そもそも市街化調整区域とは

早速、市街化調整区域にある不動産が売れないと言われるその真相について解説していきたいところですが、まずは市街化調整区域が一体どういうものなのか、用語の意味について再確認していきます。
市街化調整区域は、街づくりを抑えているエリアのことをいいます。

市街化調整区域では原則として、新たに建物を建てることはできません。
新たに建物を建てられないということは、今ある不動産でも解体後に、新たな建物を建てることも原則できません。
つまり、市街化調整区域にある不動産は、再建築不可物件となってしまうのです。

市街化調整区域を設けて街づくりを抑える理由は、以下の2点です。
自治体の運営費増加を防ぐため(コンパクトシティ戦略)
市街化調整区域を設けて街づくりを抑える理由の一つ目は、自治体の運営費増加を防ぐためです。
もし、市街化調整区域の概念がなかったら、街づくりが広大な範囲で行われてしまいます。
街づくりを進めるエリアが無意味に広がると、自治体の運営費もエリア開発の広がりに応じて膨れ上がってしまいます。
具体的には、下記の点で自治体の運営費が増加してしまいます。
- 下水道管を広範囲にわたり設置しなければならない
- 消防署の数を増やさなければならない
- 道路の修繕箇所が増えてしまう など
このように、市街化調整区域を設けて、街の管理を容易にし、自治体の運営費増加を防ぐために、コンパクトシティ(生活圏の円を可能な限り小さくさせること)を実現させる必要があるのです。
自然環境を守るため
市街化調整区域を設けて街づくりを抑える理由の二つ目は、自然環境を守るためです。
もし、市街化調整区域の概念がなかったら、街づくりが積極的に進められてしまい、農地や森林などの自然環境が失われてしまいます。
農地や森林などの自然環境を守るためにも、市街化調整区域を設けて、街づくりを計画的にコントロールすることが必要になるのです。
ちなみに、市街化調整区域とは反対に、街づくりを積極的に行うエリアのことを「市街化区域」といいます。

市街化調整区域とセットで覚えておきましょう。
市街化調整区域にある不動産が売れないと言われる5つの理由

一般的に、市街化調整区域にある不動産は売却が難しいと言われています。
では一体なぜ、市街化調整区域にある不動産は売却が難しくなるのでしょうか。
市街化調整区域にある不動産が売れない理由は以下の5つです。
もしかしたら、上記の見出しを見ただだけで「確かにそうなんだよな」と納得がいく方もいるかもしれません。
そうした方は、「市街化調整区域にある不動産は専門の買取会社への売却がオススメ」をご確認ください。
上記のようなデメリットがある市街化調整区域を簡単に手放す方法について解説しています。
インフラ環境が悪いから
市街化調整区域にある不動産は、インフラ環境があまり良くない傾向にあります。
前述のように、市街化調整区域は、そもそも一般の方が暮らすことを想定していないエリアだからです。
具体的には、以下の面でインフラ環境が不十分です。
- 電気
- ガス
- 上下水道
家を買った後に、上記の電気・ガス・上下水道を自ら整えるのはかなりの費用と労力を要します。

また、一見インフラ環境が整っているかのように見える場合も注意が必要です。
たとえば、下水道に浄化槽(じょうかそう)が設置されている物件があったとしましょう。
ちなみに、浄化槽とは、日常生活の中で発生した汚水を、河川や水路に放流させるための装置です。

汚水を排出しているということは、浄化槽の掃除を定期的に行わなくてはなりません。
掃除をお願いする業者によってコストは多少異なりますが、一般的に数万円程度の金額がかかります。
このように、市街化調整区域にある不動産はそもそもインフラ環境に難がある点が、一般の買主から購入を避けられ、世間の人々から「売れない」と言われてしまう一番の理由です。
浄化槽の管理方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

生活の利便性が悪いから
市街化調整区域にある不動産は、インフラ環境同様、生活の利便性も悪い傾向にあります。
前述のように、市街化調整区域は原則、建物を建てることができないからです。
市街化調整区域に建物を建てられないということは、私たちの日常生活に必要不可欠な以下の商業施設等も建てられないことを意味します。
- コンビニ
- スーパー
- 駅 など
市街化調整区域内に上記の商業施設等がないということは、たとえば、買い物する際に、大きな不便を強いられます。
コンビニやスーパーに行くのに、毎回車を出して、長距離を往復しなければなりません。
弊社のアンケート調査でも、家探しで優先される要素のダントツは「立地」となっており、居住用物件で生活の利便性が悪いのは致命的であることがわかります。
このように、日常生活を暮らすうえで、あまりにも不便がかかってしまう点も、市街化調整区域にある不動産が「売れない」と言われる要因の一つです。
原則は新たに建物を建てられないから
市街化調整区域では、新たに建物を建てることは原則できません。
市街化調整区域で新たに建物を建てるには、行政(都道府県知事)から開発許可を得る必要があるからです(開発許可を得るための条件に関しては、「開発許可を取得する」の章を参照してください)。
市街化調整区域で新たに建物を建てるために行政からの許可が必要になると、もし買主が今ある建物を解体し、新たに建て直そうと思っても、その買主は購入後に多大な手間を強いられてしまいます。
なお、例外として、市街化調整区域でも、土地の所有者およびその親族(6親等以内)が住む住宅なら、市街化調整区域であっても再建築が可能になります。

ただし、親族に売却するのであれば、わざわざ仲介業者を介す必要はありません。
そのため、自分の身内以外への売却を目的としているのなら、仲介で売り出しても構いませんが、そうなると再建築不可物件になるので、一般の買主はまず現れません。
再建築不可物件は、構造的に朽ち果てるまで所有し続けるしか手段がないからです。
買主が住宅ローンを組めない可能性があるから
市街化調整区域にある不動産は、買主が住宅ローンを組めない可能性があります。
というのも、市街化区域にある不動産と比較すると、市街化調整区域にある不動産は金融機関からの担保評価額が低くなってしまうからです。
住宅ローンを組めないとなると買主は、市街化調整区域にある不動産を現金一括で購入するしか手段がなくなってしまいます。
資産家なら容易に購入できるかもしれませんが、一般の方では現金一括での購入はまず不可能です。
地目が農地だと売買の制約がより一層厳しくなるから
地目(土地の用途のこと)が農地の場合、原則、一般の人に売却できません。
農地を購入できるのは農地法によって、農業従事者もしくは、地域の農業委員会からの許可を受けた農家に限られているからです。
もし、農地を一般の人に売却するのなら、農地転用許可制度にもとづき、行政からの許可を受けなければなりません。
農地を農地以外の用地に転換すること。具体的には、住宅・駐車場・学校・病院・工場・太陽光発電所など

農地転用は、転用面積に応じて許可を受ける相手が、以下のように異なります。
- 農地面積が4ha以下の場合:都道府県知事または指定市町村の長の許可
- 農地面積が4ha以上の場合:農林水産大臣の許可
農地転用の許可を得る相手が、都道府県知事や農林水産大臣となると、許可を得るまでに複雑で多大な時間がかかる手続きを行わなくてはなりません。
この点も、市街化調整区域にある不動産が「売れない」と言われる要因の一つです。
農地転用については、以下の記事でも詳しく解説しています。

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市街化調整区域内にある不動産を売る2つの方法

市街化調整区域にある不動産をどうやって売ればいいのか分からずに迷っている方は、多くいることでしょう。
そこでここからは、市街化調整区域にある不動産を売るための方法を解説していきます。
不動産の売却方法は「仲介」と「買取」の2種類
前提として、不動産の売却方法には「仲介」と「買取」の2種類があります。

「仲介」は、不動産会社が売主と買主の間に入り、売買契約をまとめる方法です。
SUUMOなどの不動産情報サイトで広く購入希望者を募るため、時間はかかりますが、市場価格に近い高値で売れる可能性があります。
一方、「買取」は、不動産会社が直接、売主から物件を買い取る方法です。
買取業者は再販を目的としてリフォームなどを行うため、買主を探す必要がなく、スピーディーに現金化できるのが大きなメリットです。
それぞれの仕組みを理解し、物件の状況に合った売却方法を選びましょう。
なお、仲介・買取の違いについては、以下の記事で詳しく解説しています。

仲介で市街化調整区域の不動産を売却する方法
仲介で市街化調整区域の不動産を売却するには、仲介業者に依頼し、一般の買主を探すしかありません。
しかし、市街化調整区域の不動産は、建て替えができない、インフラが整っていないなど、人が住むには適さない環境であることがほとんどのため、一般の市場で買主を探すのは非常に難しいといえます。
それでも、居住用としてではなく、資材置き場や駐車場、趣味のアトリエといった特定の目的で活用を考えている人にとっては需要があるかもしれません。
そうした買主を見つけられれば、売却できる可能性はあります。
ただし、買主が見つかるまでには時間がかかるため、長期戦になることを覚悟すべきです。
最悪の場合、ずっと売れないということも十分にありえます。
なるべく早く、そして確実に売却したい方は、「市街化調整区域にある不動産は専門の買取業者での売却」がおススメです。
専門の不動産買取業者であれば、市街化調整区域の不動産でも問題なく買い取ってくれます。
なお、次項では仲介で売却しやすくなる方法を2つお伝えしているので、ご確認ください。
開発許可を取得する
市街化調整区域にある不動産でも、都道府県知事から開発許可を取得している、もしくはこれから開発許可を取得できる見込みがあれば、仲介でも売却できる可能性を秘めています。
再建築できる建物は、土地としての資産価値が高まるからです。
なお、市街化調整区域で開発許可を受けるには、都市計画法の第33条にすべて適合し、かつ第34条のいずれか一つに該当することが必須になります。
市街化調整区域の不動産で農地転用・開発許可を得る方法については、以下の記事で詳しく解説しています。

都市計画法第60条証明に該当する
売却対象の不動産が、既に都市計画法第60条証明の内容に該当している場合、仲介でも売却できる可能性が秘められています。
建築物を建築しようとする計画が、都市計画法に適合していることを証明する書面のこと。この書面があることで、開発許可がなくても、再建築できることが証明される
参考:e-GOV:都市計画法:(認可又は承認の申請)第六十条
要するに、都市計画法第60条証明があることで、再建築不可物件から、通常の再建築可能な物件になるので、仲介でも売却できる可能性が高まるということです。
なお、都市計画法第60条に該当する建物は、以下のものが該当します。
- 農林漁業用の建物(新築)
- 公益上必要な建物
- 日常生活用品の販売・加工等、業務用の建物 など
市街化調整区域にある不動産は専門の買取会社への売却がオススメ
結論から言うと、市街化調整区域にある不動産は、専門の買取業者へ売却することを強くオススメします。
仲介で一般の買主を探すのは困難を極めますが、専門の買取業者なら問題なく買い取れるケースがほとんどです。
なぜなら、専門の買取業者は、買い取った市街化調整区域の土地を収益化するための独自のノウハウを持っているからです。

一般の買主には活用が難しい物件でも、プロの視点で見れば再生・活用できる道筋が見えています。
アルバリンクなら市街化調整区域の不動産でも買い取れる
弊社AlbaLink(アルバリンク)は、市街化調整区域内の不動産をはじめ、一般の買い手には売却しにくい不動産を積極的に買い取っている専門の買取業者です。
たとえば、弊社では、買い取った物件にリフォーム等を施し、以下のように活用・再販しています。
- 賃貸物件として再生: 入居者を見つけて物件を再生し、投資家へ売却
- 自社で運用: 弊社自身が大家となり、賃貸物件として運用
- 店舗等へコンバージョン: 飲食店や資材置き場などに用途変更し、事業用の物件として売却
こうしたノウハウがあるため、専門の買取業者なら、地目に関わらず市街化調整区域にある不動産を高確率で買取可能です。
実際に弊社をご利用いただいたお客様からも、以下のように高評価をいただけております。
弊社独自の活用ノウハウを駆使して、できる限りスピーディーに買取できるよう対応いたします。
無料査定・無料相談のみのお問い合わせも大歓迎ですので、いつでもお気軽にお問い合わせください。
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売却以外で市街化調整区域の不動産を手放す3つの方法
ここまで市街化調整区域の不動産を売却する方法について解説してきましたが、どうしても売れない場合は、売却以外の方法で手放すことも検討しましょう。
それぞれ詳しく解説していきます。
無償譲渡する
まず考えられるのが、親族や知人、あるいは隣地の所有者などへ無償で譲渡する方法です。
とくに、隣地の所有者にとっては、自身の土地が広がることで活用の幅が広がるため、有益な提案となる可能性があります。
ただし、無償譲渡を行う際には、税金に関する重要な注意点が2つあります。
まず、譲渡された側には、土地の評価額に応じた贈与税が課されます。
無償であっても税負担が発生するため、譲渡する前に相手の十分な理解と合意を得ておくことが不可欠です。
加えて、譲渡する側にも、法人への譲渡など特定のケースでは譲渡所得税が発生する可能性があります。
個人間の譲渡で基本的に譲渡所得税は発生しませんが、安心して手続きを進めるためにも、一度税理士などの専門家に相談することをおすすめします。
国や自治体に寄付する
国や地方自治体への寄付も選択肢として挙げられます。
しかし、自治体が寄付を受け入れるのは、公園や公共施設の建設といった明確な利用計画がある土地に限られるのが実情です。
そのため、活用の難しい市街化調整区域の不動産は、寄付を断られるケースがほとんどです。
また、2023年4月から始まった「相続土地国庫帰属制度」を利用して、相続した土地を国に引き取ってもらう方法もあります。
相続または遺贈で取得した土地で、一定の要件を満たした場合に、申請によって所有権を国に移転できる制度
ただし、この制度も審査基準が厳しく、建物がない更地であることや土壌汚染がないことといった多くの条件を満たさなければなりません。
さらに、承認された場合でも、10年分の土地管理費に相当する高額な負担金を納付する必要があるため、誰でも気軽に利用できる制度とは言えないのが現状です。
なお、相続土地国庫帰属制度について詳しく知りたい方は、以下の記事も併せてお読みください。

相続前なら相続放棄する
市街化調整区域にある不動産をまだ相続する前なら、相続放棄を検討するのは選択肢の一つです。
自身が相続人であると知った時から3ヶ月以内に家庭裁判所で手続きをすることで、プラスの財産とマイナスの財産(借金など)の両方を一切相続しない意思表示
ただし、相続放棄は他の財産状況も踏まえた慎重な判断が求められる、重大な決断です。
相続放棄は一部の財産だけを選ぶことができず、預貯金や有価証券といったプラスの財産も含めて、すべての相続権を放棄することになります。
また、相続放棄しても、次に相続する人が管理を始めるまでの間は、不動産の管理義務が残る可能性があります。
管理を怠り、万が一近隣に損害を与えてしまった場合、損害賠償責任を問われる恐れもあるため、相続放棄をしたとしても管理をしっかりと行うことが大切です。
相続放棄を検討する際は、必ず弁護士や司法書士などの専門家に相談しましょう。
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まとめ
今回は、市街化調整区域にある不動産が「売れない」と言われるその真相について解説しました。
市街化調整区域にある不動産は、専門の買取業者(仲介での売却が難しい物件や再建築不可物件を豊富に買い取りしている業者)に売却することをオススメします。
専門の買取業者は、市街化調整区域にある不動産を買い取った後に商品化するノウハウが豊富にあるからです。
ちなみに、当サイトを運営している「株式会社AlbaLink(アルバリンク)」は、仲介での売却は難しい物件をこれまで数多く買い取りしてきました。
過去には、「市場で売れにくい不動産を買い取る買取業者」として、フジテレビの「イット」で紹介された実績もございます。

市街化調整区域の物件も買取可能ですので、ぜひ一度、下記無料買取査定フォームよりお問い合わせください。
株式会社AlbaLinkは東京プロマーケット市場に上場している不動産会社です。







