事故物件の定義
事故物件と聞いて、心霊物件を思い浮かべる方は多いのではないでしょうか。
しかし不動産業界で言う事故物件とは、居住者の死によって買手・借手の契約判断に影響をおよぼす物件を総称して事故物件と扱います。
事故物件を調べる方法を解説する前に、まずは事故物件の定義についてご紹介します。
事故物件になる4つの要件
事件や事故などによって建物内で人が亡くなった不動産を事故物件といいます。
第三者が購入を検討するにあたって心理的に嫌悪感や抵抗を抱く可能性が高いことから「心理的瑕疵物件」とも呼ばれます。
しかし死因によっては事故物件に該当しないケースもあるため「人が亡くなった建物=事故物件」となってしまうわけではありません。
国土交通省の定めている「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」によると、事故物件に該当する死因と該当しない死因は以下の表のとおりです。
- 事故物件に該当する
- 殺人(他殺)/自殺/火事などによる事故死/遺体が長期間放置されて特殊清掃が実施された自然死(病死・老衰)・孤独死
- 事故物件に該当しない
- 自然死(病死・老衰)/階段からの転落や浴室内での転倒などによる不慮の事故死
参照元:国土交通省「宅地建物取引業者による人の死の告知に関するガイドライン」
人はいつかは亡くなってしまうものであり、原則として建物内で病気や老衰による自然死が発生したとしても、事故物件とは扱われません(東京地方裁判所平成19年3月9日判決)。
また、弊社が独自に行った「事故物件ならどこまでが許容範囲か?」に関するアンケート調査でも、77%の人が孤独死や事故死なら許容範囲と答えており、自然死であれば、一般の人の意識としても敬遠されるほどの事故物件ではないという結果が出ています。
しかし自然死であっても、遺体の発見が遅れて腐敗が生じてしまい、遺体発見現場を原状回復するための特殊清掃がおこなわれた場合は事故物件に該当します(名古屋高等裁判所平成22年1月29日判決)。
参照元:心理的瑕疵に関する裁判例について
遺体の血液や体液などで汚染された部屋の除菌・消臭・汚染物の除去などをおこなって原状回復すること
事故物件の売却時には告知義務が生じる
不動産仲介業者を通じて事故物件を売却する際は、購入希望者に事件・事故などによって人が亡くなった旨を告知する義務が課されます。
賃貸の場合の告知義務期間はおおむね3年ですが、売買の場合は半永久的に告知しなければなりません。
もし事故物件であることを隠して売却し、のちにその事実が発覚した場合、売主は契約不適合責任を問われて買主から損害賠償や契約の解除などを請求される可能性があります。
売主が買主に売却した商品が契約内容と異なっていた場合に、売主が買主に負わなければならない責任のこと
実際、競売でマンションを落札した購入者が物件内で死後4か月が経過した元所有者の腐乱死体を発見し、売却許可決定の取り消しを求めた裁判において、裁判所はその主張を認めています(名古屋高等裁判所平成22年1月29日判決)。
参照元:心理的瑕疵に関する裁判例について
そのため、購入を検討している不動産が事故物件に該当する場合、基本的には購入前に不動産業者から人が亡くなっている事実を告知してもらえるはずです。
しかし売主が早く、高く売りたいがために事実を隠しており、不動産業者も把握していないときには事前に告げられない恐れがあるので注意が必要です。
後述の「もし事故物件を購入してしまったら?」の項目で解説するように、購入した不動産が事故物件であった場合には契約の解除を求められますが、ケースによっては裁判で争う必要があり、あまり現実的な手法とはいえません。
事故物件の購入を避けるためにも、次の項目で解説する方法を参考にし、購入前にあらゆる角度から物件の調査をおこないましょう。
事故物件かどうかを調べる6つの方法
購入を検討している、もしくは購入した不動産が事故物件かどうかを調べる方法には、主に以下の6つがあります。
それぞれどのような方法なのか、具体的に見ていきましょう。
物件パンフレットに「告知事項あり」の記載があるか確認する
不動産が事故物件かどうかを確認するもっとも手軽な方法は、不動産の購入者を募集するための物件情報を調べることです。
ただし物件情報に「事故物件」と明記されているわけではなく、「心理的瑕疵あり」「告知事項あり」などと記載されます。
物件情報の特記事項欄に「心理的瑕疵あり」と書かれている場合は、ほぼ間違いなく事故物件です。
また、「告知事項あり」と記載されている場合も、事故物件である可能性が高いといえます。
しかし告知事項とは「これから物件を購入、あるいは借りようとしている方が、その事実を知っていたら購入・入居しない可能性がある物件の瑕疵や事実」を指し、事故物件に該当する心理的瑕疵に限定されたものではありません。
告知事項のある物件の瑕疵には、心理的瑕疵以外にも以下の3種類があります。
- 物理的瑕疵
- 雨漏りや基礎のひび割れなど、建物に存在する物理的な欠陥・不具合のこと
- 環境的瑕疵
- 該当の不動産の周辺に暴力団事務所やゴミ処理場があるなど、日常生活を送るうえで支障をきたしかねない状態
- 法律的瑕疵
- 再建築ができないなど、法律によって物件の活用に制限が課されていること
不動産がこれらの瑕疵を抱えている場合も、不動産業者は買主・入居者に対して告知する義務を負います。
物件情報に「告知事項あり」と記載されていても心理的瑕疵ではない別の理由の可能性もあるため、次の見出しで解説するように不動産業者に問い合わせて直接確認するとよいでしょう。
不動産業者に問い合わせる
該当の不動産が事故物件あるかどうかを調べるもっとも確実な方法は、不動産業者に問い合わせることです。
前述のように、不動産業者は事故物件を売却するにあたって買主・入居者に対して人が亡くなっている事実を告知しなければなりません。
もし告知義務に違反した場合には、以下のように2年以下の懲役、または300万円以下の罰金が科されることになっています。
第七十九条の二 第四十七条の規定に違反して同条第一号に掲げる行為をした者は、二年以下の懲役若しくは三百万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する
引用元:e-Gov法令検索「宅地建物取引業法 第七十九条の二」
ただし死因が心理的瑕疵に該当するかどうかの範囲は曖昧であり、不動産業者によっては事故物件として認識していない場合もあります。
そのため、「告知事項がない=事故物件ではない」とは限らないため、注意が必要です。
周辺の類似物件の売出し相場と比べて著しく安価でないか確認する
事故物件だからといって必ずしも値下げをしなければならないわけではありませんが、建物内で人が亡くなった事実に対して嫌悪感を抱く方は多い傾向にあります。
一般の不動産と比較すると事故物件の需要は少なく、結果的に10~50%ほど価格を下げなければ売却できないのが現実です。
そのため、周辺の類似物件と比較した際に売出し価格が著しく安い場合には事故物件である可能性が高いといえるでしょう。
購入を検討している不動産がある場合は、「SUUMO(スーモ)」や「at home(アットホーム)」などの不動産ポータルサイトで立地・間取り・築年数などが似ている物件を3つくらいピックアップし、比較してみてください。
ただし、「相続税を納めるために納付期限までに売却しなければならずに急いでいる」など、売主側の都合で価格を下げているケースもあります。
相場よりも安い不動産が事故物件であるとは一概には言えませんが、不動産業者に問い合わせる前におおよその見当をつけられるでしょう。
内見時に異臭、違和感のある修繕箇所がないか確認する
事故物件の現場には、遺体の腐敗による臭いや血液・体液の汚れなどが染みついていることがほとんどです。
これらの臭いや汚れは、通常のハウスクリーニングでは落としきれません。
見た目にはきれいに掃除ができていたとしても、柱や床下の土台などに染みついた臭いは特殊清掃をおこなわなければ完全に除去できないのです。
物件の内見をおこなった際に生ゴミが腐ったような臭いがする場合は、人が亡くなっていないかどうかを不動産業者に確認したほうがよいでしょう。
また、遺体の痕跡を消すために部分的なリフォームをおこなうケースも少なくありません。
もし内見時にフローリングや畳など一部分のみが不自然に変えられていた場合には、何かしらの事件や事故があったのではないかと疑ってかかったほうがよいでしょう。
その際には、ぜひ天井もチェックしてみてください。
天井の一部のみがほかと比べてきれいだった場合には、雨漏りが発生していた可能性が高いといえます。
雨漏りは物理的瑕疵に該当するため、告知義務があります。
たとえリフォームで雨漏りした箇所を修繕したとしても告知義務はなくならないので、この場合も不動産業者に確認することをおすすめします。
事故物件掲載サイトをチェックする
「大島てる」など全国の事故物件を調べられるサイト上で事故物件かどうかを調べる方法もあります。
大島てるは事故物件の情報を提供するサイトで、一般のユーザーによる投稿制である点に特徴があります。
検索方法は、サイト上の検索窓に該当の住所を入れるだけです。
地図上、炎のマークが付されている不動産が事故物件であり、マークをクリックすると事故物件となった理由を閲覧できます。
ただし、大島てるで紹介されている事故物件はあくまでも一般ユーザーの投稿によるものであり、必ずしも真実とは限らない点に注意が必要です。
大島てるに掲載されていても事故物件ではない可能性もあるため、やはり不動産業者に直接問い合わせて確認することをおすすめします。
近隣住民に聞き込みをしてみる
内見をした際に少し違和感を覚えて不動産業者に問い合わせても、事故物件であるかどうかが判別できないことがあります。前述のように、不動産業者ですら知らない可能性があるためです。
そのような場合には、近隣に住んでいる方に直接尋ねてみるのもひとつの方法です。人の口には戸は立てられないため、人が亡くなっている事実はうわさとして広まっている可能性が高いといえます。
入居後に近隣の方に事実を告げられて事故物件であることが判明するケースは少なくないため、不動産を購入する前には「この辺りの住み心地はどうか」「物騒な事件は起こっていないか」など、世間話の一環として近隣の方から情報を集めるとよいでしょう。
事故物件を購入しても「契約解除」や「売却」が可能
もし購入した不動産が事故物件だった場合に買主が取れる対処法は、以下の2つです。
- 契約の解除を求める
- 解約できない場合は売却する
もちろん、そのまま住み続けることは可能ですが、建物内で人が亡くなっている事実を知ってまで住みたいと考える方はほぼいないでしょう。
ここからは、2つの対処法について詳しく解説します。
契約の解除を求める
物件購入後に事故物件であることが判明した場合、告知義務違反にあたるため、買主は不動産業者に対して不動産売買契約の解除を求めることができます。
しかし、不動産業者の方でも告知義務違反のリスクは承知しているため、よほどの悪徳業者でない限り、売却前に事故物件であることを告知するはずです。
そのため、不動産業者から告知なく物件を購入してしまった場合、不動産業者も事故があった事実を知らない可能性があります。
ですから、まずは購入した物件が事故物件であると判明した事実を不動産業者に伝えましょう。
不動産業者が事故物件である事実を知らなかった場合、不動産業者の方で事実確認が取れれば契約解除に応じてもらえる可能性があります。
ただ、中には意図的に事故物件であることを隠して売却しようとする悪徳業者も存在します。
そうした不動産業者の場合、すんなり契約解除に応じてくれるとは思えないため、裁判で不動産業者の告知義務違反を認めてもらう必要がでてきます。
たとえば、購入したマンションのベランダで6年前に首つり自殺があったことが売買契約後に発覚したケースでは、裁判所は売主側の告知義務違反を認めて買主の契約解除および違約金の請求を認めています(平成元年9月7日横浜地裁判決)。
参照元:心理的瑕疵に関する裁判例について
ただし、裁判となると、1年以上の時間と、百万円以上の費用がかかることも珍しくありません。
このように、事故物件の契約解除は一筋縄でいかないこともあります。
そうした場合は、売却を検討しても良いでしょう。
裁判で相手の非を認めさせたい気持ちもわかりますが、冷静に考えれば売却し、売却金を元手に新たな住居を探した方が時間も費用もかからず合理的です。
なお、事故物件の売却については次項で詳しく解説しますのでご確認ください。。
解約できない場合は売却する
購入した事故物件の契約解除が難しく、その後も住み続けたくない場合には、事故物件を売却するという選択肢を取ることになります。
しかし、前述のように事故物件をあえて購入したいと考える方は少ないため、相場よりも売却価格を下げなければ買手を見つけるのは難しいでしょう。
実際に、弊社が独自に行った「事故物件かどうかを気にする人」のアンケート調査では、87.4%の人が「気にする」と答えています。
「とても気にする」「やや気にする」と答えた人が合わせて87.4%。
事故物件の一般的な死因別売却相場は以下の表のとおりです。
死因 | 相場からの値引き幅 |
---|---|
長期間放置された自然死・孤独死 | 10~20% |
自殺 | 20~30% |
殺人 | 30~50% |
ただし、値下げ幅について明確な基準があるわけではありません。
物件の立地条件や建物の状態などによっては需要が高く、それほど値段を下げなくても売却できるケースもあります。
適正価格を把握するためにも、まずは事故物件に精通した不動産業者に査定を依頼するとよいでしょう。
弊社AlbaLink(アルバリンク)でも無料査定をおこなっておりますので、所有している事故物件の売却価格の目安を知りたい方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。
>>【売りづらい事故物件でも高額売却!】無料で買取査定を依頼する
専門の不動産買取業者であれば適正価格での売却が可能
不動産仲介業者に依頼し、一般の個人に向けて事故物件を売りに出しても、人の死に対して心理的嫌悪感を抱く方が多いことから売れ残ってしまう可能性が高いといえます。
また、不動産業者によっては事故物件の取り扱い自体を断っているケースもあります。
ですから、事故物件を余計な時間や手間をかけずに売却したい場合は、事故物件を専門に取り扱う買取業者に依頼するとよいでしょう。
仲介を通じて事故物件を売却するには、売主が費用負担をして、特殊清掃やリフォームなどをおこなって事件の痕跡を消す必要があります。
特殊清掃は作業量や内容にとって価格が異なりますが、数十万円もの費用が発生することも珍しくはありません。
また、リフォームには数十万円~数百万円もの費用がかかりますが、事故物件の場合は値段を下げなければ買手が見つかりにくいため、リフォーム代を売却価格に上乗せすることは難しいでしょう。
しかし事故物件専門の買取業者に依頼すれば、そのままの状態で事故物件を売却できます。
専門の買取業者は買取後に、再販・運用方法に合わせ、業者自ら特殊清掃やリフォームを行うためです。
また、専門の買取業者は事故物件であっても価値を見出し、活用する術に長けているため、適正価格で買い取ってくれます。
弊社AlbaLink(アルバリンク)でも、これまでに数多くの事故物件を買い取ってまいりました。
事故物件を再生して活用するノウハウにも長けているため、できる限り高値で買取が可能です。事故物件をいますぐに手放したいと考えている方は、お気軽にご相談ください。
>>【売りづらい事故物件でも高額売却!】無料で買取査定を依頼する
最短数日で売却可能
事故物件の買取スピードは買取業者によって異なりますが、1週間~1か月ほどで現金化できるケースがほとんどです。
いますぐにまとまった現金が必要、事故物件をいち早く手放したい場合には買取業者を利用するとよいでしょう。
なお、弊社AlbaLink(アルバリンク)ではスピーディーに事故物件の買取をいたします。
一般の買手が見つからない事故物件でも現金化は可能なので、ご安心ください。
売主の契約不適合責任が免責される
不動産を売却する場合、売主は買主に対して契約不適合責任を負わなければなりません。
契約不適合責任とは売却した不動産に隠れた欠陥が見つかった場合に売主が買主に負うべき責任のことで、場合によっては買主から損害賠償や契約の解除などを請求される恐れがあります。
売主と買主の合意があれば契約不適合責任を免責できますが、どのような欠陥や不具合が潜んでいるかがわからない中古住宅を購入するにあたり、売主の契約不適合責任を免責とする一般の買手はいません。
しかし不動産買取業者が買主となる買取では、売主が負う契約不適合責任を免責にすることが可能です。
不動産買取業者はどこにどのような欠陥や不具合があるのかを調べたうえで物件を買い取り、リフォームなどを施してから活用することを生業としています。
そのため、売買契約にあたって売主の契約不適合責任を設定する必要がないのです。
弊社AlbaLink(アルバリンク)でも売主の契約不適合責任を免責としたうえで事故物件を買い取りますので、不安を抱えることなく売却したい方はぜひ弊社にお任せください。
まとめ
購入を検討している、あるいはすでに購入済みの不動産が事故物件であるかどうかを調べるもっとも確実な方法は、不動産業者に問い合わせることです。
事故物件を売却する際、不動産業者には告知義務が課されるため、基本的には人が亡くなっている物件の購入は事前に避けられるでしょう。
しかし、売主が事実を隠して不動産業者に伝えていない場合にはその限りではありません。
もし不動産の購入後に事故物件である事実が発覚してしまい、いますぐに手放したいのであれば専門の不動産買取業者に買い取ってもらうことをおすすめします。
事故物件を一般の買手に売却するのは難しい傾向にありますが、専門の不動産買取業者に依頼すれば1週間~1か月ほどで売却が可能です。
弊社AlbaLink(アルバリンク)では、一般の買手には売却できない事故物件を適正価格で買い取っております。
「不動産仲介業者に事故物件の売却を断られてしまった」「事故物件をいますぐに現金化したいがどうしたらよいのかがわからない」といったお悩みを抱えている方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。