亡くなったとき、基本的には残された家族などの相続人が財産を受け継ぎます。
しかし相続人がいない場合、いったい所有している土地は誰のものになってしまうのか、不安に感じてしまいますよね。

結論からお伝えすると、相続人のいない土地は最終的には国のものになります(これを「帰属する」といいます)

ただし詳しくは本文で解説しますが、使用していない土地を所有していても固定資産税などを納め続けなければならず、リスクしかありません。

もしリスクを回避したいのなら、生前のうちに土地を売却することをおすすめします。

そこで今回は、相続人がおらず、所有している土地の行く末が気になっている方へ向けて、以下の内容を詳しくお伝えします。

この記事を読むと、所有している土地に対して生前のうちに何をすべきなのかがわかります。

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相続人がいない土地は国庫に帰属する

相続人がいない土地は、最終的には国庫に帰属すると民法第959条で定められています。

(残余財産の国庫への帰属)
第959条 前条の規定(特別縁故者に対する相続財産の分与)により処分されなかった相続財産は国庫に帰属する。

引用元:e-Gov法令検索|民法第959条

「国庫に帰属」とは簡単に言うと、国のものになるということです。

NHKの調べによると、相続人がいないために国に納められた遺産の総額は768億9,444万円(2022年度)にもなったということです。

相続人がおらず国庫に納入された遺産総額

引用元:NHK|「相続人いない財産」過去最多768億円が国庫へ 昨年度

2013年度の336億円から2倍以上に増えていることを見ると、相続人がいないまま亡くなった方が非常に多くなっている実情が浮かび上がってきます。

現在相続人がいないものの、自分が築き上げてきた財産を誰かに譲って役立ててもらいたいと考えているのなら、生前のうちに対策を講じることが欠かせません。

具体的な対策については、後述の「相続人がいない場合にできる土地への対処法4選」で詳しく解説します。

相続人がいない土地が国庫に帰属されるまでの4つの流れ

相続人がいない土地は、以下4つの流れを経て国の所有物となります。

相続人がいない方が亡くなっても、すぐに土地が国の所有物になるわけではないことを押さえておきましょう。

ここでは、相続人がいない土地が国の所有物になるまでの流れについて解説します。

家庭裁判所に相続財産清算人選任を申し立てる

相続人がいない方が亡くなると、その財産を管理する人が誰もいなくなってしまいます。

そこでまずは、相続人がいない方と生前親しい間柄にあった特別縁故者や内縁の夫・妻、お金を貸している債権者、検察官などが家庭裁判所に「相続財産清算人」の選任を申し立てる必要があります。

参照元:e-Gov法令検索|民法第952条

相続財産清算人の申立て

相続財産清算人は亡くなった方に代わり、相続財産から債権者へ借金を返済したり、特別縁故者に財産分与をおこなったりしたうえで、残った財産を国に納める役割を担います。

一般的には、亡くなった方と直接的な利害関係がなく、中立的な立場から手続きを進められる弁護士が選ばれる傾向にあります。

相続財産清算人の選任にかかる費用と必要書類

相続財産清算人の申し立てをおこなう際には、以下の費用を納める必要があります。

内訳 費用
収入印紙代 800円
郵便切手代 約1,000円(家庭裁判所ごとに異なる)
官報公告料 5,075円
予納金 100万円以下

参照元:裁判所|相続財産清算人の選任

予納金は、相続財産清算人の報酬や実務に必要な経費などとして家庭裁判所へ納めるお金です。
基本的には相続財産から支払われますが、相続財産が少ないときには数十万円~100万円ほどの費用を前もって納めるように請求されることがあります。

参照元:大阪弁護士会|相続財産精算人について

また、相続財産清算人を選任する際に必要な書類は以下の通りです。

書類名 入手先
申立書 裁判所ホームページ
被相続人の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本 本籍地の自治体
被相続人の父母の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本 本籍地の自治体
被相続人の子(およびその代襲者)で死亡している方がいる場合、その子(およびその代襲者)の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本 本籍地の自治体
被相続人の直系尊属の死亡の記載のある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本 本籍地の自治体
被相続人の住民票除票または戸籍附票 被相続人が最後に住んでいた自治体
財産を証する資料(不動産登記事項証明書(未登記の場合は固定資産評価証明書)、預貯金および有価証券の残高が分かる書類(通帳写し、残高証明書など) 法務局など
相続財産清算人の候補者がある場合にはその住民票または戸籍附票 住所地を管轄する自治体
被相続人の兄弟姉妹で死亡している方がいる場合、その兄弟姉妹の出生時から死亡時までのすべての戸籍(除籍,改製原戸籍)謄本 本籍地の自治体
代襲者としてのおいめいで死亡している方がいる場合、そのおい、またはめいの死亡の記載がある戸籍(除籍、改製原戸籍)謄本 本籍地の自治体
利害関係人からの申立ての場合、利害関係を証する資料(戸籍謄本(全部事項証明書)、金銭消費貸借契約書写しなど) 本籍地の自治体

参照元:裁判所|相続財産清算人の選任

なお、司法書士に相続財産清算人の選任手続きを依頼する場合は10万円ほどの報酬を支払う必要があります。
しかし書類集めから手続きまで代行してもらえるので、手間をかけずに手続きを進められる点がメリットです。

参照元:日本司法書士会連合会|報酬アンケート結果

相続人不存在を確定する

次に、亡くなった方には本当に相続人がいないのかを確認する作業がおこなわれます。

具体的には官報に「亡くなった方の相続人は名乗り出るよう」に掲載され、6か月以内に誰も現れなかった場合に「相続人不存在」が確定します。

もし期限内に相続人が見つかった場合は、相続財産が相続人に与えられて手続きは終了です。

相続人がいない4つのケース

相続人がいないケースに該当するのは、以下の4つです。

それぞれのケースについて、詳しく見ていきましょう。

そもそも法定相続人がいない

ひとつ目は、法定相続人になれる親族がすでにいないケースです。

法定相続人とは、民法によって定められている故人の遺産を受け継げる人を指します。

参照元:e-Gov法令検索|民法第887・889・890・900・907・938・939条

亡くなった方の相続人になれるのは、配偶者、子ども、親・祖父母、兄弟姉妹、甥・姪(兄弟姉妹がすでに死亡しているとき)の順番です。

法定相続人の範囲

参照元:国税庁|No.4132 相続人の範囲と法定相続分

したがって配偶者や子どもなど法定相続人がいない場合、相続人がいないケースに該当します。

基本的な相続の概念については以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。

基本的な相続の概念を完全網羅~順位や割合・遺留分も丸分かり
相続とは 相続とは、亡くなった人の財産を生きている人に受け継がせる制度です。 人が亡くなると、その人の所有していた「資産」や抱えていた「負債」の持ち主・責任者がいなくなってしまいます。 しかし、放置はできませんし、資産や負債をすべ...
法定相続人が相続放棄をした

法定相続人が相続放棄を選択したときも、相続人がいないケースに該当します。

相続放棄とは、亡くなった方の財産を受け継ぐ権利をすべて放棄することです。

相続放棄

相続放棄を選択した方は、最初から相続人ではなかったと見なされます。
そのため、相続人になれる権利を持つ方がすべて相続放棄を選択した場合は相続人がいないと判断されます。

なお、相続放棄については以下の記事で詳しく解説しています。

法定相続分の放棄と相続放棄の違いを日本一わかりやすく解説します!
法定相続分の放棄と相続放棄の大きな違いは、法的な手続きの有無です。本記事では、法定相続分の放棄と相続放棄の違いを理解し、不動産をトラブルなく手放す方法を解説します。
法定相続人が相続欠格に該当している

法定相続人が「相続欠格」と見なされた場合も、相続人がいないケースに該当します。

相続欠格は、相続人の相続権を剥奪する制度です。
もし相続人が以下の条件に該当するときは、相続財産を受け取ることができません。

一 故意に被相続人又は相続について先順位若しくは同順位にある者を死亡するに至らせ、又は至らせようとしたために、刑に処せられた者

二 被相続人の殺害されたことを知って、これを告発せず、又は告訴しなかった者。
ただし、その者に是非の弁別がないとき、又は殺害者が自己の配偶者若しくは直系血族であったときは、この限りでない。

三 詐欺又は強迫によって、被相続人が相続に関する遺言をし、撤回し、取り消し、又は変更することを妨げた者

四 詐欺又は強迫によって、被相続人に相続に関する遺言をさせ、撤回させ、取り消させ、又は変更させた者

五 相続に関する被相続人の遺言書を偽造し、変造し、破棄し、又は隠匿した者

引用元:e-Gov法令検索|民法第891条

相続欠格により相続権を剥奪された方は相続人とはなれませんが、その子は相続人になることが可能です。

相続人が相続欠格に該当し、かつその方に子どもがいない場合に相続人不存在が確定します。

法定相続人が相続廃除されている

被相続人が自らの意思によって相続人から相続権を剥奪する「相続廃除」をした場合も、相続人がいなくなるケースのひとつです。

相続欠格が法律に基づいて相続人の権利を失わせる制度であるのに対して、相続廃除は被相続人の意思で相続人の資格を剥奪できる点に大きな違いがあります。

相続欠格と相続廃除の違い

被相続人が相続廃除をした結果、相続人がいなくなったときにも、相続人不存在となります。

特別縁故者に財産分与をおこなう

官報への掲載を経て相続人がいないことが確定したら、被相続人の財産は特別縁故者に与えられます。

特別縁故者に該当するのは、被相続人の生前に生計をともにしていた内縁の夫・妻、看護をおこなった方などです。

ただし特別縁故者は自動的に相続財産を受け取れるわけではなく、相続人捜索の公告期間終了後3か月以内に家庭裁判所へ財産分与の申し立てをおこなう必要があります。

参照元:裁判所|特別縁故者に対する相続財産分与

相続人がいない土地が国庫へ帰属する

特別縁故者への財産分与をおこなっても余った財産は、国庫へ帰属します。

ただし土地などの不動産はそのままの形では国に納められないので、相続財産清算人によって売却され、そのお金が国の所有物となる形です。

なお、相続人がいない土地が国の所有物になるまでには、少なくとも1年以上の時間がかかります。

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相続人がいない土地を放置する5つのリスク

相続人がいない土地は最終的には国の所有物となるとはいえ、何の用途にも使わずに放置するのはおすすめできません。
なぜなら、以下5つのリスクがあなたにのしかかる恐れがあるからです。

ここでは、相続人がいない土地を放置する5つのリスクについて、詳しく解説していきます。

固定資産税や都市計画税がかかり続ける

固定資産税や都市計画税(土地が市街化区域内にある場合)は、毎年1月1日時点における不動産所有者に課される税金です。

固定資産税と都市計画税

したがって土地を何の用途にも使っていなかったとしても、毎年数万円~数十万円ほどの税金を納め続けなければならない点に注意が必要です。

土地に課される固定資産税や都市計画税の納税額は毎年6月頃に自治体から送られてくる「固定資産税納税通知書」を見ると確認できます。

【固定資産税納税通知書の見本】

固定資産税納付通知書

自分がいまどのくらいの税金を納めているのか、いま一度確認してみることをおすすめします。

もし納税額が負担となっている場合には、後述の「相続人がいない場合にできる土地への対処法4選」で解説する方法のいずれかによって、生前のうちに土地を手放すとよいでしょう。

近隣トラブルの原因となる

近隣トラブルが発生する恐れがある点も、土地を放置するリスクのひとつです。

空き地となっている土地を放置すると、季節によっては1週間程度で雑草が敷地いっぱいに生い茂ってしまいます。
すると、やがてゴキブリやハエ、ダニなどの害虫が発生し、隣家の方に被害を与えてしまいかねません。

また、土地上に生えている樹木の枝が境界線を越えて隣家にまで伸びてしまい、落ち葉などで迷惑をかける恐れもあります。

実際、弊社がおこなったアンケート調査によると、庭木の枝や落ち葉などによる隣人トラブルに悩んでいる人が多いことがわかります。

経験したご近所トラブル

引用元:訳あり物件買取プロ|【ご近所トラブルランキング】428人アンケート調査

もし所有している土地が原因で隣家の方に被害を与えたら、損害賠償などを請求されかねません。
令和2年3月に改正された土地基本法」により、土地の所有者は近隣の方に迷惑をかけないように適切に管理することが規定されているからです。

空き地を放置すると損害賠償請求される恐れあり

近隣の方から損害賠償を請求されるリスクを回避したいのなら、土地の適切な維持・管理が欠かせません。

土地が遠方にあるなどの理由で管理をおこなうのが難しい場合には、近隣トラブルが発生する前に土地を手放すことをおすすめします。

【空き家が建っている場合】倒壊の恐れがある

土地上に建物が建っている場合は、放置期間が長引くほどに倒壊リスクが高まります。
誰も住んでいない空き家は換気不足や雨漏りなどの理由により構造材が腐ってしまうからです。

もし地震や台風などの自然災害で空き家が倒壊して隣家の方や歩行者などに被害を与えたら、所有者が賠償責任を負わされる可能性がある点に注意が必要です。

空き家が倒壊した場合の責任の所在

実際、一般社団法人日本住宅総合センターによると、空き家が倒壊して隣家の4人家族が亡くなった場合には2億円近い損害賠償額が発生するとの試算結果も出ています。

空き家倒壊の損害額試算

引用元:一般社団法人日本住宅総合センター|空き家発生による外部不経済の損害額の試算結果

空き家の倒壊リスクを避けたいのなら解体してしまうのも選択肢のひとつですが、それには100万円以上の費用が必要です。

もし費用を掛けずに倒壊リスクを免れたい場合には、そのままの状態で専門の買取業者に売却することをおすすめします。

弊社AlbaLink(アルバリンク)は、全国の空き家を積極的に買い取っている専門の買取業者です。
築年数が古かったり、建物の状態が悪かったりする空き家でもそのままの状態で買い取らせていただきますので、空き家の処分にお困りの方はお気軽にお問い合わせください。

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なお、以下の記事でも空き家が倒壊するリスクについて詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。

空き家倒壊の責任は所有者にあり!倒壊による損害賠償は億単位に及ぶケースも!
空き家が倒壊した責任は所有者が負います。空き家が倒壊し、人や建物に損害を与えた場合、損害賠償額は「億」を超える可能性もあります。記事では倒壊のリスクを避けるための空き家の管理方法や、売却方法について解説しています。

【空き家が建っている場合】資産価値が低下する

土地に建物が建っている場合、築年数が経つごとに資産価値が低下する点も放置するリスクのひとつです。

基本的に建物の資産価値は新築時をピークとし、年々下落していく傾向にあります。

時間の経過とともに資産価値が減少する

実際、公益財団法人東日本不動産流通機構の「築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)」を見ると、中古住宅の平均価格は築年数が古いほど安くなっていることがわかります。

中古戸建住宅の築年帯別平均価格

引用元:公益財団法人東日本不動産流通機構|築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)

それだけではなく、築年数が経った古い家ほど、売却するのが難しい様子もうかがえます。

中古戸建住宅の対新規登録成約率

引用元:公益財団法人東日本不動産流通機構|築年数から見た首都圏の不動産流通市場(2023年)

空き家を放置する期間が延びると、それだけ売却が難しくなり、たとえ売れたとしても安価で手放さざるを得ません。

そのため、今後も空き家を使う予定がないのなら、資産価値が一番高い「いま」の時点で売却を決意したほうがよいでしょう。

弊社AlbaLink(アルバリンク)は空き家の買取実績が豊富な専門の買取業者であり、24時間365日無料査定を実施しております。
所有している空き家がいくらで売れるのかが知りたい方は、お気軽にお問い合わせください。

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【空き家が建っている場合】特定空き家に指定される恐れがある

土地に建物が建っていて管理を怠っていると、自治体から特定空き家に指定される恐れもあります。

特定空き家とは、倒壊の恐れがあったり、衛生面で有害となる恐れがあったりするなど、このまま放置するのは好ましくないと見なされた空き家を指します。

特定空き家の定義

自治体から空き家の状態を改善するように指導があったにもかかわらずに放置を続けると、それまで適用されていた住宅用地の特例の対象から除外され、固定資産税の負担が大幅に増えてしまいます。

住宅用地の特例とは?

住宅用地の特例
居住用の建物が建っている土地に課す固定資産税の税額を最大で6分の1に軽減する制度。

さらには50万円以下の過料を支払うように請求されたり、行政代執行によって強制的に空き家を解体されたりしてしまいかねません。

参照元:e-Gov法令検索|空家等対策の推進に関する特別措置法第22条第9項第30条

行政代執行
自治体が所有者に代わって空き家を解体する行為。

行政代執行によってかかった数百万円もの解体費用を負担するのは、空き家の所有者であるあなたです。

行政代執行費用は逃れられない

実際、千葉県柏市で実施された行政代執行の事例では、建物の所有者に対して約1,040万円もの解体費用が請求されています。

地方公共団体の空き家対策の取組事例2

引用元:国土交通省|地方公共団体の空き家対策の取組事例2

所有している空き家が特定空き家に指定されるのを回避したいのなら適切な管理が欠かせませんが、自分では管理しきれないときには、専門の買取業者に売却するなどして手放すことをおすすめします。

なお、特定空き家については以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。

空き家の放置には罰金や税金増額のリスクが!簡単に手放す方法も紹介
放置空き家が社会問題に!放置される理由とは? 現在日本では深刻な空き家問題を抱えており、空き家数および空き家率は年々上昇を続けています。 引用元:総務省|令和5年住宅・土地統計調査 住宅数概数集計(速報集計)結果 上記のグラフ...

相続人がいない場合にできる土地への対処法4選

ここまで解説してきたように、相続人がいないからといって土地を放置するとさまざまなリスクがあなたに襲いかかる恐れがあります。

そのため、土地を放置するリスクを回避したいのなら、生前のうちに以下の対処法を実行しておきましょう。

ここでは、相続人がいない場合にできる土地への対処法を4つご紹介します。

遺言書を作成して特定の人物に土地を譲る

相続人がいない場合でも、生前のうちに遺言書を作成しておけば特定の人物に土地を譲り渡せるようになります。

遺言書見本

参照元:e-Gov法令検索|民法第964条

生前にお世話になった方がいる場合には検討の余地があるでしょう。

ただし民法第967条に定められているように、遺言は自筆証書公正証書秘密証書のいずれかの形でおこなわなければなりません。

自筆証書遺言
遺言書の内容を自筆で作成して押印する。
公正証書遺言
公証役場で2人以上の証人の立ち会いのもと、公証人に遺言の内容を口で伝え、公証人がその内容を筆記する形で作成。
作成後は遺言書、証人の署名・押印が必要。
秘密証書遺言
遺言書の作成はパソコンでも可能だが、自筆で証明して押印したうえで特定の印章で封印する必要がある。

民法に定められた方式で遺言書を作成しないと無効になってしまうので、注意が必要です。

遺言書の作成に不安のある方は、弁護士や司法書士などの専門家にアドバイスを求めることをおすすめします。

土地を自治体へ寄付する

相続人がいない土地を自治体へ寄付するのも選択肢のひとつです。

東京財団政策研究所の「土地の『所有者不明化』~自治体アンケートが示す問題の実態~」によると、「土地の寄付を受け入れる」と回答した自治体の割合は94%となりました。

土地を自治体に寄付したら公園や防災用地などとして活用してくれるので、社会貢献にもつながるでしょう。

ただし、自治体が寄付を受け入れているのは、あくまでも「公的な利用が見込める土地」に限ります。

たとえば新潟市では自治体にとって有益であり、多額の維持管理費用がかからないなどの土地の寄付は受け入れていますが、建物が建っていたり、宅地への転用ができない農地だったりする場合には受け入れを断っています。

参照元:新潟市|土地の寄附について

土地の寄付を受け入れるかどうかは自治体の判断次第なので、自治体への寄付を検討している場合には一度問い合わせて確認してみるとよいでしょう。

なお、土地の自治体への寄付の実情については以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。

土地を自治体へ寄贈したら必ず引き取ってもらえる?【専門家が解説】
土地を自治体へ寄贈したいと考えている方へ向けて、必ず引き取ってもらえるのかについて解説します。土地を自治体に寄贈できない場合の対策もご紹介しているので、この記事を読むと確実に土地を手放せるようになります。

相続土地国庫帰属制度を利用する

あなたが所有している土地が相続によって受け継いだものなら、相続土地国庫帰属制度に基づき国に引き渡せる可能性があります。

相続土地国庫帰属制度は、所有者不明の土地をなくす目的で2023年4月27日からスタートした国が土地を引き取る制度です。

これまでは、相続した不要な土地を手放すには相続放棄をせざるを得ませんでしたが、預貯金などのプラスの財産を受け継ぐ権利も捨てなければならない点がデメリットでした。

しかし相続土地国庫帰属制度の開始により、相続した不要な土地のみを手放せるようになったのです。

これにより、相続した土地にかかる固定資産税や維持管理費を負担せずに済むようになったのは相続人にとって大きなメリットといえます。

ただし、土地上に建物が建っていたり、土壌汚染されていたりする土地は国に引き取ってもらえないなど、相続土地国庫帰属制度を利用するには厳しい要件をクリアしなければなりません。

相続土地国庫帰属制度が適用されない相続土地

実際、相続土地国庫帰属制度を利用して国に引き取ってもらえた土地は、2,481件の申請に対してわずか667件にとどまります(2024年7月31日現在)。

参照元:法務省|相続土地国庫帰属制度の統計

さらに、相続土地国庫帰属制度の利用は無料ではなく、以下の費用を負担しなければならないデメリットもあります。

費用の名目 費用
審査手数料 1万4,000円
10年分の管理費用 原則20万円

参照元:法務省|相続土地国庫帰属制度の概要

相続土地国庫帰属制度はメリットよりもデメリット面が強く、あまりおすすめできる制度とはいえないのが実情です。

そのため相続した不要な土地を確実に手放したいのなら、次の見出しでご紹介するように売却することをおすすめします。

なお、相続土地国庫帰属制度については以下の記事で詳しく解説しているので、併せて参考にしてください。

いらない土地を国へ返す!国庫帰属制度は本当に使えるのか徹底解説!
不要な土地を国に帰属できる制度「相続土地国庫帰属法」には多くの要件があり、実際に適用できるケースは多くありません。また、100万円近い高額な費用や1年以上の長い期間を要する点がデメリットです。記事では「相続土地国庫帰属法」の適用要件やメリット・デメリットを掘り下げて解説します。

売却する

相続人がいない土地への対処法としてもっともおすすめなのは「売却」です。

土地を売却して現金に替えると、老後の生活資金などとして活用することができます。
また、土地よりも現金のほうが寄付をしやすくなるところもメリットです。

土地の売却方法には、仲介業者に見つけてもらった買主と売買契約を交わす「仲介」と、買取業者に直接買い取ってもらう「買取」の2種類があります。

仲介と買取の違い

しかし、あなたが所有している土地の立地条件によって、適している売却方法は以下のように異なる点に注意しましょう。

ここではそれぞれの売却方法について詳しく解説していくので、あなたの土地がどのような立地条件なのかを思い浮かべながら参考にしてください。

なお、仲介と買取の違いは以下の記事でも解説しています。

仲介と買取の違いを日本一わかりやすく解説!あなたに最適な方法がわかる!
仲介と買取の違いをまとめた記事です。仕組み、売却の確実性、売却価格など各項目について両者を比較していき、メリットやデメリットについても理解していきます。また記事の後半では、仲介と買取はあなたにとってどちらが向いているかや両者の共通点、買取業者であるアルバリンクの買取事例などを紹介しています。

立地が良ければ仲介業者に売却を依頼

あなたが所有している土地が駅から徒歩10分以内、周辺に日常生活の買い物ができる商業施設が充実しているなど立地条件が良い場合には、仲介業者に売却を依頼しましょう。

No544仲介での売却が適した物件

 

弊社がおこなったアンケート調査では、マイホームを購入する際に「立地を優先した」と回答した方の割合がもっとも多い結果となりました。

家の購入で優先したこと

引用元:訳あり物件買取プロ|【家を購入する際に優先したことと妥協したこと】経験者493人アンケート調査

仲介ではマイホームの建築を検討している個人の方が売却相手となるので、あなたの土地の立地が良ければ市場相場に近い価格で売却できる可能性があります。

立地が悪ければ買取業者に直接売却

一方で、あなたの土地が駅から徒歩15分以上かかるなど立地条件が悪い場合には、専門の買取業者に売却することをおすすめします。
なぜなら、立地条件の悪い土地を仲介で売りに出しても買い手が見つかることはほぼないからです。

しかし、専門の買取業者なら立地条件の悪い土地でもスピーディーに買い取ってくれます。

専門の買取業者は、再販を目的としてあらゆる不動産を購入する不動産業者です。
専門の買取業者には居住ニーズがない土地に価値を付加するノウハウや土地を再販できる独自のルートがあるので、立地条件の悪い土地でも問題なく買い取ってくれるのです。

不動産買取業者なら売却できる

そのため立地条件が悪く、仲介では買い手が見つからないような土地をできる限り早く手放したいのなら、まずは買取業者に相談するとよいでしょう。

以下の記事では、売れない土地を少しでも高く売却するための買取業者の選び方や売れやすくする工夫について解説しています。
併せて参考にしてください。

売れない土地を買取で確実に手放そう!買取業者の選び方や土地の活用も解説
土地を売り出したものの一向に売却が決まらず、悩んでいる売主は少なくありません、本記事では、売れない土地の特徴や土地を高額売却する方法について解説します。

アルバリンクの土地買取事例をご紹介

ここまで解説してきたように、相続人がいない土地に関する問題を生前のうちに解決したいのなら専門の買取業者に売却するのが最適です。
そこでこの章では、弊社Albalinkを例にとり、実際の土地の買取事例をご紹介します。

弊社Albalinkは訳アリ物件専門の買取業者として、以下再建築ができない土地のように、他社では断られるような土地を多数買い取ってきました。

なお、こちらの物件は200万円で買取いたしました。

参照元:AlbaLink|買取事例

また、立地などの問題で地元の不動産業者から売却を断れてお困りのお客様から迅速に物件を買い取らせていただき、以下のように感謝のお言葉をいただけております。

アルバリンク買取事例

引用元:AlbaLink|お客様の声

弊社を実際にご利用いただいたお客様からも、Googleの口コミで多数の好意的な評価を頂いております。

相馬桂子
相馬桂子
2023-09-29
担当してくれた方がとても優しく 迅速に処理していただけてるので助かっております
豊田直子
豊田直子
2023-09-04
役場から空家の適切な管理をお願いしますと通知が来ました。早くどうにかしないとご近所に迷惑がかかると思いネットでアルバリンクさんを検索し相談しました。担当の野間さんが丁寧な対応で「一緒に頑張りましょう」と言って頂き、心強かったです。買取りもスピーディで、本当に感謝しています。ありがとうございました。
山本建夫
山本建夫
2023-09-01
二十数年前に四国(松山市内)の実家を相続しましたが、今後とも活用の予定がなく、処分(売却)する方向で地元(松山市)の不動産業者を中心に処分の相談をしていましたが、立地条件等の関係から話がまとまらず、困っていました。 そんな折、たまたまテレビ(フジテレビ系列)でアルバリンクさんの「空き家処分について」の放映が目に留まりました。早速、相談させていただこうと電話で土地と建物の現状を説明したところ、担当の方(池澤さん)が非常に親切で丁寧にご対応くださり、おかげさまで売買契約の締結に至りました。アルバリンクさんのテレビ放映を見るまでは、もう処分は無理かと諦めていたこともありました。 アルバリンクさん(担当:池澤さん)に出会えて本当に良かったです。感謝しております。ありがとうございました。
木村敏子
木村敏子
2023-08-12
このたびは、アルバリンク担当安藤様に大変お世話になりました。父の相続手続きで、一番ネックだったのが、10年近く空き家状態になっていた実家の処遇でした。地元の不動産屋数件にも現地確認に来てもらいましたが買い取りを断られ続け、更地にしてはどうか?と提案されましたが、数百万かけて解体しても、再建築不可の土地のため、売れるはずがないと途方に暮れていました。 そんな時、たまたまネット検索で訳あり物件買取プロがヒットし、安藤さんと数回お電話させていただき、とても親しみやすい方で親身に話を聴いていただいたことを覚えています。しかも、ラインで実家の写真や不動産関係書類を送信するだけで、こういった取り引きが成立することに、まずは驚きました。先祖代々引き継がれた、父母とも過ごした思い出の家でしたが、再建築不可の場所でもアルバリンクさんのおかげで、所有権移転登記することができました。誠に感謝申し上げます。 今回、アルバリンク様のおかげで売却できたこと、お盆のお墓参りで先祖にも報告できましたし、自分自身の気持ちもスッキリ軽くなりました。本当にありがとうございました!!
ちゃむ
ちゃむ
2023-07-28
再建築不可(家の側の道は原付が通れる幅しかない)、残置物あり、長年動物を飼育していたため家屋のダメージあり…と地元の不動産会社数件には相手にもされなかった実家の物件を藁にもすがる思いでアルバリンク様に相談させて頂きました。きっと断られるんだろうなと思いましたが、担当の池澤様から前向きな返答を頂きビックリした事を覚えています。 私が体調面で不安を抱えていた事も考慮して下さり、なるべく身体に負担のないようにスムーズに進めて下さいました。 リフォームするとしても数百万かかるだろうし、同じく数百万かけて解体しても使い道がなく税金が跳ね上がるだけの負の遺産を手放せた時には長年の悩みが無くなり肩の荷が下りました。本当に感謝の気持ちでいっぱいです。御丁寧に対応して下さり本当にありがとうございました。
森の熊
森の熊
2023-07-21
不動産の悩みは、同業多くあれどAlbaLinkさんは外さない方がいいです。担当者さんが親身で丁寧、LINEでリアルタイムに写真付きでやり取り出来て話も早い。安心して取り引き出来ます、たいへん助かります。
おはゆうちゃん
おはゆうちゃん
2023-06-28
再建築不可&傾いた古い家の処分で困ってました。 地元の不動産では相手にもされず、固定資産税の関係で更地にもできず、草抜きや隣家との対応など高年齢が近い夫婦ではとても日頃の管理は重労働でした。 こちらに相談したところ快く買い取っていただき、肩の荷がおりました。本当にありがとうございました。 担当いただいた菊池様の心遣いに感謝しております。
ウーティスメチウス
ウーティスメチウス
2023-06-09
横浜在住です。築50年以上の中国地方の再建築不可戸建てを相続し、不動産買取業者に聞いても断られ、処分に困っていました。必死の思いでネットで見つけたアルバリンクさんに査定依頼したところ、すぐに米長さんからご連絡をいただき、親身に相談にのっていただきました。一週間後には売買契約書に署名捺印の運びとなりました。本当に助かりました。

また、弊社はお客様からの評価が高いだけでなく、不動産買取業者としては数少ない上場企業でもあり、社会的信用も得ています。

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なお、査定を依頼しても無理な営業をかけることはいっさいありませんので、安心してご活用いただければ幸いです。
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まとめ

相続人がいない土地は、最終的には相続財産精算人の手によって売却されてから国に納められます。

ただし相続人がいないからといって、何の用途にも使わずに放置するのはおすすめできません。
固定資産税などの税金がかかり続けるだけでなく、近隣トラブルの原因にもなりかねないからです。

そのため、相続人がいない土地はトラブルが発生する前に、生前のうちに売却するなどの対策を講じておくことをおすすめします。

相続人がいない土地をできる限り早く手放したいのなら、弊社AlbaLink(アルバリンク)にお任せください。

弊社は全国の土地を積極的に買い取っている専門の買取業者です。
過去には、一般の不動産業者が取り扱わない訳あり物件専門の買取業者としてフジテレビの「newsイット!」にも取り上げられました。

イットで紹介されました

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「相続人がいない土地はどうなる?」に関するよくある質問

相続人がいない土地は、家庭裁判所によって選任された相続財産清算人によって最終的に国の所有物となります。 なお、相続人がいなかったとしても、特別縁故者や債権者は家庭裁判所へ申し立てることで相続財産を受け取ることができます。
相続人がいない土地の固定資産税を払うのは、相続財産清算人です。 相続財産清算人は相続財産のなかから固定資産税を納めます。
2024年4月1日より、相続登記が義務化されました。 正当な理由がないにもかかわらず、相続が発生した際に土地の相続登記をおこなわないと、10万円以下の過料が科される可能性があります。
売れない土地を相続放棄することは可能です。 ただし土地だけでなく、預貯金などのプラスの財産を受け継ぐ権利も放棄しなければならない点に注意が必要です。 相続した土地のみを手放したいのなら、相続土地国庫帰属制度の利用を検討するとよいでしょう。
監修者
株式会社AlbaLink代表取締役の河田憲二です。同社は空き家や事故物件などの売れにくい不動産の買取再販を行う不動産業者です。同社が運営しているサービスサイトである「訳あり物件買取プロ」の運営者も務めています。同社は東京証券取引所東京プロマーケット市場にも上場している不動産会社になります。

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